One Point Interview 2023〜2022

2023.10
法令や社会変化に対応し
契約の見直しも必要となる

 2020年の民法改正や最近のLPガス関連法令の見直しの議論など、法令改正や社会変化への対応 が、賃貸経営に及ぼす影響などについて、不動産業界、LPガス業界などにも精通している松山・野尻 法律事務所のお二人の弁護士に伺いました。

弁護士 松山 正一 × 弁護士 村山 徹

長澤知子氏

敷金や現状回復が民法改正で条文化された

―― 原状回復などで、貸主であるオーナー側の主張が退けられる裁判例が出ているようですが、どんな内容でしょうか。最近の傾向も含めて教えてください。

村山 民法621条によれば、通常の使用や収益、経年変化による賃貸物の損耗は原状回復義務に含まれないとされています。一方で、借主と貸主双方の合意がある場合は、通常損耗を借主負担として契約を交わしても直ちに違法とはなりません。ただ、合意の上で契約したケースにおいても、通常使用による損耗を借主に負担させる条項は無効だとされた裁判例があります。これは消費者契約法によるものです。ほかに、礼金などを定めた条項が無効になった裁判例も存在します。
 このような流れから、退居時に必要な費用を契約段階で明らかにすることや、その金額設定の正当性に配慮することが貸主に求められているといえます。

―― 2020年の民法改正で「敷金」が明確化されたと聞きました。それで何かが変わるのでしょうか。

村山 民法に敷金についての条文が定められたということです。改正前の民法には、敷金について定めた条文はありませんでした。
 改正後の民法622条の2第1項柱書には、敷金について次のように定義されています。「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」。つまり、借主が貸主に払わなければならないお金を「担保」という形で前もって渡すものは、どんな名目であろうと敷金であるという意味です。
 622条の2以外にも敷金について定めた条文があります。605条の2第4項や605条の3では、賃貸人たる地位の移転と敷金の承継が定められています。内容としては、貸主が変わった場合、新しい貸主が敷金に関する権利義務を引き継ぐというものです。
 敷金だけでなく、原状回復義務についても明文化されました。原状回復義務については先ほどお話したとおりです。もっとも、敷金や原状回復義務が民法に定められたことによる影響はほとんどないと考えられます。今まで条文のないまま認められてきた敷金の慣習などが条文になっただけで、これまでと異なることを定めたわけではないからです。

無効とならないような敷金や敷引、礼金、更新料の設定を

―― かつての売り手市場だった頃の、貸し手に有利な慣習である「敷引」や「礼金」、「更新料」は消費者契約法に反するという考えがあるようです。契約書に書かれていても無効になりますか。

村山 基本的には無効にならないと思われます。
 まず、法律には、当事者の合意があっても法律が優先される「強行規定」と、当事者の合意が法律より優先される「任意規定」があります。消費者契約法は、弱い立場の消費者が不利な内容で契約してしまうことを正すための法律なので、強行規定にあたります。したがって、当事者間の合意があっても、消費者契約法に反する場合は無効となります。
 次に、敷引や礼金、更新料が消費者契約法に反するかどうかですが、過去の商慣習として認められていることから、直ちに無効となることはありません。しかし、あまりに高額な更新料を無効とした最高裁判所の判決や、礼金等の契約条項の一部を無効と判断した裁判例も存在します。このように敷金や敷引、礼金、更新料に関する取り決めが無効と判断される可能性はゼロではありません。
 現時点では無効かどうかについての明瞭な基準は定められていないため、賃料の額や更新期間などを考慮しながら、高すぎると判断されない敷金、礼金や更新料の金額設定を心がけることが大切です。

ガス設備の設置・管理のポイントは正しい業者選びと費用負担の透明化

―― LPガスの業者変更をめぐる裁判も増えているようです。その多くを手掛ける松山弁護士から、トラブルを防止するためのオーナーへのアドバイスをお願いします。

松山 アパートやマンションの入居者が利用するLPガスをどの業者から購入するかは、最終的には物件所有者であるオーナーの意向で決まります。ただし、業者の変更、いわゆる切替にはオーナーの同意のほかに、入居者と業者とのガス契約の解約が必要です。実際のところ、入居者の解約同意書の取付を巡って、新旧業者間でトラブルになるケースが多々あります。入居者に迷惑がかからないように、オーナーとしてどちらの業者を選ぶのか、明確に意思表示をする必要があると言えます。
 オーナーの関心を引くために、ガス料金の値下げや現金や物品の提供をする業者もいますが、それに惑わされることなく、ガス設備の管理と保安の体制が充実している業者を選ぶ必要があります。また、安値で契約しながら、切替後しばらくしてから値上げをしてくる業者も存在しますので注意しなければなりません。

―― LPガスの利用に関わる費用負担を明確化しようという流れもあるそうですね。具体的に教えてください。

 LPガスの設備は、ガスボンベからガスメーターまでの供給設備はガス業者側の所有物、メーターから燃焼機器までの消費設備はオーナーの所有物、あるいはガス業者からの賃借物となります。設備の賃借代は利用者がガス代と一緒に支払うことがふつうです。
 しかし、LPガスを所管している経済産業省資源エネルギー庁では、集合住宅における設備代について次のような法改正を検討しています。配管代はオーナー持ちとし、その他のガス器具代についても、貸与契約を結ばない限りオーナーが負担するというものです。入居者がガス代と一緒に設備代を、それと知らず負担していたという状態は改めようというものです。これまでの契約をどのように変更しなければいけないかは、法改正の具体的な内容を見る必要がありますが*、アパートに設置するエアコンや温水便座などをガス会社が負担するといった無償貸与を前提とした契約も含め、今後は見直しが迫られます。

*インタビューが行われた2023年8月現在。

まつやま・しょういち 写真・左。早稲田大学法学部卒。1985年司法試験合格。第二東京弁護士会所属。損害保険会社、エネルギー企業の顧問として多くの民事事件を手がける。著書『この一冊で「刑法」がわかる!』(三笠書房)、『LPガス販売店のための法律Q&A』(諏訪書房)ほか。
むらやま・とおる 写真・右。中央大学法学部卒。2019年司法試験合格。第二東京弁護士会所属。債務整理、不動産案件などを得意分野として顧問先の事案に応えている。

松山・野尻法律事務所
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2023.07
老後の気がかりをなくし
安心して暮らすために

 広告会社の社長業の傍ら、不動産取引や相続・事業承継のコンサルタント、そして終活=老後対策のアドバイザーとして活躍する長澤知子氏に、アパート・マンションオーナーの老後対策や相続準備などについて伺いました。

長澤 知子
株式会社アステリア 代表取締役

長澤知子氏

「相続」よりも「老後対策」の方が自分の問題として考えやすい

―― まず、広告業、不動産、相続、終活といったことは、長澤さんの中ではどのようにつながっているのかを教えてください。

長澤 私が経営する広告会社のクライアントの主力は、不動産業界の企業です。この会社を立ち上げる以前から業界の仕事をさせていただいており、勉強のために宅建士の資格を取りました。
 会社設立後は不動産ビジネスも営業品目にできないかと本腰を入れてやっています。とは言っても、会社の本業は広告ですから、不動産ビジネスは現状ではまだ社長である私の副業という位置づけです。
 相続については、数年前に会社経営をしていた父が亡くなった時、私自身がとても苦労しました。なんとか片づけましたが、同じように困っている人はたくさんいるだろうと相続・事業承継コンサルティング協会の講座を受講し、協会の認定資格を得て活動をはじめたわけです。
 相続は必ず生じることですが、事前にきちんと準備する人はまだまた少ないですね。亡くなった後のことについていろいろ心配することはなかなか難しい。でも老後対策は、亡くなった後の相続の心配ではなく、自分自身の今後をどうすべきかを考えることです。まさに自分の問題ですから、誰でも入っていきやすい面がありますね。そのアドバイスやお手伝いをさせてもらっています。

―― 本誌の読者であるアパート・マンションオーナーの相続、あるいは終活でのアドバイスを伺いたいのですが。

長澤 私は「終活」という言葉がどうも馴染めなくって。「終わりの活動」じゃなくて、もっと前向きな明るい言葉はないかな、と。なのでここでは、老後対策という言葉を使いますが、そのお手伝いする場合、財産をどうしていくかということを必ず考えるわけですが、高齢のアパート・マンションオーナーの方の場合、財産である賃貸物件も一緒に年をとっている場合が少なくありません。
 古くなった物件をどうするかという選択肢は、だいたい4つです。1つは大改修してなるべく長持ちするようにして次の代に譲る。2つめは収益物件としてそのまま売却する。3つめは入居者に退去してもらって建て替える。そして4つめは壊して更地にする。どれを選択するかはご本人やご家族がいろいろな条件を考えて判断することになりますね。更地にして仲介業者を介して一般の方に買ってもらうのが、金額的には一番高くなると思いますが、住んでいる入居者に出て行ってもらわねばならないなど、オーナーさんだけで対処するにはハードルが高いかと思います。ここでは専門家の支援は不可欠と言えるでしょう。
 例えば、先々を考えて、多少家賃は下がっても普通借家から定期借家へと契約を変えていくといった準備も必要です。相続問題についての理解と不動産の知識とを持つコンサルタント、あるいはそれぞれの専門家を集めて対処できるナビゲーターのような人が必要になります。私自身は、そういう役目を務めたいと思って活動しています。そのための啓蒙活動として相続対策や認知症対策セミナー等の開催もしています。

相続や老後対策では各分野の専門家が必要

―― 不動産の資格者が相続や老後対策のアドバイスをしてくれるなら、アパートオーナーは心強いですね。

長澤 相続の準備あるいは老後対策のお手伝いで、不動産の資格が必要な仕事が生じるのは最後の最後です。ナビゲーターとしての私は、財産である賃貸物件をどうするかについて不動産の知識はご提供しつつも、それよりももっと全体のことについてアドバイスさせていただいています。それに、年配のオーナーのところには不動産業者や金融機関などはじめさまざまな業者が、相続対策ということで営業をかけてきます。後々困ったことになる契約や買い物をしてしまうという例も少なくありません。私の仕事は、どちらかというとそういうことにならないように導く仕事の方が多いですね。
 例えば、ご本人が亡くならなくても、認知症になられた場合に備えた家族信託のご提案とか。その手続きのためには司法書士など専門資格者が必要ですから、その手配もさせていただいています。アパート・マンションオーナーの方は、家族信託をぜひお考えいただきたいと思います。オーナーは賃貸契約以外にも、物件管理に関わるさまざまな契約業務があります。業者への発注も、契約業務に含まれます。万一、認知症になった場合、それらの一切ができなくなります。家族信託では「アパートの管理業務のみ」など、範囲を限定した信託ができますから、万一の場合に備えて、元気なうちに信託する相手と、その範囲や内容をきちんと決めておくことをお勧めしています。

―― 長澤さんは会社やコンサルタントとしての仕事以外にも、さまざまな仕事経験がおありと伺いました。

長澤 英語教師になりたくて新卒で英会話学校に就職したのですが、講師になれるのは外国人だけと営業に配属されました。仕方ないと新規入校者開拓の営業を頑張りました。営業をみっちり鍛えられた後、営業事務の仕事に移りました。時間もできたので、仕事にも活かせるからと簿記の勉強をして1級を取得。その後は資格講師として働きました。その後、パートナーが広告会社を立ち上げる際には、それまでの経験を活かし営業と経理を担当しました。そして経営面でも少し自信がついた後、今の会社を設立して社長になりました。
 会社経営をしながら、先ほどお話しした宅建士の資格取得や相続・事業承継のコンサルティングなど、その時々に必要と感じたこと、やってみたいと思ったことに挑戦しています。いろいろ多方面だと言われますが、私の中では案外一つにつながっています。それぞれの経験がそれぞれの仕事で活かされ、またその人脈も活かされています。
 例えば、アパート・マンションオーナーさんのお手伝いでは、せっかく不動産管理法人にしたのに会社としてのメリットを活かしていない方には、経理や経営面での助言をし、必要に応じてエキスパートをご紹介しています。また、相続対策も老後対策も、そのサポートをするためには多方面の知識が必要であり、専門家のネットワークも必要です。社会人になってからやってきたことの必然的な結果が、今の私の仕事であり活動となっているのだと思っています。

ながさわ・ともこ 宅地建物取引士、上級シニアライフカウンセラー、終活(老後対策)アドバイザー。会社員、資格講師を経て、広告会社設立に関与。現在は自ら広告会社を経営する傍ら、各種の資格や経験、実績をもとに、不動産、相続、老後対策のコンサルタント、アドバイザーとして活躍中。

株式会社アステリア
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-2-1 6F
tomoko@astelia.co.jp
https://astelia.co.jp/

2023.04
目的に応じた不動産の評価方法を
査定は売るための価格、鑑定は適正な価格

 県庁職員として勤務する傍ら、司法試験、公認会計士試験とともに「3大国家試験」とも言われる不動産鑑定士試験に合格。59 歳で県庁を早期退職し法科大学院に進学し、還暦で司法試験に合格した経歴を持つ加藤氏に、不動産鑑定士の資格と仕事内容について伺いました。

加藤 隆
加藤法律不動産鑑定事務所 弁護士 不動産鑑定士

塩見紀昭氏

自治体の土地収用等で不動産知識を勉強

―― まずは加藤さんのご経歴、難関と言われる不動産鑑定士の資格を県庁職員時代に取得され、司法試験合格に至る経緯を伺いたいのですが。

加藤 大学で地方自治を専攻していたので地方公務員を志望していました。結局就職試験で受かったのは東京国税局だけ。国税専門官になったのですが、地方自治の仕事がしたいと1年半ぐらいで辞めました。それで地元の神奈川県庁を受けて採用してもらいました。その時26歳になっていましたから、それから33年間務めました。

 県庁ではいろいろな部署に回されました。最初は水道局で料金計算の担当。次は女性センターで女性の人権や地位向上のための仕事。次は能力開発課という職業訓練校の部署で、その次が消費生活課で消費者保護。そして空港担当という部署へ。神奈川県には空港がありませんから、主な仕事は、隣接する当時の羽田空港の国際化推進でした。

 44歳ごろに次の部署、土地水資源対策課に行き、その後は土木事務所などにも配属になりました。これらは不動産分野と言える仕事で、辞めるまでこの分野にいました。土地収用などの仕事で必要だからと不動産の勉強をしようと思ったのですが、そこで不動産鑑定士という資格があることを知り、ちょっと勉強してみようかと思ったわけです。横浜の自宅から藤沢などの土木事務所に通いましたが、通勤時間が勉強時間でした。

40歳を過ぎて資格試験の勉強を始めたもう一つの理由は、務めていれば嫌な上司にもあたりますし、理不尽なこともあるわけです。辞表を叩きつけてやりたいこともありますが、家族がいればそう簡単に辞めるわけにはいかない。ですから辞めても食っていける何かを持っていたいと思うようになりました。実際には、資格があれば食えるということではないでしょうが、ないよりはいい。とにかく辞表を書く覚悟はできるだろうと。

 49歳で不動産鑑定士の試験は合格したのですが、資格を取るためには実務実習が必要だという。これが全部で100万円ぐらいかかる。ちょうど子供の大学進学とかでお金がかかる時期でしたからそれが済むまで待って、55歳で資格を取りました。そうなると定年まであと5年ですからね。それで、もうちょっと難しい資格に挑戦しようかと司法試験に挑戦したわけです。

 でも、これはなかなか大変で、予備試験も受けましたが、とてもとても手に負えませんでした。合格するには法科大学院(ロースクール)に行かねばと思い受験して58歳で合格したので、上司に相談して思い切って早期退職したのです。

 ロースクールを2年で修了し、司法試験を受験して、合格したのが61歳でした。修習は横浜だったのですが、私が最年長だろうと思っていたら、なんと私よりも年上の人がいました。大手電機メーカーのエンジニアを退職した方で、理系から司法試験を受けて合格するんですから、すごいですね。

鑑定では売主個別の主観的な事情は排除

―― 不動産鑑定士はどんな仕事をされるのですか。

加藤 よく知られているのは地価公示や路線価評価といった「不動産の鑑定評価業務」ですね。これは不動産鑑定士の資格を持つ人しかできない「独占業務」です。一般の人にとって「不動産の適正な価格はいくらか」を判断するのは難しい。「法律に基づいて不動産の適正な経済価値を判定すること」が不動産鑑定です。

 もちろん、実際の不動産取引では不動産会社が「この土地はいくら」と提示したりしています。これは売却を想定して不動産の売出価格、想定される成約価格を算定することで、鑑定ではなく査定です。不動産査定で算定された価格は、専門家が「売れるだろう」と判断した大体の価格であり、厳密に合理的な市場を前提とした経済価値ではありません。ざっくり言えば、鑑定評価基準に基づいた鑑定は、銀行や税務署、裁判所などの第三者に対して適正な価格での取引であることを証明するために利用され、査定は不動産会社による仲介行為の一環と言えます。

 査定では「もし売り出したら3カ月以内で売れそうな金額」といった売り主の事情を考慮して価格を決めますが、鑑定は、売主個別の主観的な事情を排除し、不動産としての経済的な価値をできるだけ客観的に算定する価格ということになります。

 私は県庁にいましたから、河川改修などで土地の収用が必要になることがありました。その時、買い上げる土地の価格や価値について役所が独自に決めることはありません。鑑定によって評価された価値で決めます。ですから、不動産鑑定士はこうした「公的評価」の仕事が主で、相手は国や自治体という場合が多くなります。不動産鑑定で算定される公的評価としては、地価公示、国土利用計画法に基づく都道府県地価調査、相続税路線価、固定資産税評価などがあります。

目的によって鑑定か査定かを選ぶ

―― 役所以外からの不動産鑑定の依頼はありますか。あるいは、一般の人が鑑定を利用するメリットはありますか。

加藤 もちろん、都市部では個人や法人が所有する不動産の不動産鑑定、民間評価を数多く手掛ける不動産鑑定士もいます。民間評価のための不動産鑑定としては、不動産売買や賃貸借の取引価格や賃料の参考となる評価や、所有している不動産の価値を知るための資産評価、融資の際に担保とした不動産の価値を、融資元の評価と比較するために用いられる担保評価などがあります。

 一般の方の土地取引などでは不動産査定ですまされることも多いですね。ほとんど不動産会社のサービスですから無料ですし、結果は数日で出ます。複数社に依頼して比較することもできますから、その中で有利なものを選べばいいわけです。むしろ、比較のために複数社に頼むべきです。

 一方で、不動産鑑定士による鑑定は信頼度が高く、公的機関での手続きにも確実に使えます。ただし、鑑定には費用がかかりますし、結果が出るまでに数週間かかることもあります。ですから、何のために不動産の価値、価格を知る必要があるかによって、鑑定と査定のどちらを選ぶか判断すればいいかと思います。

―― 土地の価値や価格をめぐるトラブルはよく聞く話です。紛争の解決や未然防止という点では、加藤さんは弁護士資格も持った不動産鑑定士ということになりますね。

加藤 不動産鑑定士と弁護士資格を持っている人というのは少なくて、神奈川県弁護士会でも私の他に1人ぐらい。私は弁護士としてはまだ新米ですから、両方の資格でこんな仕事をしたいなどと大きなことは言えません。でもせっかく取った資格ですから、やはり生まれ育ち、また仕事をしてきた地元の役に立つ仕事をしていきたいと思っています。

かとう・たかし 中央大学法学部卒業後、東京国税局に勤務。その後、神奈川県庁職員に転じ、在職中に不動産鑑定士資格を取得。2021年に61 歳で司法試験合格(75期)。2022年、弁護士登録。神奈川県弁護士会所属。

加藤法律不動産鑑定事務所
TEL:045(211)4560
株式会社明和住販流通センター
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2023.01
賃貸管理業界の公的・社会的活動で
賃貸オーナーと入居者の真の利益を追求する

 2020年に制定された賃貸住宅管理業法について、その成立に尽力された日本賃貸住宅管理協会(日管協)の塩見紀昭会長にお話を伺いました。

塩見 紀昭
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 会長

塩見紀昭氏

適正な管理業と借主・貸主の利益保護

―― 2020年に賃貸住宅管理業法が制定されました。この法律の概要、法律以前との違いはどのようなことなのでしょうか。

塩見 「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」、いわゆる「管理業法」の施行により、賃貸管理業者はそれまでの任意登録制度から、法律に定められた登録制度へと変わりました。管理業を行うために一定の能力や要件が求められ、国に認められた管理業者が法に基づいた適切な管 理を行うことになったわけです。

 35年前に私が不動産管理ビジネスを始めた頃、不動産管理ははっきりとした「業界」が形成されていない状況でした。というのも、どんなビジネスも業者間や顧客との取引でのルールがありますし、社会的な影響が大きかったり重要であったりすれば、技術や取引ルールは法律として定められます。ガスであればガス事業法や液化石油ガス(LPガス法)、飲食業なら食品衛生法など、いわゆる「業法」というものですね。「業法」があってはじめて「業界」が成立するという考え方もありますが、不動産管理業界には明確な業法がなかったのです。業法がないから世間的に業界認定されていないのではないか、そんなことを考えながら仕事をしていました。

 法律がなければ、業者はみなそれぞれの慣習やルールで商売をします。それぞれが自分で決めたルールで商売をすればトラブルも生じますし、そのような状況では業界全体として信頼を得ることはできません。近年、オーナー自ら管理する自主管理物件は減り、管理業者による管理物件が増えています。さらに、賃貸経営を管理業者に一任する“サブリース方式”が普及していますが、家賃保証等の契約をめぐるトラブルが多発し、社会問題化しています。このような中で管理業務の適正な運営や借主と貸主の利益保護のために、業界としてのしっかりとしたルールが必要となってきたわけです。そういう意味では、法律の制定により業界が明確化され、社会的地位が向上したと言えます。

 法律の施行により、借主と貸主の利益保護の点では、不良業者が淘汰され、質の高い管理を行う管理業者のみが賃貸人=オーナーや賃借人=入居者に選ばれるようになります。管理業務の適正な運営の点では、今まで行っていた正しい管理業務が正当に評価され、管理手数料のダンピング等を防ぎ、適正価格での管理報酬の推進が図られます。

管理業法制定は業界の悲願だった

―― 「日管協」とはどういう団体で、どのような活動を行っているのでしょうか。

塩見 団体の設立目的は賃貸住宅市場の健全な発展を目指すことにありますが、設立にかかわった私たちがずっとやってきたことの一つが、この管理業法を成立させることでした。

 1991年に全国賃貸管理業協会ができますが、それまで不動産管理事業者の業界の全国団体というものはありませんでした。この団体は入居者の家財保障共済、物品の共同購入などの検討と実現に向けた取り組みを始めるなど、事業者のビジネスサポート的なことを主目的とした活動を行っていきます。現在、多くの加入者を有している共済や保険事業なども、当初はこの団体で開発され事業化されました。

 その後、賃貸住宅管理業協会という団体も発足し別々に活動していましたが、前述したように管理業法を制定していくためには業界団体の一本化も必要と、1995年に賃貸住宅管理業協会と全国賃貸管理業協会とが統合して日本賃貸住宅管理協会、日管協として発足します。その6年後に財団法人となり、2011年に公益財団法人となりました。そして2020年の管理業法成立。いわば私たちの悲願達成となったわけです。

 協会の活動はこの法律の趣旨でもある管理業務の適正な運営や借主と貸主の利益保護のために、会員や賃貸住宅経営者に対するさまざまな情報提供を行っています。研修会活動、資料集や書籍の発行、コロナ禍ではオンラインや動画による情報発信も強化しました。情報提供では、市場データをまとめた日管協短観も評価を得ています。協会で年2回公表する賃貸住宅景況調査で、正会員である不動産会社会員へのアンケート調査を通じ、入居率等の賃貸住宅市場で注目される数値を指数化し分析を行っています。不動産管理業界としての公的、社会的な活動を行うことが協会の業務ということになります。

 よく混同されたり違いを聞かれたりする現在の全管協とは、全国賃貸管理ビジネス協会のことです。私も会員ですが、日管協統合以前の全国賃貸管理業協会が、日管協の設立推進のため、公的・社会的活動を分離する賃貸管理業に携わる企業のビジネス団体として再組織化されたのがスタートです。不動産管理事業者の新事業・新商品の開発、管理物件拡大、経営基盤の強化・拡充のための事業を行っています。

オーナーに役立つ賃貸経営情報を提供

―― 不動産管理業界の業界団体の立場で、アパート・マンションオーナーへのメッセージやご提言をお願いします。

塩見 不動産管理業者の仕事は借主と貸主の利益保護のためのビジネスです。そしてそれは、管理業務の適正な運営があってはじめて成り立ちます。良い管理会社と出会うことによってオーナー様の賃貸経営も成功するわけです。私たちの協会はオーナー様のお役に立つ管理会社の育成を主目的にしていますが、賃貸住宅市場の健全な発展という観点から、オーナー様にも賃貸経営の情報をどんどん提供しています。空室の増加など賃貸経営を取り巻く環境はますます厳しくなりますから、オーナー様も勉強しなければならないことがたくさん出てきます。ぜひ私たちの会員や協会を大いに活用していただきたいと思っています。

 この冊子の読者はLPガス事業者に物件のエネルギー供給を依頼されているオーナー様と伺っています。賃貸住宅の入居者はより良い条件を求めますし、オーナー様は可能な限り負担少なく物件や設備の充実を図りたいと考えます。そのお手伝いが管理業者の仕事です。そこにエネルギー事業者がパートナーとして加わるのは望ましいことですが、設備投資分がガス代に転嫁されることを行政が一部問題視しているとも聞いています。真に借主と貸主の利益保護という視点、管理業界の立場からこの問題についても情報収集していきたいと思っています。
しおみ・のりあき
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会長。株式会社明和住販流通センター代表取締役
1964年、東京都渋谷区生まれ。1987年に不動産管理会社として明和住販流通センターを設立。社員2名でスタートし、都内有数の不動産管理会社に成長させる。日管協設立に関与し、2020年に会長に就任。著書(共著)「税務必携タックスファイル」(大蔵財務協会)。

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会
https://jpm.jp/
株式会社明和住販流通センター
https://www.meiwa-g.co.jp/

2022.10
税務調査では議論するのではなく、
しっかり説明する準備が必要

 脱税などしていなくとも税務調査は敬遠したいという人が多いようです。確かに、申告して納税したのに「後からさらに追加で払う」のは、あまり愉快ではありません。税務調査はどのように行われ、どのように対処すべきか。元・国税職員の深澤英雄税理士に伺いました。

深澤 英雄
深澤英雄税理士事務所 税理士

深澤英雄税理士事務所 税理士 深澤英雄氏

税務調査はある程度の情報を持って臨んでいる

―― 調査を受ける多くの人が「どうしてウチに調査が来たのだろう」と思うようですが、調査先はどのような基準で選ばれるのでしょうか。

深澤 税務調査があると、「なぜウチに。ほかに儲かっているところがあるじゃないか」と言う人がいます。多くの人は税務調査を受けたり、ましてや追徴で税金を払ったことなどをあまり他人には言いませんから、自分のところにだけ調査が来たように感じますが、そのようなことはありません。調査の必要があるところには、しっかりと来ているはずです。また、税務調査の「周期」は必ずしも決まっていませんから、会社によって毎年のところもあれば、10年間1度も調査がないという会社もあります。ただし、税務上の時効は基本的には5年ですか ら、一般的には数年に1度はあると考えるべきですね。

 一概には言えませんが、法人の場合であれば売上が前年に比べて急に伸びたとか、利益の増減が大きかったとか、同業他社に比べて利益率が低いといったデータを税務署では管理していますので、そうした分析資料をもとに調査する場合があります。さらに、前回の調査で不正計算を指摘された法人や海外との取引が多い法人なども調査の対象になる可能性が高いと言えます。

 個人の場合も、事業を営んでいる方であれば、調査対象となるポイントは概ね法人と同様ですが、大きな財産の相続が発生した場合などには、相続税調査の可能性が高まります。税務署では、コロナ禍であっても、金融機関を中心に膨大な情報の蓄積を行っており、そこから抽出した情報をもとに調査に出向きます。最近は税務署もマンパワーが不足しています。ですから、ただ闇雲に調査をしているわけではなく、何らかの情報や目的を持って調査に来ると考えるべきです。

アパートオーナーは「経費」が問題にならないように

―― アパート・マンションオーナーの税務調査で注意すべきことはありますか。

深澤 アパート・マンションなどの賃貸業の場合、一般的にはあまり経費がかからない事業だと考えられています。最初に建物を建てたり購入したりした後は、これといった仕入れは発生しない。もちろん、管理会社への支払いや修繕などの費用は生じているわけですが、旅費交通費や交際費が極端に多く支出されていたり、一見、賃貸や修繕とは関係がないように見える業者への支払いや物品購入があれば、それについてしっかり説明できるようにしておくべきです。

 また、経費の内容(例えば携帯電話の使用料や車両関係の費用など)によって按分計上している場合なども、計算根拠を明確に示せるようにしておくべきです。調査官は他の賃貸オーナーの申告状況などを踏まえて検討し質問しますが、全ての調査官が賃貸業に詳しいわけではありません。きちんと納得してもらえるよう、メモなどの説明資料を残すことが大切です。

 なお、節税対策として事業専従者給与の支払いをしている場合も多いかと思いますが、家族・親族が具体的にどのような仕事をしているか、仕事内容と比較して給与額が適正かなど、説明できるようにしておくに越したことはありません。

主張すべきは主張すべきだが議論は慎重に

―― 税務調査があれば「“お土産”は覚悟しろ」とよく言われ ますが……。

深澤 深澤 昔の税務職員は調査している際の相手の表情や目線などで、何か隠しごとをしていないかを探ったり見抜いたりしたと言われました。私たちの世代ぐらいまでは、先輩からそういうことを教わったり、自分で会得する機会もありました。しかし、先ほども述べたように、最近は少ないマンパワーで仕事をしています。以前のような職人芸的なことよりも、有効なデータを携えて調査に出向くので、まったく白紙で調査に臨むことは稀です。

 調査される側が意図的に過少に申告したり、何か隠しごとをしていたりしなくても、税務署側でまったく別の観点から申告漏れの可能性などを予測・判断して臨むこともあります。ですから、その点が明らかになって追加で税金を納めることになる事例はよくあります。

 また、節税を目的に行ったことが税務署と見解が違って争いになるということもよくありますから、納税者自身の判断を説明することは大切です。とは言え、税務署側は過去の多くの事例をもとに判断していますから、調査官を論破しようとするのは難しいことかと思います。

 ただ、調査官も人間ですから、ある点では引き下がっても、他の点で議論を展開して有利な結果を出そうとすることだって考えられなくはありません。もちろん、税務署側の言い分はすべて聞かねばならないということではありません。調査の流れの中で主張すべきところは主張すべきということです。

 最近の相続税の事案では、不動産の課税価格を路線価で評価するか、実勢、時価で評価するかで裁判になった例もあります。もっともこの場合は、実勢価格を主張した税務署側が最高裁で勝ってしまいましたが、こうした極端なケースは別として、最終結果を見越した上で争うべきか引くべきか、そのあたりの判断が税理士の腕かもしれませんね。

税理士の業務は適正な申告・納税をコンサルすること

―― 元・国税職員であれば税務調査官の意図は理解できますか。

深澤 深澤 税金を賦課・徴収する側の視点も理解できているので、調査官の質問などから「これはこういうことを知りたいのだな」とわかることもあります。税理士の立場としては、脱税はいけませんが、合理的な範囲内での節税は大切な仕事ですから、どう対処すればいいかを考えます。大事なのは、調査が来る以前に、こうしたことは調査で問題になりやすい、課税されるリスクが高いといったことを踏まえて申告内容をまとめることです。

 税理士にもいろいろな人がいますし、最近は競争もあってネットでセールスしている税理士事務所もあるようですね。しかし、極端に税金を安くするとか、相続対策などで「裏技」などを提示してくる場合は慎重にすべきです。こうした場合には、安易に乗っかることなく、セカンドオピニオンの活用も大事です。

 私は国税OBですが、「税務署OB税理士なら税務調査がうまくいく」などと簡単にセールスはできません。税法は毎年変わりますし、それまで有効な節税策だったものが、ある時からそうでなくなることもあります。例えば、令和4年度の税制改正で、「少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度」の対象資産から、貸付けの用に供したものが除かれることになりました。所得税や法人税においては、影響の大きい改正事項でした。

 こうした税制面の動きを的確にキャッチできるよう、私も日頃から仲間の税理士と情報交換をしながら勉強しています。
 私が国税庁に入った頃は、電卓が普及しておらず、計算はソロバンの時代です。法学部出身でしたから、最初は勤めながら専門学校に通ったりもして、簿記や会計の勉強をしました。国税局では大手企業の法人税や消費税を担当し、何度か各地の税務署にも勤務して個人の所得税なども扱いました。

 実は、国税の現場では30年以上も前からデータ管理による税金の賦課・徴収のしくみ化が進められています。公平な徴税という点ではまだまだかもしれませんが、いずれAIが「あなたの払う税金はいくら」と言ってくる時代になるかもしれません。

 現在、税理士や経理・会計担当者がパソコンを使うのは当たり前になっています。日常的な計算業務は機械がやるのが当然で、税理士に求められるのは、専門知識を駆使して、どうすれば全体として適正な申告・納税となるか、さまざまな角度からコンサルすることになってくると思います。
ふかざわ・ひでお 1979 年、中央大学法学部卒業。国税専門官試験に合格し、主に国税局調査部に勤務。在職中、税務大学校教授や東京都内の税務署勤務も経験。国税局調査部統括国税調査官などを経て首都圏の税務署長で退任。現在は税理士として活躍。一般社団法人租税調査研究会主任研究員。著書(共著)「税務必携タックスファイル」、(共著)「国税OB 税理士による税務調査のすべて」(いずれも大蔵財務協会)。

2022.07
高齢社会の日本にとって、
家族信託を根付かせることは急務

 「高齢化社会」と言われて久しい中、「日本は高齢化ではなく、すでに超高齢社会なのだ」と語る須藤雅巳氏。司法書士としての43年間の実務の経験から、多くの法的契約行為が伴うアパート・マンションオーナーなどは自分自身の将来の認知症リスクを考えた対策を打っておくべきだと語っています。

須藤 雅巳
須藤司法書士事務所 所長 司法書士

須藤司法書士事務所 所長 司法書士 須藤雅巳氏

アパートオーナーの認知症によるリスクを知る

―― アパートオーナーが知っておくべきことに、認知症リスクというものがありますね。

須藤 現在の日本のように、65歳以上が人口の21%を超えたら高齢化ではなく超高齢社会です。諸外国に比べ猛スピードで超高齢化に向かった日本は、さらにこの先、遅くて10数年以内には、65歳以上の老人が2.5人に1人になります。これだけ高齢者が増えると、認知症になる人も増えます。国でも認知症対策をいろいろやっていますが、国や行政だけではとても支えきれなくなることは目に見えています。歳をとり認知症になった場合の対応、支援策等について法律や制度は追いついていません。

 認知症は誰でもなると考えるべきです。ですから、そうなったときに備えた対策も必要です。認知症になり判断能力を欠く常況になると、本人名義の預金の引き出しができなくなるといったことは知られるようになってきましたが、契約行為ができないことがとても大きな問題です。特にアパートオーナーの場合は、契約行為が多い。アパートを何棟か持っていると、賃貸借契約をするときには本人が契約しなければなりません。借り入れがある場合は銀行との交渉、アパートを管理する不動産業者や清掃業者への発注……これらはすべて契約、法律行為です。判断能力がなくなってしまうと、そういった法律行為はできなくなって支障が生じます。

本人の財産管理に特化した後見制度の問題点

―― 本人が認知症になったら、家族などが後見人として代行すればいいわけですよね。

須藤 まず後見制度ですが、本人の財産を管理し守るためには、非常に重要な制度です。財産の移動や管理は後見人が行うので、本人に判断能力がなく騙されたり不利な約束をしても、財産を失うことはありません。しかし、その後見人に家族が選ばれたとしても、裁判所が選任する弁護士、司法書士などの専門職がそのお目付役として選任されます。

 後見人の仕事は、本人の財産を守ることなので、例えば奥さんが月に一度旅行することや孫にお年玉やお小遣いをあげることを楽しみにしていたお父さんに後見がつくと、家族の生活費は別として本人以外のことにお金を使うことは一切できなくなります。これは家族が後見人になっても同様で、本人以外のことに使ってはいけないと厳格に決められているのです。

 後見は本人の資産を管理することに特化した制度で、大事な制度ではありますが、守る先は本人だけです。家族のためとか、将来の相続税対策、孫のためとか、そういうものに目をくれてはいけないのです。

 これをアパートオーナーで考えてみると、相続対策でアパートを建てることはもちろん、家族のための相続対策に費用を充てることもできないのです。

後見制度でできないことをカバーする家族信託

―― 後見制度ではアパート経営は大変なことになりますね。

須藤 そこで後見制度でできないことをカバーする制度として、信託を使うという方法があります。財産を信頼できる人に託し、自分が決めた目的に沿って自分や自分の大切な 人のために運用・管理してもらう制度で、最近は家族信託と呼ばれるものです。もちろん、判断能力のあるうちに信託する相手を決めます。

 信託というと多くの人は信託銀行などが財産運用をすることを思い浮かべますが、それは商事信託です。基本的には公証役場で信託契約書を公正証書にすることが重要です。

 認知症になって判断能力がなくなると、銀行の預金は凍結されてしまいます。そういう状況に備えて、信頼できる人に自分の財産の管理、運用、処分を託します。その信頼できる人=受託者に、自分の思いはこうだということを伝えます。自分が認知症になったときのために、自分の思いを委ねるわけです。例えば、お金は自分が生きているうちは自分の生活にあて、さらに奥さんの介護にもあててくれといったことを委ねます。繰り返しになりますが、後見制度では生活上の扶養費を除き、奥さんのための旅行などの交遊費用を使うことはできません。

 さらに家族信託は、自分が亡くなった後の相続、承継について決めておくこともできます。それであれば遺言でもいいと思われるかもしれませんが、遺言の場合は本人が死亡しないと効力を生じませんし、認知症になっても生きている間は効力を生じません。それらを考えると、家族信託は認知症になった際の有効な財産管理策と言えます。

家族信託はオーダーメイド

―― 家族信託は誰でも簡単にできるのでしょうか。

須藤 簡単とは言えませんね。やはり専門家に相談して進めるべきです。信託法は2006年に改正されましたが、運用としては未完成な部分もあります。信託の設計というのは、想定されることすべてについてのルールを信託法に従って決めるものです。大事なのは、どの財産を信託財産とするのか、誰に託するのか、どういうこと(管理・処分)を頼むのかということです。

 アパートオーナーの信託の場合、管理や修繕はいいけれど、自分が一生かかって稼いで建てたアパートだから処分はしないでくれと本人が希望する場合もあります。あるいは、将来は処分してくれとか、処分したら現金にしてこの人のために使ってくれというのもあります。本人の財産状況とさまざまな思い、家族関係や将来想定される事象などを踏まえて、しかも法の趣旨に反しないように設計しなければなりません。

 最近は、インターネットなどで「年間何百件の家族信託を引き受けています」と宣伝しているところもあるようですが、信託はオーダーメイドですから、定型で対応しない限り、そんなに数多く処理できるとは考えにくい。少なくとも私の事務所では、家族信託は引き受けますが、依頼人と共に奮闘し、その結果、コストには合わないことが間々あります。

家族信託を根付かせることは日本にとって必要なこと

―― コストに合わない仕事を引き受けている理由は。

須藤 弁護士も司法書士も公証人も、信託というと敬遠し、あまり受けないという現状があります。まだ判例もそれほど多くありませんから、私も知り合いの仲間や弁護士と、信託法の解釈について頻繁に議論します。

 また、今我々は独自の信託業の免許をとるために動いています。頼みたくても、頼める人や信頼できる人がいないといった人のための受け皿作りです。司法書士など資格者たちで信託会社をつくり、信託業者の免許を受けて、そこが法人として信託受託者を引き受けます。独居老人でもその制度を使えば受託者になってもらえますし、法人なので監督機能もしっかりしていて使い込みのような不祥事も防げます。

 信託の仕事を最初に受けたのは商事信託で20年前のことです。住宅ローンの焦げ付きが多数発生していた時期に、住宅のローン債権の流動化に金融庁から初めてOKが出て、債権の信託作業に携わりました。そのようなことから、金融機関や法務関係者から信託の専門家として相談を受けたり、専門誌に記事が出たりするようになりました。その延長でまだ十分な議論がされていない家族信託の実務について案件が持ち込まれるようになったわけです。

 25歳で司法書士の資格を取って、無謀にもすぐ独立開業しました。それから43年、この仕事を続けてきました。その中には、草創期のM&Aビジネスの法務支援、大企業や産業別労働組合の合併など、業界初という法律案件をいくつも手掛けてきました。そんな私も、そろそろ自身の老後というか、認知症対策を考えなければならない年齢となりました。家族信託を根付かせることは高齢社会の日本にとって必要なことです。仕事ができるうちに、しっかりとした道筋をつくれればと思い取り組んでいます。
すどう・まさみ 大学在学中に宅建免許を取得し、卒業後は不動産会社に就職。その後、関東エリアでは2番目に若い合格者として司法書士資格を取得し25歳で独立開業。現在は、相続分野から信託、後見などのほか、会社法の専門家として、上場会社グループの顧問、株主総会の運営の指導なども行っている。

須藤司法書士事務所
東京都新宿区高田馬場4丁目8番4号
ORAGAビル6F-A

2022.04
不動産事業者の立ち位置を問い続ける
地域に貢献する事業を進めたい

 企業には利潤追求のほかに「社会的責任」を果たすことが求められます。中小規模不動産事業者が果たすことができることは何か……それを常に追求し、賃貸オーナーや入居者といった顧客だけでなく、地域社会への貢献を仕事の軸に取り組む、福井県小浜市の平田稔氏にお話を伺いました。

平田 稔
株式会社平田不動産 代表取締役社長

株式会社平田不動産 代表取締役社長 平田稔氏

町づくりに積極的に参画

―― 平田不動産さんは小浜市の不動産管理では圧倒的なシェアをもっていると伺っています。

平田 いつも私が「町の不動産屋」と自己紹介しているように、当社は決して大きな会社ではありません。それでも地域でのシェアは案外大きく、約2,500戸とされる小浜の賃貸市場の約6割を管理しています。

 京都で銀行員だった父が、将来の需要を見越して賃貸仲介や管理を主とした事業を、40年前に脱サラしてはじめたのがスタートです。当時、この地域では管理専業の不動産会社はほとんどなかったと聞いています。

―― 地域貢献ということを意識したさまざまな取り組みをされていますね。

平田 地域でのシェアが高いということは、地域の皆様のおかげで事業が成り立っているということです。私も社員も、小浜市がつぶれたら平田不動産がつぶれるぐらいの気持ちでいます。ですから当社は、地域の発展、町づくりに積極的に参画しています。

 例えば、当社の管理物件に付けた「若狭おばま人物學事始」というプレートもその一つです。小浜は『蘭学事始』を著した江戸時代の蘭学医・杉田玄白ら、著名人を多く輩出した歴史ある町。小浜市街のあちこちにある当社が管理する物件や駐車場に、小浜の歴史上の人物を紹介し解説しています。

 また、会社のホームページ内に「ひらたんTV」というYouTube動画のページを作っています。ここでは、暮らしの情報のほか、いま活躍している小浜のさまざまな方にインタビューしたり、町の建物などを紹介したりしています。

 町づくりでは、まず自分たちの町について知ることが大切です。特に、これからの町づくりを担ってもらいたい子供たちに向けては、さまざまな機会を通じ、町について学ぶ機会をつくっていかなければと思っていますし、学校からの要請で私が中学生たちに小浜の歴史についてお話をすることもあります。
平田不動産の管理物件に付けられた「若狭おばま人物學事始」

平田不動産の管理物件に付けられた「若狭おばま人物學事始」。
こうしたプレートが市内各所にある。

すべてのステージの住まいを提供したい

―― 不動産会社だからこそできる地域貢献とはどのようなことでしょう。

平田 当社の取り組みでいえば、空き家の再生や戸建賃貸の供給といったことが挙げられるかと思います。戸建賃貸に取り組んでいるのは、住宅ローンの重圧から解放された伸び伸びとした子育ての機会を提供できるのではないか、という考えからです。

 新築を手掛ける業者はどこも、お客様に40年のローンを抱えさせて家を建てさせるけれど、結局、ローンを払い終わった後の住宅の多くが、売るのが難しい古い空き家になってしまうわけです。そういうものを供給し続けていいのだろうか、とも考えるようになったのです。

 子育て世代なら小学校に近いところの新築に住み、子育てが終わったら別の住まいに移る、といったことが賃貸なら可能です。こういう住宅ビジネスをすべきだと考えました。

 現在、地元の建設会社と協力し10棟以上手掛けていますが、戸建賃貸を広めていくだけでなく、借りていた賃貸を持家に替えられたりできないかも研究したいですし、賃貸住宅に投資する方のメリットもさらに追求したいと思っています。

 そして次の段階としては、子育てが終わった夫婦2人世帯にはどういう家が必要なのか、アクティブシニアはどういう家がいいのかを考えていきたい。さらに、人生の終末を過ごすホスピスのようなものはどうあるべきかなど、この地域の方々の人生のすべてのステージの住まいを提供し、地域に貢献できる企業になれればと思っています。

 小浜も毎年人口が減少し、この15年間で1割減っています。しかし一方で、隣接町の工業団地や原発関係に勤務し、人材派遣や単身赴任などで住民票を小浜に移さないまま住んでいる人が相当数います。また、2033年の新幹線開通による経済効果への期待もあります。そのようなこともあり、賃貸住宅の需要もまだまだ旺盛ですし、供給が少ない戸建賃貸住宅はまだまだ伸びます。いずれにしても住みたい町、住み続けたい町にするために、私たち不動産事業者の役割は大きいと考えています。

 当社が考えているのは、事業で利益を上げるだけではなく、小浜の町づくりにどう貢献していくかです。もちろん、仲介や管理だけでは町づくりはできません。

 これからは町に投資をしていくことによって、それが循環し、そこに関わる企業も伸びる時代になっていくと思います。町づくりに参加することに価値を見出す方々と一緒に町づくりをする企業になっていきたいのです。

 平田不動産で契約する手数料には、この町に投資をするという意義があるのだとお客様に思っていただけるビジネスをしていきたいと考えています。

賃貸管理業はオーナー業を代行する仕事

―― 不動産の仲介や管理の仕事とは、どういうものだとお考えですか。

平田 私は22歳の時に父の仕事を継ぐことを決めました。学校を出てから金沢の不動産会社に就職し修業をしました。不動産業というとあまり良いイメージを持たない人もいます。私はそれほど気にしなかったのですが、それでも働くからには、自分の仕事の意味や意義みたいなものを考えますよね。不動産会社に勤めた私は、担当した仲介の仕事、管理の仕事で、仕事を覚えながら、いつもそんなことを考えていました。それは親が作った会社に入り、社長を引き継いだ今も続いています。

 仲介や管理の仕事では、家賃滞納やクレームなど、さまざまなトラブルに遭遇します。それをただ厄介なことだと片づけず、丁寧に考え、その当事者の側に立って考え行動すると、思わぬ評価を得たり、感謝されたりすることがあります。

 家賃滞納の解決が何年も疎遠だった親子の再会になったり、修理業者が手配できず自分でなんとかしようとしたことが、お客様の大きな信頼を得ることにつながったりと。もちろん、うまくばかりはいきませんが、仕事で感謝されるためにはどうすればいいのかと考えることが大切だと思います。

 賃貸仲介業は、契約内容の合意にとどまります。賃貸管理業はその後発生するオーナー業を代行する仕事です。そこでは、賃借人と賃貸人の立ち位置が違うため、意見の対立が生まれがちです。しかし、パイプ役となる賃貸管理業者のあり方次第で、理想に近づくことができると信じています。

 理想とは「貸してくれてありがとう」「借りてくれてありがとう」という世界観です。そこに向かうために、良き相談者となる目と耳と手足と頭脳を磨き、相手より真剣になる心と行いを表していく。それが大切だと感じています。

 至りませんが、日々感じたことをYouTubeで配信しています。業界のために少しでもお役に立てないかと、管見ながらメッセージをお送りしていますので、ぜひご覧いただき、ご意見をいただくとともに、チャンネル登録をお願いできればと思います。「ひらたみのる」で検索してみください。
ひらた・みのる 小浜市出身。絵本作家を目指して美術を専攻。22歳で実家を手伝う決意をし、金沢の不動産会社で3年間修行を積み、地元に戻る。2018 年から代表取締役社長。地域活動に積極的に参画するとともに、YouTube等でも情報発信している。

株式会社 平田不動産
福井県小浜市四谷町9-18
代表者/代表取締役社長 平田 稔
営業種目/〈不動産事業〉売買・賃貸・媒介・管理・コンサルティング業 〈保険代理業〉損害保険・生命保険〈ライフサポート事業〉害虫駆除・抗菌施工
TEL/0770-53-3588
HP/https://www.hiratafudousan.com/
YouTube/小さなまちの不動産会社 社長のチャンネル

2022.01
都心の再開発は地元の力で
不動産屋さんは地域の相談所

 地方・郊外の賃貸用アパート等の空室が増える中、都心部の物件への乗り換えを検討する投資家も増えています。今後ますます空室リスクが高まる郊外のアパートを売却し、その資金で購入可能な分譲マンションを何室か所有するという判断はあながち間違いではありません。しかし、投資に際してはやはり自身での情報収集も大切。東京都心で地元密着の不動産業を営む葛西氏に、都心部の投資物件等について伺いました。

葛西 充
株式会社グッド 代表取締役

株式会社グッド 代表取締役 葛西充氏

都心部の良い物件はなかなか出ない

―― 都心の物件を郊外の資産家が買いにくるという例は 増えていますか。

葛西 特に増えているとは感じませんが、業者ではない一 般の人が、このあたりで買える物件はないかと尋ねてくることはあります。外国人の方もいますね。私の会社の周囲、神田界隈では、良い空き物件はほとんどないと言っていいかもしれません。良い物件はすぐに買われますし、賃貸でも同じです。残っているのは老朽化したビルや、事務所に使わせることを前提とした雑居ビルのようになった古いマンションばかりです。

 私の会社が入っているマンションは、私が通っていた小学校が廃校になり跡地の再開発で建てられました。最初、区営住宅建設の計画が発表されましたが、住民の中には入居者に所得制限がある区営住宅の建設に反対する人も少なくありませんでした。そのようなこともあり、区営住宅のほかに、民間資本で高層の住宅棟を建てることになったわけです。

 私も関わりましたが、住民だけでなく、区役所の職員、区長、そして議会の各議員と、それぞれ立場や思惑があり、まとまるまで大変でした。25階建ての建物が建つことになり、旧住民は区分所有者として住み、さらに分譲を募集したところすぐ完売。そのほか、3階から7階までは賃貸になっています。2018年に竣工したばかりですから、まだまだ人気ですが、賃貸フロアの空室情報は開発業者のサイトにしか出さないので、他の不動産業者が仲介の斡旋をすることはできません。そういう物件は、ほかにも多いと思いますよ。

 物件探しはネットでできる時代になりましたが、サイトにはない情報もあります。投資で、あるいは自分で住むために物件を足で一生懸命探すという人もいますね。別の業者で紹介してもらった物件について、確認のために当社に話を持ってくる方もいます。ルール上仲介はできませんが、知っていることは教えて差し上げます。そうこうしている中で、運よく良い物件に巡り合う方もいます。

コーポラティブハウス方式でマンション建設

―― 良い物件とは、例えばどんな物件ですか。

葛西 以前このあたり住んでいて、やはり地元に帰りたい と考えていろいろ探されている方がいました。ちょうど、この地区で私たちがコーポラティブハウス方式でのマンション建設を計画していましたので、そこに参加してもらいました。

 コーポラティブハウス方式というのは、そこに住みたい人が集まって建設組合を設立し、その組合が事業主体となってマンションを建てるというものです。設計や建築の業者設定も自分たちで行いますから、住む人のニーズに合った建物を造ることができ、しかも費用の内訳も明確になります。分譲の購入では得られない、満足度の高い住まいを所有することができるわけです。

 神田に住み続けたいと考えても、周囲の状況でなかなか難しいという人が少なくない状況の中で、まちづくりを何とかしていきたいと考え、私も地元の仲間とともに20年前からNPOを立ち上げ、こうした活動をしています。そのNPOは既存の集合住宅の建て替えや再生なども支援していますし、町会など地域のさまざまな活動にも関与しています。

 コーポラティブハウスは単にマンションを建てたい人が集まるだけでなく、建設過程から共に取り組むことで住む人同士の絆ができ、建て替えによって生まれ変わる地域の新しい核となります。すでに神田エリアで数棟を建てることができましたが、こうした取り組みによる再開発が、都心部にどんどん広がっていけばと思っています。

「まちの不動産屋さん」は“相談所”

―― 物件紹介サイトで住まい選びをする時代になって、まちの不動産屋さんはどうなっていくとお考えですか。

葛西 以前私の家は、廃校になった小学校に隣接した中華 食堂でした。母が店を切り盛りし、父は店には関わらず会社をつくり、2階の1部屋を事務所にして不動産取引の真似ごとのようなことをしていました。

 私は卒業後、店の手伝いをしながら、近くにあった大学の研究室で司法試験の勉強をしていました。昼時しか営業しないその店は当時とてもはやっていたので、勉強仲間がたくさん短時間のアルバイトにきてくれました。その仲間が順番に合格したので、「日本で一番司法試験合格者を輩出するラーメン屋」だと確信していました(笑)。

 私もその一人になるはずでしたが夢を果たせず、断念して父と一緒に仕事をすることにしました。その際、食堂をたたんで不動産業者として1階に店舗を構えたわけです。

 私が不動産の仕事を始めた頃はバブルがはじけた後で、まちの様子も随分変わり、古くからの住民も少なくなっていました。地元の人間としてまちづくりを何とかしたいと考え、仕事をしながら地域の活動にも関わるようになっていきました。

 現在、当社は仲介や管理の仕事が主です。管理は何かあったら自転車で行ける範囲と決めています。「物件探しはネットで」という時代ですが、それでも店にはいろいろな相談が持ち込まれます。ほとんどが地元の方で、不動産だけにとどまらず相続のことや近隣問題、家庭のことなど、事務所に来てお茶を飲んで話していきます。

 新しく来た人は地域のことがわからない。「神田村」といって、他所から見ると地元の人は排他的に感じられることもあるようですね。ですから、新旧住民の間に入り、新しい人にいろいろ地元のことを教えたりもしています。そういう場を地域の方は求めているのだと思いますし、これからの「まちの不動産屋」の仕事は、そういうものなのだと思います。

 当社の店頭には、この地域の江戸時代から続く町火消「よ組」の纏を飾らせてもらっています。纏は町火消のシンボルで、火事があった際、それを持ってすぐ現場に駆け付けました。同じように私も何かあれば現場やお客様のところへすぐ駆け付けるようにしています。少しでも地域のお役に立ち、まち全体が良くなれば、グッドになれば、が当社の思いです。
かさい・みつる 株式会社グッド代表取締役。中央大学法学部在学中に宅地建物取引主任者(当時)を取得。卒業後、司法書士資格を取得。司法試験合格をめざしたが、30 代で父親が手がけていた不動産業を手伝い事業化する。NPO 都市住宅とまちづくり研究会理事。東松下町々会副会長など地元の世話役を務める。

株式会社グッド
東京都千代田区神田東松下町25
TEL /03‐3256‐0918
HP/https://www.good-kanda.tokyo/