2011年バックナンバー

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.12.24

賃貸マンションに、バルコニーを利用した太陽熱温水システム

 賃貸マンションでも、バルコニーを利用した太陽熱温水システムにより、環境にやさしい省エネ・省コストを実現!…… 東邦モーターズ株式会社(東京)と、共同事業主である財団法人不燃建築公社(東京)はこう発表し、この太陽熱温水システムを納入した東京ガス株式会社(東京)とともに12月1日、東京都品川区の新築賃貸マンション「アーレア戸越公園」に日本で初めて採用したことを公表しました。

■ガス業界全体が普及拡大を目指す「ソラモ」
 このマンションは鉄筋コンクリート製の地上14階・地下1階建てで、総戸数は111戸(高層棟91戸、中層棟20戸)。新しい太陽熱温水システムは、うち中層棟の18戸に導入されました。マンションは11月30日に完成し、12月1日から賃貸を開始しています。
 採用した太陽熱温水システムは、東京ガスを中心としたガス業界全体が普及拡大を目指している「SOLAMO」(ソラモ)です。

■給湯量の16%を太陽熱でまかなう
 マンションでの太陽光・太陽熱利用は、1戸あたりの屋根面積が狭くなるので、発電や給湯量が小さくなり、なかなか導入メリットを追求しづらい面がありました。ソラモは、太陽熱温水システムの集熱部を各戸バルコニーの手すりに付けることで高効率を実現。標準的な3人家族の場合、給湯量の約16%を太陽熱でまかなうことができるということです。
 また、排熱も回収して利用する高効率ガス給湯器「エコジョーズ」を併用することで、従来の給湯器と比べ、年間のガス消費量とCO2排出量を約29%削減できるとともに、ガス代(東京ガス料金)を年間20,000円節約できるということです。削減できるCO2排出量は年間約270kg-CO2ほどで、これは松の木180本分のCO2固定量に相当します。

大学生の部屋探しは、親依存の「4なし型」(カネ・時間・知識・決定権)

 住宅関連ポータル運営会社の(株)ホームアドバイザー(東京)は11月30日、東京の大学に通う学生に聞いた「イマドキの大学生の“ひとり暮らし”事情」(部屋探し編)を公表しました。それによれば、親の家賃負担とアドバイスのもとで、大学に近い街の物件を選ぶ学生がほとんどであることが改めて浮き彫りになっています。でも、6割は今の部屋に満足していないほか、大震災のあとは「家族が近くにいない不安」を感じている学生が目立っています。
 受験シーズン入りを告げるセンター試験(1月中旬)を目前に、オウチーノ総研(東京)が運営する賃貸サイトや購入サイトを通じ、東京の大学に通う大学生984人に聞いたもので、今回が調査結果の公表、第1弾となります。

■調査結果の概要
○引っ越し費用・家賃
・引っ越し費用は、「全額親負担」が96.3%。「全額自分負担」は3.7%。
・家賃は「全額親負担」が91.7%で、「自分も少し負担」は8.3%。
・これらから、毎月の生活費の仕送りも含めて、金銭面では親に大きく依存していることがわかります。
・なお、家賃の最多価格帯は6万円台、家賃平均は6.3%でした。
○部屋探しの時期・部屋の満足度
・部屋探しは、「1カ月前」が51.9%。それより前は「2カ月前」18.5%、「3カ月前」7.4%など。極端なケースでは「半月前」が7.4%、「1週間前」が3.7%ありました。
・現在の部屋への満足度は、予備知識・事前情報が少ない中での、短時間での部屋探しの結果、59.2%が「もっといろんな物件を見ておけばよかった」「もっと早くから探しておけばよかった」「大学から近い物件にすればよかった」などと不満を感じています。
○部屋の決め方
・「部屋を決めるとき、親に相談したか」を聞いてみると、「ほとんど親が決めた」55.6%、「親と相談して決めた」37.0%で、92.6%は親の意見を採り入れています。
・引っ越し費用、家賃を親に負担してもらっているうえ、知識と情報、時間がなく、しかも部屋の契約者は親とあって、親依存はやむを得ないところ。
○いま住んでいる街を選んだ理由
・いま住んでいる街を選んだ理由のトップは、「大学に近い」51.9%。これに「家賃が安い」33.3%、「落ち着いている」25.9%が続いています。
・でも、実際に大学の最寄駅周辺に住んでいる大学生は30.8%にとどまっています。これに、「乗り換えなしで大学まで行ける」を加えると、73.1%に増えます。
○大震災の影響
・もともと「ひとり暮らし」には不安がつきまといますが、東日本大震災は学生たちにも強い衝撃を与えたようです。震災後に不安に感じたことを聞くと、「家族が近くにいない」40.7%、「交通機関の乱れ」37.0%、「停電」25.9%、「建物の耐震」22.2%などと続きます。
・東日本大震災は昼間(午後2時台)に起き、東京での停電は限定的でした。また、電話もほどなく通じはじめました。これが、夜中の発生であったりしたら、より深刻な内容になったのではないかと思われます。

詳細はこちら⇒
http://article.home-plaza.jp/article/trend/071/

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.12.14

首都圏不動産公正取引協、DKとLDKの表示基準を通知

 公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会は、平成23年11月11日に開催された不動産公正取引協議会連合会の第9回通常総会で、「ダイニング・キッチン」(DK)と「リビング・ダイニング・キッチン」(LDK)の適正な広告表示基準(指導基準)が承認されたことを受け、会員22団体に同28日付けで徹底するよう通知しました。
 これにともない、DKとLDKを広告で表示するときは、「表示規約」の第18条(特定用語の使用基準)第1項の第3号(DK)と、同4号(LDK)に定める意義に基づき、次の指導基準を順守する必要があります。
1 DK・LDKの適正な広告表示
○その用途に従って使用するために必要な広さ・形状・機能を有する居室(寝室)数に応じ、単に「2DK」、「3LDK」などと表示すればよい。
○さらに、形状や機能がどのようなものであるかがわかるよう、間取り図などを積極的に表示し、これに各部屋の畳数を付記することが望ましい。
2 DK・LDKの最低必要な広さの目安
○居室(寝室)数に応じて、最低必要な広さ(畳数)の下限の目安は、次の表の通りとする。
【最低必要な広さ(畳数)の目安(下限)】
・居室(寝室)数1部屋 …DK 4.5畳、LDK 8畳
・居室(寝室)数2部屋以上 …DK 6畳以上、LDK 10畳以上
(注1)1畳当たりの広さは、1.62㎡(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上をいう。
(注2)この基準は、建物が取り引きされる際に、DKまたはLDKと表示するときの表示法を示すものであり、不動産事業者が建築する建物のDKまたはLDKの広さ・形状・機能に関する基準を定めたものではない。
詳細はこちら⇒「DK及びLDKの広さ(畳数)の目安となる指導基準」http://www.sfkoutori.or.jp/kiyak/231129%20DK_LDK.html

日管協2011年度上期短観、市場は改善傾向も賃料はマイナス傾向

 (財)日本賃貸住宅管理協会(日管協総合研究所)が2011年11月24日に公表した、2011年度上期(4~9月)の賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」によれば、反響数、来客数、賃貸成約件数などはすべてプラスとなり、市場は前年より改善に向かっています。ただし、成約賃料はマイナス傾向にあります。
 全体として、東日本大震災を色濃く反映しており、市場回復については「以前の水準に緩やかに回復する」(33.7%)より、「今と変わらない状態が続く」(52.6%)と見る割合が多い結果になっています。首都圏を中心に「防災マニュアル」などを作成する動きも広がっています。
 また、国交省などが呼びかけている「めやす賃料」については、表示に向けた動きが本格化しており、「表示している」と「表示する予定である」を合わせると6割を超えています。しかし、一方で「表示しない」も3割あります。ほか、相次ぐ最高裁判決を受け、関西圏を中心に「一時金」の取り扱いを見直す傾向が見られます。
■主な業況判断指数「DI値」(*)の動き
*DI値は、動きが前年より「増加している」(良い)と感じている企業の割合から、「減少している」(悪い)と感じている企業の割合を引いた値を指す。
*次の計算式で求める。〔(「増えた」の回答割合)×2+(「やや増えた」の回答割合)〕-〔(「やや減った」の回答割合)+(「減った」の回答割合)×2〕
○反響元 DI値は全体として「増加」傾向。なかでも、インターネット・メールが増えており、特に「首都圏・関西圏を除くエリア」(以下「その他圏」)では、「増加」が64.4%となっている。
○反響数 「増加」が49.0%あるが、うち「メールから」は55.2%と高い。特に、「その他圏」では60.7%に達している。
○来客数 DI値は、一般単身、一般ファミリー、高齢者が「増加」、学生、法人が「減少」傾向。その他圏では一般ファミリー、一般単身での「増加」が目立つ。
○成約件数 賃貸成約は、全体として「増加」しているものの、一方で首都圏においては「減少」が3割以上ある。売買成約の「増加」は、その他圏が40.2%、関西圏が33.3%、首都圏22.2%の順。 ○成約賃料 DI値は、全体として「減少」傾向。特に、1R~1DKで「減少」回答が多い。
○一時金・家賃保証会社利用 礼金、敷金とも「減少」を続けている。これに対し、家賃保証会社利用率は上昇しており、関西圏が100%であるなど全体では9割になっている。
○入居率・滞納率 入居率は、委託管理では90.6%、サブリースでは94.8%。ともに、全国的には横ばい。滞納率は月初ではやや減少、月末では横ばい(1カ月=3.0%、2カ月=1.6%)
○震災の影響 市場回復見込みは、「緩やかに回復」33.7%、「今と変わらない」52.6%、「緩やかに後退」11.7%など。首都圏では震災マニュアルを「作成済み」19.0%、「作成予定」27.0%と、震災対応が進みつつある。
○めやす賃料の表示 2010年度下期と比較すると、「表示」は29.2%→33.5%、「表示予定」は37.0%→27.6%と増加。一方、「表示しない」は24.5%→29.6%となっている。
○最高裁判決の一時金扱いへの影響 全国的には「今はわからない」59.5%、「今後見直す」19.5%などとなっているが、関西圏は「見直す」と「今後見直す」を合わせると40.7%もあり、動きが本格化しつつある。
詳細はこちら⇒
「日管協短観」http://www.jpm.jp/marketdata/pdf/tankan06.pdf

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.11.24

「家賃への消費税課税復活断固反対!」署名が100万人を突破

 賃貸住宅関連4団体が呼びかけていた「家賃への消費税課税復活断固反対!」への署名が11月18日に目標の100万人を突破しました。
これを受け、4団体では同日付で“署名100万人達成”を公表。今後、この100万人分の署名を12月7日に開催する賃貸住宅対策議員連盟の総会で所属議員135名に提出するとともに、衆参院議長に「嘆願書」を提出することにしています。
 署名を募っていたのは、(社)全国賃貸住宅経営協会、全国賃貸住宅経営者政治連盟、(財)日本賃貸住宅管理協会、全国賃貸管理ビジネス協会の4団体。
現在は非課税扱いとなっている消費税を、一連の税制改革の中で再び課税扱いにしたいとする動きがあることから、課税化は賃貸住宅のオーナー、入居者双方に大きな負担を強いることになると判断。昨年10月から署名活動を進めてきていました。
 4団体では「11月18日の午前10時をもって、目標の100万人を突破できました」と発表。「わずか1年という短期間で目標を達成できたのは、署名活動の趣旨にご賛同いただき、ご尽力をたまわった多くの皆様方のご支援ご協力のたまものであり、深謝します」と話しています。

「復興支援・住宅エコポイント」がスタート

 利用者が増えて予算額に達したため平成23年7月にいったん終了した「住宅エコポイント制度」が、同10月21日の閣議で名称を「復興支援・住宅エコポイント」と変えたうえで、新たに被災地の復興支援も目的に加えて再開されることになりました。
工事対象期間(着手)は、エコ住宅の新築は10月21日から、エコリフォームは第3次補正予算が成立した11月21日から、いずれも平成24年10月31日までの約1年間となっています。

■被災地支援を重視、耐震改修は上限45万ポイント
 復興支援・住宅エコポイントは、「環境」と「被災地支援」に重点化したことが大きな特徴。このため、被災地支援にポイントの半分以上を充てる仕組みになっており、ポイント交換対象商品にはこれまでの「省エネ・環境配慮商品」「被災地への義援金・寄付」「環境寄付」「追加工事への即時交換」のほか、「被災地の産品・製品」と「被災地の商品券等」が追加されました。同時に、耐震改修工事を上限45万ポイントに高めて、耐震化を促進する仕組みになっています。
これにともない、「全国型の商品券・プリペイドカード」、「被災地以外の地域産品・商品券」への交換はできなくなるので注意しましょう。
また、ここでいう「被災地」とは、東日本大震災特別財政援助・助成法による「特定被災区域」を指し、岩手県・宮城県・福島県の全域、青森県・茨城県・栃木県・埼玉県・千葉県・新潟県・長野県の一部(10県221市町村)となっているので、こちらも注意しましょう。

■工事対象期間(着工または工事着手)
〇新築 23年10月21日~24年10月31日
〇リフォーム 23年11月21日~24年10月31日
■ポイント発行対象とポイント数
〇エコ住宅の新築:被災地は30万ポイント/被災地以外は15万ポイント ただし、太陽熱利用システム設置の場合は2万ポイントを加算
<工事内容>①省エネ法のトップランナー基準相当の住宅/②省エネ基準(平成11年基準)を満たす木造住宅
〇エコリフォーム:工事内容に応じ2千~10万ポイント(上限30万ポイント。ただし、耐震改修工事はポイントを別途加算<上限45万ポイント>)
<工事内容>①窓の改修工事・外壁・天井・屋根または床の改修工事/②併せて、次の工事を行う場合は、ポイントを加算
・バリアフリー工事:上限5万ポイント
・省エネ住宅設備の設置:2万ポイント
・耐震改修工事:15万ポイント(別途加算により上限45万ポイント)
・リフォーム瑕疵保険加入:1万ポイント
■ポイント交換
○発行ポイントの半分以上を復興支援商品と交換できます。
○発行ポイントの半分までは即時交換やエコ商品と交換できます。
■ポイント申請期限
○新築
・戸建住宅:~25年4月30日
・共同住宅等:階数10以下~25年10月31日/階数11以上~26年10月31日
○エコリフォーム
・戸建住宅:~25年1月31日
・共同住宅等で耐震改修を行うもの:階数10以下~25年10月31日/階数11以上~26年10月31日

詳細はこちら⇒
復興支援住宅エコポイントhttp://fukko-jutaku.eco-points.jp/

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.11.14

冬の省エネ・節電 「住宅20℃・事業所19℃」の徹底を要請

国は11月1日、「冬季の省エネルギー対策」(11~3月)を公表し、冬は暖房などでエネルギー消費が大きく増加するので、一般住宅では設定温度を20度Cに設定するなど、過度とならないよう呼びかけています。

今冬は、東電福島第一原発事故とそれにともなう各地原発の再稼働の遅れから、関西、九州地区を中心に電力需給がひっ迫する見通しにあります。このため、今冬の省エネ対策では、これまでの省エネ策に加えて、節電対策の徹底を特に要請。暖房中の室温は、住宅では原則20度C、ビルでは19度Cとするなど、適切な空調の使用・管理を行うよう求めています。
また、家電機器やOA機器などの省エネと消費電力の削減、消灯の徹底、エネルギー消費の少ない照明器具の導入なども広く呼びかけています。

■業務用・家庭関係向けの省エネ対策(ポイント抜粋)
【1】家電機器等エネルギー消費機器
①機器の消費エネルギー・電力の削減
 <例>◎冷蔵庫:設定を「弱」に変える、扉を開ける時間を減らす、食品を詰め込み過ぎない ◎テレビ:省エネモードに設定、画面の輝度を下げる、必要なとき以外は主電源を切る ◎温水洗浄便座:便座保温・温水の温度設定を下げる、不使用時はフタを閉める ◎電気カーペット:人がいる部分だけを温める、設定温度を「中」か「弱」にする ◎こたつ:上掛けを活用し暖気を逃さない
②家庭等での省エネの創意工夫と実践
 ◎「省エネチェック表」などを参考とした創意工夫による省エネの実践
③消費効率の高い機器の選択・購入
 ◎国際エネルギースターロゴの表示や政府、事業者が提供する情報を参考とし、省エネ性能の高い機器を選ぶ ◎特にエアコン・冷蔵庫・テレビ・照明は統一省エネラベル製品を選ぶ
④情報提供等とエネルギー消費効率の向上
 製造・輸入事業者・小売業者はわかりやすくきめ細かな省エネ情報の提供・表示に努める 【2】住宅、ビル等
①暖房中の室温管理の徹底
 ◎住宅:原則20度Cを徹底 ◎ビル:原則19度Cに設定 ◎「ウォーム・ビズ」の励行 ◎エアコン:フィルターを掃除、室外機周辺の障害物を取り除く ◎執務エリア照明の間引き・昼休み等の完全消灯、エレベーターやエスカレーターの運転台数の削減、自動販売機の適切な温度設定
②省エネに配慮した設計・施工
 ◎住宅・ビル等の新築・増改築・改修等には断熱材を利用 ◎設計・施工上の工夫による熱負荷の低減 ◎エコ住宅の新築や断熱改修によるエコリフォーム化
③省エネに配慮した設備導入
 ◎太陽光発電の設置 ◎照明:電球形蛍光ランプやLED電球、Hf型蛍光灯器具、LED照明器具、セラミックメタルハライドランプへの切り替え ◎夜間照明:グリーン電力証書の活用 ◎IT活用需要マネジメントシステムの導入 ◎事業所等燃料:バイオマス燃料、都市ガス等温室効果ガスの排出の少ない燃料を選択・使用
④省エネに資する事業活動の合理化と、従業員等の意識向上

詳細はこちら⇒
○今冬の省エネ対策 /newsimg/fuyu-syoene.pdf

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.10.31

東京都「暴力団排除条例」、10月1日から施行へ

 東京都はこの10月1日から、「暴力団排除条例」(平成23年3月18日制定)を施行し、暴力団排除活動を推進するとともに、この排除活動に支障を及ぼすおそれのある行為への規制を行っています。
 暴力団が都民の生活や事業活動に介入し、これを背景とした資金獲得活動によって、都民などの生活に多大な脅威を与えている現状を直視。「暴力団を恐れない」「暴力団に金を出さない」「暴力団を利用しない」、それに「暴力団と交際しない」の4基本理念を掲げて取り組むもので、賃貸住宅経営においても契約時における措置、不動産譲渡等における措置(努力義務)が関わってきます。

■契約時の「人物確認」と「特約条項」がポイント
 条例は、①暴力団排除活動の推進(4施策)、②都民等の役割(努力義務、4措置)、③禁止措置(5措置)、の3つからなっています。
 この中で、賃貸住宅経営では次のような措置が関わってくるので、徹底しましょう。特に、賃貸借契約を交わすときに、代理・媒介者を含む相手方が暴力団関係者でないことを確認することと、暴力団関係者と判明したときは催告なく契約を解除できる「特約」条項を設けておくことが重要となります。
 特約条項は(社)不動産協会が9月8日に公表した例を参照するといいでしょう。

■賃貸住宅経営に関わる措置(ポイント)
●都民等の役割(努力義務)
○事業者の契約時における措置
①契約時に「相手方(代理・媒介者を含む)が暴力団関係者でないことを確認」する。
②契約時に「相手方が暴力団関係者と判明した場合は、催告なく契約を解除できる」旨の特約を定める。
○不動産譲渡等における措置
①不動産を譲渡等する場合、「暴力団事務所として使用しない」旨と、「事務所として使用していることが判明した場合は催告なく契約を解除等することができる」旨の特約を定める(不動産業者は助言する)。
●禁止措置
○学校等の周囲200m内での暴力団事務所の開設と運営禁止(違反には「罰則」あり)
○他人の名義使用の禁止(違反には「勧告・公表」あり。自主申告したときは「勧告等を適用除外」する)
○事業者の暴力団関係者に対する利益供与の禁止
①暴力団の威力を利用する目的での利益供与の禁止
②暴力団の活動を助長する目的での利益提供の禁止

詳細はこちら⇒
警視庁「暴力団排除条例」
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sotai/haijo_seitei.htm
(社)不動産協会「暴力団等反社会的勢力排除対策」
http://www.fdk.or.jp/f_suggestion/index.html

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.10.14

死後の「明日」を決定づける遺言状と生命保険

 「遺言書」と「生命保険」は、いずれも自分の死後の家族や事業の「明日」を決定づけるものです。本来は、そうだからこそ慎重に選択して決めるものですが、自分の死後についてあれこれと思い募るのも億劫なことです。しかし、遺言状と生命保険の間には“危ない関係”が存在します。それを十分理解したうえで、家族、事業双方に“より良い明日を贈る”ようにしたいものです。

■遺言状と生命保険に潜む“危ない関係”とは
 “危ない関係”が潜むのは、遺言状の場合、常に新しい行為が生き、それに関する過去の遺言状の該当部分は取り消されることにあります。だから、遺言状に記されていても、その後それに反する行為があれば、その部分は取り消されます。また、新たに有効な遺言状を作成すれば、それに基づいて財産相続などが行われることになります。
 一方、生命保険の場合は、自分が自分にかける生命保険は、保険金受取人をいつでも変更できることにあります。
 その結果、遺言状と生命保険を絡めた犯罪や詐欺まがいの事例がちょくちょく発生し、裁判沙汰になるケースも少なくありません。
 生命保険の受取人の変更は、遺言書でもできます。手続きは、遺言者の死後に、保険契約者の相続人、または民法でその代理人とされる遺言執行者が保険会社に通知することで可能となります。これを悪用した事例を紹介してみましょう。

■生命保険と遺言を駆使して家族に遺したA夫
 A夫は、生命保険金の受取人を妻のB子にしていました。しかし、A夫は債権者Cに多額の借金をしていたので、一計を案じます。Cに「生命保険で借金を返す」と約束し、その内容を盛り込んだ遺言状を作成し、保険証書もCに渡したのです。保険証書も、①保険金受取人をB子からCに変更する(契約者はA夫)。②遺言執行者をCとする。③CはA夫の死亡後に保険会社に受取人変更を通知する、との内容に変更しました。
 ほどなく、A夫は死亡。そこで、Cは保険会社に受取人変更を通知するとともに、保険金支払いを請求します。ところが、保険会社は拒否したのです。なぜでしょうか。
 A夫はCに「生命保険で借金を返す」と約束する一方で、その後に保険証書の再発行を受け、さらに保険契約者、保険金受取人をともに子供のD男に変更していたのです。保険証書の再発行は、「紛失したから」という理由でした。

■詐欺まがいのA夫計画はどう崩せるか?
 つまり、このA夫は遺言状に「保険金受取人をB子からCに変更する」と書きはしたものの、その後に遺言に反する行為をしたので、その部分は取り消されたのです。A夫の多額の借金を家族が知っており、残された妻や子が相続放棄をしても、生命保険金は受け取れます。契約者の変更手続きをしていなくても可能です。
 この事例では、遺言状と生命保険の仕組みをよく知り、それをテクニックに生かしたA夫の勝利に終わりました。Cは裁判でも、覆すことはできませんでした。確かに家族思いではあるのでしょうが、すんなり納得できないのはCだけではないでしょう。
 では、CはA夫が「保険金受取人をB子からCに変更する」と約束したとき、どう動けばこの失敗を免れたのでしょうか。保険証書を変更するとき、保険金受取人をCに名義変更するだけでなく、保険契約者もCに名義変更すればよかったのです。一定期間を過ぎれば、例えばA夫が自殺しても保険金はCが受け取れます。

■家族、事業双方にとって“より良い明日を贈りたい”もの
 しかし、こうした第三者への名義変更に、保険会社は非常に慎重です。背後に犯罪が絡んでいる危険性があるからです。だから、この事例でも保険契約者、保険金受取人ともにCに変更することは、A夫、Cが同席していても、あるいは難しいかったかもしれません。また、仮にその変更ができても、再び保険証書の紛失を理由にA夫が名義変更をする、遺言状を書き直すといった動きに出れば…どうなるのでしょうか。
 遺言状による保険金受取人の変更は、平成22年4月の保険法改正で明確化されました。自分を保険金受取人にした保険証書をもらっていても、安心はできないということです。不倫相手にそのようなテクニックを使う向きがあるようですが、不倫関係の維持が目的であれば遺言は公序良俗に抵触するので無効となり、生活支援が目的であれば有効との判断もあります。ともあれ、私たちは家族、事業双方にとって“より良い明日を贈る”ようにしたいものです。

詳細はこちら⇒
法務省「保険法の改正概要」 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji155.html

災害などで被災したとき、「雑損控除」を受けるには

 東日本大震災と東電原発事故(2011年3月)、さらに鈍足台風12号(9月)は、私たちの暮らしと社会・経済に有形、無形の大きな損害をもたらしました。そこで、知ってはいるが、申告したことがないという方のために、「雑損控除」の仕組みをおさらいしてみました。
“実損”が生じていれば、きちんと申告するのが正しい納税者のあり方です。東日本大震災や東電原発事故で被災された方は、専用サイトで確認するようお勧めします。

■「雑損控除」とはどのような仕組み?
 「雑損控除」(ざっそん・こうじょ)とは、災害や盗難、横領などで資産に損害を受けたとき、納税の際、一定の金額の所得控除を受けることができる仕組みを言います。
 このとき、「資産」とは、その所有者が「納税者」か、「生計を一にする配偶者やその他親族」(その年の総所得金額等が38万円以下の者)であることが必要です。
 また、「資産」は、具体的には「生活に通常必要な住宅、家具、衣類など」を指します。事業用の資産や、別荘、書画骨とう、貴金属などで1個・1組が30万円を超えるものは当てはまりません。二次的なものだからです。
 損害が生じた原因は、次のいずれかの災害・被害の場合です。

①震災、風水害、冷害、雪害、落雷など「自然現象の異変による災害」
②火災、火薬類の爆発など「人為による異常な災害」
③害虫などの「生物による異常な災害」
④盗難
⑤横領


■「雑損控除」の対象・対象外の区分けは?
 振り込め詐欺や恐喝は、自分自身が振り込んだり脅されたりして介在しているので、雑損控除は受けられません。キャッシュカードは、盗まれて預金に被害が出たときには対象になりますが、保険などで補てんされたものは対象外となります。
雪下ろしは、生命への明白な危険を予防する緊急措置と見なされ、そのために支払った人件費や除雪機械借り上げ費用などが対象になります。
 一方、シロアリ被害は実損分は対象となりますが、予防分は対象外。だから、シロアリ被害に早い段階で気づいたときは、領収書を実損分の「シロアリ駆除建物修理費」と、予防分の「シロアリ予防費」に分けてもらうことが大切です。同様に、台風被害も実損は対象となりますが、台風接近にともなう窓枠固定などの予防費用は対象外となります。

■「雑損控除」で控除できる金額は?
 雑損控除は、「損害額が所得額の10分の1を超えた」(所得の1割以上かかった)か、「災害による支出が5万円を超えた」(5万円以上の費用がかかった)かの、いずれかの場合に、多い方の金額を受けられます。これを計算式で示すと、次のようになります。
①(差引損失額)-((総所得金額等)×10%)
②(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

 だから、例えば総所得500万円の納税者が、70万円の災害費用を支出したときは、①では20万円、②では65万円となるので、②を選ぶことになります。ここに言う「差し引き損失額」とは、「損害金額+損害関連支出金額」から「保険金などによる補てん金額」を差し引いた金額を指します。
損害金額は災害直前の「時価」、災害関連支出金額は例えば倒れた建物を取り壊したり除去したりする際に支出した金額を指しています。
 雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっていますが、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれないときには、翌年以後3年までは繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。

■「雑損控除」の手続きは?
 個人事業者の場合は、確定申告書の雑損控除部分に記載するとともに、災害関連支出の領収証を添付して申告します(失念していれば、申告1年以内に更正請求が可能)。給与所得者は、このほかに給与所得の源泉徴収票(原本)を申告書に添付します。過去5年間請求が可能で、税金の還付措置が受けられます。
 個人事業者、給与所得者のいずれの場合とも、被害の明細を確認できる施工報告書などがあればスムーズに受理されるようです。
 その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の方が災害にあった場合は、この雑損控除とは別に、「災害減免法による所得税の軽減免除」もあるので、納税者の選択により有利な方法が選べます。災害・被害に遭った方は、しっかりチェックしてみましょう。

詳細はこちら⇒
○国税庁「雑損控除」
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1110.htm
○国税庁「東日本大震災関係」
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/tokurei/zeikin.htm
○東京電力「原発災害の賠償」
http://www.tepco.co.jp/index-j.html
○文部科学省「原発災害の賠償」
http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/baisho/1304756.htm

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.9.27

平成22年度の再建築状況、貸家は2.2倍に上昇

 国土交通省は9月9日に、住宅着工統計による平成22年度分の「再建築状況」を公表しました。除去戸数(全部・一部を除去した既存住宅)に対する再建築戸数を見ると、貸家は17,464戸から38,048戸へと2.2倍に増加。これに対し、持ち家は0.9倍、給与住宅は1.3倍であり、貸家への移行割合が増えています。

■貸家移行が進展、いぜん首都圏が高進
 平成22年度の再建築率は、除去戸数71,660戸に対し再建築戸数が91,353戸で、1.27倍になりました。全新設住宅着工数819,020戸に占める再建築率は11.2%で、前年度の11.6%より低下しましたが、貸家は13.0%と前年度の12.1%を上回りました。
 都市圏別の貸家の再建率は、首都圏が20.5%、中部圏が11.9%、近畿圏が9.6%、その他7.4%となっており、利用関係全体でみるとやや鈍化したものの、首都圏での貸家移行が依然高進しています。
●平成22年度の利用関係別の増減状況は次の通り。
○総除去戸数71,660戸
 ⇒再建築後 ・持ち家 47,592戸(52.1%)
       ・貸家 38,048戸(41.6%)
       ・給与住宅 1,346戸(1.5%)
       ・分譲住宅 4,367戸(4.8%)
合計 91,353戸(100.0%)*1.27倍

○うち、貸家17,464戸 
 ⇒再建築後 ・持ち家 537戸(2.5%)
       ・貸家 19,476戸(90.2%)
       ・給与住宅 145戸(0.7%)
       ・分譲住宅 1,435戸(6.6%)
合計 21,593戸(100.0%)*1.24倍

宅建法、勧誘禁止行為に「氏名・目的等不告知」など3項追加

 宅地建物取引業法(宅建業法)の施行規則の一部が8月31日に改正され、「悪質な勧誘行為の禁止」に、①勧誘に先立って氏名・目的等を告げないこと、②契約を締結しない意思表示をした者に勧誘を継続すること、③迷惑を覚えさせる時間の電話や訪問をすること、が追加されました。また、これまでの「電話による長時間の勧誘」(私生活または業務の平穏を害する方法で困惑させること)は、「深夜または長時間の勧誘」に改正されました。

■6行為を禁止し、業者規制を一段と強化
 宅建業法はもともと厳しい業者規制が設けられていますが、平成20年6月に特定商取引法が抜本的に改正され強化されたこと(施行は平成21年12月)と、宅地建物取引に係る悪質な勧誘行為の実態調査結果を受け、さらに規制が強化されました。施行は10月1日から。
 これにより、禁止行為はこれまでの「誤解をさせるべき断定的判断」と「契約するか判断するために必要な時間を与えることを拒むこと」、それに「私生活または業務の平穏を害する方法で困惑させること」とともに、6行為に拡大されました。

●宅建業法施行規則(省令)の改正内容(ポイント)
第十六条の十二
 一、イ、ロ…略
 ハ 勧誘に先だって宅地建物取引業者の商号または名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行うこと。
 ニ 相手方が契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む)を表示したにもかかわらず、勧誘を継続すること。
 ホ 迷惑を覚えさせるような時間の電話または訪問による勧誘を禁止。
 ヘ…略

不動産協会、暴力団等反社会的勢力排除条項の導入を要請

 (社)不動産協会(木村惠司会長)は、協会理事会での決定を踏まえ、9月8日に会員企業に向け「不動産取引からの暴力団等反社会的勢力排除対策の徹底について」を発信し、「反社会的勢力排除条項」を導入し、反社会的勢力の排除にいっそう取り組むよう要請しました。

■不動産売買、不動産賃貸借契約の条項例を提示
 都道府県で「暴力団排除条例」の制定・施行が進んでいることから、不動産売買、不動産賃貸借契約においても、暴力団などの反社会的勢力の排除を徹底していくことになったものです。協会では不動産売買、不動産賃貸借契約のそれぞれについて条項例を作成し、これを盛り込むよう求めています。

■違反事実が判明すれば、「催告なしに契約を解除」
 うち、不動産賃貸借契約の条項案では、反社会的勢力を「暴力団、暴力団関係企業、総会屋、もしくはこれらに準じる者、またはその構成員」と定義し、①反社会的勢力の排除(借主の確約事項)、②禁止または制限される行為、③契約の解除について規定。借主が確約事項に反する事実が判明したとき、契約後に自らまたは自らの役員が反社会的勢力に該当したとき、さらに禁止・制限行為に違反したときは、なんらの催告なしに契約を解除できることになっています。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.9.15

国土交通省
「原状回復条件様式」など追加した新「原状回復ガイドライン」公表

 国土交通省(住宅局)は2011年8月16日、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を7年半ぶりに改訂しました。賃貸住宅の退去時に、借り主と貸し主などとの間で原状回復をめぐってトラブルになるケースが多いため、今回の改訂では記載内容を補足するとともに、Q&Aの見直し、また新しい判例の追加などが行われました。

■7年半ぶりの改訂、「費用精算様式」も追加
 このガイドラインは、双方があらかじめ理解しておく一般的なルールを示したもので、現行版は平成16年に公表されました。ルールの基本は、退去時の原状回復とは「借り主が借りた当時に戻すもことではなく」、借り主の居住・使用による物件価値の減少のうち、「借り主の故意・過失、善管注意義務の違反、その他通常の使用を超える損耗・毀損を復旧すること」であると定義。トラブルとなりやすい事例について、その判断基準を詳細にブレークダウンしています。

■今回の改訂のあらましは次の通りです。
●原状回復にかかるトラブルの未然防止
○賃貸住宅標準契約書との連動を意識した「原状回復条件様式」を追加
 トラブルの未然防止には、契約時の契約書に原状回復条件を添付し、賃貸人と賃借人の双方が原状回復の条件について合意することが重要。そのため、契約書に添付すべき原状回復の条件として、賃貸人・賃借人の改善負担分担、賃借人の負担範囲、原状回復工事目安単価等に関する様式雛形を追加した。
○「原状回復費用精算書様式」を追加
 トラブル防止のためには、入り口(契約段階)での賃貸人・賃借人の合意に加え、出口(費用精算段階)での透明化も重要。そのため、費用請求の際の精算明細書雛形を示し、対象箇所の破損の状態を確認しつつ、具体的に精算できるようにした。
○特約について
 特約を設ける場合の要件が現行のガイドラインでは不明確であるとの指摘を受け、最高裁判例やQ&Aを追加して、特約が有効か・無効かの明確化を図った。

●税法改正による残存価値割合の変更
 経過年数にともなう減価割合は、これまで「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」を参考とし、償却期間経過後の賃借人の負担が10%となるようにしていたが、平成19年税制改正で省令が改正されて、この残存価値が廃止され、耐用年数経過時に残存簿価が1円まで償却できるようになったため、これに沿って改めた。

●Q&A、裁判事例の追加
○Q&Aの追加
 これまでによくあった質問など、具体的な事項についてのQ&Aを追加した。(例を参照) Q1賃貸借契約にクリーニング特約が付いていたために、契約が終了して退去する際に一定額が敷金から差し引かれました。このような特約は有効ですか。
⇒A1クリーニング特約は、①賃借人が負担すべき内容・範囲が示されているか、②本来賃借人負担とならない通常損耗分を負担させる趣旨と、負担する通常損耗の具体的範囲が明記、ないし口頭で説明されているか、③費用として妥当か、などの点から有効・無効が判断されます。

Q2物件を明け渡した後、賃貸人から原状回復費用の明細が送られてきません。明細を請求できますか。
⇒A2賃貸人には、敷金から差し引く原状回復費用についての説明義務があります。賃借人は賃貸人に対して、明細を請求して説明を求めることができます。
○掲載判例の追加
 前回のガイドライン改訂後に出された主な判例、21事例を追加した。これにより、掲載裁判例数は42事例となった。

新設住宅着工数、向こう10年は80万戸台で横ばいか

 すでに始まっている人口の減少に続き、2016年以降に一般世帯数も減少に転じると、我が国の新設住宅着工数は80万戸程度の横ばいで推移する、との予測を(株)野村総合研究所が2011年8月3日に明らかにしています。20年前の1996年度(163万戸)と比べると、ちょうど半分となります。

■新築獲得競争は激化、一歩で「良質住宅・ストック市場」活性化
 同社の予測は、新設住宅着工を押し下げる「世帯数の減少」「空き家率の増加」「住宅の長寿命化」といった要因に着目。国交省「住宅着工統計」、総務省「住宅・土地統計調査」「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」などをもとに、2023年までの向こう10年強について行ってみたものです。
 その結果、2010年度81.9万戸であった新設住宅着工戸数は2015年度84.1万戸、2020年度83.4万戸、23年度78.5万戸と、80万戸程度で推移する見込みとなりました。2010年度以降、いったんはやや増加するものの、次第に減少しはじめ、全体としてはほぼ横ばいとなる予測です。
 ただし、「景気動向や消費税率の変更しだいでは、着工が前倒しされたり、先送りされたりする可能性がある」としています。
 我が国はすでに住宅過剰時代に入っており、今後はこうした限られた新設住宅需要の獲得競争が厳しさを増す一方、良質住宅の形成と、ストック市場(中古住宅・リフォーム)の活性化に向けた競争の激化が予想されます。

▼新設住宅着工戸数の実績と予測の推移

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.8.30

国土交通省、「平成22年度住宅市場動向調査」の結果を発表

   国土交通省は7月22日、平成22年度の「住宅市場動向調査」の結果を発表しました。これによれば、民間賃貸住宅については2009年4月から2010年3月に入居した467人にアンケートを配布して調査(回収率98.3%)。その結果、敷金・保証金、礼金、仲介手数料、更新料はいずれも「1カ月未満」「1カ月ちょうど」などへの低額化が一段と進行しており、特に礼金は「なし」が4割に増えていました。

■調査結果の概要は次の通りです。
○賃貸契約・入退去
 賃貸契約の種類は91.9%が「通常の借家」で、「定期借家制度を利用した借家」は4.8%にとどまっていました。
 普通借家で困った経験としては「敷金・礼金などの金銭負担」(44.2%)、「連帯保証人の確保」(23.9%)などが多く、入居時は「近隣住民の迷惑行為」(39.9%)、「家主・管理会社の対応」(21.7%)、退去時は「家賃・敷金の清算」(21.7%)、「修繕費用の不明朗な請求」(18.8%)などとなっています。

○入居者数・築年・年収
 入居人数は1人が37.3%に増え、2人28.1%で、1~2人が65.4%を占めています。入居した住宅の建築時期は、「平成7年以降」が65.4%と最も多く、次いで「昭和60年~平成6年」が14.2%。世帯平均収入は434万円と過年度に比べ最も低く、また注文・分譲・中古・リフォーム住宅を200万円以上も下回っています。

○敷金/保証金・礼金
 敷金/保証金がある世帯は75.8%で、その月数は、「1カ月未満」が34.5%、「2カ月ちょうど」が25.3%で、両者で59.8%を占め、「1カ月未満」が急速に増えています。
 礼金がある世帯は50.5%で、礼金不要の物件(38.6%)が少しずつ増加。その一方で、礼金の月数は「1カ月未満」33.2%、「1カ月ちょうど」40.1%と減りつつあります。

○仲介手数料・更新料・家賃負担
 仲介手数料があった世帯は51.0%で、過年度と比較すると最も低く、その月数は「1カ月未満」と「1カ月ちょうど」が94.9%を占め、特に「1カ月未満」(39.3%)が増えてきています。更新料がある世帯は36.4%へと低下し、その月数は「1カ月ちょうど」が55.7%あり、次いで「1カ月未満」が39.5%と、両者で95.2%を占めています。
 家賃負担については、「ぜいたくはできないが、何とかやっていける」が44.9%、「ぜいたくを多少がまんしている」が27.7%。

○入居物件の発見・選択理由
 入居した住宅を見つけた方法は、「不動産業者で」が54.5%と最も多く、「インターネットで」が26.8%、「知人等の紹介で」が12.2%と、過年度とほぼ同様の傾向となっていいます。今回の住宅に決めた理由は、「家賃が適切」52.5%、「立地環境」45.5%、「デザイン・広さ・設備」34.0%が3大要素で、「デザイン・広さ・設備」については、「間取り・部屋数」(59.6%)、「広さ」(50.6%)、「台所のデザイン」(28.8%)が選択理由になっています。

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野村総合研究所調査「3,000万円以上を相続」は14.1%いるのに、事前準備は?

 遺産の相続を“争続”にしないためには、遺言や生前相続が有効な手立てとなりますが、実際にはどう準備したり、考えられたりしているのでしょうか。(株)野村総合研究所の調査によれば、「3,000万円以上相続した人」は14.1%いるのに、「遺言を準備しておいた人」は4.2%とズレがあります。平成23年税制改正大綱に示された今後の課税方向を見れば、「より幅広い層」が、いかに「生前に準備しておくか」が節税のポイント。特に、早い段階から生前贈与を含めた相続の準備を進めることが重要となっているので、留意したいものです。

■税制改正の方向は、課税対象の拡大と生前贈与の促進
 平成23年度税制改正大綱では、相続税の基礎控除額を現在の5,000万円から3,000万円に引き下げるとともに、高額相続への税率を引き上げる考え方が国から示されています。また同時に、次世代への遺産移転を円滑にする狙いから、生前贈与の控除枠の拡大や税率の軽減を図る方向も示されています。
 (株)野村総合研究所が実施し、7月22日に公表した「相続に関する実態調査アンケート」は、こうした動きを受けて調査・分析されたものです。

■「遺言を準備済み」は4.2%、エンディングノート派も
 調査結果によれば、相続によって3,000万円以上を受け取った層は、対象49,000名の14.1%にのぼりました。
 その一方で、「遺言を準備している」と答えた回答者は4.2%しかありませんでした。ほか、法的な拘束力はないものの、資産や相続についても書き残す「エンディングノート」や、わが人生を振り返り、遺される家族への思いを綴る「マイライフノート」の形で伝えるというケースも2.3%ありました。

■6割は「準備する必要がある」と思っているが未着手
 ただ、60代以上では過半数が家族や子供への相続について考えており、「遺言を用意していない」回答者も、その55.8%は「準備する必要がある」と感じています。
 相続について考え始めたきっかけ(複数回答)は、やはり「父母の死去やそれにともなう相続」(28.4%)が最多。これに、「身近な災害や事故」(28.1%)、「自分自身の健康に不安を感じた」(15.2%)などが続いています。

■相続額が多い人ほど把握率が高く、準備も進行中
 回答者全体のうち、相続で金融資産や不動産などを受け取ったことのある人は32.7%あり、その相続額は「500万円以上1,000万円未満」が最も多くなっていました。これらのうち、①父母からの相続額が合計で3,000万円以上、②自身の個人金融資産が1,000万円あり、③年齢が50~79歳の「相続層」に特定して相続状況を聞いたところ、過半数は親の生前に相続額を知っており、相続額が多いほど把握率も高くなっていました。また、28.8%は、父または母から生前贈与を受け取ったことがあり、その8割は40代までに受け取っていました。

■相続で困ったのは税制・不動産…、6割が弁護士に相談
 その一方で、親からの相続が発生したとき、「困ったり、知りたかったりしたこと」は、「特になかった」が43.7%あるものの、「税制について」34.1%、「不動産について」(24.2%)、「金融資産の査定について」(15.5%)などと続いています。そして、それを専門家に相談する場合、相手は税理士56.9%、弁護士19.0%、司法書士19.0%、これに銀行15.0%などとなっています。
 親からの相続資産は、「預貯金」(父から60.4%、母から73.4%)と「居住用不動産」(父から55.6%、母から38.2%)が多く、ほか株式、投資用不動産などと、多様になっています。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.8.17

最高裁、敷引・更新料を「有効」と認定

■「高過ぎず」、「消費者利益を一方的に害しない」と判断
 最高裁で、7月12日に「敷引は有効である」との判決、3日後の15日には「更新料は有効である」との判決がそれぞれ示され、いずれも貸主側の勝訴が確定しました。敷引を有効と判断とした最高裁判決は、今年3月に続き2例目。一方、更新料については高裁判決が「有効」「無効」に分かれていることから、最高裁の初の判断が注目されていました。
 いずれの判決も、「高過ぎるとは言えず、借り主の利益を一方的に害するとは言えない」と判断され、「消費者契約法第10条(消費者契約の条項の無効)により無効である」とする借り主の主張を退けるものとなりました。

■敷引は関西・九州、更新料は首都圏で慣習
 「敷引」とは、入居時に預かった敷金のうち、一定額を補修費などにあてる目的で、退去時に差し引くお金を指します。敷金は賃貸契約で定め、借り主が家賃を滞納したり、部屋を傷つけたりしたとき、損害賠償を担保するため、貸し主に預けます。滞納がなく、修理を必要とする損害がない場合は、原則として無利子で全額を返済します。その敷金から一定額を差し引く敷引は、慣習として関西や九州で多く見られます。
 また、「更新料」は、賃貸契約の更新の際に、借り主が支払う一時金を言います。賃貸契約のおいて特約として定めますが、借地借家法に明確な規定がないので、そのあり方と金額の高低について論議が続いてきました。更新料を定めるケースは主に首都圏で見られ、100万件ほどあると見られています。

■最高裁判決のポイント(抜粋)
○7月12日敷引判決
 これを本件についてみると、前記事実関係によれば、本件契約書には、1カ月の賃料の額のほかに、被上告人が本件保証金100万円を契約締結時に支払う義務を負うこと、そのうち本件敷引金60万円は本件建物の明渡し後も被上告人に返還されないことが明確に読み取れる条項が置かれていたのであるから、被上告人は、本件契約によって自らが負うこととなる金銭的な負担を明確に認識した上で本件契約の締結に及んだものというべきである。
 そして、本件契約における賃料は、契約当初は月額17万5000円、更新後は17万円であって、本件敷引金の額はその3.5倍程度にとどまっており、高額に過ぎるとはいい難く、本件敷引金の額が、近傍同種の建物に係る賃貸借契約に付された敷引特約における敷引金の相場に比して、大幅に高額であることもうかがわれない。
 以上の事情を総合考慮すると、本件特約は、信義則に反して被上告人の利益を一方的に害するものということはできず、消費者契約法10条により無効であるということはできない。(ただし、反対意見、補足意見の付記あり)

○7月15日更新料判決
 賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当である。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.8.3

「国勢調査抽出速報」 65歳以上が23.1%と世界最高、一般世帯5,000万超える

 総務省(統計局)は6月29日、「平成22年国勢調査」の抽出速報集計の結果を公表しました。それによれば、わが国の平成22年10月1日現在の人口は1億2,806万人で、平成17年から横ばいで推移しています。年齢別にみると、65歳以上が23.1%と世界で最も高い水準にある一方、15歳未満は13.2%に低下。また、一般世帯が初めて5,000万世帯を超えましたが、うち1人世帯が最も多く、3割を超えています。
  ■概要は次の通りとなっています。
○人口構造
・我が国の人口は1億2,805万6,000人(平成22年10月1日現在)。うち男性が48.8%、女性が51.2%。
・人口増加率は、年平均0.05%増、平成17年から0.2%増と調査開始以来最低となった。
○年齢別構成
・「65歳以上人口」は平成17年比14.1%の増加。総人口に占める割合は20.2%から23.1%へと上昇し、世界で最も高い水準にある。
・「15~64歳人口」は4.0%減り、割合は66.1%から63.7%へと低下。
・「15歳未満人口」は4.1%減へり、割合は13.8%から13.2%へと低下。
○就業者等
・「15歳以上の労働力率」は60.7%で、引き続き男性が低下し73.4%へ、女性が上昇し49.1%へ。
・女性労働力率の“M字カーブ”の谷が、「30~34歳」から「35~39歳」へと移った。
・「医療,福祉」に従事する者の割合が1.9ポイント上昇し、1割を超えた。
○世帯の状況
・一般世帯数は5,092万8,000世帯と調査開始から初めて5,000万世帯を超えた。
・世帯人員が1人の世帯が1,558万5,000世帯と最も多く、一般世帯の3割を超える。
・「一人暮らし65歳以上人口」は457万7,000人で、65歳以上人口の15.6%を占める。
・「65歳以上男性」の10人に1人、「65歳以上女性」の5人に1人が一人暮らしである。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.7.15

国土交通省、「原状回復ガイドライン」の再改訂案を公表

■原状回復条件を賃貸契約書に添付するよう奨励
 国土交通省は、民間賃貸住宅の退去時における「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の再改訂案をまとめ、6月28日より広く意見を募集しています。
 今回の再改訂案では、①賃貸人と賃借人間で原状回復条件について予め合意しておき、その原状回復条件を契約書に添付するよう推奨していること、②耐用年数経過時に残存価値を1円まで償却できる税制改正(平成19年)があったたことを受け、残存価値を10%から1円に修正したこと、③トラブルが目立つ事例についてQ&Aと裁判事例を追加したことなどがポイント。
 8月上旬には正式に公表したい考えで、改訂は7年半ぶりとなります。

■原状回復条件には、施工単価明細も明示を
 再改訂案では、物件・設備の使用上での注意・留意事項の周知については、従来の「使用細則」「入居のしおり」などに加え、「原状回復に関する物件・設備についての使用上の注意・留意事項」も周知するよう推奨。「用法の順守」「日常的な手入れや清掃等の善管注意義務」、「設備の使用上の注意事項」などを盛り込むことを求めています。
 一方、この中で「例外としての特約」に、最近居住室内でのペット飼育が増えているため、それを認めるための「クロス張替費用」を取り上げて、例示しています。
 また、原状回復に要する費用は、使用する資材や施工方法によって異なるため、原状回復条件について合意する際には、施工単価についても賃貸人、賃借人双方で確認しておくことが望ましいとしており、そのための詳細な様式例も示しています。

■再改訂案に新たに収録または追記された項目
○物件・設備の使用上での注意・留意事項の周知(新規)
○契約書に添付する原状回復の条件に関する様式例(新規)
○原状回復の精算明細等に関する様式例(新規)
○原状回復にかかる判例の動向(追記)
○参考資料=民間賃貸住宅市場の実態調査結果、資材価格等が掲載されている資料名、減価償却の耐用年数に関する省令(新規)

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.7.6

住宅版エコポイントは7月で終了、今秋にも新制度スタートか

 エコ住宅の新築やエコ住宅への改修(エコリフォーム)を補助する「住宅版エコポイント制度」は、申請数が多くて年度予算の上限に迫ったために、当初「今年12月まで」となっていた対象工事期間が「7月まで」に短縮されました。ポイントの発行申請期限(エコリフォームの場合で平成24年3月末)、ポイント交換期限(平成26年3月末)に変更はありません。
 国土交通省は6月現在、景気浮揚、消費喚起策として、今秋からにも住宅改修全般を対象とした新ポイント制度をスタートさせる検討に入っています。

国土交通省、平成22年度マンション管理業者立入検査結果を公表

 国土交通省は6月15日、平成22年度の「マンション管理業者への全国一斉立入検査結果の概要」を公表しました。それによれば、今回の立入検査は、昨今多発している退去をめぐる財産毀損事件などを踏まえ、前年度に続いて5つの重要事項(管理業務主任者の設置、重要事項の説明、契約の成立時の書面交付、財産の分別管理、管理事務の報告)を中心に、昨年10月以降、全国138社に対して実施されました。その結果、55.8%にあたる77社に対して是正指導が行われました。
 「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(適正化法)の改正省令施行(平成21年5月)後初めてということもあり、制度改正に対する認識不足が多く見られ、制度改正に係る違反行為を除くと是正指導は54社(39.1%)と前年並みとなっています。
 このため、国土交通省では、立入検査などによる法令指導体制の強化を図るとともに、悪質な適正化法違反に対しては、厳正かつ適正に対処するとしています。また、関係団体に対して、マンション管理業務全般の適正化に向けた研修活動などを通じて会員指導を徹底するよう要請することにしています。

■立入検査での指摘該当社数は次の通りとなっています。
(重複あり、カッコ内は省令改正違反を除いた指摘該当社数)
○管理業務主任者の設置(法第56条関係)…6社(6社)
○重要事項の説明等(法第72条関係)…62社(35社)
○契約の成立時の書面交付(法第73条関係)…54社(32社)
○財産の分別管理(法第76条関係)…37社(6社)
○管理事務の報告(法第77条関係)…18社(18社)

詳細は⇒こちら

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.6.20

今夏は企業、国民ともに「15%節電」を

 内閣府や経済産業省などでつくる「省エネルギー・省資源対策推進会議省庁連絡会議」は5月30日、平成23年度の「夏季の省エネルギー対策について」を決定しました。東日本大震災による原発事故にともない、今夏は関東・東北を中心に電力のひっ迫が予想されることから、「冷房の原則28度C」徹底をはじめとした節電対策を呼びかけており、特に東京電力・東北電力管内では企業、一般家庭ともに「15%節電」に取り組むよう強く求めています。

 国は毎年6~9月を「夏季の省エネキャンペーン」期間に設定して、企業、国民に省エネを呼びかけていますが、今年度の「夏季の省エネルギー対策について」では、「15%節電」を達成するため、うち「業務・家庭」においては特に次の取り組みを徹底するよう求めています。

○家電機器などのエネルギー消費機器
・エネルギー消費機器の消費電力の削減
 …家電機器・OA機器・自動車などは日頃から省エネを徹底。
・家庭やオフィスなどでの省エネの創意工夫と実践
 …省エネナビ・省エネチェック表など“見える”化による省エネの実践。
・エネルギー消費効率の高い機器の選択・購入
 …省エネ性能表示に留意して選択。エアコン、冷蔵庫、テレビ、照明は統一省エネラベルを参照。 ・機器に関する情報提供等とエネルギー消費効率の向上
 …メーカー・小売業者はきめ細かな情報を提供・表示。また、トップランナー方式に基づいた消費効率の向上に努める。

○住宅・ビルなど
・冷房中の室温28度Cの徹底
 …「クール・ビズ」の励行、無理のない範囲でエアコンを消し扇風機を使う、執務エリアの照明間引き、昼休みの完全消灯、自販機の冷却停止時間の延長など。
・エネルギー消費効率が優れ、効率的に使える設備の設置・施工
 …住宅やビルなどの新築・増改築・改修では、断熱材の利用、熱負荷低減の設計・施工などを実施。エコ住宅の新築や断熱改修などエコリフォームを推進。
・ビルなどにおける省エネ対応
 …省エネ法の順守、新築・既築双方への太陽光発電の設置、LED電球などへの切り替え促進、バイオ、都市ガスなどCO2排出の少ないエネルギー選択など。
・省エネに資する事業活動の合理化と従業員等の意識向上
 …事務の見直しや残業削減など事業活動を合理化。従業員などに対する省エネ知識や技能の習得の奨励など。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.5.24

東京都「賃貸住宅トラブル110番」に200件の相談

 東京都生活文化局は3月25日、特別相談「賃貸住宅トラブル110番」の実施結果を明らかにしました。それによれば、特別相談を実施した2日間(平成23年2月17~18日)に受け付けた相談件数は200件となり、うち東京都消費生活総合センターで受け付けた91件の相談の内訳は、契約前4件、入居中25件、退去時25件、更新料7件でした。

■東京都ではトラブルを回避するためのアドバイスとして、次の3点などをアピールしています。 ○契約前に必ず部屋の内見をしましょう。
 インターネット等の写真や間取りを見て決めても、実際の間取りなどが自分が思っているとおりとは限りません。必ず、部屋の内見をしてから契約しましょう。
 また、部屋内の写真を撮り保管しておきましょう。
○契約書をよく読み、内容を確認しておきましょう。
 賃貸契約書に記載された入居中の規定や、退去時の原状回復の規定、その他の借主の費用負担などは、必ず確認しましょう。契約書を保管しておくことも大切です。
○最寄りの消費生活センターに相談しましょう。
 賃貸住宅のトラブルでお困りのときは、早めに、最寄りの消費生活センターへ相談しましょう。
※地震災害などで、室内等に傷がついた場合などは、早めに貸主、管理会社等に連絡をしましょう(物が落ちて傷がつかないようにすることは借主の責任です)。

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賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.5.9

生協連の「2010年生計費調査」、家賃地代が11.4%も減少

 日本生活協同組合連合会が3月29日に公表した「2010年全国生計費調査」(速報)によれば、全モニター世帯の消費支出は前年より3.0%減少しましたが、特に「家賃地代」が11.4%も減少したとのことです。
 この調査は、全国の生協組合員を対象に実施しており、集計したのは2010年1~12月連続提出組合員1,411世帯分(平均年齢:50.8歳、平均家族数:3.5人)。

○収入
 給与所得世帯の収入は前年より0.6%減りました。ただし、全モニター世帯の月平均額は62万4,213円となり、0.6%増となりました。これは、退職金などの「その他の収入」が増えたためです。

○支出
 全モニター世帯の消費支出は、前年より3.0%減少。特に、「家賃地代」は11.4%の大幅な減少となりました。デフレ経済を反映した動きと見られ、「食費」「被服費」といった支出も減少しました。

詳細は⇒こちら

太陽光発電、賃貸住宅は「賃借人の電灯契約」が前提条件

 平成23年度の太陽光発電への設置補助金の募集が始まるとともに、余剰電力の買取価格も決まりましたが、それぞれ金額が下方修正されたうえ、賃貸住宅への設置には新たな条件が設定されたので、導入を検討されているオーナーなどは注意を要します。
 賃貸住宅に設定された条件は「太陽光発電システムを設置して住宅を第三者に賃貸を行う場合は、その賃借人が電灯契約を結ぶこと」。これにより、2011年度からは賃貸借契約書の写しを電力受給確認書に添付することで、オーナーによる申請が可能となります。
 また、共用部への設置は、その集合住宅のオーナー(個人または法人)がシステムの設置者であり、共用部分の電灯契約者が明確になっている場合に対象となっています。申請窓口である一般社団法人太陽光発電協会・太陽光発電普及拡大センターでは、こうした条件での設置の場合に電力の受給契約が可能かどうかは、管轄の電力会社にあらかじめ確認しておくよう求めています(報告時には、必ず電力受給契約の確認書の写しが必要となります)。

○太陽光発電への設置補助金
 補助額は1kWあたり4.8万円(22年度7万円)。適用条件は、最大能力が10kW未満であり、1kWあたりのシステム価格が60万円以下であること(22年度65万円以下)。申請先は太陽光発電普及拡大センター。

○太陽光発電での余剰電力買取価格
 電力会社の買取価格は、「住宅用」(10kW未満)の場合で1kWhあたり42円。システム価格の低下を受け、平成22年度の48円より6円下降しました。同様の理由から、エコウィルやエネファームなどの「自家発電設備」を併設の場合も、前年度の39円から34円へ下降。
 一方、「非住宅・10kW以上の住宅用」は平成23年度から「新エネ補助金」がなくなったので、これまでの24円が40円へ、自家発電設備併用も同様に20円が32円に値上げされました。

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賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.4.26

最高裁、費用・賃料に比べて高額ではない“敷引特約”は有効と判断

 最高裁判所(第一小法廷)は3月24日、「敷引特約契約」について京都地裁で「有効」(平成20年11月26日判決)、大阪高裁でも「有効」(平成21年6月19日判決)と判断され、賃借人側が上告していた「敷金等返還請求事件」(事件番号:平成21(受)1679)で「棄却」判決を出しました。敷引特約については、地裁や高裁間で無効、有効の判断が分かれていますが、最高裁が敷引特約を「有効」と判断するのは初めてです。
 賃貸契約における敷引特約は、賃貸借契約を解約したときに、賃借人から預かっていた保証金から差し引くことができる規定で、貸し主はこれを一般に建物の補修や修繕、カギの交換などの経費に充てます。また、特約で事前にある一定の金額を決めておき、賃貸人の債務の有無に関係なく、契約終了時に敷金から差し引く商習慣もあります。
 今回のケースでは、京都市内のマンションの一室を借りていた男性が、退去時に敷金40万円から21万円を差し引かれた「敷引」は、「借り手に一方的に不利な契約であり、不当だ」と主張して提訴。消費者の利益を一方的に損ねる契約条項を無効とする消費者契約法10条に該当するかどうかが争点となりました。
 最高裁は「想定される補修費用や賃料などと比べて差引額が高すぎなければ、特約は有効」と判断。そのうえで、今回のケースでは「差引額は家賃の3.5倍以内で、敷引金の額が高額に過ぎると評価はできない」「よって、本件特約が消費者契約法10条により無効であるということはできない」として、上告を棄却しました。

【京都地裁、大阪高裁、最高裁判決の概要】
「京都地裁・大阪地裁・最高裁敷引判決」

■京都地裁(平成20年11月26日判決、国民生活センターまとめ)
○原告(控訴人)の主張
 原告(賃借人)は被告(賃貸人)とマンション及び駐車場の賃貸借契約を締結した。賃貸借契約終了時に支払った敷金及び保証金から一定額を控除して返還する控除特約(以下、本件特約)は消費者に一方的な不利を与えているから、消費者契約法10 条に違反し無効であるとして、原告は被告に対して、支払った敷金及び保証金から控除された23万9,400円の返金を求めた。
○判決
 賃貸物件が建物である場合、その使用に伴う賃貸物件の通常損耗は賃貸借契約の中で当然予定されているから、通常損耗の回収は通常、賃貸人が減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませ、その支払いを受けることで行われる。そのため、賃借人に通常
損耗についての原状回復義務を負わせることはできないのが原則である。
 しかし、本件賃貸借契約においては、原状回復費用が家賃に含まれていない旨の規定があることが明示され、また本件特約の定額控除は、その名目は保証金とはなっているものの実質は原状回復分についての賃借人の負担額を定めたものに過ぎないから、民法が規定する場合に比して消費者の義務を加重した特約といえるかについて疑問があるといわざるを得ないとし、また契約締結前に説明を受けていること、礼金等の名目で一時金の支払いがなされていないこと等を考慮すると、本件特約が民法1 条2 項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものとはいえないので、消費者契約法10条に反するものとは言えないとし、原告の請求を棄却した。

■大阪高裁(平成21年6月19日判決、国民生活センターまとめ)
○原告(控訴人)の主張
 控訴人(賃借人)は被控訴人(賃貸人)とマンション及び駐車場の賃貸借契約を締結した。賃貸借契約終了時に支払った敷金及び保証金から一定額を控除して返還する控除特約(以下、本件特約)は消費者に一方的な不利を与えているから、消費者契約法10条に違反し無効であるとして、控訴人は被控訴人に対して、支払った敷金及び保証金から控除された21万円の返金を求め、控訴した。
 なお、控訴人は原審において、駐車場の賃貸借契約に基づく駐車場の使用料と契約手数料の合計2 万9,400 円の返還を求めたが、いずれも棄却されている。しかし控訴人は駐車場の賃貸借契約の部分については請求しなかった。
○判決
 まず、本件特約は通常損耗についての原状回復費用を保証金から定額を控除する方法で賃借人に負担をさせる趣旨であると認められる。通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分は賃料に含ませてその支払をうけることにより行われ、賃貸借契約が終了した場合、賃借人は通常損耗については原状回復義務を負わず、その費用を負担する義務はないと解するのが相当である。本件特約は通常損耗についての原状回復費用を賃借人に負担させるものであるから、民法の任意規定の適用による場合と比較して賃借人の義務を加重する特約であるといわざるを得ない。したがって、本件特約は消費者契約法10条前段に該当する。
 しかし、消費者契約法10条後段については、本件賃貸借契約締結時に本件の特約の存在及び内容を告知され、明確に認識していたと認められること、控除される保証金の額が不当に高額とはいえないこと、保証金以外に礼金という名目で本件賃貸借契約終了時に一切返還されない一時金の授受がなされていないこと、賃借人はインターネット等を通じて情報を入手し、他の賃貸建物を選択する可能性があったと認められることから、控訴人と被控訴人との間に信義則上看過し難い不衡平をもたらす程度に控訴人の保護法益を侵害して
いるとまではいえないから、消費者契約法10条による無効は認められないとし、控訴人の請求を棄却した。

■最高裁(平成21年3月24日判決<上告棄却>、「理由」より抜粋)

 消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は、当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額、賃料の額、礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らし、敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には、当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り、信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって、消費者契約法10条により無効となると解するのが相当である。

 これを本件についてみると、本件特約は、契約締結から明渡しまでの経過年数に応じて18万円ないし34万円を本件保証金から控除するというものであって、本件敷引金の額が、契約の経過年数や本件建物の場所、専有面積等に照らし、本件建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額を大きく超えるものとまではいえない。また、本件契約における賃料は月額9万6,000円であって、本件敷引金の額は、上記経過年数に応じて上記金額の2倍弱ないし3.5倍強にとどまっていることに加えて、上告人は、本件契約が更新される場合に1カ月分の賃料相当額の更新料の支払義務を負うほかには、礼金等他の一時金を支払う義務を負っていない。

 そうすると、本件敷引金の額が高額に過ぎると評価することはできず、本件特約が消費者契約法10条により無効であるということはできない。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.4.1

東日本大震災の被災者に向け官民一体で“住居”支援

 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震:発生3月11日/M9.0/震源三陸沖)による被災者に空き室を提供するため、国と民間による空き室情報の提供が進められています。3月末現在、公営住宅やUR賃貸住宅で提供可能な空き室は約4万4,000戸(国土交通省調べ)、民間賃貸住宅の空き室は約40万戸(全国賃貸住宅経営協会「災害時住宅支援検索サイト」分)があり、例えば同検索サイトでは被災者、避難者を対象とした「仲介手数料0.525カ月分/礼金なし/家賃1カ月以上無料」や「仲介手数料0.525カ月分」の物件を紹介し、円滑な入居による生活支援に努めています。

 全国賃貸住宅経営協会など関係4団体は3月20日に「合同緊急対策本部」を設置し、全国80万戸を超える空き室情報を集約。翌21日から「災害時住宅支援検索サイト」を開設し、全国の空き室物件の情報公開を開始しました。
 一方、国土交通省でも21日に、「公営住宅等情報センター」を設置し、入居可能な全国の公営住宅・公社住宅・UR住宅も確保と、円滑な入居支援を開始しました。また、空き室の提供にあたっては、それぞれの被災者の実情に応じた多様な情報ルートを整備する必要があるとの判断から、国土交通省の主導により「公営住宅等情報センター」がスタート。これにともない、直接地元で情報を入手できるケースについては「地元地方公共団体による一括借り上げ・募集」(応急仮設住宅として無償提供)と「避難所での住宅情報誌の提供」が進められています。

  一方、「電話利用が可能な被災者」については、公営住宅等情報センター(0120-297722)から全国コールセンター(全国賃貸住宅経営協会、0120-960-003+55599)、「インターネット利用な可能な被災者」については同様に公営住宅等情報センターから「国土交通省OB」(あんしん賃貸ネット http://www.anshin-chintai.jp/saigai/)と、「不動産ジャパン」(不動産流通近代化センターhttp://www.fudousan.or.jp/)、「災害時住宅支援検索サイト」(全国賃貸住宅支援検索サイトhttp://www.saigaishienjutaku.com/)にアクセスして活用できるよう整備されています。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.3.28

家賃への消費税課税反対運動、署名が50万件を突破

 家賃への消費税課税に反対する署名が、3月下旬に50万件を突破しました。署名は(社)全国賃貸住宅経営協会、(財)日本賃貸住宅管理協会、全国賃貸管理ビジネス協会、賃貸住宅対策議員連盟が「入居者や家主さん、関係者の皆さんの声を政府に伝えましょう」と呼びかけ、文書とNET上で展開しています。
 わが国では1986年頃、一律課税を主張する大蔵省案(現在の財務省案)と、生活必需品を非課税とする政府案が激しく対立。それから3年後の1989年4月に消費税3%が導入され、いったんは賃貸住宅も消費税の課税対象に繰り入れられました。しかし、賃貸住宅対策議員連盟の反対運動が奏功し、1991年10月に「家賃の消費税非課税化」が政策的に実現しました。
 それから5年半後の1997年4月には消費税率が5%にアップされ、さらに今また、財政再建論議の中で消費税率のさらなるアップと課税対象範囲の見直し論議が進んでいます。
 国民の約4割は賃貸住宅で生活しており、賃貸住宅家賃への消費税が復活し、税率もアップすることになれば、賃貸住宅入居者やその関係者には死活問題となりかねません。賃貸住宅関連4団体はこのため、衆議院議長と参議院議長に宛てた「家賃への消費税課税復活を断固反対する請願」への署名を求めており、国会内外での消費税論議の高まりにともない、反対署名も盛り上がりつつあります。

■「家賃への消費税課税復活を断固反対する請願」

衆議院議長 殿
参議院議長 殿

 現在、国民の約4割が賃貸住宅で生活しています。
 先進諸国では日本より消費税率は高いものの、政策的な配慮から賃貸住宅の家賃への消費税については、非課税となっております。
 家賃への消費税課税が復活となり、更に税率がアップすることになれば、入居者や家主、賃貸住宅関係者にとっては死活問題となります。
 私は、家賃への消費税復活に断固反対いたします。

署名は次のURLからできます。
http://top.zenjyu.or.jp/sign/indexSLL.html

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.3.8

国民生活センター、賃貸住宅の原状回復トラブルで注意喚起

 国民生活センターは3月3日、「賃貸住宅の退去時に伴う原状回復に関するトラブル」について広く注意を喚起しました。賃貸住宅に関する注意喚起は、昨年10月22日にHP(ホームページ)上で「賃貸住宅の敷金・保証金等」について行ったばかりです。
 今回は年度末に際し、賃貸住宅を退去した後、「家主が敷金や保証金の精算に応じない」「敷金や保証金を超える高額な原状回復費用を請求された」などのトラブルの増加すると見込まれることから、退去時に伴う敷金の返還や、原状回復の基本的な考え方について情報を提供したものです。
 主な相談事例の紹介と問題点の指摘を行ったうえで、「退去時には、できる限り家主、管理会社、仲介業者等の立ち会いの下で部屋の現状を確認する」「退去時に示された原状回復費用の内訳について、家主側に十分な説明を求める」など4項目のアドバイスを行っています。

○相談件数の推移
 PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)によれば、賃貸住宅の敷金や原状回復に関する相談は、2005~2010年度までの累計で8万8,338件(2011年1月31日までの登録分)が登録されています。相談件数は2006年度から増加傾向にあり、2010年度は1万1,650件が寄せられています。前年の同時期に比べると微増ですが、センターでは「件数は依然として多く、このところ高水準で推移している」としています。
 契約当事者の属性は、年代別では30代が2万7,734件(34.6%)で最も多く、次いで20代が2万1,888件(27.3%)、40代が1万3,550件(16.9%)など。性別では男性が4万3,218件(49.8%)、女性が4万 2,707件(49.2%)、職業別では給与生活者が5万3,827件(66.6%)と最も多く、7割近くを占めています。さらに、地域別では南関東、九州北部が多く、次いで近畿が多くなっています。

○主な相談事例
 次のような6例を紹介しています。
【事例1】立ち会い時に指摘されなかったカーテン代等を請求された。
【事例2】契約書の記載に基づき、畳、襖(ふすま)の張り替え等を強制された。
【事例3】敷金の一部を償却し、自然損耗の修繕費を一部借主負担とする特約があった。
【事例4】畳替えの費用とルームクリーニング代を敷金から差し引かれた。
【事例5】不注意でトイレのドアに穴を開けたところ、高額な修理代を請求された。
【事例6】契約書に基づく敷引のほか、床の修理代を請求された。

○国民生活センターが指摘する問題点(ポイント抜粋)
 以上のようなトラブルについて、国民生活センターとしては、「原状回復の趣旨が依然正しく理解されていない。あるいは徹底されていない」などとして、次のように指摘しています。
 ①原状回復の趣旨が正しく理解されていない。
 賃貸住宅の原状回復とは、借主が居住したことによる住宅価値の減少のうち、借主の故意・過失等、通常の使用方法を超える使い方によって生じた損耗や毀損(きそん)を復旧することをいう。入居時の状態に戻すということではない。
 ②退去時の立ち会いが行われていない、あるいは立ち会い時の現状確認が不十分であるか、確認したことの記録が残されていない。
 賃貸住宅の退去時に、関係者(借主、家主、管理会社、仲介業者等)の立ち会いがなく、双方での現状確認をしていない場合や、現状確認が不十分、あるいは確認した点を記録に残さなかった場合は、後で身に覚えのない損耗個所を指摘され、修繕費の追加負担を求められるなどのトラブルにつながりやすい。
 ③原状回復の具体的な内容について、当事者間に認識のずれがある。
 どこまでが通常損耗・経年変化と認められ、どこからが借主の故意・過失、善管注意義務違反による損耗なのかを判断するには、「国交省ガイドライン」が参考になる。個別の賃貸借契約に法的な強制力を及ぼすものではないが、話し合いが進まない場合などに、解決の道筋を示すものといえる。
 ④原状回復費用の算出方法についての妥当性に問題がある。
 退去時の立ち会いで現状を確認し、原状回復義務を負う・負わないとの区別は家主と合意済みだが、具体的な修繕費の請求額・見積り額が相場よりも高い、内訳に不審な点があるときがある。納得がいかないときや、立ち会い時に指摘のなかった損耗個所の修繕費が含まれているとき、受け取った見積書、請求書、敷金の清算書等に内訳の記載がないときは、家主・管理会社等に建築時の仕様書や詳細な工事内容の説明を求めなどして、交渉することも一案である。
 ⑤原状回復の負担区分や敷金・保証金の返還に関する特約が問題になる。
 自然損耗も特約事項として賃貸借契約書等に記載しているケースがある。また、退去時に無条件で敷金・保証金の一部を控除する旨の特約(敷引・償却条項)を設けているケースもある。最高裁判所は、通常損耗等の原状回復条項に関し、その趣旨が明確に合意されていることが必要であるとしている。

○国民生活センターからの消費者へのアドバイス
 ①退去時には、できる限り家主、管理会社、仲介業者等の立ち会いの下で部屋の現状を確認する。
 ②退去時に示された原状回復費用の内訳について、家主側に十分な説明を求める。
 ③複数の業者から見積りを提示してもらうよう、家主側に要求する。
 ④家主側との話し合いによる解決が難しい場合、民事調停や少額訴訟等の手続きもある。これらの手続きをとることも含めて、各地の消費生活センターへ相談すること。

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賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.2.10

保証会社による審査と家賃の滞納・回収の実態、代位弁済は3.8%

 賃貸住宅における滞納家賃の回収・取立てへの規制強化が図られますが、この背景には家賃債務保証業者の業務内容や締約内容、契約保証人の有無などと合わせ、出発点にはそもそもの滞納の発生があります。
 昨年12月にまとまった国土交通省(住宅局)の「民家賃貸住宅に関する市場環境実態調査の結果について」によれば、審査状況、審査不通過の要因、それに滞納の現況は次のような実態にありました。

○審査内容(保証委託契約申込み者の資料等以外の審査、複数回答)
 滞納を防止するには、事前調査を徹底する必要がありますが、どのような確認が行われているのでしょうか。
・審査内容は、「電話で意思を確認するなど」と「勤務先に在籍を確認する」がともに77%で最も多く、次いで「過去の弁済履歴情報(自社)を確認する」が65%となっています。
・ほか、「官報や新聞報道などの一般情報と照合する」(37%)、「携帯電話利用支払い状況をデータベースと照合する」(26%)などもありますが、「クレジットカードの利用履歴」や「貸金業者などからの借入れ状況」をチェックするのはそれぞれ12%、5%と少なくなっています。

○審査不通過の主な要因(3つまで自由記述)
 審査で“不合格”とする最も大きな要因は、やはり「年収基準の不足」。全体の7割ほどあります。
・「年収基準に不足している」(68%)に次いで多いのは、「申込書に虚偽の記載がある」(40%)、「各種データに該当する」(37%)、「職業」(30%)で、4~3割ほどあります。

○滞納の現況
・平成16年度から20年度までの滞納の現状を見ると、保証業者、新規保証件数、代位弁済(立替払い)数・金額、回収件数・金額ともに、年を追って急激に増えています。調査結果は次のようになっています。
 保証会社: 16年度10社→20年度25社 (2.5倍)
 新規保証件数:10,328件→18,021件 (1.7倍)
 代位弁済件数:2,736件→16,857件 (6.2倍)
 代位弁済金額:約1億6,000万円→約11億2,000万円 (7.2倍)
 回収件数:2,580件→17,471件 (6.8倍)
 回収金額:約1億2,000万円→約10億3,000万円 (8.3倍)
・オーナー側にとっては「手間が省ける」など、入居者にとっては「保証人が立てられない」、「経済低迷で収入・就業が不安定」といった事情などによりニーズが高まっているからですが、一方ではだからこそ“行き過ぎ”が生じているとも言えます。
・(財)日本賃貸住宅管理協会の平成22年度アンケート調査によれば、新規契約における総保証件数は約178万件でしたが、このうち家賃滞納を原因として代位弁済を行った件数は3.8%にあたる67,425件でした。平成20年度末時点で未回収となっているのは0.6%、件数にして1万0,360件です。

○家賃回収期間
・「家賃を全額回収するまでの期間」は、「1~2カ月」が41%で最多。「3~4週間」と「3~4カ月」がそれぞれ20%となっています。一方で、「1~2週間」(9%)、「5カ月以上」(4%)といったケースもあります。
・滞納把握から弁済までの期間は、貸主より連絡をもらう締め日(口座引落しの場合は引落し日)から数えて「平均21.7日」となっていました。最小は3日、最大は90日。「賃借人の退去後に一括弁済」のケースも2社ありました。

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賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.1.17

2011年税制改正で相続税は大衆課税化へ

 政府税制調査会は2010年12月16日、2011年度税制改正大綱を策定し、菅直人首相に答申しました。
 この税制改正の注目点は、(1)課税処分は3年から5年になること(2)相続税、贈与税が見直しされること(3)高額給与所得者への増税……があげられます。
 中でも、相続税の非課税枠(基礎控除)が現行の「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」から「3,000万円+600万円×法定相続人数」へと縮小し、結果として大増税となります。
 これまで、相続税はどちらかというと「お金持ち」を対象とした税金でした。しかし今回の改正では、これまで相続税とは無縁な(基礎控除の範囲内の遺産相続だった)人々の多くが、相続税を支払わねばならないこととなり、相続税は大衆課税(消費税などと同じで、低所得層を含む一般大衆に租税を負担させること)へとなりかねず、大きな影響が懸念されています。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.1.12

総務省、地デジ化改修助成金の交付申請を再募集

 総務省は1月5日、アパート・マンションなどの集合住宅(共同住宅)の地上デジタル化改修等に関する助成金の交付について、申請の再募集を開始しました。2010年度予算の範囲内で実施するため、申請受付は予算の上限に達した時点で終了します。
 助成は、共同住宅共聴施設の地デジ化改修を行う場合、または有線テレビジョン放送施設に置換する場合に、地デジ放送の視聴に不可欠な施設の改修、置換などに要する総経費に対して、1世帯当たりの経費が3.5万円を超える場合に限り交付されます。
 総経費が「加入世帯数×3.5万円」の2倍以上となる場合と、2倍未満の場合とで計算式が異なり、前者の場合は半額が助成されます。加入世帯数は居住者が“いる、いない”を問わず、共同住宅の総戸数で算定します。

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賃貸経営ニュースダイジェスト 2011.1.12

国土交通省、平成23年度税制改正で住宅関連4税制を公表

  国土交通省は昨年12月16日、平成23年度国土交通省関係税制改正の概要を公表しました。これによれば、「安全・安心・セーフティネット関連税制」における「住まいの質の向上」策として、「サービス付き高齢者住宅」(仮称)の本格展開などに向け次の4つの税制措置を掲げています。

①サービス付き高齢者住宅(仮称)の本格的展開のための税制措置
 サービス付き高齢者住宅の本格的展開を促進するため、一定の住宅について以下の税制上の措置を2年間適用
・固定資産税等: 床面積30m2以上の住宅について、課税標準5年間1/3
・不動産取得税: 床面積30m2以上の住宅について、課税標準1200万円控除
・所得税・法人税:床面積25m2以上の住宅について、割増償却(5年間40%等)
②住宅のリフォーム工事(バリアフリー・省エネ)をした場合の税額控除の延長
 改修工事費用等の10%を所得税額から控除できる特例措置について、バリアフリー改修の所得税控除額の限度額を「23年度:20万円、24年度:15万円」と変更の上、2年延長。省エネ改修については、限度額は現行通り(20万円)とし、補助金等の交付がある場合の調整措置を講じることとしたうえで2年延長
③住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置の延長(登録免許税)
 住宅用家屋の登録免許税の軽減税率(所有権の保存登記0.15%(本則0.40%)、所有権の移転登記0.30%(本則2.00%)、抵当権の設定登記0.10%(本則0.40%))について、2年延長
④バリアフリー法に基づく認定特定建築物の割増償却の延長(所得税・法人税)
 バリアフリー法に基づく認定を受けた特別特定建築物(2,000m2以上)に対する所得税・法人税の割増償却制度(5年間10%)について、対象建築物から床面積5万m2以上の建築物を除外したうえで、2年延長

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