2013年バックナンバー

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.12.17

エネルギー基本計画案まとまる 原子力は「基盤となる重要なベース電源」

 資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会・基本政策分科会は12月13日に開いた第13回会合で、「エネルギー基本計画案」をまとめました。第3次改定となる今回は、東日本大震災と原発事故の発生(2011年3月)を受けて、“原発ゼロ政策”を掲げる民主党政権のもとで見直しが進められましたが、その後交代した自民・公明政権のもとで“白紙ベース”による審議を開始。13日まとまった素案(エネルギー基本計画案)は、一次エネルギー構成や電源構成の数値目標は示さず、各エネルギー源の位置付けと政策の方向性を列記。原子力については「基盤となる重要なベース電源」と位置付けています。

■来年1月には閣議決定へ
 年内に行う関係閣僚会議で論議のうえ、来年1月には閣議決定される見込みです。 →骨子(案)は次の通り。


塗装中の養生シートなどでCO中毒、経産省が注意喚起

 経済産業省・商務流通保安グループガス安全室は12月5日、「住宅塗装工事等におけるガス機器の給気・排気部の閉塞による一酸化炭素中毒事故の防止」について、塗装工事業者などに注意を喚起するよう11月22日付けで国土交通省(建設市場整備課)に要請するとともに、一般社団法人日本ガス協会や一般社団法人全国LPガス協会にも、ガス会社を通じて消費者に周知するよう要請したと公表しました。

■事故のほとんどは都市ガスで発生
 住宅塗装工事中に、養生シートなどによりガス機器の給気・排気部が閉塞されてCO中毒が発生したり、ガス機器が破損したりするガス事故は、平成20年から平成24年の5年間で計62件が発生。死亡(1件)や中毒(2件)、酸欠(1件)につながる事例も出ています。平成24年は11件へと減ったものの、平成25年はすでに17件発生しています。
ただし、事故のほとんどは都市ガスで発生し、LPガスは数件です。

 

民法改正、非嫡出子も嫡出子と同等に相続 9月5日以降分から適用

 結婚していない男女間に生まれた子(婚外子)への遺産相続分を、結婚した夫婦の子(嫡出子)と平等にする民法改正案が、12月5日の参院本会議で全会一致で可決・成立しました。最高裁判所の違憲判断が出た翌日の、9月5日以降の相続にさかのぼって適用されます。

■明治時代から続く婚外子への差別が解消
 民法第900条4号ただし書きには「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とする」規定があります。最高裁は1995年に、この規定を「合憲」と判断しましたが、2013年9月4日の大法廷で、「父母が婚姻関係になかったという、子が自ら選択や修正をする余地のない事柄を理由に不利益を及ぼすことは許されない」などとして、法の下の平等を定めた憲法に違反すると決定。これを受け、政府が改正案を提出していました。
 今回の改正により、明治時代から続く婚外子への差別が解消されたことになります。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.12.2

建築物(非住宅・住宅)のエコ化を加速する「平成25年基準」がスタート

 建築物(非住宅・住宅)の省エネ基準が、住宅は2013年10月から、非住宅建築物はこれより半年前の4月から、建築物全体の省エネ性能を評価できる「一次エネルギー消費量(*)を指標とした基準」へと移行していることをご存知でしょうか。住宅についてはこれまで「外皮」部分だけに設けられていた判断基準が、暖冷房、換気、給湯、照明へと拡大強化され、共同住宅については昇降機も対象となりました。判断基準は、当初は従来基準並みにとどまっていますが、今後は事業者間競争も反映しつつ順次レベルアップが図られていくと見られています。
*一次エネルギー消費量:建築や住宅で用いるエネルギーを熱量換算した値。ただし、電気については、電気そのものの熱量ではなく、発電所で投入する化石燃料の熱量を用いる。

■省エネ指標を「一次エネルギー消費量」に変更
 この省エネ基準は、省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律、2008年5月成立)に基づいて定められています。これまでの判断基準は建物全体で一体的に評価できるものになっていなかったため、建物の省エネ性能を客観的に比較しにくかったうえ、住宅と建築物で省エネ性能を評価する指標や地域区分が異なっていました。また、省エネ効果以外にも、急速に普及が進む太陽光発電など再生エネルギーの自家消費を積極的に評価すべきであることも指摘されていました。
 今回の改正ではこのため、指標を国際的にも使われている「一次エネルギー消費量」に変更。同時に、断熱性能に加え、設備性能も評価できる総合的な基準へと一本化が図られました。さらに、計算方法は部屋の用途や床面積に応じて省エネ性能を評価できるよう改められるとともに、太陽光発電などの自家消費も積極的に評価できる指標へと改められました。逆に言えば、その分、きめ細やかな性能評価を行い、それによって建物全体の省エネを徹底していく狙いと仕組みになっています。

■「UA値・ηA値」で各部門の省エネ度をチェック
 これまでの「平成11年基準」は、非住宅建築物と住宅の二つに区分され、うち住宅についての判断基準は外皮だけに設定され、判断基準は「年間暖冷房負荷」、または「Q値」(熱損失係数)、「μ値」(夏期日射取得率)でした。「平成25年基準」ではこれが、「UA値」(外皮平均熱貫流率)と「ηA値」(冷房期の日射熱取得率)へと変更されました。また、新たに「暖冷房」「換気」「給湯」「照明」の一次エネルギー消費量についても判断基準を設定。共同住宅については「昇降機」も対象に加えられました。これを受け、それぞれについては「仕様基準」も設定されました。
 これを受け具体的には、外皮(外壁・窓など)は断熱性能の強化、暖冷房(空調)は空調機・熱源機の効率化、照明は高効率照明器具の導入、換気はインバータによる風量制御、給湯は高効率給湯器の採用、そして昇降機は速度制御方式の導入で、住宅全体の省エネ性能を高めていくことになります。

■太陽光発電を積極評価(自家消費分は一次エネルギー消費量から削除)
 住宅全体の一次エネルギー消費量は、外皮、暖冷房、照明などそれぞれの一次エネルギー量の合計量を算出して、省エネ性能を比較することになります。太陽光発電など再生可能エネルギーは、その導入量分が省エネに貢献するので、一次エネルギー消費合計量から“削減分”として差し引かれます。
 具体的な仕様基準を見ると、「暖冷房、換気、照明、給湯でそれぞれ一定以上の省エネルギー性能の機器を採用していること」と、「外皮基準を満たしていること」(住戸の形状によっては、当該機器を採用しても基準となる一次エネルギー消費量を満たさない場合があるため、単位床面積あたりの外皮等の面積に一定の制限を設ける)となっており、一次エネルギー消費量の基準値を設定した際の標準設備は次のとおりとなっています。

設備の仕様の概要

設備の仕様の概要
 住宅の場合、「平成11年基準」(Q値、μ値)とその「設計施工指針」(仕様基準)は2013年9月31日に廃止(経過措置期間:2015年3月31日まで)となり、新たな「平成25年判断基準」(UA値、η値、一次エネ消費量)とその「改正設計施工指針」(部位別仕様表・平成25年仕様基準)が2013年10月1日から施行されています。

■「住宅では給湯部門の消費が最大級。高効率化+節湯を」(前氏)
 基準づくりに参画した東京大学大学院工学系研究科建築学専攻の前真之氏は、2013年11月8日に行ったガス業界向けの講演で、「低炭素・省エネ基準から学べること」として、次のようにポイントを紹介しました。
○用途間の割合
・給湯・暖房・照明の省エネ化が重要である。
・これまでロスが多いと見られてきた冷房は相対的に小さい。
○暖房
・断熱が重要であることは今後も変わらない(Q値規定はなくなっても、UA値で規制)
・暖房機器の高効率化が重要であり、ヒートポンプが有効。ヒーター式はNG。
○冷房
・通風への過剰な期待は禁物である。
・日射遮蔽、特に西日の遮蔽が有効である。
○換気
・高効率ファンの採用が有効である。
・熱交換換気は寒冷地で特に有効である。
○照明
・長時間使用する照明からは白熱灯を撲滅すべきである。
○給湯
・住宅においては実は給湯部門のエネルギー消費が最大級である。
・高効率給湯器と節湯とのコンビで大量削減が可能である。


温室効果ガス排出量、新目標《2020年3.8%削減》を決定
「原発を含む将来のエネ政策検討過程での目標」と説明

 我が国(政府)は11月15日、温室効果ガスの排出量を「2020年までに2005年比で3.8%削減する」という新たな目標を決定し、同日午後(現地時間)、ワルシャワで開かれている国連の「COP19」で発表しました。
 我が国はこれまで、COP3(1997年)で「2012年までに1990年比で6%削減する」と表明。そのあと、2009年には民主党政権の鳩山首相が国連本部で「2020年までに1990年比で25%削減する」と発表しました。しかし、2011年に東日本大震災が発生し、温暖化ガス排出削減の要(かなめ)とされていた原発が東電福島第1の事故以降に順次稼働を停止し、再稼働が進んでいません。
 電力の火力依存が強まっている中で決定した今回の新たな目標は、「原発を含む将来のエネルギー政策の検討過程で設定した目標である」(政府)とされており、新エネルギー政策を策定後に見直す意向にあります。
 なお、政府は新目標の発表と合わせ、CO2排出量の削減に取り組む発展途上国に向け、約130億ドル(約1兆3,000億円)の融資・助成を行っていく計画も明らかにしています。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.11.15

太陽光発電補助金、2013年度で打ち切り

 経済産業省・資源エネルギー庁は2013年11月5日、価格低下を促しつつ市場拡大を図る目的で設けていた住宅用太陽光発電導入支援補助金の受付を、2014年3月31日で終了すると発表しました。補助金総額が予算残額を超過すれば、申込期間中であっても受付は終了となります。

■設備導入量(2013年6月時点)は、住宅用607.9万kW、非住宅用302万kW
 太陽光発電への補助金制度は、1994年度に設けられ、2005年度まででいったん打ち切られたあと、低炭素社会づくりを促進する狙いから2009年度(1kWあたり7万円)に再開されました。補助金額は太陽光発電の普及拡大にともなうシステム価格の低下を受けて下降し、2013年度は1kWあたり2万円(システム単価:41万円以下のとき)、ないし1.5万円(同:41万円以上50万円以下のとき)になっています。
 太陽光発電の普及は、こうした補助金制度と、2009年度から始まった余剰電力買取制度、2012年7月からの固定価格買取制度への移行、さらにこうした動きと並行して進んだ地方自治体の補助金制度などの政策支援を受けて、システム普及(一般社団法人太陽光発電協会調べ)は2012年4月までに100万件を突破。2013年6月時点での設備導入量(エネ庁調べ)は、住宅用が累計で607.9万kW、非住宅用が302万kWに達しています。

 

今冬の「ウォームビズ」がスタート 新たなアイテムで“楽しく節約”を

 今冬も、この11月1日から、暖房時の室温の目安を「20℃設定」して心地良く過ごすライフスタイル、「WARM BIZ」(ウォームビズ)への取り組みが始まりました。期間は来年3月末までの4カ月間。2013度は前年度の「WARM SHARE(ウォームシェア)」に加え、楽しく・温かく・快適に過ごすためのアイテムやアイデア、アクションなどをもう一つプラスする「WARMBIZ + ONE」(ウォームビズ・プラス・ワン)を広げようと呼びかけています。

■目安とすべき暖房室温は「20℃」。
 ウォームビズは、過度な暖房使用を控えながらも快適に過ごそうという国民運動です。環境庁の主導により、冬の地球温暖化対策の一つとして2005年度からスタートし、早くも9年目を迎えます。目安とすべき室温は20℃。自治体、民間企業、各家庭のそれぞれに、低炭素社会の構築に向けたビジネススタイル・ライフスタイルへと変革してもらうのが最終的な狙いです。
 昨年呼びかけた「ウォームシェア」は、一人ひとりが暖房を使うのではなく、みんなが暖かいところに集まることで、エネルギーの節約につなげていこうという取り組み。家族やご近所で一つの部屋に集まったり、暖房を止めて街に出かけたりして、エネルギー消費を楽しく節約していくよう呼びかけました。

■2013年度は「プラス・ワン」を呼びかけ
 今年度から新たに呼びかける「ウォームビズ・プラス・ワン」は、さらにもう一つ、楽しく・温かく・快適に過ごすためのアイテムやアイデア、アクションなどをプラスして、「ウォームビズ」の取り組みをさらに拡大してもらうおうという呼びかけです。環境省としては、企業・団体が提案する「プラス・ワン」を公式WEBサイトの特設ページなどで紹介するほか、国民一人ひとりがアイデアをもう一つプラスして、ライフスタイル全般で「ウォームビズ」を広げるよう呼びかけていくことにしています。

■まずデパート、アパレル、コンビニ始動
 企業・団体の取り組みとしては、例えば日本百貨店協会は、節電と地球温暖化防止に貢献するため、全会員店(85社230店舗)が11月から、安全衛生や商品特性に配慮しつつ空調温度を緩和する取り組みを始めました。日本アパレル・ファッション産業協会は10月から開始する恒例の「KOROMOGAEキャンペーン」で、衣替えをしながら温かくドレスアップするスタイル提案を行っています。また、日本チェーンストア協会は、各店舗内の空調設定温度を見直すとともに、体が温かくなる料理や食材の提案による暖房の使用低減、家庭での団らん、保温効果の高い服装による暖房の設定見直しを提案しています。

■今冬の電力需給、北海道だけやや不安残る
 では、今冬の電力需給はどのような見通しにあるのでしょうか。
 総合資源エネルギー調査会(基本政策分科会電力需給検証小委員会)によれば、厳寒となるリスクや、直近の経済成長の伸び、企業や家庭における節電の定着などを織り込んだうえで、いずれの電力管内でも「電力の安定供給に最低限必要とされる予備率3%以上を確保できる見通しにある」とのことです。ただ、北海道電力は予備率6.9%を確保できる見通しであるものの、他社からの電力融通に制約があることから多少不安を抱えています。

■時代は「省エネ・節電」から「創エネ・創電」へ
 ところで、東日本大震災のあと、我が国では全国民・産業を挙げた「省エネ・節電」努力により、原発なしで酷暑、厳冬を乗り切ってきています。しかもこの中で、再生可能エネルギーの導入促進や技術開発の進展により、太陽光発電やエネファーム(燃料電池)の本格普及が始まったうえ、電力最大の弱点(蓄えられない)を補う家庭用蓄電池も登場し始めています。
 そうした見方からすれば、クールビズ、ウォームビズもそろそろ、「創エネ・創電」へと進化するときを迎えつつあると言えます。

ウォームビズ・プラス・ワン

ウォームビズ

ウォームシェア

ウォームシェア


賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.11.1

火災保険料、2015年度にも3~5%値上げへ

 2014年7月から地震保険が平均15.5%値上げされるのに続き、火災保険自体も2015年度にも3~5%値上げされる見通しになりました。火災発生件数そのものは近年減少傾向にあるものの、相次ぐ自然災害で保険金の支払いが増え、損害保険会社の収支が悪化しているためです。“消費税2段階値上げ”が進む中での“保険料2段階値上げ”は、賃貸住宅経営にも大きな負担を強いることになります。

■自然災害の多発で支払増え、損保各社の収支が悪化
 損害保険会社などの第三者機関である「損害保険料率算出機構」は、損保各社が保険料を決める際の基準となる「参考純率」の引き上げを、2013年度中にも金融庁に申請する見通しであることが、10月22日に明らかになりました。
 これを受け、損保各社は2015年度にも3~5%値上げする意向を固めつつあるもので、負担増は木造・戸建て住宅で年間1,000~2,000円、マンションで数百円程度となる見込みです。
 支払限度額を建物1,500万円、家財1,000万円とする木造・戸建て住宅の場合で、年間保険料の値上がり額は1,600~2,650円、建物1,000万円、家財1,000万円を限度としたマンション住戸の場合で390~650円になるとの試算もあります。

■住宅火災保険、建物構造と所在地(県別)で較差設定
 火災保険は、建物や家財などの財産に生じた損害を補償する保険です。住宅を対象とした個人向けと、事務所や工場などを対象とした企業向けがあり、個人向けには住宅火災保険と、住宅総合保険があります。
 住宅火災保険は火災・落雷・爆発(ガス管の破裂や爆発を含む)、風災・ひょう災・雪災を補償し、住宅総合保険はさらに水害、盗難・物体落下・水濡れ(給排水事故を含む)まで補償する仕組みになっています。
 参考純率は、「建物構造」で①コンクリート造建物などの共同住宅建物(M構造)、②鉄骨造建物などの共同住宅建物以外(T構造)、③それ以外の建物(H構造)の3区分、それに「建物所在地」で都道具県別によって決められ、純率そのものは公表はされていません。

■賃貸住宅の火災保険、付保は物件=所有者、家財=入居者
 各損保会社はこれをもとに、自社費用・収益などを配慮しつつ保険商品を提供しています。
 賃貸住宅では、所有者が建物部分について、専有、共有部分にかかわらずかけます。家財については、個々の入居者にかけるよう勧めることになります。

 

東京都、太陽光「屋根貸し」契約書モデルを作成・公表へ

 東京都(環境局)は9月25日、太陽光発電「屋根貸し」に関する「賃貸借契約書モデル」を作成し公表していくと発表しました。

■事業参入へのハードルを下げる一方、建物所有者の不安を解消
 都では2012年度に、太陽光発電に利用する屋根の借り手と貸し手を結びつける「マッチング事業」を試行的に実施しました。事業には発電事業者35者、建物所有者61者が登録するとともに、2回行った「屋根貸しセミナー」にはいずれも定員の200名を超える参加があり、高い関心が寄せられました。
 その一方で、マッチングついては、①発電事業者と建物所有者との間での賃料の折り合いがつきにくい、②「屋根貸し」という新たな方式に関する契約方法が確立していない、③長期間(20年程度)にわたって安定的に貸し付けられることの担保が不十分である、などといった課題が浮上しました。
 都としてはこのため、発電事業者の事業参入へのハードルを下げるとともに、建物所有者の不安を除く狙いから、「賃貸借契約書モデル」を作成し公開していくことになったものです。

■太陽光発電「屋根貸し」賃貸借契約書モデルの概要
 契約書モデルには次のような条項を盛り込んでいく予定です(下記例で甲:発電事業者、乙:建物所有者)。
○賃料の計算方法
(記載例)甲から乙への賃料は毎年○円/㎡とする。または「甲から乙への賃料は売電価格の○%とする。
○停電時における非常用電源としての活用
(記載例)停電時には、乙は太陽光発電設備からの電力を使用することができる。当該使用に伴う費用は不要とする。
○建物の所有権変更に伴う措置
(記載例)乙が建物の売却又は譲渡を行ったことに伴い、屋根貸し事業が継続できなくなった場合には、乙は甲に一定の違約金を支払う。
○契約期間後の太陽光発電システムの取り扱い
(記載例)契約期間終了後、甲は乙に太陽光発電設備を譲渡する。または契約期間終了後、甲は屋根を原状復帰する。


賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.10.16

大規模災害復興法の成立に伴い、該当地域での新築等に届出義務

 国土交通省は、復興整備事業の円滑な実施を確保する目的で制定された「大規模災害からの復興に関する法律」(2013年6月21日)を受け、宅建業法施行令第3条(該当地域における建築物等の新築等の届出義務)を8月20日に改正して第36号を新設し、「大規模災害からの復興に関する法律(平成25年法律第55号)第28条第4項及び第5項」を追加しました。
 これにより、市町村が指定する「届出対象区域」で、建築物の新築・改築、または増築、土地の区画形質の変更等を行う者は、市町村長に届け出ることが義務付けられました。届け出を怠った場合は、罰則の対象となります。

■重説にも追加、市町村のHPを定期的に確認しよう
 具体的には、該当地域での建築物の新築などについては市町村に届け出ます。また、重要事項説明については、宅地の貸借(7面)、売買・交換(9面)、区分所有建物の売買・交換(11面)に、法令に基づく制限として「大規模災害からの復興に関する法律」を追加記載し、該当地域では制限の内容を説明することとなりました。
 施行時点での指定地域はありませんが、指定となった場合は市町村のHPに掲載されるので、定期的に確認するなどの注意が必要となります。

■第3条(法第35条第1項第2号の法令に基づく制限=該当地域における建築物等の新築等の届出義務=)
 法第35条第1項第2号の法令に基づく制限で政令で定めるものは、宅地又は建物の貸借の契約以外の契約については、次に掲げる法律の規定(これらの規定に基づく命令及び条例の規定を含む。)に基づく制限で当該宅地又は建物に係るもの及び都市計画法施行法(昭和43年法律第101号)第38条第3項の規定により、なお従前の例によるものとされる緑地地域内における建築物又は土地に関する工事若しくは権利に関する制限(同法第26条及び第28条の規定により同法第38条第3項の規定の例によるものとされるものを含む。)で当該宅地又は建物に係るものとする。
 【追加】36 大規模災害からの復興に関する法律(平成25年法律第55号)第28条第4項及び第5項

違法貸しルームは730件(8月30日現在)、9割は都内

 国土交通省(住宅局建築指導課)は9月25日、いわゆる「違法貸しルーム」の是正指導等の状況を公表しました。8月30日時点で取りまとめたところ、「国や地方公共団体に通報があった物件」は730件に及び、うち7割にあたる506件はまだ調査中ですが、調査を行った224件の結果は「建築基準法違反があり是正指導準備中の物件」が37件、「建築基準法違反があり是正指導中の物件」が154件となっています。
 ほか、「建築基準法違反なしの物件」は9件、その他(施設が閉鎖されていた物件、その他の用途であることが明らかになった物件)は24件でした。
 調査対象物件は90%(658件)が東京都内、次いで6%(43件)が神奈川県内などにありました。



詳細はこちら→PDF「違法貸しルームの是正指導等の状況」
/newsimg/ihokashiroom.pdf



賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.10.1

“脱法ハウス”は「寄宿舎」 間仕切り変更なしのシェアハウスも該当

 国土交通省(住宅局建築指導課・市街地建設課、土地・建設産業局不動産業課)は9月6日、居室が狭く危険な「脱法ハウス」(違法貸しルーム)は、改修の有無と関係なく建築基準法の「寄宿舎」に該当するとの判断を示したうえで、全国の自治体などに立入調査や是正指導などを通じて順法体制を徹底するよう要請しました。脱法ハウスは、居室の採光や間仕切り壁が同法に定める基準を満たしておらず、6月から開始した調査では7月までに疑わしい物件が400件ほど見つかっています。

■「間仕切り壁」や居室ごと「窓」の基準を満たせ
 「寄宿舎」の基準は、事務所や倉庫などと称して細かく仕切った施設に住まわせるケースだけでなく、近年増えている「シェアハウス」にも適用されます。こうした寄宿舎には、建築基準法で一般の住宅・事務所より防火性能の高い間仕切り壁を設けることや各居室に窓を設けることなどが義務づけられています。居室は、①間仕切りが天井に達していないケース、②凹凸を設けて空間を上下に区画するケース、③壁・床・天井で上下2段に区画するケース−−なども該当するとしています。
 自治体に住宅や事務所として届け出ている100㎡以上の施設は、用途変更が必要となるほか、貸す前の建物の用途が住宅(一戸建て)で、間仕切りなどを変更しないでシェアハウスにしたケースも該当するとしています。
 国交省では同6日、こうした判断基準を入居者や管理組合などに周知するよう一般社団法人マンション管理業協会などに要請するとともに、脱法ハウスに関する情報を提供するよう求めています。

■調査した8割以上に法令違反
 国交省には9月下旬までに約730件の通報が寄せられており、うち224件を調べたところ、間仕切り壁や照明不備などの法令違反が8割以上にあたる191件で見つかったということです。

詳細はこちら→PDF「違法貸しルーム対策に関する通知について」(平成25年9月6日)
/newsimg/kashiroom.pdf

情報提供先はこちら→「国土交通省ホームページトップページ」→「ピックアップ情報」→「違法貸しルーム情報受付窓口」
○URL:http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000052.html
○メールアドレス:kenchiku-i2yy@mlit.go.jp
○ファクス:03‐5253‐1630

成果発表会「第1回日管協フォーラム2013」 11月7日に開催

 公益社団法人日本賃貸住宅管理協会は、11月7日(月)午前11時から、東京・千代田区の日本教育会館で「第1回日管協フォーラム2013」を開催します。本部に設置された主要11委員会が、日頃の研究成果を一同に発表する年次大会で、協会では「潮目の早い業界にあって、どれも最先端の“目からウロコがおちる”内容です」と、参加を呼びかけています。
 参加費用は会員が1 社3,000円(3 名まで入場可。4 名以上は追加1 名1,000円)、会員外が1名5,000円。

■開催概要
○日時:11月7 日(木)11:00~16:30(受付開始 10:30)
○会場:日本教育会館(東京都千代田区一ツ橋2‐6‐2)
    アクセス:http://www.jec.or.jp/koutuu/
○問い合わせ先:TEL 03-6265-1555  メールinfojpm.jp
■セミナー内容
【1】外国人対応ノウハウ公開!~急増する外国人向けの賃貸住宅の管理とコツ。(国際交流研究会)
【2】管理業務見直しに最適。管理業務徹底研究~こうすれば管理業で勝ち残れる。(賃貸管理研究会)
【3】不動産オーナーのニーズに応え勝機を掴む 『7名で立ち上げ、年間取扱い3,000億円へ~東急リバブルのソリューションノウハウ~』(研修委員会)
【4】賃貸住宅管理業務・成果発表コンクール “グランプリ受賞成果発表会” ①“スチューデントデザイナー”によるマンションリフォーム ②ターゲットを絞った空室戦略(近畿ブロック)
【5】管理会社実務に変革をもたらすWEB最新トレンド、最新ITツール活用事例(東京ブロック)
【6】第4回 JPM“夢の賃貸住宅”学生コンテスト表彰式 わたしの考える“ずっと、住み続けたい賃貸住宅” 特別講演:住み続けたくなる賃貸住宅を考える(東京ブロック)
【7】(1)国交省女性課長のライフワークバランスとは?-アベノミクス成長戦略「女性活用」の追い風に乗りましょう!(レディース委員会)
(2)トップ女性ジャーナリストが占う10年後の賃貸業界-貴女は勝ち残れますか?(レディース委員会)
【8】マーケティング戦略講座~ロジカルシンキングで空室改善 ~問題解決手法&空室削減の為の戦略・戦術構築(研修委員会)
【9】(1)高齢者住宅市場・大競争時代到来!なぜ、異業種が次々と“サ付き”に参入するのか~高齢者賃貸住宅市場を分かりやすく解説 (2)介護事業者と提携して企画・運営するサービス付き高齢者向け住宅(高齢者住宅研究会)
【10】家賃滞納の損失、保証会社の収益貢献度は? 高齢化・人口減少時代の家賃債務保証会社の新たな活用方法~進化する日本の保証人制度~(家賃債務保証事業者協議会)
【11】入居率99%への大胆な戦略転換!!家賃値引き・AD料ばらまきに頼らない全国の「管理ノウハウ」徹底研究(サブリース事業者協議会)
【12】新潮流を見逃すな!賃貸管理から資産管理へ ~これからの管理会社に求められる“相続支援の知識と経験”の重要性とは(相続支援研究会)
【13】(1)知らないと大変!「賃貸市場景況感」と「賃貸トラブルの質的変化」のポイント(日管協総合研究所) (2)現場必携「生の声から学ぶ賃貸トラブル対処法」(日管協総合研究所)

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.9.26

住宅火災、平成24年は発生、死者ともに減少、警報器普及を反映か

 総務省消防庁が7月31日に公表した「平成24年(1~12月)の火災の状況」(確定値)によれば、総出火件数は44,189件、総死者数は1,721人、負傷者は6,826人となり、前年よりそれぞれ5,817件(11.6%)、45人(2.5%)、460人(6.3%)減少しました。
 このうち、住宅火災は前年より823件(5.5%)少ない14,150件で、放火自殺等を除く火災での死者は54人減(5.0%)の1,016人となりました。住宅用火災警報器の義務化などが奏功しているものと見られていますが、死者数の半分、573人が今なお「逃げ遅れ」によるものとなっています。

■課題は高齢者の死亡率をどう減らすか
 こうした減少傾向の中で懸念されているのは、住宅火災では65歳以上の高齢者の亡くなる割合が増えていること。平成24年の死者数(1,016人)のうち、高齢者は677人となり、前年より34人(4.8%)減りましたが、死者総数に対する割合は前年より0.2ポイント増えて66.6%となりました。平成14年が52.9%であったので、10年間で13.7ポイントも増えています。
 背景には高齢者人口の増加という構造的な要因に加え、住宅用火災警報器の設置などといった防火策が徹底できていないことがあると見られます。


■出火原因、「放火+疑い」が2割、住宅火災では「こんろ」が2割
 総出火件数を出火原因別にすると、①放火5,370件(12.2%)、②たばこ4,212件(9.5%)、③こんろ3,959件(9.0%)、④放火の疑い3,220件(7.3%)、⑤たき火2,430件(5.5%)の順で多くなっています。なお、「放火」と「放火の疑い」を合わせると8,590件(19.4%)となり、減少傾向にはあるものの全体の2割を占めます。
 これを住宅火災について見ると、①こんろ2,730件(19.3%)、②たばこ1,750件(12.4%)、③放火1,318件(9.3%)、④ストーブ1,169件(8.3%)、⑤配線器具622件(4.4%)などの順となっています。うち、死者の発生した住宅火災を原因別にすると、①たばこ150件(14.5%)、②放火(10.7%)、③ストーブ106件(10.3%)、④こんろ59件(5.7%)、⑤放火の疑い42件(4.1)の順となり、こんろは第4位へと減ります。


■共同住宅の火災、平成24年は4,313件、死者221人
 住宅火災のうち、共同住宅は4,313件(16.9%)あり、死者は221人(12.8%)。
 また、都道府県別概要を見ると、北海道は出火件数1,916件、死者数61人で、人口1万人あたりの出火率3.50(全国平均3.49)、人口10万人あたりの死者発生率1.11(1.36)となっています
■詳細はこちら→PDF「平成24年の火災の状況」
/newsimg/24kasai-jyoukyou.pdf

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.9.2

一生賃貸派と持ち家派、多くは自身の選択が「得である」と認識

 生涯賃貸住宅に住み続けたい「一生賃貸派」と、現在持ち家(戸建、マンション)に住む「持ち家派」、それぞれに対して意識調査を行ったところ、一生賃貸派の多くは賃貸住宅、持ち家派の多くは持ち家が“得である”と思っていました。その理由は、一生賃貸派では「住み替えやすい」、持ち家派では「資産になる」からが最多。一方、将来に向けては、家賃/ローンを支払い続けられるかを不安に感じているほか、一生賃貸派には「住み替え予定あり」が、持ち家派の2倍以上、46%もありました。

 この調査は、首都圏に住む20~40代の子持ちサラリーマンに、アットホームがインターネットを利用して7月に実施しました。対象は「賃貸住宅に住んでおり、ぜひ一生住み続けたい」と答えた一生賃貸派と、現在持ち家に住む持ち家派、それぞれ300名・計600名。

 同社発表によると、結果の概要は次のとおりとなっています。
■主な調査結果
●年収は大差なし
 平均年収は、個人で見ると一生賃貸派が655万円、持ち家派が671万円。世帯で見ると一生賃貸派が753万円、持ち家派が772万円。どちらも大差はありませんでした。
●一生賃貸、持ち家の理由
 一生賃貸派の理由で最も多かったのは「住み替えやすい」から、持ち家の理由で最も多かったのは「資産になる」から。
 一生賃貸派では、次いで「災害やローン等のリスクが少ない」「気楽/購入は面倒」という回答が続き、「ローンが嫌」「転勤がある」といった回答も挙がりました。これに対し、持ち家派で次に多かったのは「自由にできる」や「所有する安心感」などでした。
 これらの結果から、「リスクが少なく、自由で気楽であること」を優先するか、「資産として自分のものになること」を優先するかで、一生賃貸派と持ち家派に分かれる傾向にあるようです。


●どちらが得か
 一生賃貸派は77.0%の人が「賃貸の方が得」と考え、持ち家派は88.0%の人が「持ち家の方が得」と考えています。それぞれが自分の選択の方が得だと考えているわけです。
●住み続けたきっかけ
 一生賃貸に住み続けたいと思ったきっかけの1位は「転勤」(21.7%)でした。次いで「特になし」という回答が多く、ふとしたときに賃貸がいいと感じている人が多いようです。
 これに対し、持ち家を買おうと決断したきっかけは、やはり「子どもがうまれる・うまれた」(35.3%)がダントツ。2位は「結婚」(16.7%)、3位は「昔からの夢」(15.7%)となっており、一生賃貸派よりも比較的明確なきっかけがあるようです。


●将来に向けての不安
 一生賃貸派、持ち家派それぞれに「家賃/住宅ローンを将来払えなくなるかもしれない」という不安があるか聞いたところ、一生賃貸派、持ち家派ともに、4割以上が払い続けることに不安を感じていることが分かりました。

■詳細はこちら→ PDF「賃貸・持ち家意識調査」
/newsimg/motiie-ishiki.pdf

消費生活相談数は2012年度も減少続く、ただし高齢者の相談は増加傾向

 (独)国民生活センターが2013年8月に公表した「PIO-NET*にみる消費生活相談の概要」によれば、2012年度の相談件数は約85万件(前年度約88万件)となり、なだらかな減少傾向が続いています。その一方で、2004年度をピークに減少し続けていた「架空請求」が再び増え、約4万件へと倍増したとして、注意を喚起しています。また、最も増ええ「デジタルコンテンツなど」の相談は、架空請求やオンラインゲームの相談が増加したことが要因になっていると見ています。

■健康食品は送り付け商法が急増中、60歳以上に多いファンド型投資商品
 国センではほか、①相談件数では、「アダルト情報サイト」の相談が前年度に引き続き最も多い、②高齢者の相談は増加が続き、なかでも「健康食品」「ファンド型投資商品」などが目立つ、③インターネット関連で、スマートフォンやモバイルデータ通信などの「移動通信サービス」、光回線などの「インターネット接続回線」、インターネット接続回線を利用した「IP電話」に関する相談が増えている、としています。
 これらのうち、高齢者の相談に多い「健康食品」は送り付け商法が急増。特に、電話勧誘販売やネガティブ・オプション(注文しないのに送ってきて請求する)が増え、70歳以上からの相談が目立っています。また、「ファンド型投資商品」は60歳以上に多く、依然として劇場型勧誘(買え買え詐欺)が多く見られるといいます。
■相談件数の多い商品、賃貸アパート・マンションは不名誉の第4位
 相談件数の多い商品を役務別にすると、賃貸アパート・マンションは前年度より件数、割合ともに減ったものの、2012年度は33,442件(3.9%)あり、依然として第4位の多さでした。



*PIO-NET:パイオネット。国民生活センターと消費生活センターを結ぶ「全国消費生活情報ネットワーク・システム。

■詳細はこちら→PDF「国セン2012集計」
/newsimg/kokusen2012syukei.pdf

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.8.19

住宅・マンション供給、震災減の反動と増税駆け込み需要で強気

 市場経済研究所と不動産経済研究所は7月31日、「全国住宅・マンション供給調査―2014年版」を明らかにしました。それによれば、住宅供給(マンションを除く)は、2012年度の実績数が前年度比3.1%増の31万1,154戸、2013年度計画数が222社計で9.2%増の29万5,371戸となり、2013年度は特に消費税増税前の駆け込み需要を狙った動きが目立っています。
 また、マンション供給は2012年度実績数が震災による減少からの反動増で前年度比4.4%増の6万8,102戸となったうえ、2013年度計画数はこれに増税前駆け込み需要も期待して、102社計で7万5,970戸と12.8%もの増加となっています。

■調査概要
 今回が14回目になるこの調査は、住宅、マンションそれぞれについて、全国の主要企業に調査票を送り、5月から6月にかけてアンケート方式で実施しています。今回の有効回答企業数は住宅関連が245社、マンション関連が103社。
 概要は次のとおり(発表資料)。

■住宅編
●2012年度実績
・有効回答245社の2012年度の住宅(マンションを除く)供給戸数実績は合計31万1,154戸。前年度実績(30万1,720戸)に比べて3.1%、9,434戸の増加。
・景気回復への期待感や東日本大震災の復興需要がプラス要因。
・ランキング上位10社の供給戸数合計は22万4,172戸。前年度比2.6%の増加で、全体に占めるシェアは72.0%。1位:大東建託(前年度比2.0%増)、2位:積水ハウス(同6.5%減)、3位:大和ハウス工業(同8.8%増)の順。
・東建コーポレーションが前年度比11.1%増と伸ばして7位にランクイン。
●2013年度計画
・2013年度の住宅(マンションを除く)の供給計画戸数を明らかにした有効回答222社の合計は29万5,371戸。前年度の供給実績(27万532戸)に比べ9.2%、2万4,839戸の増加。
・ハウスメーカーは株高や景気回復、消費税増税前の駆け込み需要などに期待。
・供給計画戸数の上位10社の合計は23万9,170戸。前年度の供給実績に比べ6.7%の増加。全体に占めるシェアは81.0%。
・企業別の計画戸数は、1位:大東建託(前年度比11.2%増)、2位:積水ハウス(同11.6%増)、3位:大和ハウス工業(同3.8%増)などの順。強気の姿勢で臨む社が目立ち、上位10社ではタマホームを除く9社が増加を見込んでいる。

■マンション編
●2013年度実績
・有効回答103社の2012年度の供給戸数実績は合計6万8,102戸。前年度実績(6万5,259戸)に比べ4.4%、2,843戸の増加。
・東日本大震災による減少からの反動増のほか、景気回復期待による需要の高まりでプラスに。
・ランキング1~10位の企業10社の合計は3万3,489戸。前年度比8.7%の増加。全体に占めるシェアは49.2%。
・上位陣の顏ぶれは、野村不動産が5,112戸で初のトップとなった。同社は前年度比50.5%増と大きく伸ばして5位から躍進。その一方、2年連続トップだった三菱地所レジデンスは二ケタの落ち込みとなり4位に後退した。2位は前年度と同じく三井不動産レジデンシャル。3位は住友不動産で前年度より順位を1つ上げた。5位の大京は4.6%減と落ち込んだことによって、前年度の3位から2つ落としている。
●2013年度計画
・2013年度の供給計画を明らかにした有効回答102社の供給計画戸数合計は7万5,970戸。2012年度実績(6万7,320戸)に比べて12.8%、8,650戸の増加。
・東日本大震災からの回復が続くのに加え消費増税前の駆け込み需要や景気回復期待も。
・供給計画戸数上位10社の合計は3万7,372戸。前年度実績に比べ16.2%の増加で、全体の伸びを上回る。全体に占めるシェアは49.2%。
・2013年度の計画戸数が最も多いのは三井不動産レジデンシャルの6,450戸。2012年度供給実績2位の同社は30.1%も供給を増やす計画。2位は34.0%増の6,100戸を見込む三菱地所レジデンスで、上位2社は6,000戸を突破。2012年度実績トップの野村不動産は5,450戸、6.6%増と伸ばすものの3位に後退しそうだ。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.8.2

天ぷらなど、コンロで調理中はその場を離れないで!!

 安全・安心を重視した設計が進んではいても、残念ながら、その盲点を衝くかのように事故は往々にして起きるもの。火や包丁を使うキッチンには、特にそうした危険が待ち構えています。事故に遭わないようにするには、目で見て確認するという普段の心がけが大切です。集合住宅の場合は、隣人や建物全体に被害が及びやすいので、マンネリを避けつつ、しっかり啓発していきたいものです。

■コンロ使用中の発火事故(製品安全センター資料から)
 経済産業省のNITE・製品安全センターでは、キッチンでの事故防止に向けて、「調理中はその場を離れないで!!」「火を使わないIH調理器で火災!?」「グリルの“汚れ”から発火!?」と、コンロを使用中の事故防止を呼びかけています。発火・炎上したり、ケガなどをするケースが跡をたたないからです。
 天ぷら油は370度ほどになると自然発火します。コンロにはこのため、ガスだと約250度になると「調理油(天ぷら油)過熱防止装置」が作動して、ガスを自然に止めるか、小火に切り替わります。電気(IH調理器)の場合も、感熱センサーが作動して温度を低く調節します。

●古いガスコンロの場合
 しかし、古いガスコンロだと、全口に調理油過熱防止装置が付いているとは限らないので、安全のために防止装置の付いている火口を使うようにします(平成24年4月以降に発売された製品は全口に付いています=Siセンサーコンロと言います=)。また、アルミ製の汁受けを使用して、点火部や調理油過熱防止装置をふさいだために、点火不良や異常燃焼により、発火することがあるので注意しましょう。
●電気(IH)コンロの場合
 一方、「炎がないので安全」とPRされたりしている電気(IH調理器)は、揚げ物モードで調理するようにします。油量が少ないと温度が急激に上昇するため、温度センサーが正確な温度を測れず(遅れる)、発火してしまうことがあります。また、なべ底に反りやくぼみがあっても正確な温度が測れませんし、汚れ防止マットも正確な温度が測れなくなったりして発火事故の原因となる場合があります。
●オール電化の場合
 さらに、オール電化の場合、停電対策でカセットコンロ(ガス)を常備しているご家庭が少なくありません。しかし、停電はそう頻繁には起きません。その結果、コンロ上に物を置いたり、またカセットボンベをコンロ近くに置いたりすることも発火事故の原因となります。
●グリル使用中の場合
 ほか、グリルを使用していて出火し、コンロと壁を焼く事故が起きています。これはコンロを使おうとしたのに、誤ってグリルに点火。グリル内にたまっていた油脂が過熱されて発火したのです。グリルはいつもきれいな状態で使うことと、また火がついたかどうかを目で確認することが大切です。
 経済産業省は、こうしたケースをいろいろ紹介したうえで、「天ぷらなど、コンロで調理中は、決してその場を離れないでください」を呼びかけています。

■こんな事故にもご注意を!
 以上のほか、こんな事故例もあります。

●ガスコンロの下に敷いていた段ボール付近から発火し、台所が焼けた。
【原因】バーナーと可燃物(段ボール)との距離が近いと、炎が直接触れなくても、バーナーのふく射熱で発火することがある。
【対策】コンロの下に、段ボールや新聞紙、ビニールシートなどの可燃物を敷かない。
●ガステーブルのグリルで魚を焼いていたところ、グリル排気口から炎が上がった。
【原因】グリル内部に魚の脂が付着した状態で使い続けたため、引火した。
【対策】日ごろから清掃しておく。
●電気グリルで魚を焼いた後、受け皿を引き出した状態で食事をしていたら、発火した。
【原因】調理後にすぐ受け皿を引き出したことから空気が供給され、くすぶっていた炎が大きくなって発火した。
【対策】日ごろから清掃しておく。
●廃油凝固剤を入れたまま加熱し、その場を離れていたところ発火した。
【原因】凝固剤はあたたかいうち(80度以上)に入れると溶けて、固めてくれるが、冷えた油だと溶けない。このため、凝固剤をいれたまま再加熱すると、食用油より低い温度で発火してしまう(食用油の自然発火温度:370度程度、凝固剤を入れたとき:それより30~50度低い温度で発火)。
【対策】凝固剤は調理を終わったら、油が熱いうちに入れる。もし、冷えた油に入れるときは、点火する前に凝固剤を入れ、様子を見ながらかきまぜて、溶けだしたらすぐ火を消す。

日管協・2012年度下期短観、市場は回復しつつも成約賃料は下落状態

 公益社団法人日本賃貸住宅管理協会がまとめた2012年度下期の「賃貸住宅市場景況感調査」(日管協短観)によれば、DI値(*)を総合すると「市場は前年同期の水準には達していないものの、回復への動きが見られる。しかし、成約賃料は依然として下落状態にある」としています。また、「売上は総じてプラス傾向にある中、賃貸仲介は回復度が低い。売買・新築仕入は回復が見られる」としています。
 成約家賃は、全体としては「変化なし」と「減少」が拮抗しています。DI値は全体的にマイナスで、家賃は依然として下落傾向が続いています。とりわけ、首都圏で「減少」回答の割合が高くなっています。

■主な調査結果(傾向)は次のとおり。
●告知媒体
・全体では「変化なし」が最も高く、「増加」も次いで高い。DI値の推移を見ると、Web媒体が前年同期よりやや下降した。
・首都圏・関西圏と比べ、他のエリアは増加傾向がやや高く、なかでもポータルサイトでの伸びが目立つ。
●反響効果
・全体では「変化なし」と「増加」が拮抗しており、ポータルサイトでの反響効果が高い。
・関西圏ではWeb系媒体の「増加」回答が低い。
・首都圏・関西圏を除くエリアでは、ポータルサイトの反響がやや目立つ。
●反響数
・問い合わせの入り口となるメール反響数は、「増加」回答が6割弱を占める。ただし、DI値の推移は前年同期に比べ下降傾向。
・全体的に、関西圏で「変化なし」が目立つ。
●来客数
・全体的には「増加」が目立つ。DI値の推移は前年同期と比べると下降傾向。
・首都圏・関西圏を除くエリアでは、高齢者・外国人を除き、「増加」比率が他エリアより高め。
●成約件数
・全体では「増加」が5割超。DI値の推移は、前年同期に比べ賃貸は下降、売買が上昇。
・首都圏・関西圏を除くエリアで増加が目立つ。
●成約賃料
・全体では「変化なし」と「減少」が拮抗。DI値を見ると全体的にマイナスで、家賃は下落傾向が続く。
・とりわけ首都圏で「減少」回答の割合が高い。
●仕入(新規管理受託戸数)
・全体では「増加」が5割弱。
・DI値の推移は、前年同期に比べ新築戸数は上昇、既存戸数は下降した。
・特に首都圏で、全体の「増加」回答が目立つ。
●売上
・賃貸仲介・管理手数料・リフォーム関連・付帯商品は「増加」が目立つが、DI値の推移は前年同期に比べ下降が目立つ。
・首都圏・関西圏を除くエリアでは、賃貸仲介が二極化した。
●入居率・滞納率
・入居率は委託管理、サブリースともに前年同期に比べやや改善。
・滞納率は、いずれのタイミングでも前年同期に比べ改善の方向。
●平均居住期間
・前年同期と比べ大きな変化は見られない。
・首都圏・関西圏を除くエリアでは、高齢者の「6年以上」入居者が低い。
●一時金・家賃保証会社利用
・一時金はエリアによりばらつきが出た。前年同期に比べ、礼金は関西圏で、敷金は「その他」を除くエリアで下降。
・家賃保証会社利用会社数(%)は前年同期に比べ上昇。
●入居条件
・フリーレント、礼金なし物件、敷金(保証金)なし物件など、入居時の一時金が少ない物件は「増加」回答が高い。
・特に首都圏では、礼金なし物件で約7割が「増加」と回答している。
●入居時の条件交渉
・「賃料」「礼金・敷金等初期費用」の交渉は相変わらず多いが、DI値の推移はやや下降。

*DI値:業況判断指数。前年よりも増加(≒良い)と感じている企業の割合から、減少(≒悪い)と感じている企業の割合を引いた指数値。次の計算式で求めてある。
DI値={(「増えた」の回答数×2+「やや増えた」の回答数)-(「やや減った」の回答数+「減った」の回答数×2)}÷全回答数÷2×100



賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.7.17

消費税2段階引き上げ 賃貸集合住宅と消費税のイロハ

2012年8月10日に消費税増税法案が国会で成立し、消費税が現行の5%から2014年4月1日8%、翌2015年 10月1日に10%へと2段階で引き上げられる動きにあります。これには「経済情勢を見極めて判断する」という条件が付されているものの、アベノミクス効果が喧伝される中、住宅建設をはじめとしたあちこちで“駆け込み需要”が出始めています。増税となったとき、家賃は、管理料は、また施設・設備利用料はどうなるのか、消費税のイロハをおさらいしておきましょう。

■賃貸集合住宅に関する3原則
 一部で課税への動きがあったものの、今のところ住宅貸付料(家賃)は非課税。共用部分の管理料もそうです。では、どのような場合が課税対象になるのでしょうか。
 国税庁「集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定」(平成24年7月1日現在)によれば、基本原則は次の3点にあります。
○家賃…住宅の貸付けとは別に貸付けている施設や動産部分、サービス部分は、課税対象となる(一括家賃として収受しても合理的に区分のうえ課税対象となる)。
○共益費…居住者が共通に使用する部分の費用を、居住者に応分に負担させるものは、共益費、管理費など、その名称にかかわらず非課税となる。
〇別建て請求する各種料金…個別に内容が判定されるが、上記の共益費に該当するもの以外は課税対象となる。

■物件付属の駐車場・設備等は非課税
 通常は単独で賃貸借やサービスの対象となる駐車場やプール・アスレチックなどについては、それらが全住宅の貸付けに関連する場合や住人のみの利用が前提となっている場合など、住宅との結びつきが強固いものは非課税とされます。同じように、もともと居住用として建てられたり備えられたりした倉庫や家具などは、全体を家賃として収受している以上、非課税となります。
 これらは、契約書に「(賃料に)○○を含む」「賃貸借物件に○○」などと記載があれば、非課税が明確です。
 逆に言えば、駐車場利用なども賃料とは別途に「利用料」として徴収するときや、入居者以外の利用については課税対象となります。また、入居者の“別注”により賃貸借の対象となっているものは課税となります。
 消費税対策が徹底していないものはないか。「国税庁の判定基準」を参考しつつチェックを進め、遺漏のないようにしたいものです。

■詳細はこちら→PDF「国税庁の判定基準」
/newsimg/kokuzei-kijyun.pdf

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.7.1

国交省、「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を公表

 国土交通省は6月17日、戸建て・共同住宅を中古住宅として売買するときの基礎的なインスペクションとなる既存住宅の現況検査について、検査方法やサービス提供に際しての留意事項をまとめた「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を公表しました。中古住宅検査を安全性、雨漏り・水漏れ、設備配管の3観点から、実施する対象部位、劣化事象、検査方法をそれぞれ紹介しており、「これらは共通して実施することが望ましいと考えられる最小限の内容を示したもの。事業者によってより質の高いサービスが提供されることが期待される」としています。

■共通化すべき最小内容を指針化、事業者の質向上への取り組みを期待
 中古住宅は、新築時の品質や性能の違いに加えて、その後の維持管理や経年劣化の状況によって物件ごとに品質の差があり、消費者はその品質や性能に不安を感じています。このため、中古住宅の売買時に行われるインスペクションに関して、共通認識を形成しその普及を図る狙いから打ち出されたもので、戸建住宅、共同住宅かを問わず対象としています。
 ガイドラインの構成は、基本的な考え方・趣旨を示したうえで、既存住宅現況検査の適正な実施について、①既存住宅現況検査の内容(基本的な考え方、検査項目・検査方法)、②既存住宅現況検査の手順(業務受託時の契約内容等の説明、現況検査の実施・記録、検査結果報告書の作成・報告)を提示。また、検査人、公正な業務実施のために遵守すべき事項、情報の開示についても触れています。
■検査の観点・対象部位・劣化事象・検査方法



■→詳細はこちら PDF「既存住宅インスペクション・ガイドライン」
/newsimg/kizon.pdf

節電対策、半数がエアコン掃除、扇風機派4割。「すだれ」など昔の知恵も健在

 今年は目標値こそ設けられていませんが、間もなく「節電の夏」を迎えます。梅雨明けが平年より早まりそうなので、その分、酷暑に見舞われる日々が長いかも。そこで、Facebookで節電アンケートを行ったところ、節電対策のダントツトップはエアコンのフィルター掃除。また、購入予定の節電グッズは扇風機・サーキュレーターがトップ。いずれも「賢い選択」に関心させられますが、効果から言うと、例えばガスへの切り替えなども考えてほしいところです。

■4人に1人は「グリーンカーテン」、行政の支援も後押しか
 この調査は、不動産・住宅情報サイト「HOME’S」が5月下旬から6月初旬にかけ、「暮らしといっしょ」Facebookファン1,492人を対象に行いました。
 その結果、1位はすぐにできる「エアコンのフィルター掃除」。5割の人がするようです。フィルターを掃除すると送風力がよくなり、冷房効果が向上し、CO2の削減や節電にも効果があります。
 続いて多かったのは、4人に1人が実践するという「グリーンカーテン」。ゴーヤやヘチマで作るので、太陽光を遮るだけでなく、葉面から気化熱で建築物や周辺を冷却する効果もあります。補助金、奨励金を出す自治体も多く、涼しく夏をすごす方法として定番化しつつあります。
 9位までの節電対策は下記のとおりですが、ほかにもいろいろな対策があがっていますので、参考にしてみてください。

●夏に向けてしようと思っている「節電対策ランキング」(複数回答可)
第1位 エアコンのフィルターを掃除する(50%)
第2位 ゴーヤやヘチマなどで「グリーンカーテン」を育てる(25%)
第3位 白熱電球からLED電球等に変える(24%)
第4位 特になし(18%)
第5位 電力消費の少ない家電に買い替える(17%)
第6位 節電アプリをダウンロード(7%)
第7位 ソーラーパネルの設置(6%)
第8位 その他(4%)
第9位 涼しい地域への引っ越しを検討(1%)

●節電対策 その他の回答(抜粋)
□エアコンを使わない □冷蔵庫にカーテンを付ける □清涼感のある服を取り入れる □ベランダに打ち水をする □無駄な電気のコンセントは抜く□ウォーターミストを肌に吹きかける □窓ガラスへUVカットシートを貼る □家事などを朝早く起きてする □髪を切る □ベッドに冷たくなるシーツを敷いて寝る
■2位以下にクール寝具、ひんやりグッズ、クールインナーが台頭
 一方、購入予定の節電グッズを聞いたところ、第1位は扇風機・サーキュレーター。エアコンと併用することで床にたまりがちな冷気を循環させ、少ない電気で室内の温度を下げることができ、節電にも効果的です。
 人は風を感じると体感温度が2度下がるそうです。トップ10には、クール寝具やクールインナーなど最新技術を活かした商品だけでなく、5位にすだれ、8位には扇子が入るなど、昔から受け継がれてきた涼をとる知恵は今なお健在のようです。

●購入予定の「節電グッズ・トップ10」(複数回答可)
第1位 扇風機・サーキュレーター(42%)
第2位 クール寝具(33%)
第3位 保冷剤、冷却スプレーなどの“ひんやりグッズ”(28%)
第4位 クールインナー(24%)
第5位 すだれ・よしず・サンシェード(19%)
第6位 特になし(17%)
第7位 遮光カーテン・遮熱シート(16%)
第8位 扇子・うちわ(15%)
第9位 風鈴(6%)
第10位 その他(2%)

●購入予定の「節電グッズ」 その他の回答(抜粋)
□井戸水利用の自家製クーラー □シーリングファン □ござ □かき氷器 □冷風扇 □LEDシーリングライト □今年の新製品(エアコン)をすでに買った □冷却湿布 ソーラー充電器 □薄荷油 など

■節電協力は、「エアコンの28度設定」が基本
 では、私たちはどんな節電に協力できるのでしょうか。その1位は、エアコンの28度設定でした。28度に設定すると、建物全体の約4%の節電効果になるとのこと。多くの人たちの協力が得られれば、第2位の「公共施設の照明を抑える」とともに、大きな節電効果が期待できます。
 話題になってきた「サマータイムの導入」は第4位。今年は導入する会社や学校が増えるかも。

●節電に協力できること・トップ10
第1位 お店やオフィスのエアコンの室温設定を28度にする
第2位 公共施設の照明を抑える
第3位 自動販売機を減らす
第4位 サマータイムを導入する
第5位 観光地のライトアップをやめる
第6位 コンビニ・商業施設の営業時間を短縮する
第7位 エスカレーター・エレベーターの稼働台数を減らす
第8位 特になし
第9位 企業や学校の始業時間を早くする
第10位 その他

■詳細はこちら→「HOME'S HP」
http://www.next-group.jp/press/corp/130621.html

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.6.19

平成25年版「土地白書」、土地利用の変化に伴う「空き地の有効利用」を提起

 国土交通省は6月11日、平成25年版「土地白書」を公表しました。「24年度土地に関する動向」と「25年度土地に関する基本的施策」の2つに分かれており、24年度土地動向では24年度の地価・土地取引などの動きを報告しているほか、近年の地価下落の要因や不動産市場のグローバル化、少子高齢化が進む中での土地利用の方向性を分析しています。一方、25年度土地基本的施策では、政府が土地に関して講じようとしている基本的施策を紹介しています。

 この平成25年版で注目されるのは、不動産市場における資産価格の変動とグルーバル化、また経済社会構造の変化と土地利用について、分析と問題提起を行っていることです。
 これらの中から、アパート・マンションオーナーの関心が高い「地価の動向」と「住宅市場の動向」部分を抜粋するとともに、問題提起をしている「土地利用の変化と空き地の有効利用」から「相続による不動産の移転とその活用」部分をピックアップして紹介します。

【地価の動向】
■公示地価の下落率は縮小、一部地域では回復傾向も
 平成25 年の公示地価は、全国的に依然として下落を示したが、下落率は縮小し、上昇・横ばいの地点も大幅に増加するなど、一部地域において回復傾向が見られる。
 用途別に見ると、住宅地は低金利や住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支えもあって、下落率は縮小した。都市中心部では、住環境が良好である地点や交通利便性の高い地点で地価の上昇が見られたほか、郊外の住宅地でも都心への利便性の高い地点で地価の上昇が見られる。
 商業地は、全都道府県で前年より下落率が縮小した。依然としてオフィスの空室率は高いが、新規供給の一服感から低下傾向にあり、オフィス利用地の下落率は縮小している。主要都市の中心部においては、耐震性に優れる新築・大規模オフィスへ業務機能を集約させる動きのほか、拡張や好立地への移転も見られ、優良なオフィスが集積している地域の地点の地価は下げ止まってきているが、中小の古い旧耐震ビルの多い地域は依然需要は弱い。



【住宅市場の動向】
■新設着工は3年連続で増加、マンション市場もプラス傾向
 平成24 年の新設住宅着工戸数は882,797 戸(前年比5.8%増)となり、3年連続の増加となった。マンション市場の動向を、新規発売戸数の前年同期比で見ると、首都圏では平成24 年10-12 月期に一時的にマイナスとなったものの、概ねプラスで推移している。近畿圏では平成23 年10-12月期以降プラスが続いており、平成24年4-6 月期以降はプラス幅が拡大している。
【相続による不動産の移転とその活用】
■宅地資産の保有者は6割が60歳以上、相続を機に遊休化も
 我が国では、60 歳以上の高齢者が宅地資産の約60%、約530 兆円の宅地資産を保有しており、多くの土地資産が高齢者によって保有されている。少子高齢化が進むと、30~40 代の子育て世代等が宅地資産を取得しても、その後相続や親等からの贈与で再び不動産を取得する可能性が高まっていく。そして、そのような場合には積極的な活用意思がないままに不動産を所有することとなり、相続をきっかけとして有効活用されない不動産が増加するおそれもある。
 住宅の敷地以外の土地のうち、主なものについて、その利用状況を尋ねたところ、「自分が利用している」との回答は4割弱となっており、未利用であるとの回答は約3割となっている。今後相続する可能性がある土地について同様に見てみても、利用する予定はないとの回答が3割強となっている。


持ち家派が8割を切り、借家派が上昇中! 昨今の経済情勢を反映か

 「持ち家」派が8割を切り、「借家」派が上昇中!――国土交通省が平成25年版「土地白書」に合わせて6月11日に公表した「土地問題に関する国民の意識調査」で、こうした傾向が明らかになり、国交省からは「昨今の所得や経済環境から、土地所有にこだわらない風潮が広がっているのではないか」(幹部)との見方が出ています。

■国土交通省「土地問題に関する国民の意識調査」
 この意識調査は、調査員が面接聴取する方式で例年実施しており、今回は今年1月中旬から2月初旬にかけ、全国3,000人(成人男女)を対象に行い、1,718件(57.3%)の有効回答を得ました。
 土地・建物については「両方を所有したい」と希望する人が79.8%となり、わずかながら12年ぶりに8割を下回りました。これに対し、「借家(賃貸住宅)で構わない」と回答した人は平成5年度の調査開始いらい最高の12.5%へ増加。また、「建物を所有していれば、土地は借地でも構わない」とした割合も前年調査の4.4%から4.9%に増えました。

 平成25年意識調査のポイントは次のとおり。
【土地所有の有無】
■配偶者を含む土地の所有者68.6%、非所有者30.6%
 対象者または配偶者の土地所有について聞いたところ、「現在居住している土地のみを所有」が45.8%、「現在居住している土地と、それ以外の土地を所有」が21.5%、「現在の居住地以外の土地のみを所有」が1.3%で、何らかの土地を所有している者の合計は68.6%となっている。「土地は所有していない」のは30.6%。
 「現在居住している土地のみを所有」の割合は、平成11年度以降は40%台で推移している。都市規模別では、「現在居住している土地のみを所有」は東京圏で、「現在居住している土地と、それ以外の土地を所有」と答えた者はその他の市町村(地方圏)でそれぞれ高くなっている。
【未利用地の有無】
◆「利用していない土地がある」のは土地所有者の39.3%にも
 対象者またはその配偶者が「現在居住している土地と、それ以外の土地を所有」または「現在の居住地以外の土地のみを所有」している者(392人)のうち、利用していない土地が「ある」と答えた者は39.3%となった。過去の調査結果と比較してみると、前年度からほとんど変化はみられない。また、都市規模別でも大きな差異はみられない。
【土地の未利用理由】
■未利用土地、46.1%は「相続したが、利用予定がない」
 「現在利用していない土地がある」と答えた者(154人)に理由を聞いたところ、「遺産として相続したが、今のところ利用する予定がないため」が46.1%と最も高く、以下「当初から特に利用目的はなく、土地を資産として所有していたいため」(20.1%)、「体力的な問題や後継者不足のため」(18.2%)などの順となっている。
 前年度と比較すると、「遺産として相続したが、今のところ利用する予定がないため」が5ポイント増加。一方、「将来の生活設計のため」は5ポイント、「体力的な問題や後継者不足のため(農地、山林、商店・工場跡地など)」は4ポイントそれぞれ減少している。
【住み替える理由】
■住み替える理由は、37.0%が「自分の持ち家でないから」
 現在の住まいから住み替える(「5年以内に住み替えるつもり」「将来的に住み替えるつもり」)と答えた者(311人)に理由を聞いたところ、「自分の持ち家でないから」が37.0%と最も高く、以下「結婚、子供の誕生、親との同居など世帯の人数の変化」(29.3%)、「仕事(転勤・転職・就職・退職)、入学など学校の関係で」(23.8%)、「狭かったり、老朽化していたり、設備が不足しているから」(19.6%)などの順となっている。
 過去の調査結果と比較すると、「自分の持ち家でないから」が5ポイント、仕事、入学など学校の関係で」が4ポイントそれぞれ減少している。一方、「結婚、子供の誕生、親との同居など世帯の人数の変化」は4ポイント増えている。
【今後望ましい住宅形態】
■「戸建て・マンションどちらでも」「マンション」志向に多い賃貸派
 望ましい住宅を聞いたところ、「一戸建て」が71.3%と最も高く、以下「戸建て・マンションどちらでもよい」(16.7%)、「マンション」(10.4%)となっている。前年度とほとんど変わらない。
 都市規模別にみると、「一戸建て」はその他の市町村(地方圏)で、「戸建て・マンションどちらでもよい」は東京圏で、「マンション」は東京圏、大阪圏、地方中核都市(地方圏)でそれぞれ高くなっている。
 住居形態別にみると、「一戸建て」は持ち家で高く、「戸建て・マンションどちらでもよい」「マンション」は賃貸住宅で高くなっている。
【住宅の所有に関する意識】
■「借家(賃貸住宅)で構わない」が過去最高の12.5%に
 住宅の所有についてどう思うか聞いたところ、「土地・建物とも所有したい」が79.8%、「建物を所有していれば、土地は借地でも構わない」が4.9%、「借家(賃貸住宅)で構わない」が12.5%となった。
 「借家(賃貸住宅)で構わない」は平成5年度調査以降おおむね10%前後で推移しており、今回はわずかの差ではあるが12.5%と今までで最も高くなっている。
【借地で構わない理由・借家で構わない理由】
■借地・借家派は、念頭に“住み替え”あり
①借地で構わない理由
 「建物を所有していれば、土地は借地でも構わない」と答えた者(84人)に、理由を2つまで聞いたところ、「年齢・家族構成・収入等に応じて住み替えをしていくには、借地の方がよいから」をあげた者の割合が35.7%と最も高く、次いで、「子どもや家族に土地の形で財産を残す必要はないから」が34.5%となっている。(2つまでの複数回答)

②借家で構わない理由
 「借家(賃貸住宅)で構わない」と答えた者(214人)に、その理由を2つまで聞いたところ、「年齢・家族構成・収入等に応じて住み替えをしていくには、借地または借家の方がよいから」が46.7%と最も高く、以下、「子どもや家族に土地・建物の形で財産を残す必要はないから」(31.3%)、「土地・建物を所有できなくても、ローン返済により生活水準を落としたくないから」(16.8%)などの順となっている。(2つまでの複数回答)



【土地は有利な資産か】
■土地は有利な資産か!? 「そう思わない」が37.2%
 「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産である」と思うか聞いたところ、「そう思う」は32.9%、「そうは思わない」は37.2%となった。ほか、「どちらともいえない」は24.9%。「そう思う」は平成5年度調査以降、平成15年度と並んで最も低くなっている。都市規模別にみると、「そうは思わない」は大都市圏に比べ地方圏で高くなっている。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.6.12

家賃が上がってもほしいのは、24時間ごみ出し・宅配ボックス・防犯カメラ

 家賃が多少上がってもほしいサービスや設備は、24時間ごみ出し、宅配ボックス、防犯カメラ。おカネを払ってでも受けたいサービスはプロバイダサービス、防虫駆除、クリーニング受付。首都圏で賃貸物件に契約をした人に、店頭で依頼したうえでWEBアンケートを実施したところ、こんな回答が上位になったということです。

■防犯カメラは、「二人~ファミリー」27.7%に対し「一人暮らし」22.8%
 この調査は2012年9月から2013年3月までに契約した人を対象に実施し、1,137件の回答を得ました。内訳は一人暮らし791件、二人~ファミリー346件(二人127件、ファミリー219件)。
 これによれば、家賃が多少上がってもほしいサービス・設備は、24時間ごみ出しが41.1%でトップ。次いで、宅配ボックス28.4%、防犯カメラ24.3%が多く、あと録画機能付きオートロック、トランクルーム(外部収納)、共用部のまめな清掃が10%台で続きました。
 防犯カメラは、「二人~ファミリー」では27.7%と高く、「一人暮らし」では22.8%でした。

■おカネを払っても受けたいのは、プロバイダサービス・防虫駆除・WIFI
 また、おカネを払ってでも受けたいサービスとしては、プロバイダサービスが33.0%で最も多く、僅差でゴキブリ・ダニなどの防虫駆除サービス(30.0%)が続きました。また、クリーニング受付(25.8%)、WIFIサービス(24.8%)、防災・非常用品の備蓄(21.1%)が20%台、さらにカーシェアリング、水宅配サービスが10%台ありました。
 クリーニング受付とWIFIは「一人暮らし」でそれぞれ27.1%、26.2%と高く、防災・非常用品の備蓄は「二人~ファミリー」が25.7%と高くなっていました。

■初期設備としてほしいのは、「一人暮らし」で高率
 一方、最初から付けておいてほしい設備・仕様としては、多い順に壁掛け薄型テレビ16.9%、洗濯機15.4%、乾燥機15.2%、カーテン14.2%、電子レンジ11.2%となっていました。このうち、テレビを除く洗濯機、乾燥機、電子レンジなどは、いずれも相対的に「一人暮らし」の数値が高く、特に冷蔵庫は「一人暮らし」が17.6%であるのに対し、「二人~ファミリー」では9.5%と大きく乖離していました。

■「知っているし、ほしい」のは、1位LED照明、「ほしくない」は太陽光
 エコ設備についての認知度とほしいかどうかを聞いたところ、「知っているし、ほしい」はLED照明が70.6%、断熱サッシが59.5%、窓遮熱フィルムが57.4%。ほか、高効率給湯器(エコキュート・エコジョーズなど)48.1%、太陽光発電・太陽光パネル41.7%、家庭用燃料電池(エネファーム)38.3%、太陽熱温水器34.7%となりました。
 ただ、「知っているが、ほしくない」では、賃貸住宅の契約者という属性もあって、太陽光発電・太陽光パネルが48.5%、家庭用燃料電池が40.5%、太陽熱温水器が40.2%と4割もありました。

■詳細はこちら→PDF「入居者ニーズ意識調査」
/newsimg/nyu-kyo.pdf

節電対策は、一過性ではない、生活スタイルを見直す取り組み

 限りあるエネルギーを大切に使おう、という考え方から始まった「省エネ」。近年は地球温暖化を招くCO2の排出量を減らそうという動きと相まって、一般家庭でもいろんな取り組みが見られます。石油連盟が行った「省エネルギー」アンケート調査でも、節電対策が一過性ではなく、生活スタイルを見直す動きへと広がりつつある傾向がうかがい取れました。

■石油連盟が調査・分析
 石油連盟は2013年3月18日、ホームページを活用した「2012年度・第2回「省エネルギー」アンケート調査の結果を公表しました。調査は2月に実施し、5,347人から回答を得ました。回答者の年代は30代が30.6%、40代が23.3%と多く、ほか10代5.6%、20代18.0%、50代13.7%、60代7.4%、70代以上1.4%など。男女比率は、男性40.1%に対し女性が59.9%を占めています。

■「省エネ」という言葉のイメージについては?(複数回答)
 「節約」が87.8%、「環境」が63.8%と回答した人が多く、以下「自然」29.8%、「我慢」が21.4%、「シンプル」が19.1%、「不便」が5.8%となりました。
 また、現在の便利で快適な生活を多少犠牲にしてでも、「省エネ」に努める気持ちがあるかを問うと、98.3%の人が「ある」または「少しはある」と答えました。

■毎日の生活の中で「省エネ」を意識して実践しているか?
 「意識して実践している」は61.4%。一方、「意識はしているものの実践は伴っていない」は33.1%。意識している人は94.5%もいますが、3人に1人は実践が伴っていない現状にあります。
 では、「省エネ」のためにどのようなことをしているか(複数回答)を問うと、「電気機器を不必要につけっぱなしにしない」が84.7%で最多。また、「冷房時の室温は28℃を目安としている」は53.5%、「暖房時の室温は20℃を超えないようにしている」は50.4%となりました。
 ほか、「省エネタイプ機器の購入」は43.9%、「こまめに修理・掃除をする」23.4%、「家屋の断熱・放熱」は23.2%ありました。
 年代別に1人当たり実践項目を見ると、30代以上はどの世代でも平均でほぼ3項目を実践しているのにし、20代は2.6項目、10代は2.2項目と少なくなっています。

■省エネを実践した結果、どの程度使用量を減らせたか?
 「分らない」が54.7%と最も多く、次いで「5~10%」が18.6%、「1~5%」が14.7%、という結果。「分からない」が半分強もあることは、省エネ効果を確認し進んで取り組むという流れを絶っていることにもなり、今後の課題と言えます。
 「分からない」と回答している年代別の比率は、10代が67.4%、20代が63.6%と多く、30代55.6%、40代53.9%、50代45.4%などと、高年代になるにつれて減る傾向にあります。

■「節電」という言葉にどういうイメージをもっているか?(複数回答)
 「生活スタイルを見直す良い機会」という回答が72.4%と突出して多く、「原発再稼働するまでの辛抱」という回答は6.6%にとどまりました。「節電」への取り組みも、多くの人たちが「計画停電」を体験したことで、一過性ではなく、自らの生活スタイルそのものを見直す意識や実践が定着しつつあることがうかがえます。
 実際に行っている節電対策(複数回答)は、「電球・蛍光灯の間引き、LED化」が46.8%と最も多く、経済的にやりやすい易いところが先行。これに、「電力消費の少ない冷房機器の購入・利用」が32.0%、「電力をほとんど使わない暖房機器の購入・利用」が30.4%と続き、「特になにもしていない」は17.8%でした。

■詳細はこちら→PDF「2012年度第2回アンケート結果」
/newsimg/anke-to.pdf

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.5.24

シェールガス、メタンハイドレートをうたう“買え買え詐欺”に注意を

 (独)国民生活センターによれば、昨年10月以降、新たなエネルギー事業への投資などを勧誘する“買え買え詐欺”の相談が増えており、過去に勧誘被害に遭ったことのある人や、不安や恐怖を少しでも感じた人は、警察署や消費生活センターに相談するよう注意を呼びかけています(5月9日)。

■昨年10月以降に急増
 東日本大震災のあと、再生可能エネルギーへの関心が高まったことから、太陽光発電などをうたった詐欺が増えましたが、最近は採取技術の進展で商業化が進んでいるシェールガス(アメリカ、中国など)やメタンハイドレード(日本近海など)が脚光を浴び始めていることから、これらをうたった詐欺の相談事例が増えています。
 国民生活センターのPIO-NETへの登録相談数は、それまで数件でしたが、昨年10月に21件、11~2月には毎月60件前後へと急増。その後も、後を絶たない状況にあります。

■被害に遭わないためには、はっきり断ることがポイント
 国民生活センターでは、①「権利を高値で買い取る」などと持ちかけてくる勧誘の電話には「興味ありません」「お断りします」と言って電話を切る、②業者の話をうのみにせず、お金を払う前に周囲の人や消費生活センターに相談するようアドバイスをしています。

■事例1 シェールガスの施設運用権で高配当をうたう業者
 母宛にA社から、シェールガスを掘っている会社の案内書が届き、1口120万円で1年後の償還時に6~8%の分配金が上乗せされるという施設運用権の説明があった。
 その後B社から電話があり、「運用権はDMが届いた人しか買えないので名義を貸してほしい。後で法人名義に変更し、C社に倍の価格で買い取ってもらえる。後日謝礼をする」と言われたので了承した。その後さらに、「当社が半額負担するのであと10 口買ってほしい。500万円を宅配便でA社に送金してほしい」と言われた。その後もB社から名義変更手数料等の名目で請求され、A社に送った。
 母から話を聞いて詐欺だと注意したが、母は謝礼の話を信じている。
(2012 年11 月受付、契約当事者:60 歳代女性)

■事例2 メタンハイドレートで景気が回復すると、ファンドを勧誘する業者
 A社から電話があり、「海外リゾートで成功し、メタンハイドレートの採掘に携わっているB社の資料が届いていないか。B社のファンドを欲しがっている人がいるが、地域指定があって購入できないので名前を貸して欲しい。お金は欲しがっている人が払う。8,000 万円の申し込みをすれば、報酬として1,600万円と過去の投資詐欺での被害額分を払う」と言われ、B社に申し込み、契約を交わした。
 その後、B社より「ファンドを1 億円欲しがっている人がいて、会社が契約に動いている。4,000 万円を支払って欲しい」と連絡があり、「支払えない」と伝えたところ、A社からも何度も電話があり、「やめると家族が大変なことになる」と電話で脅された。
(2012年12月受付、契約当事者:50歳代女性)

■詳細はこちら→PDF「国セン 新エネ買え買え詐欺」
/newsimg/kokusen-sagikeikoku.pdf

住宅セーフティネット事業、平成25年度受付がスタート

 低額所得者や被災者、高齢者などの入居に向け、既存の民間賃貸住宅が行う耐震改修工事などへの補助制度、「住宅セーフティネット整備推進事業」の応募申請受付が、民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業実施支援室(東京)で4月10日から始まっています。

■民間賃貸の耐震・バリアフリー・省エネ改修を国が補助
 この補助制度は、民間賃貸住宅が行う耐震改修、バリアフリー改修、省エネルギー改修工事に国が補助金を交付して支援する制度です。現在空家があり、改修後に住宅確保要配慮者(低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを育成する家庭、その他住宅の確保に特に配慮を要する者)の入居を拒まないことなどが条件となります。

■対象となる住宅
 対象となる住宅は、①1戸以上の空家がある(改修工事着工時点で入居者募集から3カ月以上人が居住していないもの)、②改修工事後に賃貸住宅として管理する、③原則として空家の床面積が25㎡以上である、④台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室がある、という4条件を満たすことが必要です。
 原則として全国どこでも応募・実施が可能ですが、京都、福井、沖縄県では一部ないし全県で事業ができません。

■改修工事の要件
 改修工事の要件は、表「改修工事の要件」にある通り、空家か共用部分での工事のうち、少なくとも耐震、バリアフリー、省エネの1つを含む改修工事を実施することが必要になります。

●改修工事の要件
 空家部分または共用部分における以下の工事のうち、少なくとも1つの工事を含む改修工事を実施することが必要。

■補助の対象となる費用
 補助の対象となる費用は、①空家部分で実施する改修工事(バリアフリー改修、省エネルギー改修)と、②共用部分で実施する改修工事の費用。空家戸数×100万円を限度として、改修工事費用の1/3を補助されます。つまり、空室1室あたり最高で100万円の補助が受けられます。

【問い合わせ・応募・交付申請書類提出先】
民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業実施支援室
住所:〒103‐0027 東京都中央区日本橋1-5-3 日本橋西川ビル5F
電話:03‐6214‐5690[受付:月~金曜日(祝日・年末年始を除く)9:30~17:00]
HP:http://www.minkan-safety-net.jp

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.5.13

平成24年度の借家建設、4年ぶりの増加

 国土交通省が4月30日に公表した平成24年度の「建築着工統計調査報告」(修正版)によれば、新設住宅着工戸数は前年度より6.2%多い89万3,002戸となり、3年連続で増加しました。うち、借家は10.7%多い32万0,891戸で、4年ぶりに増加しました。

■被災3県の増加率が突出
 借家を地域別に見ると、首都圏が5.3%増、中部圏が5.8%増、近畿圏が5.3%、その他地域が19.2%増で、地方別では復興需要が続いている東北が69.3%増、次いで北海道が18.9%などとなっています。一方、北陸と四国は2%台の減少。
 東北では岩手(123.4%増)、宮城(89.8%増)、福島(88.8%増)の被災3県での借家建設が突出しています。これら3県では持ち家の建設もラッシュ状態にあり、給与・分譲住宅を含めた新設着工総数は岩手8,121戸(56.8%増)、宮城21,17戸(48.1%増)、福島12,421戸(53.5%増)と増えています。



今夏のエネルギー対策、節電目標は設定せず、新料金制活用も提唱

 政府は4月26日、平成25年6月から9月までの「今夏の省エネルギー対策」を発表しました。今夏は「各地域とも最低限必要とされる3%以上の予備率は確保できる」(省庁連絡会議)ことから、節電目標は設定しないものの、別途に進めている電力需給対策と一体となった省エネ対策をとることで、国、地方公共団体、事業者及び国民が一体となった省エネを一層推進するよう求めています。

■冷房は28度C、クール・ビズを励行、熱中症を予防
 このうち、住宅・ビル関係については、住宅・ビル等の省エネ対応と、エネルギー消費効率の高い機器の選択・購入の2つを提唱しています。また、運輸分野では公共交通機関の利用やエコドライブの実践など4点を求めています。
 なお、省庁関係では「冷房中の室温は28度Cを徹底する「ブラインドで日射を遮り換気量を適切に調整するなど、きめ細かな管理を行う」「クール・ビズを励行するとともに、熱中症の予防も周知する」としています。

■時間帯別・季節別の電気料金メニューの活用
①住宅・ビル等
・外壁・窓等を通した熱損失の防止(エコ住宅の新築、エコリフォーム)
・ディマンドリスポンス(*)に対応した時間帯別・季節別の電気料金メニューの活用
・エネルギー使用機器を最適に制御するシステム(BEMS・HEMS)の導入
*ディマンドリスポンス:需要応答。ここでは、割高な料金が設定されている昼間時の需要を抑制し、割安な料金が設定されている夜間時へ移行させる仕組みを指す。
②エネルギー消費効率の高い機器の選択・購入
・家電機器、OA機器等は、省エネラベル【図1】、国際エネルギースターロゴ【図2】、政府、・事業者が提供するエネルギー消費効率情報を参考にしつつ、省エネ性能の高い機器を選ぶ。

 [図1]省エネルギーラベル (例) 
  


 [図2]国際エネルギースターロゴ   [図3]統一省エネルギーラベル (例) 
  


  


■エコドライブを実践しよう
○運輸分野
①省エネ法に基づくエネルギー管理の実施
②公共交通機関の利用促進
③エネルギー消費効率のよい輸送機関の選択
④ エコドライブの実践

■詳細はこちら→PDF「25年夏季の省エネ」
/newsimg/summer-syouene.pdf

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.5.1

ガス・電気・石油「給湯器」の転倒防止、改正基準が4月より施行

  大規模地震が起きたとき、給湯設備が転倒・移動することによる被害を防止するため、ガス、電気、石油給湯器の転倒防止措置が明確化され、アンカーボルトなどの徹底を求める改正基準が4月1日から施行されました。

 東日本大震災では、アンカーボルトで固定されていなかった電気給湯器(エコキュート)の転倒・移動による被害が多発しました。このため、建築基準法施行令(第129条の2の4第1項)による告示(建築設備の構造耐力上安全な構造方法を求める告示)が平成24年12月12日に改正され、転倒防止の基準が明確化されました。
 対象となる給湯器は、「満水時の質量が15kgを超えるもの」で、高効率給湯器「エコウィル」、燃料電池「エネファーム」、太陽熱利用システム「SOLAMO」などは「給湯ユニット」に適用されます(適用対象外の「発電ユニット」は確実な取り付け・据え付けを徹底する)。
 転倒防止措置には「アンカーボルト等方式」と、「計算により安全上支障のないことを確認する方式」があり、アンカーボルト等方式の場合にはその種類と本数が固定部位、設置場所、質量に応じて規定されています。
 アンカーボルトなどによる固定方法には、①低部を固定(給湯ユニットなど)、②上部を固定(据え置き式など)、③上下などを固定(壁掛け式など)などがあります。

■固定方法例

出典:全L協など5団体制作のガス業界向けチラシより

■詳細はこちら→PDF「給湯設備の転倒防止対策」
/newsimg/setubi-tentoubouci.pdf

仕送りが細りバイト収入に頼る学生たち 暮らし向きは「楽」が大幅増

 この数カ月こそ「アベノミクス」で景況感が好転していますが、長期にわたる経済低迷で学生たちを取り巻く環境は依然として厳しいはず。そう思いきや、全国大学生協連が毎年行っている「学生生活実態調査」によれば、意外な一面も…。

 全国大学生協連(全国大学生活協同組合連合会)はこのほど、全国の国公立と私立の計30大学の生協で回収した8,609名分の調査結果を公表しました。調査を行ったのは民主党・野田政権が一段と混迷を深めていた昨年10~11月です。
 調査結果から、住居と経済状況、そして暮らし向きに対する意識の結果をピックアップしてみました。
■自宅生がやや増え、下宿生と半々に。下宿ではマンションが増える
●学生たちの住居形態
 学生たちの住まいは、自宅が47.9%(前年45.2%)に対し、下宿が49.4%(52.0%)、寮が2.6%(2.8%)。自宅派が増えて下宿派に迫りました。下宿の形態は、前年よりは減ったもののアパートが56.8%、増えたマンションが36.4%、また学生会館が2.6%などとなっていました。

■厳しい経済状況が固定化、奨学金も減って収入増はバイト頼り
●学生たちの経済状況
 厳しい経済状況が固定化し、奨学金も減少し、収入増はアルバイトに頼っていました。
しかし、暮らし向きは意外にも「楽」が大幅に増加し、今後の見通しも好転していました。
○下宿生の生活費:仕送りは引き続き減少、バイト代が増え5年ぶりに収入増
 学生たちのうち、下宿生の生活費を見ると、収入合計は12万0,640円となり、前年より1,740円増えていました。仕送りは170円少ない6万9,610円となり、減少幅が小さくなったものの6年連続で減りました。仕送り「0」も10.0%と4年連続で1割を超え、「0」を含む5万円未満は25.1%から26.8%に増えました。


 また、奨学金収入は2万5,380円でほぼ前年並みでしたが、3年生は1,310円減っていました。
 これらに対し、バイト代は1,560円増えて2万3,100円になりました。バイトの就労率も1年生が47.9%、2年生が68.0%へと増え、収入はそれぞれ4,370円、2,690円増えています。
 一方、支出合計は11万5,570円となり、前年より810円増えました。食費が2万2,900円(310円増)、住居費が5万3,420円(400円増)、貯金・繰越1万710円(420円増)などと、いずれも増えているためです。
 食費は増えはしましたが、引き続き1976年(2万2,970円)並みの金額。ただし、1年生と2年生は食費での増加がそれぞれ700円、770円となるなど、支出合計もそれぞれ3,830円、1,940円も増加しました。

○奨学金の受給 下宿生の受給割合は43.6%とあまり変わらず推移
 奨学金の受給率は37.2%で、自宅生は29.5%、下宿生は43.6%。推移は09年37.2%(自宅生27.5%、下宿生44.6%)→10年37.3%(自宅生27.8%、下宿生44.4%)→11年37.9%(自宅生29.9%、下宿生43.4%)。下宿生での割合はあまり変わらないものの、自宅生は年々受給率が増えていました。

■「大変楽」+「楽」が増え、今後の生活も「苦しくなる」は減少
●暮らし向きに対する意識
 暮らし向きについて、「大変楽な方」+「楽な方」は50.5%で、「ふつう」は38.7%。これに対し、「苦しい方」+「大変苦しい方」は10.2%となっています。「ふつう」が前年から4.4ポイント減り、「大変楽な方」が5.5ポイント、「楽な方」が1.6ポイントそれぞれ増加し、意外な結果になっています。
 住まい別では、自宅生は「大変楽な方」+「楽な方」が53.0%で、前年より9.4ポイントも増えました。一方、下宿生は4.8ポイント増にとどまり、好転に開きが生じています。
 今後の見通しについては「かなりよくなりそう」は2.7%(0.7ポイント増)、「少しよくなりそう」は13.7%(1.5ポイント減)で、ほぼ前年並み。一方、「少し苦しくなりそう」は18.2%(8.6減)、「かなり苦しくなりそう」3.7%(1.7ポイント減)へと減り、「変わらない」が50.8%(10.1ポイント増)と大幅に増加しています。
 全国大学生協連はこの結果から「現状、今後ともに楽観視する学生が増加した」と見ています。

■詳細はこちら→ HP「全国大学生協連」(第48回実態調査)
 (http://www.univcoop.or.jp/press/life/report.html)

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.4.22

限界に近づいた北海道の大規模太陽光発電の接続、エネ庁が対応策打ち出す

 太陽光発電の一般家庭への普及とともに、メガソーラーなどの建設が全国各地で進んでいますが、資源エネルギー庁は4月17日、500kW以上の大規模太陽光発電の約3割が集中している北海道では電力会社の接続量が限界に近づきつつあるとして、接続についての対応策を固めたうえで、北海道電力とも検討に入りました。沖縄も同様に限界に近づきつつあるなど、太陽光・風力発電が普及拡大していくと、今後この問題がさらに拡大していくことが予想されます。

■大規模太陽光発電、北海道に全国の3割弱が集中
 大規模の太陽光発電は、土地の確保のしやすさと土地代の安さから、北海道への立地が全国の3割弱と集中しています。一方、北海道は電力の系統規模がもともと小さいため、再生可能エネルギーの接続量には限界があります。特に、大規模の太陽光発電は、現状の設備・接続条件を前提とすると、限界に近づきつつあります(500kW未満の小規模太陽光発電は、当面問題はない)。
 このため、経済産業省はすでに昨年12月7日、北海道の現状を会見して公表するとともに、事業者に立地地域の分散を図るよう注意喚起をしています。

■特定の地域に限って接続条件を改正
 こうした中で、エネ庁がとった対応策は、①接続可能量を拡大するために、特定地域に限って接続条件を改正する、②変電所に大型蓄電池を導入(世界初)して再エネの受け入れ枠を拡大する、③電力システム改革に沿って広域系統運用を拡大する、の3点。
 「特定地域に限った接続条件の改正」は、原則としてこれまでの「30日ルール(*)」を維持しながらも、例外規定を追加。接続量の限界に至った地域についてのみ、「30日以内の出力抑制を行っても受け入れが困難な場合」を電力会社が接続拒否できる事由から外す(出力抑制の日数に期限を設けない)とともに、「30日を超えて出力抑制する場合」の金銭補償を不要としました。
 また、こうした特定の地域については、再エネ事業者の予測可能性を確保するため、電力会社に対し、出力抑制に関する予測データを開示するよう求めることとしました。
*30日ルール:電力会社は、500kW以上の太陽光・風力発電事業者(以下、「再エネ事業者」)に対しては、接続後、出力(発電)抑制をお願いできるが、年30日を超えてお願いする場合、再エネ事業者側に抑制いただいた発電量分だけ、電力会社は金銭で補償をしなければならない。(省令で規定)

■詳細はこちら→PDF「大規模太陽光発電の接続」
/newsimg/daikibo-sunlight.pdf

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.4.12

太陽光発電、9割以上が住宅購入検討の初期段階で採用の意向

 積水化学工業住宅カンパニーの調査研究機関である住環境研究所は3月27日、2012年度「太陽光発電システム(PV)採用者意識調査」をまとめました。これによれば、PV採用者は「住宅検討の初期から採用を決めていた」と「できれば採用したいと思っていた」を合わせると、91%と初めて90%を突破しました。

 この調査は、大震災や電気料金の上昇により、PV採用の検討時・利用時の意識がどのように変化しているのかを探る狙いで実施されました。2011年中にセキスイハイムに入居したお客様を対象に実施し、今回は、最近のスマートハウス化への傾向を踏まえ、新たにPV採用者のエコカー所有率や、家庭用蓄電池、V2H(*)への関心度も調査項目に加えました。
*V2H:Vehicle to Home。電気自動車と住まいの間で電気エネルギーを融通しあうシステム。

 調査結果のポイントは次のとおり。
■PVは、戸建て住宅購入検討の際の必要な設備に
 2012年度調査でPV採用者は「PVを検討初期から採用を決めていた」(46%、2010年度調査45%)と、「できれば採用したいと思っていた」(45%、同=42%)となり、検討初期からPV導入を考えていた人が91%と初めて90%を突破しました。
 一般層(2008年以降の住宅建築者、全国)でも、PVを「採用した」「採用したかったが諦めた」を含めると約7割が採用を検討しており、PVは戸建て住宅の購入を検討する際には必要な設備になっているといえます。
■「節電・省エネ行動の工夫を楽しむ」が増加
 PVを採用して良かった点の第1位は、依然として「光熱費削減」77%ですが、2年前に比べると5ポイント低下しました。一方で、「節電・省エネ意識が高まった」(51%→54%)、「節電や深夜電力利用で生活にメリハリがついた」(29%→32%)、「発電量や天気のチェックが楽しみになった」(23%→27%)となり、節電・省エネを楽しみながら行っている人が増えています。
■次回購入対象として関心が高い電気自動車
 2012年度調査では、PV採用者のエコカー所有率は20%となりました。電気自動車、プラグインハイブリットカーはともに1%ずつですが、次回購入時は電気自動車が40%、プラグインハイブリットカーが40%と興味を示しています。
■V2Hは「興味はあるが様子見」、蓄電池への関心は増加
 V2Hには「関心はあるものの様子見」の段階。蓄電池とV2Hの関心度を比べてみると、「かなり関心がある」は蓄電池40%に対しV2Hは11%で、大きな隔たりがあります。まずは蓄電池があり、V2Hは次の段階という位置付けです。

■詳細はこちら→PDF「積水レポート」
/newsimg/pv-ishiki.pdf


S&E総研、賃貸住宅ストックの活性化は今や社会的な課題

 S&E総合研究所(大竹喜久氏)は3月26日、「賃貸住宅ストックの現状と課題」をテーマにしたレポートを公表しました。同研究所はこの中で、「国土交通省はストック重視の住宅政策からの転換を目指し、中古住宅流通とリフォーム市場の活性化を打ち出しています。しかし、国の「中古住宅・リフォームトータルプラン」もまだ持ち家中心の施策であり、住宅ストックのほぼ半数を占める賃貸住宅の活性化を、社会的な課題として考えていくことが求められています」と訴えています。

 S&E総合研究所のレポートの概要は次のとおり。
■賃貸住宅ストックの全国と東京の現状は
 日本の住宅ストックは、2008年に5,758万戸にも達しており、世帯数を大きく上回って、空き家率が13.1%にもなっています(総務省「平成20年住宅・土地統計調査」)。住宅ストックのうち、借家の占める割合は全国ベースでは35.8%ですが、都市部では一般に比率が高く、東京都では49%となっています。
 そこで、「住宅・土地統計調査」を使って、東京23区の賃貸住宅ストックの現状を分析してみると、賃貸住宅のストック数は、空き家も含めて244万7,540戸で、空き家率は15%です。うち、間賃貸住宅は163万1,110戸と賃貸住宅ストック全体の2/3を占め、賃貸住宅の中でも大きな比率を占めています。

■年次別分類と賃料格差
 こうした賃貸住宅ストックを建築年次別にすると、平成7年(築18年)以前のストックが約83.5万戸と半数以上を占めています。住宅は一般的に、築15~20年になると何らかのリノベーション(改修)を考えますが、そのことからすればかなりのストックがリノベーション期を迎えていると言えます。
 さらに、大規模改修が視野に入ってくる昭和56年~平成2年(築23年~32年)の住宅ストックが約38万戸と多いことも注目に値します。
 この傾向は全国ベースでも同様で、約1,337万戸の民間賃貸住宅のうち54%が平成7年以前に建築されています。
 国土交通省の不動産市場データベースによると、築10年未満と築10年以上20年未満の賃貸住宅では平均賃料に30%の差があり、その後も経年により平均賃料が下落しています。この平均賃料の差異は、経年によるだけではありませんが、築年数は賃貸住宅の賃料に大きな影響を与えていることは明らかです。
■リノベーション投資への考え方
 そこで、建物・設備の劣化を補い、賃料の下落を回避するために、リノベーション(改修)投資が求められるわけですが、賃貸住宅の場合は個人の持ち家と異なり、改修投資にも、「投資収益率=利回り」という概念が働きます。現状よりも賃料上昇や稼働率向上により回収が図られないと、この投資収益率はマイナスになります。
 さらに、民間賃貸住宅の多くは個人オーナーによって建設されているため、キャッシュフローの面でも減価償却費分を再投資するという概念や、分譲マンションでは当たり前の修繕積立金を積み立てるという概念も希薄であり、修繕に必要な資金が不足している状況です。
 こうした結果、賃料が大幅に下落して市場価値を失うような状況に至るまで、大規模な資本支出がされてこなかったのが態ではないでしょうか。
■賃貸住宅ストックの活性化を
 国土交通省では、ストック重視の住宅政策への転換を目指し、平成24年3月に「中古住宅・リフォームトータルプラン」を策定し、中古住宅流通とリフォーム市場の活性化を打ち出しました。しかしながら、これもまだ持ち家中心の施策であることは否めません。賃貸住宅ストックの活性化を、社会的な課題として考えていくことが求められていると言えます。

■詳細はこちら→PDF「S&Eレポート」
/newsimg/s&e-report.pdf

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.3.18

昨年4~12月の再生エネ導入は118万kW、うち95%が太陽光

 資源エネルギー庁が3月13日に公表した「再生可能エネルギー発電設備の導入状況」によれば、20124年4月から12月末における導入量は、117.8万kWとなりました。うち、太陽光発電設備が111.9万kWで、95%を占めています。

■太陽光発電設備の認定状況(2012年12月末現在、詳細は表を参照)
●件数ベース 自家発電併設は大阪が最多
〇10kW未満
 総数は19万3,873件(うち運転開始13万2,921件)で、6%にあたる1万1,693件(4,831件)が自家発電設備を併設しています。県別総数では愛知の1万2,630件(9,152件)が最も多く、自家発電設備併設数は大阪が1,824件(942件)で最多。これに、兵庫が1,269件(573件)、東京が1,008件(455件)で続いています。
〇10kW以上
 総数は3万583件(5,372件)で、うち742件(39件)がメガソーラー。県別総数では福岡の1,662件(258件)がトップですが、メガソーラーは北海道の117件(0件)が突出しています。
●出力ベース メガソーラーは北海道が突出
〇10kW未満
 全体では84万6,688kW(うち運転開始61万705kW)で、うち自家発電併設は4万1,137kW(1万6,850kW)。県別総量では愛知が5万5,491kW(4万2,740kW)で最も多く、自家発電設備併設では大阪が6,296kW(3,263kW)で最多。
〇10kW以上
 全体では385万7,041件(20万6264kW)で、うちメガソーラーが217万5,923kW(5万8,676kW)。県別総量では北海道が63万6,965kW(1,152kW)で最も多く、メガソーラーも北海道が56万3,845kW(0kW)と突出しています。

12年度における再生可能エネルギー発電設備の導入状況(12月末時点)

可能エネルギー設備の認定状況(認定件数ベース・件、2012年12月末)

可能エネルギー設備の認定状況(認定出力ベース・kW、2012年12月末)

こちら→経済産業省「再生可能エネルギー発電設備の導入状況を公表」
http://www.meti.go.jp/press/2012/03/20130313002/20130313002.pdf


2013年度太陽光買取価格、10kW未満は1kWh38円、10kW以上は36円へ

2013年度の再生エネルギーの電力会社買取価格が、3月11日に開催された経済産業省・調達価格算定委員会で、太陽光発電は10kW未満が1kWhあたり38円、10kW以上が同36円(税抜)、37.8円(税込)へ引き下げることでまとまりました。月内に正式決定され、経済産業省から示される予定です。

■2012年度に比べともに4円引き下げ
 引き下げ幅は10kW未満、10kW以上(税抜)とも4円。
 システム単価(新築、1kWあたり)が、10kW未満は46.6万円(2012年1~3月)から42.7万円(同10~12月)へ、10kW以上は32.5万円から28.0万円へと下降。
 また、10kW未満については国から1kWあたり2.0万円(2012年度3.5万円)、地方自治体から平均3.4万円(同3.8万円)の補助金が出ていることを勘案したためです。

■太陽光以外は据え置き
 一方、太陽光発電以外の風力、地熱などはすべて2012度買取価格の据え置きとなり、買取期間も太陽光発電、それ以外も含めて前年度同様の家庭用10年、産業用20年とすることでまとまりました。

■2013年度太陽光発電促進賦課金、北海道電力は1kWh0.02円
 なお、各電力会社が太陽光発電を買い取る原資とするため、広く電力利用者に負担を求めている「太陽光発電促進賦課金」については、2013年度(5月以降)は最も高い九州電力で1kWhあたり0.09円、低い北海道電力で0.02円となりました。
 2012年7月からの「全量買取制度」への移行に伴い、この太陽光発電促進賦課金とは別に上乗せされることになった「再生可能エネルギー促進賦課金」は、2013年4月分は1kWhあたり0.22円/kWhとなっています。
 太陽光発電促進賦課金は、2014年4月からは、この再生可能エネルギー促進賦課金に包含して統一されます。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.3.6

窓や断熱材をトップランナー制度に追加へ、民生部門の省エネを促進

 経済産業省・資源エネルギー庁は3月5日、省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)を改正し、省エネを促進する「トップランナー制度」に、新たに窓や断熱材といった建築材料を追加すると明らかにしました。同日に閣議決定されたことを受け、改正案を第183回通常国会に提出します。

■蓄電池やエネルギー管理システムの導入も評価へ
 近年、業務用、家庭用といった民生部門でのエネルギー使用が増加傾向にあり、産業部門だけでなく、民生部門での省エネ対策も徹底が求められています。また、ここにきて普及が進みつつある蓄電池やエネルギー管理システム(事務所用:BEMS、家庭用:HEMS)、自家発電などが有効に活用されるよう、工場や輸送など需要側における電力ピーク対策を円滑化することも必要となっています。
 このため、今回の省エネ法改正では、①トップランナー制度への建築材料等の追加、②蓄電池やエネルギー管理システム、自家発電の導入に対する評価、③省エネ・リサイクル支援法の廃止、が予定されています。
 法改正のポイントは次の通りです(エネ庁発表内容)。

■建築材料等に係るトップランナー制度
 これまでのトップランナー制度は、エネルギーを消費する機械器具が対象となっていた。このたび、自らエネルギーを消費しなくても、住宅・ビルや他の機器等のエネルギーの消費効率の向上に資する製品を新たに「トップランナー制度(*)」の対象に追加する。具体的には、建築材料等(窓、断熱材等)を想定している。これにより、企業の技術革新を促し、住宅・建築物の断熱性能の底上げを図る。
*トップランナー制度:エネルギー消費機器の製造・輸入事業者に対し、3~10年程度先の目標年度に高い省エネ基準(トップランナー基準)を満たすよう求め、目標年度がくるとその達成状況を国が確認する制度。これにより、省エネ性能の高い製品の普及を促進するのが狙い。

■電力ピークの需要家側における対策(工場、輸送等)
 需要家が、従来の省エネ対策に加え、蓄電池やエネルギー管理システム(BEMS・HEMS)、自家発電等の活用により、電力需要ピーク時の系統電力の使用を低減する取り組みを行った場合に、これをプラスに評価できる体系にする。具体的には、省エネ法の努力目標の算出方法を見直す。

■省エネ・リサイクル支援法の廃止
 平成25年3月31日までに廃止することになっていた「省エネ・リサイクル支援法」を廃止する。

■詳細はこちら→PDF「省エネ法改正」
/newsimg/syo-ene.pdf


IHコンロ用マットで発火のおそれ、国民生活センターが注意喚起

 (独)国民生活センターは2月21日、IHコンロ用の汚れ防止マットの商品テストの結果を受け、天ぷら火災に注意するよう広く喚起するとともに、メーカー側に業界として事故発生防止に努めるよう要望しました。

■天ぷら中にその場を離れ火災に
 汚れ防止マット(マット)は、IHコンロのトッププレート上に敷いて使用することで、トッププレートの汚れや焦げつきを防ぐ商品です。しかし、2012年7月に滋賀県内(一般住宅)で、IHコンロの純正付属鍋の下にマットを敷き、天ぷら鍋の油を加熱中にその場を離れたところ、油が発火し、火災に至る事故がPIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられました。この事故のほかにも、事故情報データバンク(2009年9月~2013年1月登録分)には同様の事例が3件寄せられています。

■マイカ(雲母)使用品で油が発火
 こうした油の発火は、周囲に燃え広がり、火災などの重大な事故に至る可能性があるので、センターではマットを用いたIHコンロによる天ぷら油の加熱テストを実施しました。対象にしたのは、材料にシリコーン、ガラス繊維、マイカ(雲母)、結晶化ガラスを用いた4種類、合計9銘柄。
 すると、マットを敷かずに油を加熱すると、いずれのモードでもセンサーの働きで温度が制御され、油が発火することはなかったものの、マイカを使用した銘柄は、揚げ物機能を使用せずに加熱すると、油が発火することがありました。トッププレートとの間にマットが入ると、温度を感知する安全機能がきかなくなることがあるためと言えます。

■「温度検知機能が損なわれる可能性に注意を!」
 この結果を受け、センターでは消費者へのアドバイスとして、次の2点に留意するよう呼びかけています。
○マットを敷くことによって、IHコンロが有する温度検知の機能が損なわれる可能性があることを認識しておく。
○マットを敷いて油を加熱し続けると発火することがあるので、調理中は絶対にその場を離れないこと。


■詳細はこちら→PDF「国セン IHマット試験」
/newsimg/IHsiken.pdf

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.2.28

賃貸住宅市場は2030年に向け、戸数で1割、市場規模で3割縮小

 みずほコーポレート銀行(産業調査部)が発行する「みずほ・インダストリー・フォーカス」(Mizuho Industry Focus)は、2月18日付けの「121号」で、「賃貸住宅市場の現状と展望~2030年の市場規模予測と事業の方向性~」と題する調査レポートを掲載しました。少子高齢化の進展や人口構成の変化により、賃貸住宅市場は2030年に向けて戸数で10%、金額で30%もの縮小が見込まれると予測。居住者志向の変化を直視した「量から質へ」の変化と、需要構造の変化を踏まえた「高齢者対応」を急ぐよう提案しています。

■「みずほレポート」の概要
 「量から質へ」と「高齢者対応」を急げ
〇我が国では戦後の持家政策のもと、長らく持家優位の状況が続いてきた。「実家→(独立)→借家→(所帯形成)→持家」という“住宅双六”で、賃貸住宅は実家から独立して持家を取得するまでの過渡的居住場所として位置づけられてきた。
○一方、少子高齢化・人口構成の変化や世帯構成の変化・単身世帯の増加、非正規雇用の拡大に伴う所得低下など、持家優位を支えてきた環境に変化が生じつつある。
○こうした中で、年齢別の持家・賃借志向や人口動態の変化を踏まえ、戸数に加えて、年間家賃総額に基づき、金額ベースで2030年の賃貸住宅市場の市場規模予測したところ、以下の結果となった。
①我が国の賃貸住宅市場は、今後 2030 年に向けて大きく縮小することが予想される。
(2010 年 12.6 兆円→2030 年 8.8 兆円、▲30%)
② 内訳で見ると、特にファミリー向け(40 ㎡以上)賃貸住宅市場の縮小が著しい。
(2010 年 8.8 兆円→2030 年 5.6 兆円、▲37%)
③ 非ファミリー向け(40 ㎡未満)においては、若年居住者が減少し、単身高齢者の居住者が増加する見込みにある。
○市場環境が変化していくなか、入居者層の変質に伴うニーズの変化に合わせた、供給面での質的な転換が必要になる。

■戸数ベースの需要予測(エリア別)
 近畿、首都圏で各10万戸以上減少

■戸数ベースの需要予測(世帯類型別)
 ファミリー減り、単身(壮年・高齢)増加

■金額ベースの需要予測(世帯類型別)
 市場規模は3.8兆円・3割も縮小

■詳細はこちら→PDF「みずほ・インダストリー・フォーカス」(Vol.121)
/newsimg/mizuho.pdf

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.2.8

平成24年の新設住宅着工は88万戸、3年連続で増える

 国土交通省が1月31日に公表した平成24年(2012年)の「建築着工統計」によれば、新設住宅着工戸数は88万2,797戸となり、前年より5.8%、4万8,680戸増え、3年連続の増加となりました。

■貸家が4年ぶりで増え、新設総数をけん引
 利用関係別では、持家が31万1,589戸で前年比2.0%増(3年連続の増加)、貸家が31万8,521戸で同11.4%増(4年ぶりの増加)、分譲住宅が24万6,810戸で同5.2%増(3年連続の増加)となっています。
 分譲住宅のうち、マンションは12万3,203戸で同5.5%増(3年連続の増加)、一戸建住宅は12万2,590戸で同5.0%増(3年連続の増加)となりました。マンションが分譲住宅に占める割合は前年とほぼ同じ49.9%。
 また、給与住宅は5,877戸で、前年比27.3%減。

■「緩やかに回復だが、なお慎重に見極めるべき」
 このように、東日本大震災の復興需要もあって全体として緩やかな回復基調にありますが、先行きについて国土交通省は「雇用・所得環境の推移や大震災からの復興状況、建設労働者の需給状況などを慎重に見極める必要がある」と見ています。

■北海道は貸家が2割も増え、新設総数も1割増
 これらのうち、北海道については、新設総数が3万5,237件となり、前年比9.0%増となりました。うち、持家は1万1,986件で同0.5%増、貸家は1万8,947件で同18.7%増、給与は147件で同12.5%減、分譲は4,157件で同2.6%減。貸家の2割近い増加で、新設総数は全国平均を上回る増加となっています。
 分譲住宅のうち、マンションは2,222件(同5.5%減)、一戸建1,912戸(同1.6%増)となりました。

■地域別戸数増減と建築工法別の概要は次の通り。
【地域別戸数増減】
○首都圏:総戸数(前年比 3.3%増)
・持家(同 0.1%増)/貸家(同 7.4%増)/分譲住宅(同 2.6%増)
・分譲住宅のうち、マンション(同2.4%増)、一戸建住宅(同 3.0%増)
○中部圏 :総戸数(前年比 0.8%減)
・持家(同 3.6%減)/貸家(同 0.4%増)/分譲住宅(同 4.6%増)
・分譲住宅のうち、マンション(同 0.6%減)、一戸建住宅(同 7.6%増)
○近畿圏:総戸数(前年比 5.2%増)
・持家(同 0.2%増)/貸家(同 7.7%増)/分譲住宅(同 8.5%増)
・分譲住宅のうちマンション(同17.3%増)、一戸建住宅(同 1.2%増)
○その他地域:総戸数(前年比 10.9%増)
・持家(同 5.1%増)/貸家(同 19.7%増)/分譲住宅(同 9.8%増)
・分譲住宅のうち、マンション(同 5.8%増)、一戸建住宅(同 12.8%増)
【建築工法別】
・プレハブは、13万2,244戸で、前年比 4.3%増(3年連続の増加)
・ツーバイフォーは、10万7,487戸で、前年比 9.4%増(3年連続の増加)

■詳細はこちら→PDF「平成24年建築着工統計」
/newsimg/sinsetsu.pdf


住宅火災での死者数、平成23年は1,070人に増加

■住宅火災での死者数、平成23年は1,070人に増加
 国土交通省がこのほど公表した平成24年版「消防白書」によれば、平成23年中に発生した住宅火災による死者数(放火自殺者等を除く)は1,070人となり、前年(1,022人)より48人増加(4.7%増)しました。
 平成16年の消防法改正で、住宅用火災警報器の設置が新築住宅は平成18年6月から、既存住宅も23年6月までに義務化され、24年6月設置率は77.5%になっていると推計されています。そのような中、白書は「平成23年は1,220人を記録した平成17年と比較すると150人減少している」と、火災警報器の効果を指摘しています。

■死者数の66%が高齢者
 住宅火災における死者(放火自殺者等を除く)のうち、65歳以上の高齢者は711人で、前年に比べ70人(10.9%)増加しました。住宅火災による死者数の66.4%を占め、4年連続で6割を超えています。年齢階層別の人口10万人当たりの死者発生数は、年齢が高くなるにともなって著しく増加しており、特に81歳以上の階層は、全年齢階層における平均0.84人に比べ4.75倍となっています。

■たばこを発火源とした火災による死者が15.0%
 住宅火災による死者(放火自殺者等を除く)を発火源別にみると、たばこによるものが160人(15.0%)で最も多く、次いでストーブ125人(11.7%)、電気器具70人(6.5%)、コンロ52人(4.9%)の順(不明を除く)となっています。ストーブでは石油ストーブで68人、電気ストーブで52人、またコンロではガスコンロで40人、電気コンロで7人が亡くなっています。

■コンロ火災はガスが減り、電気が増加
 コンロによる火災は4,178件あり、前年より516件減りました。種類別ではガスコンロが3,733件(全体の89.3%)となり前年より515件減少する一方、電気コンロは315件へと25件増えています。ほか、石油コンロが27件、まき・炭・石炭コンロが98件などとなっています。

■寝具類に着火した火災での死者が多い
 住宅火災による死者(放火自殺者等を除く)を、着火物(発火源から最初に着火した物)別にみると、寝具類に着火した火災による死者が143人(13.4%)で最も多く、次いで衣類81人(7.6%)、ガソリン・灯油類46人(4.3%)の順(不明を除く)となっています。

■逃げ遅れによる死者が54.0%と最も多い
 住宅火災による死者(放火自殺者等を除く)を死に至った経過の発生状況別にみると、逃げ遅れが578人(全体の54.0%)と最も多くなっています。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.1.24

物件の経年変化による賃料下落は、築浅物件ほど大きい

■成約事例から572件のモデルを設けて分析

 一般の賃貸マンションの賃料は、オフィスや高級賃貸マンションと違い、景気の影響を受けづらいのが特徴です。このため、安定した投資対象となっています。しかし、新規物件が日々供給され続ける中にあっては、経年劣化による賃料下落は避けられません。

■572モデルを設けて築年数との相関関係をチェック
 この検証レポートは、アットホームの成約事例データをもとに、東京23区内にある賃貸マンションを対象に分析しています。手法としては、タイプでシングル(18~30㎡)とコンパクト(30~60㎡)の2つ、成約時期で11区分、築年数で26区分に分類し、計572件のモデルを設定。築年数と賃料の相関関係をチェックしています。
 賃貸物件は年とともに賃料が1%ほどずつ下がっていくことが経験的に知られていますが、実際はどうなのでしょうか。三井住友トラスト基礎研究所が実際のデータをもとに検証した結果を公表しているので、そのレポート「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」(2013年1月16日)を紹介してみましょう。

■下落は築後「3~10年」「10~20年」「20年~」で変化
 分析の結果によれば、賃料の下落は3段階に分けられます。第1段階は築後3~10年で、最も大きな値下げ圧力がかかっています。築浅物件は新築物件との競合にさらされるからです。下落率はシングルで年率1.7%、コンパクトで2.2%にもなっています。
 第2段階は築後11~20年で、築浅物件より下落幅が小さくなります。新規物件と比較されることが少なくなり、築後12年も、13年もあまり変わらないと見られるようになるからです。下落率はシングルで0.6%、コンパクトで0.9%となります。

■築後「0~25年」で見ると、「年率1%」で下落
 築後20年以上の第3段階になると、さらに値下げ圧力が少なくなり、シングルで0.1%、コンパクトで0.7%。シングルではほぼ横ばいになってきています。
 こうした下落率を築後0~25年の期間で見ると、経験的に知られている「年1%」という感覚と一致した、とレポートは述べています。

■新規物件の供給量が多いと下落幅拡大
 値下げ圧力は、経年劣化という物件自体の魅力の低下が大きな要素になっていますが、それは一方で新規物件の供給量が多いか少ないかによっても違ってきます。レポートによれば、築浅物件が多かった2007~2009年は、第1段階での賃料下落が特に大きく、新規物件の供給量が経年による賃料低下にも大きく影響を与えています。
 その一方で、交通や生活の利便性がいい割に新規供給が少ない地区では、下落率が少なくなることがうかがわれます。

■大切なことは「現在の入居者に長く居続けてもらうこと」
 これらの結果や分析を見ていくと、築浅物件で入居者の入れ替えがあったときに、最も賃料下落を招きやすくなります。このため、築後3~10年の物件を運用・管理するときは、既存入居者を大切にし、できるだけ長期入居してもらうようにすることが大きなポイントであることが分かります。

■詳細はこちら→PDF「経年変化と賃料」
/newsimg/henka.pdf

賃貸経営ニュースダイジェスト 2013.1.16

国交省、大規模災害時の賃貸住宅借上げ「手引き」作成

 死者・行方不明者約19,000人、建物全・半壊約398,000戸に及んだ東日本大震災(2011年3月11日)から2年。大きな揺れと大津波で我が家を失った人たちに、素早く住みかを提供したのが民間賃貸住宅でした。この教訓を生かすため、国土交通省と厚生労働省は連名で昨年12月4日、現場で運用マニュアルとなる「手引き書」をまとめ、都道府県と関係団体に徹底するよう要請しました。

■大震災では応急借上げ住宅が貢献したが課題も浮上
 東日本大震災では、昨年9月24日時点で見た場合、地震発生後に建設した「応急建設住宅」への入居決定数が48,604戸であるのに対し、「応急借上げ住宅」の入居決定・借上げ戸数は63,068戸。応急建設住宅の建設が遅れ、その分早くからかつ長期に応急借上げ住宅、つまり民間賃貸住宅が大きく貢献しました。
 一方で、提供可能な住宅の把握や事務処理に時間を要したことが大きな反省点として浮上しました。

■“現場において現実に運用”するため作成
 この「災害発生時における民間賃貸住宅の活用に係る手引き書」は、災害現場で対応に追われた担当者にヒアリングを行い、「現場において現実に運用する手引きとしてまとめた」(国土交通省)ものです。
 本編と資料編で構成されており、本編ではステップ1:災害発生前、ステップ2:災害発生から入居確定、ステップ3:入居期間中、ステップ4:退去時の4段階に分け、都道府県、市町村、関係団体、それに賃貸住宅オーナーが果たすべき役割を具体的に提示しています。

■最も大切なことは「事前準備の徹底」
 この中で、手引き書が特にアピールしているのが、事前準備の必要性。具体的には協定の締結と制度の周知です。
 大規模災害の場合、自治体機能が停止したり、職員等も被災したりして、あらかじめ決められたことを実施できない。また、これまでは応急建設住宅を中心に考えてきたものの、大規模災害の場合は迅速に対応できる応急借上げ住宅の活用が求められる。さらに、東日本大震災においては、制度開始以前に被災者が自ら物件を探し、借主となって賃貸借契約を行った場合も応急借上げ住宅として扱われ、現場では混乱も見受けられたからです。

■円滑な借上げを進めるには
 そのうえで、円滑な借上げに向けては、被災地や避難所の状況、被災者の意向、災害公営住宅等の建設予定等を踏まえた計画策定に留意するとともに、都道府県(や市町村)、関係団体との緊密な連携が重要であると指摘しています。
 その際、オーナーの中には物件の管理を管理業者に委託している場合があることから、リストアップや運用にあたっては管理業者の役割分担もあらかじめ決めておくことが望ましいとしています。
 さらに、応急借上げ住宅を供与するときは、災害規模と都道府県、市町村の事務作業量(マンパワー)を踏まえながら、「都道府県(または市町村)によるマッチング方式」か、「被災者自ら物件を探し、都道府県に申請する方式」を選ぶよう推奨もしています。

■意識だけでなく現実的な事前対策を着実に進めよう
 東海・東南海・南海地震や首都直下地震など、日本列島全体で大規模地震への危機意識が広がっています。賃貸住宅においても、こうした手引きを踏まえつつ、現実的な事前対策を着実に実施していくことが求められています。

■詳細はこちら→「国交省手引き」
/newsimg/kokudo.pdf

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