賃貸住宅オーナー様向け情報

2022.5.15
賃貸経営ニュースダイジェスト

2021年度「住宅市場動向調査」、コロナ反映しネットで情報収集増える

 国土交通省は4月26日、2021年度「住宅市場動向調査」の結果を公表しました。2001年度から毎年度実施していますが、2021度調査では新型コロナ感染症拡大後の状況を反映し、物件・施工者に関する情報収集方法を「インターネットで」と回答した割合が直近5年間で大きく増加していることが分かりました。民間賃貸住宅でも同様の傾向が進んでいるほか、物件・設備選びで「立地環境」「デザイン」重視が増えました。

民間賃貸、「立地環境」「デザイン」重視増える

 この調査は2020年度中に住み替え・建て替え・リフォームを行った世帯を対象に、注文住宅、分譲住宅、既存(中古)住宅、民間賃貸住宅、そしてリフォーム住宅の別に調査しました。

調査結果の概要

全体
  • 物件・施工者に関する情報収集方法:「インターネットで」を選択した割合は、直近5年間で大きく増加。
  • 住宅選択の理由:「立地環境が良かったから」など住宅種別によってその理由はさまざまだが、既存住宅取得世帯では「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」を選択する割合が前年度調査から増加。
  • 設備等に関する選択の理由:「間取り・部屋数が適当だから」など住宅種別によってその理由はさまざまであるが、注文住宅取得世帯では「高気密・高断熱住宅だから」を選択する割合が前年度調査から引き続き最も高い。
  • 既存住宅にした理由:既存マンション取得世帯では「リフォームで快適に住めると思ったから」「リフォームされてきれいだったから」を選択する割合が前年度調査から増加。
民間賃貸住宅
  • 住宅選択理由:「立地環境」「デザイン・広さ」を重視する割合が増加。
    ・住宅の立地環境が良かったから:2020年度46.7%→2021年度52.7%
    ・家賃が適切だったから:54.5%→49.6%
    ・住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから:36.5%→40.0%
  • 設備選択理由:「デザイン」を重視する割合が増加。
    ・間取り・部屋数が適当だから:63.8%→60.4%
    ・住宅の広さが十分だから:54.1%→52.6%
    ・住宅のデザインが気に入ったから:33.5%→39.1%
  • 情報収集:不動産業者が減りネットが増える。
    ・インターネットで:47.2%→50.1%
    ・不動産業者で:48.0%→43.7%
    ・知人等の紹介で:11.9%→12.3%
  • 高齢者の有無:「住んでいる」が9.7%
  • 月額家賃:5万~7.5万円が最多層で全体の43.1%。全体平均家賃は75,259円。
  • 敷金/保証金、礼金、更新手数料:敷金/保証金あり(53.0%→60.0%)、礼金あり(41.6%→45.9%)、更新手数料あり(39.6%→ 42.1%)はいずれも増加。
  • 困った経験:「敷金・礼金などの金銭負担」が最多で44.5%
    1. 敷金・礼金などの金銭負担:44.5%
    2. 近隣住民の迷惑行為:39.4%
    3. 連帯保証人の確保:27.1%
    4. 家主・管理会社の対応:25.2%
    5. 修繕費用の不明朗な請求:24.5%

2021年度新設住宅着工、貸家は5年ぶりに増加

 国土交通省が4月28日に公表した「建築着工統計調査報告」によれば、2021年度の新設住宅着工戸数は865,909戸となり、コロナ禍が始まった前年度より6.6%増加しました。うち貸家は330,752戸で、前年度より9.2%増えました。貸家の増加は5年ぶりです。

総戸数は6.6%増え、3年ぶりに増加

総戸数
  • 新設住宅着工戸数は865,909戸で、前年度より6.6%増。3年ぶりの増加。
利用関係別戸数
  1. 持家:281,279戸(前年度比6.9%増、3年ぶりの増加)
  2. 貸家:330,752戸(同9.2%増、5年ぶりの増加)
  3. 分譲住宅:248,384戸(同3.9%増、3年ぶりの増加)
  • マンション:102,762戸(同5.0%減、3年連続の減少)
  • 一戸建住宅:144,124戸(同11.4%増、2年ぶりの増加)
地域別戸数
  • 首都圏:総戸数(前年度比4.0%増)
    持家(同9.1%増)、貸家(同6.8%増)、分譲住宅(同1.5%減)
  • 中部圏:総戸数(前年度比10.2%増)
    持家(同6.8%増)、貸家(同16.6%増)、分譲住宅(同12.1%増)
  • 近畿圏:総戸数(前年度比6.2%増)
    持家(同6.0%増)、貸家(同16.2%増)、分譲住宅(同4.2%減)
  • その他地域:総戸数(前年度比8.2%増)
    持家(同6.2%増)、貸家(同6.6%増)、分譲住宅(同16.5%増)

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持ち家派・賃貸派ともに、8割が「通勤時間は短い方が良い」

 大東建託は4月27日、6回目となる「新型コロナウイルスによる意識変化調査」の結果を公表しました。それによれば、持ち家派・賃貸派ともに、8割が「コロナをきっかけに通勤時間は短い方が良いと思う」と回答しました。

第6回「新型コロナウイルスによる意識変化調査」

 調査は3月巣湯順から下旬にかけて、インターネットを利用して行いました。対象者は全国3,151名。

  • 持ち家派・賃貸派ともに、8割がコロナをきっかけに「通勤時間は短い方が良いと思う」と回答。
  • コロナのことを考えると、5割弱が「通勤はストレスである」と回答。
  • 持ち家派・賃貸派ともに、約4割が人と実際に会うことの価値を再認識。
  • 引っ越し検討は9月の前回調査より引っ越し意向が増加。

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全ての新築住宅・非住宅に「省エネ基準」適合を義務付け

 2050年カーボンニュートラル(CN)の実現に向け、建築物の省エネ化や木材利用の促進を図る「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の改正案」が4月22日に閣議決定されました。全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合を義務付けるとともに、トップランナー制度を拡充し、ZEH・ZEB水準に誘導するもので、今国会での成立を目指しています。

建築物エネ消費性能向上改正案を閣議決定

 2050年CN、2030年度温室効果ガス46%排出削減(2013年度比)の実現を目指すなか、エネルギー消費量の約3割を占める建築物分野における省エネ化が急務となっています。同時に、温室効果ガスの吸収源の強化を図るうえで、木材需要の約4割を占める建築物分野における利用促進も求められています。
 改正案は、建築物の省エネ性能を高める対策の抜本的な強化や、建築物分野における木材利用の一層の促進に向けた規制合理化を目指しています。

法律案の概要

省エネ対策の加速
省エネ性能の底上げ・より高い省エネ性能への誘導
  • 全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合を義務付け
    *現在は対象が中大規模の非住宅に限られているが、十分な準備期間を設けたうえで「新築住宅」「非住宅」にも、断熱材厚さ85mmの外壁、透明複層ガラスの窓といった省エネ基準を義務付ける。
  • トップランナー制度(大手事業者による段階的な性能向上)の拡充
    *制度を拡充し、例えば(東京の場合)、断熱材厚さ105mmの外壁、Low-E複層ガラスの窓といったZEH・ZEB水準に誘導する。
  • 販売・賃貸時における省エネ性能表示の推進
ストックの省エネ改修や再エネ設備の導入促進
  • 住宅の省エネ改修に対する住宅金融支援機構による低利融資制度を創設
  • 市町村が定める再エネ利用促進区域内について、建築士から建築主へ再エネ設備の導入効果の説明義務を導入
  • 省エネ改修や再エネ設備の導入に支障となる高さ制限等の合理化
木材利用の促進
防火規制の合理化
  • 大規模建築物について、大断面材を活用した建築物全体の木造化や、防火区画を活用した部分的な木造化を可能とする
    *高い耐火性能の壁・床での区画により延焼を抑制する
  • 防火規制上、別棟扱いを認め、低層部分の木造化を可能に
構造規制の合理化
  • 二級建築士でも行える簡易な構造計算で建築可能な3階建て木造建築物の範囲の拡大等
    *高さ13m以下を16m以下へと拡大
その他
省エネ基準等に係る適合性チェックの仕組みを整備 等

子育て世代へのおすすめ、戸建:騒音に気をしなくてよい、マンション:防犯面で安心

 アットホームは4月19日、子育て世代の売買仲介で担当したことがある加盟店に実施したアンケート調査をもとにした、不動産のプロが選ぶ「一戸建てとマンション 子育て世代におすすめの理由」ランキングを公表しました。理由のトップは、一戸建て編が「騒音に気を遣いすぎなくてよい」、マンション編が「防犯面で安心」でした。

不動産のプロが選ぶ「おすすめの理由」ランキング

 

 調査はアットホーム加盟店599店に対し2021年12月17日から同24日、インターネットを利用してアンケート方式で実施しました。
 同社のコメントは次の通りです。

「一戸建て」をすすめる理由
  • 1位は「子どもが家の中で騒々しくても気を遣いすぎなくてよいから」でした。不動産会社からは「戸建の方が、お子さまの足音など周囲をあまり気にしなくて良い」や「コロナ禍でテレワークが普及し、共同住宅の場合は上下階の騒音トラブルが増加している」といった子どもの騒音問題に対する声が目立ちました。
  • 2位は「専用の駐車場を持てるから」でした。「子育て世代のお客様は、駐車場スペースの確保が必須条件」、「マンションの駐車場は月額で払わなければならない」という声が寄せられました。また、「駐車場スペースだけでなく、将来的に必要となる三輪車、自転車置き場も考慮すべき」という子どもの成長を見越したアドバイスもみられました。
  • 3位は「ペットを飼うことができるから」で、不動産会社の方からは「自由にペットを飼うことができる戸建がいい」という声が挙がりました。
  • 6位以下には、「子どもに一人一部屋与えることができるから」26.7%、「リノベーションして間取りなどをカスタマイズすることができるから」19.0%と、広さや間取りに関するメリットが続きました。
「マンション」をすすめる理由
  • 1位は「防犯面で安心できるから」でした。不動産会社からは「最近は共働きの親が多いので、防犯上でマンションをすすめる」といった現代の家庭ならではのコメントがみられました。
  • 2位は「駅から近い物件が多いから」でした。「駅近だと通勤、通学、買い物、通塾などに便利」との声が挙がりました。また、「立地が良い場所はマンション価値が下がりにくい」と、資産価値の観点からマンションをおすすめするコメントもみられました。
  • 3位は「共用施設・サービスが充実しているから」で、不動産会社の方からは「管理修繕を任せられる」といったコメントが寄せられました。マンションは月々のローン以外にも管理費や修繕積立金が必要になりますが、子育てで忙しい時にも、プロにその一切を任せられるという点は大きいメリットのようです。
  • 6位以下には、「子どもがマンションの住民と触れ合うことができるから」16.2%、「子どもがマンションの敷地内で遊んでいれば安心だから」11.4%が続きました。
一戸建てを薦める理由ランキング

首都圏の中古マンション価格、8エリアとも9カ月連続で上昇

 アットホームは4月26日、首都圏における3月の「中古マンション」価格動向を公表しました。1戸あたり平均価格は3,705万円となり、前月より1.1%上昇しました。

7エリアで2017年1月以降最高額を更新

  • 首都圏の中古マンションの1戸あたり平均価格は3,705万円で、前月比+1.1%と上昇。
  • 9カ月連続して全8エリアが前年同月を上回り、上昇傾向が継続。
  • 東京都(23区/都下)、神奈川県(横浜市・川崎市/他)、埼玉県(さいたま市/他)、千葉県西部の7エリアで2017年1月以降最高額を更新
価格・平方メートル単価・専有面積の平均値

「住宅市場を活用した空き家対策モデル事業」を募集

 国土交通省は4月20日、全国の空き家対策を一層加速化させるための支援制度、「住宅市場を活用した空き家対策モデル事業」の募集を開始しました。対象は3事業があり、応募期限は5月20日。

全国の空き家対策を加速させる支援制度

対象事業
防火規制の合理化

 空き家対策の執行体制の整備が必要な地方公共団体と、NPO、法務、不動産、建築、金融、福祉等の専門家団体等とが連携して相談窓口の整備等を行う取り組み

住宅市場を活用した空き家に係る課題の解決を行う事業

 空き家に係る全国共通の各種課題に対して、住宅市場を活用した空き家対策に関する新たなビジネスの構築等のモデル的な取り組み

ポストコロナ時代を見据えて顕在化した新たなニーズに対応した総合的・特徴的な取り組みを行う事業

 移住・定住、二地域居住・多地域居住の促進や、空き家バンクへの物件の登録促進・登録物件の流通促進に資する総合的・特徴的な取り組み

事業主体:事業主体:地方公共団体、民間事業者等

応募期限:2022年5月20日18時(下記評価事務局宛てメール必着)

評価事務局

所在地:〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-2 グランキューブ15階(株式会社価値総合研究所内)
HP:https://www.vmi.co.jp/jpn/consulting/seminar/
   2022/akiya-innovation2022.html

メール:akiya_innovation@vmi.co.jp

愛知県での1位、住み続けたい駅:覚王山」、自治体:長久手市

 リクルートは4月27日、「SUUMO住民実感調査2022 愛知県版」をまとめ、2022年住み続けたい街(駅/自治体)ランキングを公表しました。それによれば、1位は「住み続けたい駅」が「覚王山」、自治体が「長久手市」となり、「子育て環境が充実している駅」では「長久手市」の駅が上位に上がりました。

SUUMO「住民実感調査2022」愛知県版

 調査は、愛知県内に在住する20歳以上の男女を対象に、WEBアンケート形式で実施しました。

住み続けたい駅ランキング

 TOP10に、名古屋市内の地下鉄名城線沿線と、その圏内の駅がランクイン。1位は、閑静な住宅街で知られる「覚王山」。名古屋市外からは「はなみずき通」(長久手市)、「観音寺」(一宮市)の2駅がランクイン。

住み続けたい自治体ランキング

 1位の「長久手市」は、街の魅力項目ごとの評価ランキングで、全40項目中13項目で1位となるなど、住民から多様な観点で高い評価を受けた。2位は、大学や高校が多く文教地区として知られる「名古屋市昭和区」。

「住み続けたい駅ランキング」(左)と「住み続けたい自治体ランキング」(右)


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建設・計画中の超高層マンション、307棟・11.2万戸に増加

 不動産経済研究所が4月27日に公表した「超高層マンション動向2022」によれば、全国で建設・計画されている超高層マンション(20階建て以上、2022年3月末)は307棟・11.2万戸となり、前回調査時(2021年3月末)に比べて74棟・1.7戸増加しています。エリア別では首都圏が8.2万戸を占め、近畿圏1.5万戸、その他1.6万戸となっています。

2023年には2万戸に迫るも、コロナ・ウクライナ情勢で遅延も

   同社では、「2023年には19,790戸と2万戸に迫る勢いで増加する」としつつも、「新型コロナ感染拡大やロシア・ウクライナ情勢による建設資材の高騰・品不足から工期が延び、完成が当初の計画から大きく遅れる物件が出てくることも考えられる」と見ています。

集計・分析のポイント

  • 1990年代後半以降に超高層マンションの建設計画が増加したのは、中古となっても値崩れが起き難く、換金性に優れているため、首都圏、近畿圏といった大都市圏から地方中核都市にまで波及していったことが要因。いずれも規制緩和による駅前再開発の進捗が大きく影響していた。
  • しかし、2007年以降の価格高騰によるマンション販売の低迷、2008年9月のリーマンショックによって、マンション供給計画の規模の縮小が相次いだ。エンドユーザーの人気が高かった超高層マンションも例外ではなく、多くの物件で事業方針の変更が余儀なくされた。
  • この結果、超高層マンションの竣工は35,000戸を突破した2009年(35,607戸)から一転。2010年には1万戸台(17,967戸)にまで減少した。そして2011年は、東日本大震災の影響で東北・関東地方などで一部の物件に竣工の遅れなどが生じ、4,646戸減の13,321戸とさらに落ち込んだ。
  • 減少基調に変化が訪れたのは2012年で16,060戸に増加すると、2013年には再び湾岸部などで大規模物件が竣工して18,022戸へと伸ばし、2015年には2009年以来の高水準となる18,821戸に達した。しかし、2016年に34棟・12,104戸と減少すると、11,373戸だった2017年を経て、2018年には15戸と1万戸割れ寸前まで落ち込んだ。
  • その後は2019年に17,039戸へと増加に転じると、2020年は29.6%減の11,991戸、2021年は16.5%増の13,966戸と、直近2年間は15,000戸未満で推移している。
  • 今後の超高層マンションは、東京都心部や湾岸エリアだけでなく、地方中核都市でも超高層大規模開発や複合再開発プロジェクトなどが数多く控えており、2023年には19,790戸と2万戸に迫る勢いで増加する。しかしながら新型コロナ感染拡大やロシア・ウクライナ情勢の影響などによる建設資材の高騰・品不足から工期が延び、完成が当初の計画から大きく遅れる物件が出てくることも考えられるので、年次別の完成棟数、完成戸数は変動する可能性がある。
■ 詳しくはこちら→PDF「超高層マンション動向2022」

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賃貸市場は「売高賃低」、首都圏は間取りで景況感が二極化

 タスは4月28日発行の「賃貸住宅市場レポート」(Vol.148)で、TAS-MAPユーザー等を対象とした「不動産市場アンケート」の結果と分析を公表しています。それによれば、全体的に「売高賃低」にあり、売買市場では好調を維持している首都圏の住宅系も賃貸市場では中庸から不調寄りです。しかし、間取り別で景況感が大きく異なっていました。

今後の市場予測、コロナ禍が定常化(コロナは収束しない)」が最多

 調査は2月下旬から3月上旬にかけて、①現在の市況と6カ月後の市況、②2021年度の繁忙期の状況、③賃貸不動産に対する「融資態度」の変化、④コロナ収束後の市場の変化とリスクについて実施。有効回答は103件となっています。

概要

現在の市況と6カ月後の市況(セクター別、売買、賃貸)

 売買市場においては、物流系の好調さが際立っていることがわかります。コロナ感染拡大により、物販系の電子商取引(EC)が急拡大しました。これに伴い、物流系不動産市場は、首都圏・首都圏以外ともに好調であり、6カ月後も好調を維持することが予測されています。
 物流系と反対にオフィス系は、首都圏・首都圏以外ともに不調であり、6カ月後も復調しないと予測されています。第1回目の緊急事態宣言発出以降、政府はテレワークを推進してきました。大都市圏において企業のテレワーク実施率が向上したことから、オフィスの空室率は悪化傾向にあります。欧米では、コロナ対策を縮小する動きがあります。いずれ日本も追随することになると考えられますが、コロナ前の状況に戻るかどうかはまだ不明な状況です。
 コロナ禍で対面サービスを敬遠する動きが広がったことから、商業系の「現在の市況」は厳しい状況が続いています。制限が全国的に解除された2021年10〜12月期には、商業施設の売上は回復傾向で推移していました。現在の第6波が収束するに従い、商業施設の売買も活性化してくると考えられます。
 首都圏と首都圏以外で傾向の違いがあったのが住宅系です。首都圏では「現在の市況は好調で6カ月後の市況の予測も現状維持」ですが、首都圏以外は「現在の市況は中庸も今後市況が悪化する」との見方が大勢を占めています。
 次に、賃貸市場。全体的な傾向は売買と似ていますが、賃貸は全体的に「売高賃低」の状況であることがわかります。売買市場では好調を維持している首都圏の住宅系も、賃貸市場では中庸から不調寄りに位置しています。
 ただし、賃貸住宅市場では間取り別で景況感が大きく変わります。首都圏の賃貸住宅の景況感は、家族向けの40%、カップル向けの33%が「非常に良い」「やや良い」と回答しています。「やや悪い」と回答しているのは、家族向けの12%、カップル向けの16%で、「非常に悪い」という回答はありませんでした。一方で、単身者向け(20㎡以上)の45%、単身者向け(20㎡未満)の61%が「非常に悪い」「やや悪い」と回答しており、首都圏の賃貸住宅では二極化が進んでいることがわかります。
 首都圏以外については、全ての間取りで「非常に良い」という回答はありませんでした。市況が「やや良い」との回答は、家族向けが13%、カップル向けが23%、単身者向け(20㎡以上)が19%でしたが、単身者向け(20㎡未満)については5%にとどまりました。
 市況が「非常に悪い」「やや悪い」との回答は、家族向けが26%、カップル向けが37%、単身者向け(20㎡以上)が38%、単身者向け(20㎡未満)は53%でした。首都圏・首都圏以外ともに面積の狭い単身者向けの市況が悪化していることがわかります。

2021年度の繁忙期の状況

 売買市場では、中古市場の強さを確認することができます。首都圏においては需要も旺盛で、新築・中古市場ともに繁忙期が活況であったことがわかります。首都圏以外では、価格上昇が要因で新築市場の需要が減少し、中古市場の需要増加となっていると考えられます。両地域に共通してみられるのが供給の少なさです。特に首都圏においては、需要の増加に供給が追いついておらず、結果として価格上昇につながっている構図が見えてきます。
 好調な売買市場に対して、賃貸市場は2021年度の繁忙期も不調であったことがわかります。特に首都圏の賃貸住宅市場においては、需要が減少しているのに対して供給はコロナ前の水準を保っています。このため、供給過剰感から賃料が下落していることがわかります。特にアパート系については、需要が大きく落ち込んでいます。
 これは「コロナ禍で大きな影響を受けた飲食業や宿泊業等で勤務する非正規社員が職を失った」「オンライン授業で登校回数の減少し、賃貸住宅を解約して自宅に戻った学生が増加した」等が要因と考えられます。これが、単身者向け賃貸住宅に大きな影響を与えています。首都圏以外の地域についても大都市圏では同様の要因で、単身向け賃貸住宅に影響が出たと考えられます。

間取り別景況感(上段:首都圏、下段:首都圏外)


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賃貸用不動産に対する「融資態度」の変化

 融資態度が「軟化」したとの回答はありませんでした。「やや軟化」との回答は14%です。「硬化」「やや硬化」と回答したのは44%であり、融資環境は依然厳しい状況にあることがわかります。
 一方で、金融機関のみでは「やや軟化」が33%、「やや硬化」が22%と回答が分かれました。融資態度の軟化時期については、「今後も変化しない」という回答が44(金融以外:40、金融機関:4)で最も多く、次いで「コロナ収束後」が34(金融以外:29、金融機関:5)「2022年下期から」が8と続いています。

新型コロナウイルス収束後の市場の変化とリスク

 コロナ収束後の市場の変化については、「コロナ禍の状態が定常化する(コロナは収束しない)」が最も多く、「コロナ前に戻っていく」「価格上昇が続き、ドーナツ化現象が進む」「テレワークの恒常化で人口の地方分散が進む」と続きました。
 不動産市場においてリスクとなるものは、「金利」「国内景気」「資材価格高騰」が上位となりました。ロシアによるウクライナ侵攻がアンケート時期と重なったことから2割が「地政学的問題」を挙げています。

IMAoSでの電子契約の利用実績、2021年度は8万件で3割超増える

 gooddaysホールディングスは4月14日、ソフトバンクグループ企業のSB C&Sとの共同事業である「不動産賃貸業向け電子署名サービスIMAoS」(イマオス)における2021年度の電子契約の締結件数を公表しました。それによれば、約80,000件が締結され、前年度の約60,000件から3割超の増加となりました。また、2022年3月には初めて月間契約件数が10,000件を突破しました。

背景に、不動産賃貸J行のリモートワークの浸透も

 同社では増加した要因を、「IMAoSを利用する不動産事業者の増加だけではなく、コロナ禍により不動産賃貸業でのリモートワークが浸透したうえ、非接触による契約手続きを求める入居者・家主が増えたため」と見ています。

電子契約の締結件数(推移)


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用途は契約更新51%、新規契約25%

 2022年1~3月について電子契約の用途を集計したところ、「更新契約」が最も多く51%、続いて「新規契約(新規入居時の賃貸契約)」が25%。2021年6月に賃貸住宅管理業法が施行され、家主への重要事項説明が一部で義務化されたことから、オンラインでの重要事項説明とともに、「管理受託契約」の締結でも電子契約が利用されるケースが増えていました。
 2022年5月にはデジタル改革関連法が施行されることで、今後は「重要事項説明書」や「新規契約」を用途とした利用が大幅に増加するものと見られます。

 

電子契約の用途(2022年1月~3月)

電子契約の用途(2022年1月~3月)

電子書面の交付が5月18日から可能に、マニュアルも公表

 国土交通省は4月27日、不動産取引時の書面を電子書面で提供できるよう改正した宅地建物取引業法関係の省令・告示を公布しました。また同日、宅地建物取引業者等が重要事項説明書等の電磁的方法による提供等を適正かつ円滑に実施できるよう、「マニュアル」を公表しました。さらに、宅建建物取引士の押印欄を削除するなど形式面の改訂を行った「賃貸住宅標準契約書」も公表しました。

「賃貸住宅標準契約書」も改訂し宅建士押印を削除

 これらは、2021年5月19日に公布された「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」の一部施行を受けたもの。宅地建物取引士の押印廃止や重要事項説明書、契約締結時書面、媒介契約締結時書面等の書面の電磁的方法による提供を可能とする改正規定は、2022年5月18日から施行されます。

主な改正

宅地建物取引業法施行規則の一部改正
  • 宅地建物取引業者が書面を電磁的方法で提供する際に用いる方法:電子メール、Webページからのダウンロード形式による提供、USBメモリ等の交付など
  • 宅地建物取引業者が書面を電磁的方法で提供する際に適合すべき基準:書面に出力できること、電子署名等により改変が行われていないかどうかを確認できることなど
  • 宅地建物取引業者が、書面を電磁的方法で提供する場合に、あらかじめ相手方から承諾を得る際に示すべき内容:電磁的方法で提供する際に用いる方法、ファイルへの記録形式
  • 宅地建物取引業者が書面の交付を受ける相手方から承諾を得る際に用いる方法:電子メール、Webページ上の回答フォーム、USBメモリ等の交付など
「標準媒介契約約款」の一部改正

 所要の形式面の改正を実施。

マニュアル(重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル)の公表

 宅地建物取引業者等が重要事項説明書等の電磁的方法による提供やIT重説を実施するときに、順守すべき事項や留意すべき事項をまとめたマニュアルを公表。

「賃貸住宅標準契約書」の一部改正

   宅地建物取引士の押印欄を削除するなど所要の形式面の改訂を実施。

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