2020年バックナンバー

2020.12.15
賃貸経営ニュースダイジェスト

保有物件の事故、オーナーの5割が「危機感ない」

 不動産投資サイト「楽待」を運営するファーストロジックによれば、「保有物件の事故に関する意識調査」を実施し、「事故が起きるかもしれない危機感はあるか」と聞いたところ、5割のオーナーが「あまりない」「全くない」「気にしたことがない」と回答したということです。

「物件には定期的なメンテ必須、対策徹底を」

 調査期間は2020年11月初旬、有効回答数は202で、結果は11月20日に公表しました。
 調査結果を受け、同社では「2020年10月には、北海道苫小牧市で2階建てアパートの外通路が崩落し、5人が重軽傷を負う事故も発生している」「入居者が安心して暮らせるよう、物件は定期的なメンテナンスが必須である。オーナーには事故を未然に防ぐ対策を行ってほしい」と呼びかけています。

調査結果の概要

「保有物件で事故が起きるかもしれない」という危機感はあるか?

 5割のオーナーが「あまりない」「全くない」「気にしたことがない」と回答。


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事故に備えた対策は十分にできているか?

 「できていない」が29%、「わからない」が31%に。事故に備えて保険に加入しているオーナーは66%いたものの、十分な管理や対策を実施できていないと感じているオーナーが多い。


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11月「景気動向調査(全国)」、国内景気は持ち直すも下旬に鈍化

 帝国データバンク(TDB)は12月3日、2020年11月「景気動向調査(全国)」の結果を公表しました。国内景気は持ち直すも、感染拡大防止にともなう経済活動の抑制が懸念され、下旬に鈍化すると判断しています。

調査結果のポイント

  • 2020年11月の景気DIは6カ月連続で前月比プラス(1.6ポイント)の35.4となった。
  • 国内景気は、下旬にかけてやや鈍化したものの、緩やかな持ち直しが継続した。今後の景気は、足元の感染再拡大への対応にともなう下振れリスクを抱えながらも、緩やかに上向いていくと見込まれる。
  • 10業界中、「サービス」「卸売」「製造」など9業界でプラス、「金融」の1業界がマイナスとなった。各種施策の効果もあり、観光関連の業種を中心に持ち直しの動きがみられた。
  • 「北陸」「東海」など10地域中9地域がプラス、「北海道」が悪化となった。域内主要産業の生産・出荷量が上向くなか、IT投資の活発化がみられた。一方、新型コロナの感染再拡大の影響で「北海道」などでマイナス要因となった。
  • 「大企業」「中小企業」「小規模企業」がいずれも6カ月連続でプラスとなった。

業界別の景況感企業の声(不動産)

  • 希望感もあり、ミニバブルもくると思っている(不動産代理・仲介)。
  • 建売業者が今後の販促を狙って土地購入意欲が強まってきた(貸事務所)。
  • 新型コロナ禍でもアフターコロナを見越して沖縄に投資しようと検討している企業がある(不動産代理・仲介)。
  • 住宅着工件数は年々減少していく(建物売買)。
  • 失業率等の悪化が、徐々に景気に影響を与え始めると思う(貸家)。

2021年首都圏賃貸住宅市場、空室率TVIは東京悪化、3県改善傾向

 タスは11月30日発行の「賃貸市場レポート」(首都圏版、関西圏・中京圏・福岡県版)で、「2021年首都圏賃貸住宅市場の見通し」を公表しました。それによれば、2021年の空室率TVIは、東京23区が「悪化基調で推移する、東京市部が「悪化傾向で推移する ものの、神奈川県は「改善傾向で推移する、埼玉県は「わずかながら改善傾向で推移する、千葉県市場は「改善傾向で推移すると予測。東京と3県とで明暗が分かれる見通しになっています。

空室率TVIなど見通しのポイント

東京23区…悪化基調で推移か
  • 賃貸住宅の着工数は、相続税増税対策の影響などで2013年後半から増加幅が大きくなり、2017年3月にはミニバブル期の約90%の4,979戸/月まで増加しました。2018年中旬以降の金融機関の融資態度硬化後も、人口集中が継続していた東京23区の貸家着工数は高い水準を維持しています。現在のところコロナ禍が、東京23区の貸家着工数及ぼしている影響は軽微です。
  • 世帯数の増加幅がコロナ前の状態に戻らない限り、2021年の東京23区の需給ギャップは、拡大傾向で推移すると考えられます。これに伴い東京23区の空室率TVIも2021年は悪化基調で推移すると考えられます。
  • 賃料指数は、当面上昇基調を維持すると考えられます。しかしながら感染再拡大により景気回復が遅れると、2021年中旬以降に下落基調に転ずる可能性があります。
東京市部…悪化傾向で推移か
  • 賃貸住宅の着工数は、金融機関の融資態度が硬化した影響を受け、2018年中旬以降に減少傾向に転じ、現在はミニバブル期の80%程度(1,100戸/月前後)の水準で推移しています。
  • 東京市部では、2000年以降、多くの大学キャンパスが都心に移転しています。今後も中央大学法学部が多摩キャンパスから都心に移転することが決定しています。多くの学生需要が消失しているため、賃貸住宅市場は悪化しており、これにコロナ禍が拍車をかけています。東京市部の需給ギャップは、2021年は拡大傾向で推移すると考えられ、これに伴い東京市部の空室率TVIも2021年は悪化傾向で推移すると考えられます。
  • 賃料指数は、当面横ばい傾向で推移すると考えられます。しかしながら感染再拡大により景気回復が遅れると、2021年中旬以降に下落基調に転ずる可能性があります。
神奈川県…改善傾向で推移か
  • 賃貸住宅の着工数は、ミニバブル期には2,700戸/月前後だったのに対し、2017年6月には2,798戸/月とピーク時と同水準まで回復しました。その後は減少傾向に転じており、2020年9月現在でミニバブル時の約70%となっています。
  • 神奈川県では、2020年4月以降の世帯数増加幅縮小の影響を受けて一時的に需給ギャップが拡大しました。一方で供給が減少傾向であることから、現状の需給ギャップは、ほぼ横ばいで推移しています。供給は引き続き減少することから、2021年前半には需給ギャップが縮小に転じると考えられます。これに伴い空室率TVIも2021年は改善傾向で推移すると考えられます。
  • 賃料指数は、当面横ばい傾向で推移すると考えられます。しかしながら感染再拡大により景気回復が遅れると、2021年中旬以降に下落基調に転ずる可能性があります。
埼玉県…わずかながら改善傾向で推移か
  • 賃貸住宅の着工数は、2018年中旬以降は減少傾向で推移しており、2020年9月はピーク時の約60%の1,234戸/月まで減少しています。
  • 需要である世帯数増加幅の縮小と賃貸住宅の供給は、ほぼ拮抗しており、埼玉県の需給ギャップは横ばい傾向で推移しています。2021年の埼玉県の需給ギャップは、世帯幅の減少が若干勝り、わずかながら縮小傾向で推移すると考えられます。これに伴い空室率TVIも、2021年はわずかながら改善傾向で推移すると考えられます。
  • 賃料指数は、当面横ばい傾向で推移すると考えられます。かしながら感染再拡大により景気回復が遅れると、2021年中旬以降に下落基調に転じる可能性があります。
千葉県…改善傾向で推移か
  • 賃貸住宅の着工数は、2017年10月以降は微減傾向となり、2010年11月以降は1,300戸/月前後で推移しており、新型コロナ感染拡大の影響は軽微です。
  • 千葉県は2019年9月に襲来した台風15号、10月に襲来した台風19号により多くの家屋が甚大な被害を受けました。これに対して千葉県は災害救助法に基づき、応急仮設住宅として民間賃貸住宅を借り上げて提供する事業(賃貸型応急住宅の供与)を実施しました。また、これらの台風では賃貸住宅も被災していると思われます。これにより千葉県の賃貸住宅需給ギャップは縮小方向に強いバイアスがかかっています。2021年も千葉県の需給ギャップは縮小傾向で推移すると考えられます。これに伴い空室率TVIも改善傾向で推移すると考えられます。
  • 賃料指数は、当面横ばい傾向で推移すると考えられます。しかしながら感染再拡大により景気回復が遅れると、2021年中旬以降に下落基調に転ずる可能性があります。

全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」の10月募集家賃動向

 アットホームは2020年11月19日、全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」の募集家賃動向(2020年10月)を発表しました。同社の不動産情報ネットワークで、消費者向けに登録・公開された居住用賃貸マンション・アパートの募集家賃動向を調査・分析して作成しました。

全体概況

  • マンションの平均募集家賃は、神奈川県・埼玉県・名古屋市・福岡市が全面積帯で前年同月を上回る。
  • 大型ファミリー向きマンションは、神奈川県が8ヵ月連続、千葉県が3カ月連続で2015年1月以降最高値を更新。
  • アパートは、東京23区のファミリー向きが3カ月連続で最高値を更新。

〈平均募集家賃 前年同月比上昇率トップ3〉 ※カッコ内は2020年10月の平均家賃


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空き家法施行から5年、特定空き家の除去は累計で1.2万件に

 国土交通省は2020年11月26日、空き家法施行から5年が経ち、空き家等対策計画は全市区町村の7割で策定され、その効果として5年で約1.2万物件の特定空き家等の除却等(うち代執行260件)が行われるなど、全国で空き家対策が進んでいると公表しました。空き家法に基づく措置に加え、市区町村でもさまざまな空き家対策が行われ、管理不全の空き家の除却等(特定空き家等の除却等含む)が5年で約9.0万物件進んでいます。

ほか、市町村の取り組みで9.0万件(特定空き家含む)を除去

 国交省と総務省は、空き家法の施行状況等を、地方公共団体に年2回調査しています。今回公表したのは、2020年3月31日時点の状況です。

調査結果のポイント

空き家等対策計画は全市区町村の7割が策定

 全市区町村の7割となる1,208市区町村で「空き家等対策計画」が策定され、2020年度末には8割にあたる1,373市区町村で策定される見込みとなっている。

特定空き家等は約1.2万物件について除却等が進展

 周辺の生活環境等に悪影響を及ぼす「特定空き家等」については、助言・指導するなど措置件数が年々増え、助言・指導が累計で19,029件、勧告が1,351件、命令が150件、代執行(行政代執行と略式代執行)が260件となった(過年度分の助言・指導などの件数を一部修正)。
 また、市区町村における空き家対策で、特定空き家等の除却等に至った件数は約1.2万物件に及んでいる(市区町村が把握している特定空き家等は約1.8万物件)。

市区町村の取り組みで約9.0万物件の管理不全の空き家の除却等が進展

 市区町村では、空き家法に基づく助言・指導などの措置に限らず、条例に基づく措置や空き家法に基づく情報提供などさまざまな取り組みが行われている。その効果として、所有者による除却等が相当数行われており、累計で約9.0万物件(特定空き家等の除却等含む)に及んでいる。

■ 詳しくはこちら→PDF「空き家対策状況20200331」

大東建託、「街の住みここち」「住みたい街」ランキングの「2020年全国版」公表

 大東建託は2020年11月25日、過去最大級の居住満足度調査を行い、「街の住みここち」「住みたい街」ランキングの「2020年全国版」を公表しました。

作成手法

  • 評点は今住んでいる地域の評価の平均値、偏差値は評点の平均値が50になるように変換し、評点の数値が評点の平均値からどの程度隔たっているのかを表示。
  • 「住みここちランキング」は、2019年度と2020年度の回答を累積し、「住みたい街ランキング」は、2020年度の回答のみで集計。
  • 「住みここち(自治体)ランキング」は、回答者50名以上の自治体を、「住みたい街(自治体)ランキング」は、現住地・現住都道府県または都市圏・「特にない」という回答を除いてランキングを集計。
    「住みたい街(都道府県)ランキング」は、住みたい街(自治体)への投票を、都道府県ごとに合計してランキングを作成。

総評

「住みここち(自治体)ランキングでは、回答者数の累積により上位ランキングが変動
トップ3は奈良県王寺町、東京都中央区、大阪府大阪市天王寺区に

 第2回目の発表となる2020年度版では、トップ10のうち7自治体が、第1回(2019年度)調査でもトップ10にランクインしている。また、昨年トップの福岡市中央区は6位、昨年4位の大阪府大阪市西区は21位と、順位が変動しています。

住みここち(自治体)静かさ治安トップは、大阪府豊能郡豊能町
自然・観光トップは、和歌山県串本町、総合上位300位圏外の自治体が上位に

 住みここち(自治体)要因別では、大阪府豊能町が静かさ治安で、和歌山県串本町が自然・観光でトップにランクイン。総合上位300位圏外の自治体が上位にランクインしています。

住みここち(都道府県)トップ3は東京都、兵庫県、福岡県

 住みここち(都道府県)は総合トップの東京都は、親しみやすさ、交通利便性、生活利便性、イメージ、行政サービスの5項目でもトップとなっています。

住みたい街(自治体)トップは福岡市、住みたい(都道府県)トップは東京都

 2020年度の調査では、入力された地名をもとに複数の自治体候補を表示するフリーワード・サジェスト方式で回答を得ています。自治体トップは福岡市(得票率7.9%)、都道府県トップは東京都(同17.2%)となっています。


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新型コロナ禍、業績へマイナスを見込む企業は2カ月連続で8割下回る

 帝国データバンク(TDB)が2020年12月9日に公表した「新型コロナ感染症に対する企業の意識調査」によれば、業績へマイナスを見込む企業は2カ月連続で8割を下回りました。一方、新型コロナ禍にともなう「新しい生活様式への対応」は3割超が2021年中の定着を見込んでいました。

「新しい生活様式への対応」、3割超が2021年中の定着見込む

 この調査は、TDB「景気動向調査」(2020年11月調査)とともに11月16日~30日に実施しました。調査対象は全国23,686社で、有効回答企業数は11,363社(回答率48.0%)。新型コロナウイルス感染症に関する調査は今回で10回目。

調査結果の概要

  • 新型コロナ感染症による自社の業績への影響、「マイナスの影響がある」と見込む企業は79.8%へと7カ月ぶりに増加に転じたが、2カ月連続で8割を下回った。他方、「プラスの影響がある」と見込む企業は4.3%となり、前月比0.5ポイント増で2カ月連続の増加となった。
  • 「マイナスの影響がある」を業種別にみると、「旅館・ホテル」が97.0%で最も高い。以下、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(93.5%)、「出版・印刷」(91.4%)、「広告関連」(91.3%)、「飲食店」(90.7%)が続く。
  • 「プラスの影響がある」は、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」が32.6%でトップ。次いで、「飲食料品小売」(20.6%)、「飲食料品・飼料製造」(12.2%)、「家電・情報機器小売」(11.8%)、「医薬品・日用雑貨品小売」、「放送」(ともに10.5%)が上位に並んだ。
  • 新型コロナ感染症の影響が継続するなか、「新しい生活様式」に対応した企業活動について、「2021 年中の定着を見込む」企業が、36.9%となった。他方、「2020年中の定着を見込む」企業は18.3%だった。一方で、「新しい生活様式に対応した企業活動は定着しない」とみている企業は11.8%であった。

10月の「宅配便の再配達率」、前年同月より3.6ポイント減り約11.4%に

 国土交通省は12月11日、10月の「宅配便の再配達率」は約11.4%になったと公表しました。前年同月(約15.0%)と比べて約3.6ポイントの減少。

4月に比べると2.9ポイント増加

 新型コロナ禍でテレワークなど「新しい生活様式」が普及したことによる在宅時間の増加や、宅配ボックスや置き配の活用など多様な受取方法が広まりつつあることが影響したと見られます。
 一方で外出自粛要請等の影響があった4調査(約8.5%)と比べて約2.9ポイント増となりましたが、前年3月と比べて在宅時間が減少したことが影響したと見られます。

令和2年10月 令和2年10月
総 数 再配達数 再配達率 総 数 再配達数 再配達率
都 市 部 990,957 115,631 11.7% 839,143 139,158 16.6%
都市部近郊 1,559,643 175,134 11.2% 1,325,342 189,901 14.3%
地  方 150,202 16,487 11.0% 130,910 15,080 11.5%
総  計 2,700,802 307,252 11.4% 2,295,395 344,139 15.0%

※大手宅配事業者3社の合計数値
※調査期間はいずれも10月1日~10月31日

国交省、都道府県別の「自然災害リスクの分析結果を公表

 国土交通省は2020年12月3日、災害リスクエリア内人口の推移を都道府県別に分析した「中長期の自然災害リスクに関する分析」結果を公表しました。分析により、全国の災害リスクエリア内人口は2015年から2050年までに約1,416万人減少するものの、総人口に対する割合としては約2.8%増えることが分かりました。この分析結果を見ると、自らが居住する都道府県の災害リスクを総合的に知ることができます。

2050年までに、エリア内人口は1,416万人減少も総人口への割合は2.8%増加

 総力戦で挑む防災・ 減災プロジェクト(いのちとくらしをまもる防災減災)」の一環として、中長期的な視点から災害リスクに対する適切な土地利用を検討するため、災害リスクエリア内の人口を、都道府県別に2015年-2050年の推移を分析したものです。

分析結果の概要と活用

  • GIS(地理空間情報)を用いて、洪水、土砂災害、地震(震度災害)、津波の4種の災害リスクエリア内の人口の推移を分析。
  • その結果、日本全国の災害リスクエリア内人口は2015年から2050年までに約1,416万人減少するものの、総人口に対する割合としては約2.8%増加する。都道府県別にみても複数の都道府県で同様の傾向が見られる。
  • 今後、地方自治体や企業などが国土全体の構造・地域づくりの検討を行うとき、分析結果を参考として活用してもらう考え。
    ・地方自治体による活用:複数の災害リスクを重ねあわせたうえで都道府県別の地図で整理しているので、自治体職員が広域的・総合的な視点で防災施策の企画・立案を行う際、参考資料としての活用できる。たとえば、地方自治体が保有している重要施設の位置情報等をリスクエリアマップで確認し、災害時の重要施設の機能確保策が検討できる。
    ・企業による活用:企業の生産・販売拠点など、複数の災害リスクを都道府県単位で把握することができるので、リスクを踏まえた生産・販売拠点の防災対策や流通経路も踏まえた災害リスクへの対応へ活用できる。
    ・住民による活用:自らが居住する都道府県の災害リスクを総合的に知ることで、災害時の具体的な行動を考えたり、中長期的な視点でより災害リスクの低い土地利用を集落などで話しあう際の参考資料として活用できる。

【例】北海道


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2020.12.1
賃貸経営ニュースダイジェスト

国内景気は低水準ながら緩やかに持ち直し

 帝国データバンク(TDB)は11月5日、10月の景気動向調査(全国)の結果を公表しました。それによれば、国内景気は低水準ながら緩やかに持ち直しつつあります。

TDB、調査結果のポイント

  • 10月の景気DIは5カ月連続で前月比プラス(2.2ポイント)の33.8となった。国内景気は、生産・出荷や個人消費が上向き、低水準ながらも緩やかに持ち直してきた。
  • 10業界中「その他」を除く9業界、51業種中46業種でプラスとなった。「製造」では自動車関連を中心に持ち直しが継続したほか、「サービス」は「旅館・ホテル」が大幅なプラスとなった。
  • 「北関東」「近畿」「九州」など全10地域、42都道府県がプラスとなった。堅調な公共工事が地域経済を下支えしたことに加え、地域間で人の移動が増えてきたことで地方圏を中心に観光関連が上向いた。「大企業」「中小企業」「小規模企業」がいずれも5カ月連続でプラスとなった。
今後の見通し
  • 今後1年程度の国内景気は、新型コロナへの対策を進めながら、新しい生活様式に対応した需要の創出が期待される。またレジャー関連や海外からの訪日客の受け入れ再開など、個人消費の持ち直しが見込まれる。さらに挽回生産や自国生産の拡大による設備投資や輸出増加などもプラス要因となろう。
  • 他方、今後の感染状況により消費者マインドの後退や雇用・所得環境の悪化、政府による活動自粛の再要請など、下振れリスクも大きい。また米大統領選の行方や海外の感染拡大による回復の遅れなども注視される。
  • 今後の景気は、新型コロナの感染拡大防止と経済活動再開のバランスに慎重に対応しながら、緩やかに上向いていくとみられる。

国交省、関係団体を通じ「おとり広告の禁止」について注意喚起

 国土交通省は11月10日、「おとり広告の禁止」について、会員事業者に注意を喚起するとともに、ホームページなどを通じて周知するよう関係団体に要請しました。年度末にかけて宅地建物取引が増加することから、業務の適正な運営と宅地建物の公正な取引の確保に向け、改めて通知しました。

年度末に向け取引が増えることから、改めて通知

 宅地建物取引業法の第32条では、顧客を集めるために売る意思のない条件の良い物件を広告し、実際は他の物件を販売しようとする「おとり広告」と、実際には存在しない物件などの「虚偽広告」も禁止されています。
 また、これらの広告は 、不当景品類及び不当表示防止法で指定された「不動産のおとり広告に関する表示」、不動産の表示に関する公正競争規約でも禁止されています。
 具体的には次のように判断されます。

  • 実際には取り引きする意思のない物件を、顧客を集めるために、合理的な根拠なく「相場より安い賃料・価格」等の好条件で広告して顧客を誘引(来店等を促す行為)したうえで、他者による成約や事実ではないこと(たとえば、生活音がうるさい、突然の水漏れが生じた、治安が悪い等)を理由に、他の物件を紹介・案内する→「おとり広告」に該当。
  • 成約済みの物件を速やかに広告から削除せずに当該物件のインターネット広告等を掲載することや、広告掲載当初から取引の対象となり得ない成約済みの物件を継続して掲載する→故意・過失を問わず「おとり広告」に該当。
  • 他の物件情報等をもとに、対象物件の賃料や価格、面積、または間取りを改ざんすること等、実際には存在しない物件を広告する→「虚偽広告」に該当。

サブリース規制施行に先立ち、注意喚起リーフレット・チラシ作成

 国土交通省は、サブリース新法によるサブリース規制が12月15日から施行されるのに先立ち、サブリース方式での賃貸住宅経営について注意を喚起するリーフレット・チラシを消費者庁・金融庁と連携して作成し、11月18日に公表しました。

国交省が消費者庁・金融庁と連携して作成

   賃貸住宅経営や管理の知識・経験に乏しいオーナーが、サブリース業者がオーナーから建物を一括して借り上げて転貸する賃貸借契約「マスターリース契約」の締結に際し、家賃保証等の契約条件や賃料減額等のリスクなどを十分に理解しないまま、賃貸住宅経営に参入し、契約後にトラブルが発生し、一部では社会問題化しました。
 また、サブリース住宅の入居者は、オーナーとサブリース業者の間のトラブルに起因する賃貸借契約の終了により、不利益を受ける場合があります。
 リーフレット・チラシは、このようなトラブルを未然に防ぐため、賃貸住宅経営を考えている人やサブリース住宅に入居する人が、サブリースの仕組みについて十分に理解したうえで契約に臨めるよう、契約の前に身につけておくべき知識や、契約時に留意すべき事項をわかりやすく紹介しています。

リーフレットのポイント

賃貸住宅経営(サブリース方式)をお考えの方向け
  • 賃貸借契約の内容にかかわらず、借地借家法(普通借家契約の場合は第32条)により、オーナー等に支払われる家賃がマスターリース契約の期間中や更新時などに減額される可能性があることを記載。
  • 契約書でサブリース業者から解約することができる旨の規定がある場合、契約期間中であってもサブリース業者から解約される可能性があることや、オーナーからの更新拒絶には借地借家法(第28条)により正当事由が必要となることを記載。
  • 過去にサブリース業者が破綻したり、契約期間中に契約解除を迫られた例もあり、サブリース業者とどのような契約を結んだかにかかわらず、最終的なリスクと責任はオーナーが負うこととなることに留意すべきことを記載。
サブリース住宅の入居者向け
  • サブリース住宅の場合、賃貸借契約書に貸主がサブリース事業者から建物のオーナーに変わった場合に住み続けられる旨(地位の承継に関する規定)の記載がない場合には、オーナーとサブリース業者の間の賃貸借契約の終了にともない、建物の所有者から退去を求められる可能性があることを記載。
  • サブリース業者は、入居者に対し自身の管理内容を明示するため賃貸住宅に係る「維持保全の内容」及び「サブリース業者の連絡先」を通知する義務があることを記載。
詳しくはこちら

家賃支援給付金、11月1日現在で申請66件、給付43.7万件

 経済産業省は11月6日、中小企業・個人事業者向け「家賃支援給付金」の申請と給付について、同1日現在の申請、給付状況を公表しました。それによれば、申請は現在も週2万件半ばで続いており、受け付けを開始した7月14日以降の累計数は66万件となり、うち給付は累計で43.7万件となっています。


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国交省、“寒冷な場面における新型コロ対策”の徹底を要請

 国土交通省は11月16日、寒冷な場面における新型コロナウイルス感染防止対策の徹底を賃貸関連団体に要請しました。政府の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」から、「最近の感染状況を踏まえたより一層の対策強化」が提言されたことを受け、提言を踏まえて冬期における換気等を十分徹底するよう周知することを求めています。

住宅確保給付金、9月で給付件数が10万件を超える

 厚生労働省のまとめによれば、新型コロナ禍で要件が緩和された住宅確保給付金の支給件数が9月に、4月からの累計で10万件を超えました(103,918件)。ただ、6月の3.5万件をピークに下降を続けており、7月は単月で2万件ありましたが、8~9月には2カ月合わせても1.8万件へと減少しています。

申請、給付とも減少傾向も、新型コロナ第3波を警戒

 申請件数も、5月には4.5万件にも増え、翌6月も3万件を超えましたが、以後減少しています。
 このため、ピークは過ぎたとの受け止めが多い一方で、第3波の拡大しだいでは再び増加に転じるのではないかとの見方も出ています。

相次ぐ民泊事業の廃止、半数が新型コロナ禍などで「収益見込めない」

 観光庁は、住宅民泊事業の廃止が相次いでいることから、2020年9月8日から10月18日までの40日間に廃止届があった289件について調査した結果を11月6日に公表しました。すると、廃止理由では「収益が見込めないため」が142件(49.1%)と最も多く、うち99.4%にあたる134件が新型コロナ関連でした。全体では新型コロナ関連が150件あり、廃止理由全体の51.9%を占めました。住宅民泊事業の累計での廃止件数は、2020年10月7日時点で7,292件にも上っています。

調査結果の概要

  • 廃止の理由で最も多かったのは、「収益が見込めないため」であり、今回調査の49.1%(前年同期調査7.2%)を占め、前回に比べ大幅に増加している。
  • 次に、「旅館業または特区民泊へ転用するため」が18.0%(前回57.8%)、「他の用途」へ転用するため」が8.3%(前回2.2%)と続いている。
  • 廃止の理由の中で新型コロナウイルス関連が占めたのは、同全体の51.9%であった。最も多かったのは「収益が見込めないため」で、うちコロナ関連が94.4%を占めていた。
  • 「その他」については、「事業は完全に廃棄」(33件)が「事業継続の意思あり」(12件)を初めて上回った。

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2020.11.15
賃貸経営ニュースダイジェスト

9月の新設住宅着工戸数、貸家は25カ月連続の減少

 国土交通省は10月30日、2020年9月の新設住宅着工戸数を公表しました。それによれば、新設住宅着工戸数は、持家、貸家、分譲住宅ともに減少したため、全体で70,186戸となり、前年同月比9.9%減少しました。うち、貸家は14.8%減の25,053戸で、25カ月連続の減少。

持家、分譲も減少し、総戸数70,186戸で9.9%減少

総戸数
  • 新設住宅着工戸数は70,186戸で、前年同月比9.9%減、15カ月連続の減少。
 
利用関係別戸数
  1. 持家:22,337戸(前年同月比7.0%減、14カ月連続の減少)
  2. 貸家:25,053戸(同14.8%減、25カ月連続の減少)
  3. 分譲住宅:分譲住宅は22,159戸(同7.8%減、11カ月連続の減少)
  • マンション:11,970戸(同0.4%減、4カ月連続の減少)
  • 一戸建住宅:10,036戸(同15.6%減、10カ月連続の減少)

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2020年版「人気設備ランキング」、宅配ボックスが急上昇

 全国賃貸住宅新聞は10月19日、部屋探しでの2020年版「人気設備ランキング」を発表しました。それによれば、トップは変わらず、「インターネット設備」。全体として設備のグレードアップ化が進み、上位で最も順位を上げたのは「宅配ボックス」でした。ただし、クレームも最多。単身者向け設備では1位から8位まで変動がない中、9位にガスコンロ(2口・3口)、10位に浴室換気乾燥機がランクアップしました。

単身者向け、「ガスコンロ」、「浴室換気乾燥機」が上位に

 このランキング調査は、店頭で接客している賃貸仲介会社や管理会社の声をもとに、賃貸住宅の最新設備ニーズを探るアンケート企画で、全46種から“人気の設備”を選んでもらいました。調査期間は8月27日から10月5日。372社から有効回答を得たということです。
 アンケート結果はまず、「単身者向け物件」と「ファミリー向け物件」に大別。そこから「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」と「この設備がなければ入居が決まらない」に分け、全4パターンのランキングを載せています。

全体として設備のハイグレード化進む

 同紙によれば、2020年版のポイントは賃貸住宅に求める設備のハイグレード化が進んでいること。上位で最も順位を上げたのが、ファミリー向け物件の「宅配ボックス」。また、上位8~15位の間では昨年との変動が目立ちました。
 そうした中、上位7位の“常連の人気設備” は不動の人気を見せましたが、単身者向けで「システムキッチン」「TVモニター付きインターフォン」など、ファミリー向けで「宅配ボックス」のほか、「防犯カメラ」が上昇しました。
 ほか、単身者向け、ファミリー向けとも、「エレベーター」への人気の高まりがうかがえます。

クレーム最多は、「ネット無料」と「宅配ボックス」

 また、「この設備がなければ入居が決まらない」では、1位「室内洗濯機置き場」、2位「TVモニター付きインターフォン」など8位までは前年と変動がなかった中で、9位に「ガスコンロ」(2口・3口、前年11位)、10位に「浴室換気乾燥機」(前年16位)が入りました。
 一方、「クレームの多い設備」では、「ネット無料」と「宅配ボックス」が突出して多く、前者には「ネットの通信速度が遅い」、後者には「宅配ボックスを特定の一人が占拠している」といったクレームが目立ったということです。


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募集家賃、アパートは東京23区の上昇目立ち、全面積帯で最高値を更新

 アットホームは10月26日、2020年9月の全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向を公表しました。不動産情報ネットワークで消費者向けに登録・公開された、首都圏(1都3県)、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市における居住用賃貸マンション・アパートの募集家賃動向をまとめたものです。

全体概況

マンション

   神奈川県・埼玉県・名古屋市・福岡市が全面積帯で前年同月を上回る。特に名古屋市は、全面積帯で前年同月比上昇率トップ2以内に。大型ファミリー向きマンションは、東京23区・神奈川県・千葉県が前月に続いて2015年1月以降最高値を更新。

アパート

   東京23区の上昇が目立ち、全面積帯で最高値を更新。


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コロナ禍で居住地の多様化進むか…現状では郊外・地方移住は限定される

 TASは10月30日発行の「賃貸住宅市場レポート」(10月号)で、「コロナ禍の影響で居住地の多様性が実現するのか」(テレワーク浸透の影響)をレポートしています。企業のリスク分散状況、テレワークの実施状況、テレワークと居住地の多様化を見たうえで、「賃貸住宅に居住する世帯の方が移住に対するハードルが低くなる」ものの、「現状では郊外や地方に移住できる人は限定される」との見方を紹介しています。

レポートのポイント

  • 仮にテレワーク回数が週に1~2回の人を近隣派、テレワーク回数が週に3~4回の人を郊外派、テレワーク 回数が週5回以上の人を地方移住派とすると、ポテンシャルとしては、近隣派が従業員の13.7%、郊外派が同 11.5%、地方移住派が同8.1%となる。
  • しかしながら、移住を実施するにはいくつかの問題がある。現在持家に居住している世帯の場合は、移住のために物件の売却が必要になる。郊外派・地方移住派の住宅を近隣派が購入する等、中古住宅市場の活性化につながる可能性は否定できないが、現状では持ち家世帯の移住決断のハード ルは高いと考えられ、賃貸住宅に居住する世帯の方が移住に対するハードルが低くなる。
  • 共働き世帯の場合、郊外・地方に移転するかどうかの決断は、パートナーの出社頻度に影響を受ける。週3日以上テレワークする人の割合を従業員の19.6%、テレワーク可能日数がそれぞれの企業事情で独立に決定されると仮定すると、パートナー両方が週3日以上のテレワークとなる確率は約4%となる。共働きでない世帯や単身世帯の場合は、移住の決断自由度がもう少し高まる。このほか、子供の学校の状況、進学のタイミング等も移住の決断の障害となり得る。
  • 大東建託が2020年9月中旬に行った調査では、増加傾向にあるものの、郊外への引っ越しを検討している割合は8.9%、地方への引っ越しを検討しているのは8.9%にとどまっている。今回解説した理由から、現状では、郊外や地方に移住できる人は限定されると考えられる。

テレワーク普及で、建築面積が広い戸建て雷要高まるか

 みずほ信託銀行の「不動産マーケットレポート」は、10月号で、テレワークの普及により、今後は建築面積が広く仕事用のスペース·部屋が確保しやすい戸建住宅の雷要が高まる可能性が高まるとの見方を紹介しています。

みずほ信託銀行「不動産マーケットレポート」10月号が掲載

掲載記事の概要

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策の一つとして、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)を中心にテレワークが急速に普及した。働き方改革やBCP(事業継続計画)、DX(デジタル変革)、コスト削減などの観点から、新型コロナウイルス感染が終息した後も、テレワークが活用され続けることが考えられる。テレワークの定着により従業員の通勤日数が減少すれば、職住近接駅近物件を重視する傾向が薄れ、建物面積が広く仕事用のスペース・部屋が確保しやすい戸建住宅の雷要が高まる可能性がある。

テレワークが定着する可能性が高まる

  • 2020年4月7日の緊急事態宣言以降、新型コロナウイルス感染拡大の防止策として、東京圏を中心にテレワークが急速に普及した。独立行政法人労働政策研究研修機構の調査によると、テレワークの実施率は、2月の5.3%から、5月には48.1%まで急上昇した。
  • 働き方改革やBCP(事業継統計画)、DX(デジタル変革)、コスト削減などを背景に、IT企業やスタートアップ企業を中心にオフィスのダウンサイジングの動きが見られ、テレワークを本格活用する意向を示す企業が東京圏では35.0%に上るなど、新型コロナウイルスが終息した後も、テレワークが定着する可能性が高まっている。
  • 一方、内閣府の調査によると、テレワークの課題として、従業員取引先等とのコミュニケーションや通信環境などと並んで、「在宅では仕事に集中することが難しい住環境」があげられた。テレワークの普及率が高い東京圏を中心に、近年、マンションの専有面積の狭小化が進んでおり、仕事用のスペースや部屋を確保しにくい状況が生まれやすいことが要因の一つとして考えられる。

戸建住宅の建物面積はマンションの1.5~1.6倍、間取りも4DK・LDKがボリュームゾーンで広め

  • 共働き世帯の増加などを背景に、職住近接・交通利便性が高い駅近物件が好まれる傾向が続き、新築マンションでは用地取得費や建築費の高止まりによる価格高騰とともに、専有面積の狭小化が進んできた。
  • これに対して、戸建住宅の建物面積は増加しており、2019年の戸建住宅の建物面積は新築マンションの専有面積の約1.5倍、中古マンションの専有面積の約1.5~16倍と広くなっている。
  • 2019年度に東京園で新規供給または成約した新築中古マンションと戸建住宅の問取りの割合を見ると、マンションは、新築中古ともに、3DK・LDKがそれぞれ67%、47%を占めているが、戸建住宅は4DK・LDKがボリュームゾーンで52%を占め、5DK・LDK以上の広い間取りも9%取引されている。

価格が比較的安価なことも、戸建住宅の需要が増加する後押し要因に

  • 2013年以降、用地取得費上昇や建築費の高止まりに加え、都心部に供給が集中したことから、東京圏の新築マンション価格は上昇基調である。また、新築マンションの供給戸数が少なく、新築マンション購入時の検討対象としやすい状態が続いていることなどの影響で、中古マンションの価格も上昇している。
  • 中古マンションの成約価格は、2016年には中古の戸建住宅の成約価格を上回り、2019年には新築の戸建住宅の成約価格とほぼ同額になった。これに対して、新築の戸建住宅、中古の戸建住宅の成約価格はほぼ横ばいで推移している。このように、価格が比較的安価なことも、戸建住宅の需要が増加する後押し要因になると考えられる。

戸建住宅の成約件数の約7割が中古

  • 戸建住宅の年間成約件数は、2000年以降、微増ないし横ばいで推移しており、そのうち中古の戸建住宅が7割程度を占めている。
  • ただし、中古戸建住宅はシロアリ被害・雨漏れ・躯体の歪みなどの不具合が購入後に発覚する事態や、そのような瑕疵の修繕費用の負担なども懸念される場合がある。今後、さらなる中古戸建住宅の流通拡大のためには、品質が可視化・担保されるなど、消費者が安心して購入できる環境を整える必要があると考えられる。

宅地建物取引業者数、6年連続で増え12万5,638業者に

 国土交通省は10月16日、2019年度の「宅地建物取引業法の施行状況調査」の結果を公表しました。宅地建物取引業者数は6年連続で増え、125,638業者となりました。

宅建士、新たに27,580人が登録

宅地建物取引業者

 2020年3月末現在の宅地建物取引業者数は、大臣免許が2,603業者、知事免許が123,035業者で、全体では125,638業者となりました。前年度に比べ、大臣免許は34業者(1.3%)、知事免許は1,153業者(0.9%)増え、全体では1,187業者(1.0%)増えました。増加は6年連続。

監督処分等

 2019年度中に、宅地建物取引業法に基づいて国土交通大臣、都道府県知事が行った宅地建物取引業者に対する監督処分の件数は198件で、前年より16件(8.8%)増えました。特に、指示処分が57件へと31件も増え、2.2倍になりました。

  1. 免許取消処分…109件(-16件、12.8%減)
  2. 業務停止処分…32件(+1件、3.2%増)
  3. 指示処分…57件(+31件、119.2%増)
  4. 合計…98件(+16件、8.8%増)
宅地建物取引士登録者数

 新たに27,580人が登録し、総登録者総数は1,076,177人となりました。

地場の不動産仲介業の景況感調査、7~9月は大幅改善も、水準は低位

 アットホームは11月2日、7~9月期の「地場の不動産仲介業における景況感調査」の結果を公表しました。それによれば、今期業況DIは調査対象全エリアで前期から大幅に改善したものの、その水準は低位にとどまりました。

  • 今期業況DIは調査対象全エリアで前期から大幅に改善したものの、その水準は低位にとどまる。
  • 首都圏・近畿圏では、過去最低だった前期から大幅に業況改善。首都圏では郊外部、近畿圏では大阪府など、転入増加のエリアほど業況の改善幅が大きい。
  • 消費者ニーズにも変化。コロナ禍の影響で通信環境、郊外、ワークスペース、戸建てなどのキーワードが上位に。

<首都圏・近畿圏の業況判断指数(業況DI※前年同期比)の推移>


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東京都のアパート系空室率TVIが悪化

 TASは10月30日、2020年8月期「賃貸住宅市場レポート」の首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版を公表しました。それによれば、東京都のアパート系空室率TVIは悪化に転じました。

マンション系空室率TVI、全ての地域で前月から悪化

 東京都のアパート系空室率TVIの悪化は、首都圏への人口流入の減少だけでなく、対面が必要なサービス業(宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業)の業績悪化の影響が表れ始めた可能性があります。
 また、マンション系空室率TVIは、全ての地域で前月から悪化しました。アパート系空室率TVIも静岡県を除いた地域で前月から悪化しています。


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住まい探しから契約までの期間、長期化やや収まる

 不動産情報サイトの運営会社でつくる不動産情報サイト事業者連絡協議会は10月29日、協議会ホームページと加盟している不動産情報サイト上で一般消費者向けに実施した「不動産情報サイト利用者意識アンケート」の調査結果をまとめました。結果はコロナ禍の影響を受けていると見られますが、住まい探しから契約までの期間は長期化がやや収まり、問い合わせと訪問した会社数は過去最多になりました。

物件以外での必要情報、浸水の危険性や地盤の固さ

 この調査は、年1回実施しており、今回は18回目で、物件契約に至ったユーザーの行動・特徴を中心にまとめました。調査期間は3月下旬から7月中旬までの121日間。過去1年のうちに、インターネットで、自身が住む住まいを賃貸または購入するために不動産物件情報を調べた2,966人(有効回答数)から回答を得ました。
 結果の概要は次の通り。

  • 住まい探しをしてから契約までにかかった期間は、「1週間~1カ月未満」が最も多く、検討期間の長期化がやや収まる傾向も。
  • 物件を契約した人が問い合せた会社数と訪問した会社数の平均は、ともに直近5年で最多に。限られた期間でしっかりと検討した様子がうかがえる。
  • 売買物件の契約者が物件情報以外に必要だと思う情報は、「浸水の危険性」や「地盤の固さ(強さ)」など、ハザード情報が上位に。

2020.11.1
賃貸経営ニュースダイジェスト

新型コロナ禍前と比べ“自宅が手狭になった”人が約3割

 新型コロナ禍前と比べて自宅が手狭になったと感じている人が約3割も。でも、そう感じた人の約7割が何も対策をとっていない。LIFULL SPACEは10月14日、「コロナ禍での収納と自宅のスペース」に関するアンケート調査を実施したところ、こんな傾向がわかったと公表しました。

でも、その7割は対策をとっていない LIFULL SPACE調べ

 LIFULLの子会社で、「収納シェア」サービスを展開しているLIFULL SPACEは、9月下旬に、全国25~59歳の男女510名を対象とした、web方式によるアンケート調査「コロナ禍での収納と自宅スペース」を実施しました。
 その結果、新型コロナ禍の拡大以前と比べ、“自宅が手狭になった”と感じている人が約3割いました。理由は「モノが増えた」が最も多く、続いて「日用品などをストックするスペースを確保した」「自分や家族が家にいる時間が増えた」が上位を占めました。
 一方で、手狭になったと感じているのに、約7割の人が何も対策をとっていませんでした。対策を取ったと人の対策法はモノを「捨てた」「売った」が圧倒的に多く、「自宅外に預ける」方法をとった人もいました。

調査結果のポイント

  • 新型コロナ禍前と比べて、自宅にモノが増えた人は4人に1人。
  • 増えたモノは、約6割が日用品や食料品などのストック、家電、子供が使うものも上位。
  • 自宅にモノが増えた人の中で約8割が収納に困っている。
  • 新型コロナ前と比べて、自宅が手狭になったと感じている人は約3割。
  • 自宅が手狭になった理由は「モノが増えた」「日用品や食料品などをストックするスペースを確保した」が上位。
  • 自宅が手狭になったと感じた人の約7割が何も対策をとっていない。
  • 自宅が手狭になったと感じた人がとった対策は、「捨てた」「売った」が上位。

自宅が手狭になったと感じた人がとった対策


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国交省、サブリース新法「ガイドライン」を公表

 国土交通省は10月16日、2020年6月に公布した「サブリース新法」(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)が12月15日から施行されるのに先立ち、具体的な規制の対象を事例等で明示した「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」を策定しました。また同日、同法の「施行規則」「解釈・運用の考え方」も公表しました。

「施行規則」解釈・運用の考え方」も公表

 ガイドラインのポイントは次の通り。

  • 不当勧誘等の禁止の対象となる「勧誘者」に、建設請負や不動産売買の際に契約の勧誘を行う建設業者や不動産業者や、サブリース業者から勧誘の依頼を受けた賃貸住宅のオーナーが該当することを明確化した。
  • 「家賃保証」等の誤認を生じやすい文言を広告に使用する場合は、その文言に隣接する箇所に、定期的な家賃の見直しがある場合にその旨と、借地借家法の規定により家賃が減額され得ることを必ず表示しなければならないこととした。
  • 契約の締結前に、オーナーに対し、契約条件に関わらず借地借家法に基づき家賃が減額され得ること等を書面に記載して説明しなければならないことを明確化した。
■ 詳しくはこちら→PDF「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドラインのポイント」

■ 法律・政省令・ガイドライン・解釈・運用の考え方は、次の国土交通省HPでダウンロードできます。こちらから>>>

家賃支援給付金、10月初旬までに申請58万件、給付29.3万件

 経済産業省のまとめによれば、家賃支援給付金は10月11日までに約58万件の申請があり、給付は8月4日から始まり、9月下旬に急増し、累計では約29.3万件になっています

給付は9月下旬に急増

   家賃支援給付金は、新型コロナ禍により売上の減少に直面している中小企業・個人事業者の事業継続をサポートするため、地代・家賃の負担軽減を目的に、賃借人に給付されます。
 給付の対象は、法人では、資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者。また、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など、会社以外の法人も幅広く対象となります。個人事業者では、フリーランスを含め、幅広く対象となります。


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   給付額は、申請日の直前1カ月以内に支払った賃料などをもとに算定されます(法人:最大600万円、個人事業者:最大300万円)。申請期間は現在、2021年1月15日まで。


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家賃支援給付金、申請手続きを明確化

 国土交通省(不動産・建設経済局不動産業課/不動産市場整備課)は10月20日付けで、各不動産関連団体に「家賃支援給付金の申請手続等」(事務得連絡)について周知を依頼しました。申請手続における書類等の取り扱いを明確化したもので、テナント事業者から問い合わせや申請に必要な書類の作成などへの協力依頼が寄せられた場合は、適切に協力するよう求めています。

賃貸借契約期間を過ぎている場合…継続中と賃貸人が認めている書類があればOK

申請時における提出書類について
  • 自動更新条項がある場合を含め、賃貸借契約書に記載された契約期間が過ぎている場合、所定の様式(※)のほか、賃借人と契約更新時に交わした覚書、更新時の通知、賃料の請求書、または領収書、その他の当該契約期間の経過後も賃貸借関係が継続していることを賃貸人が認めていることがわかる書類を添付すれば足りる。
  • ただし、これらの書類は、賃貸人または管理会社等(賃貸借契約書上、管理会社等であることが明らかであるもの)の署名、または記名押印があるもの。
    ※様式5-3:賃貸借契約等証明書(契約書等の契約期間に2020年3月31日又は申請日が含まれていない場合)
申請時における各種様式への記入方法の変更
  • 各種様式を作成する場合、賃貸人については、自署のみならず記名押印であっても有効な書類と認める。
  • また、賃貸人のみならず、管理会社等の署名、または記名押印でも足りる。ただし、賃貸借契約書上、管理会社等であることが明らかであるもの。

国交省・新型コロナ影響調査、お出かけ場所は自宅周辺、リモートより対面志向

 国土交通省は10月6日、新型コロナの「流行前」「緊急事態宣言中」「宣言解除後」の3時点おける個人の“24時間の使い方”を調査した「新型コロナ生活行動調査」の結果(速報)を公表しました。これによれば、「お出かけは宣言解除後も自宅周辺が増加している」「コミュニケーションはリモートより対面志向が強い」ことなどがわかりました。

リモートワークの作業環境…「よくない」が3割

 この調査は、日立東大ラボと共同し、新型コロナ危機を踏まえた今後のまちづくりを検討するため、3時点で市民の日常的な行動や意識がどのように変化したのか、アンケート方式で実施しました。サンプル数は約13,000件。
 今後、さらに対象地域別や個人属性別の詳細な分析を行い、発表当日に設置された専門員会「デジタル化の急速な進展やニューノーマルに対応した都市政策のあり方検討会」などでの検討に活かして行く考えです。

主な調査結果

全体傾向
お出かけ場所は自宅周辺が増加

 新型コロナ流行前と比較し、宣言解除後の外出先は、外食、趣味・娯楽といった目的を中心に自宅周辺が増加。


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コミュニケーション系の活動はリモートより対面志向

 リモート活動の今後の実施意向については、商品の購入等の実施意向は高い一方、オンライン飲み会などコミュニケーション系の活動の実施意向は低い。


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東京都市圏などでは宣言解除後も自宅で長く過ごす傾向

 緊急事態宣言解除後、特定警戒都道府県以外の地域では、在宅時間、外出率ともに、新型コロナ流行前の水準に戻った。一方、東京都市圏など特定警戒都道府県では、なお在宅時間は長く、外出率は低い。

ゆとりあるオープンスペースへの高いニーズ

 都市空間に対する意識として、公園、広場、テラス等のゆとりある屋外空間の充実や徒歩等で回遊できる空間の充実など、オープンスペースの充実に多くのニーズがあった。

賃貸関係の主なポイント(回答者の持ち家、賃貸別は未発表)

 調査結果のうち、賃貸オーナーから見たポイントをまとめると、次のようになる。全体として、3割ほどの人たちがリモートワークの作業環境がよくないと思っており、そのうち3人に1人はスペースを整備し、2人はまだ手を付けていない状態にある。

  • 自宅ではリモートワークの作業スペースがないため、作業効率が低下する…27.6%
    →「とてもそう思う」8.2%、「そう思う」19.4%,
  • 自宅では作業が集中しづらい環境にあるため、作業効率が低下する…29.9%
    →「とてもそう思う」9.5%、「そう思う」20.4%
  • リモートワークをするためのスペースの整備…20.2%
    →「実践した」11.3%、「検討したが実践していない」8.9%
  • リモートワークのための転居…7.5%
    →「実践した」2.3%、「検討したが実践していない」5.2%
  • 自宅でのリモートワークが増えるときのスペースの充実…28.4%
    →「強く望む」8.4%、「やや望む」20.0%

プロが選ぶ「子育てファミリー向け」、段差が少なく・防音性が高い物件

 アットホームは10月12日、不動産のプロが選ぶ「子育てファミリーにおすすめの住まいの条件」ランキングを公表しました。それによれば、1位:段差が少ない、2位:防音性が高い、3位:幼稚園・保育園が近いとなりました。

アットホームが調査

 調査は全国のアットホーム加盟店(1,276店)を対象に、7月下旬から8月初旬にかけ、インターネットを利用して実施しました。ランキングは次の通り。

「子育てファミリーにおすすめの住まいの条件」ランキング

1位:家の中に段差が少ない(ハイハイやよちよち歩きでも安心)…49.0%
2位:防音性に優れているRC造・SRC造(子どもの泣き声や走り回る音が気にならない)…46.2%
3位:幼稚園・保育園が近い(子どもの送り迎えがしやすい)…43.5%
4位:1階(子どもの足音が階下に響かない)…41.1%
5位:カウンターキッチン(子どものようすを見ながら食事の準備や後片付けができる)…38.3%
6位:エレベーター付き(ベビーカーや子どもをおぶっての移動も楽)…38.1%
7位:どちらかの実家に近い(子どもを預けられる)…37.6%
8位:公園・児童館が近い(子どもを安心して遊ばせられる場があり環境が良い)…36.9%
9位:和室(柔らかな畳はハイハイするのに安全)…28.3%
10位:夜間受付病院・小児科が近い(子どもの万一の急病にもすぐに診療が受けられる)…25.9%

首都圏エリア平均の変動率、2四半期ぶりに「プラス」

 野村不動産アーバンネットは、首都圏エリアにおける2020年10月1日時点の「住宅地価格動向」の調査を実施し、10月8日に公表しました。それによれば、エリア平均の変動率は2四半期ぶりにプラスとなりました。一方、年間ベースでは、2四半期連続のマイナスになりました。

住宅地価格調査結果(調査地点数:住宅地168)

2020年7-9月期
  • 首都圏エリア平均では0.3%(前回▲0.7%)の変動率となった。
  • 「値上がり」を示した地点が19.6%(前回1.8%)、「横ばい」を示した地点が79.8%(前回72.0%)、「値下がり」を示した地点が0.6%(前回26.2%)となり、値上がり地点と横ばい地点が増加、値下がり地点が減少した。
年間ベース
  • 首都圏エリア平均では▲0.3%(前回▲0.5%)の変動率となった。
  • 「値上がり」を示した地点が16.1%(前回8.9%)、「横ばい」を示した地点が59.5%(前回64.3%)、「値下がり」を示した地点が24.4%(前回26.8%)となり、値上がり地点が増加、横ばい地点と値下がり地点が減少した。
全般
  • 新型コロナ禍での在宅勤務等による新たな需要の高まりから、戸建てを中心に売れ行きが好調で前回調査から改善傾向となった。

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住居確保給付金、4~8月で申請10.9万件、支給決定9.6万件

 厚生労働省は10月15日、新型コロナ禍による雇用状態の悪化で、家賃の支払いに困っている人を公費で補助する「住居確保給付金」の申請が、4〜8月で10.9万件に上ったことを明らかにしました。うち支給が決まったのは、88%にあたる9.6万件。これは過去最大で、リーマン・ショック後の2010年度(1年度分、37,151件)の2.6倍にあたります。

雇用環境の改善進まず、期間延長望む声強まる

 住居確保給付金は、当初離職者が対象でしたが、感染拡大を受けて4月に要件が緩和され、「離職や廃業と同程度の状況にある者」へと拡大されました。
 これにより申請が急増。最も多かった5月は44、811件に達し、支給決定は翌6月に34,869件と最多になりました。以後は減少傾向にありますが、依然として高水準が続いています。4~8月の支給決定数9.6万件は、2019年度1年分の約30倍にもなります。
 雇用環境の改善が遅れており、給付金の支給期間は原則3カ月、最長9カ月であるため、今春から利用し始めた人は今冬に期限を迎えます。このため、厚労省に期間延長を要望する声が強まっています。
 住居確保給付金の支給額は、居住する市区町村や世帯人数によって異なり、生活保護の扶助額が上限となっています。また、世帯ごとの収入と預貯金額がともに基準額を下回っている人が対象で、居住する市区町村によって異なります。

テレワークが大きく減少し、郊外・地方への引っ越し意向が優勢に

 大東建託は10月16日、9月11日から同16日に行った、第2回目となる「新型コロナウイルスによる意識変化調査」の結果を公表しました。それによれば、テレワーク実施者が大きく減少し、郊外・地方への引っ越し意向がやや優勢になりました。家賃については、「下がると思う」が半数強の56.2%で、前回(6月)の55.2%よりやや増えました。

調査結果の主なポイント

  • テレワーク実施者のうちテレワークを止めたが39.2%とテレワーク実施者が大きく減少
  • 郊外への引っ越し検討は8.9%、都心への引越し検討は7.0%と郊外派がやや優勢に
  • 地方への引っ越し検討は8.9%、都会への引っ越し検討は6.7%と地方派がやや優勢に
  • 2拠点居住検討(今回新設項目)は8.4%程度

調査結果の詳細

コロナの全体的な影響に関する認識は前回6月調査からの大きな変化はない
  1. コロナの収束には数年かかると思う:87.6%(6月:85.3%、以下同じ)、コロナで社会は大きく変わると思う:74.2%(78.1%)、コロナで自分の考えや価値観は大きく変わったと思う:40.9%(39.4%)
  2. コロナで収入が減った:72.8%(74.3%)、コロナで転職・独立しにくくなると思う:73.8%(73.9%)
  3. 家賃は下がると思う:56.2%(55.2%)、不動産価格は下がると思う:67.6%(69.5%)
テレワーク実施者は6月の前回調査から大幅に減少
  1. 3月以降のテレワーク実施率は26.3%(26.6%)とほとんど変化がないが、「過去6カ月でテレワークをしていたが止めた」のは全体の14.6%、テレワーク実施者に限れば39.2%とテレワークは大きく減少。
  2. テレワークを止めたのは公務員が71.4%と非常に高く、自営業・自由業は8%と低い。
  3. テレワーク実施率は従業員1,000人以上:43.3%、本社部門勤務36.5%が突出して高い(新設問)
引っ越し検討が増加し、郊外・地方への引っ越し検討がやや優勢に
  1. コロナをきっかけにした引っ越し検討では、郊外へ:8.9%(5.4%)、都心へ:7.0%(5.3%)といずれも増加しており、郊外への引っ越し検討がやや優勢に。
  2. コロナをきっかけにした引っ越し検討では、地方へ:8.9%(6.5%)、都会へ:6.7%(新設問)となっており、地方への引っ越し検討がやや優勢に。
  3. コロナをきっかけとした2拠点居住検討は8.4%(新設問)
  4. 引っ越し検討はテレワーク実施者のほうがテレワーク非実施者よりも大幅に高い。
  5. 子どもの進学・独立等、ライフスタイルの変化に伴う引っ越し意向はほどんど変化がなく、69.9%(69.6%)は引っ越しするつもりがないと回答。
戸建て志向が高まり、街への再評価が進んでいるが、住みたい街への変化は小さい
  1. 「コロナをきっかけに戸建てが良いと思うようになった」は45.1%だが、「コロナをきっかけにもっと広い家に住みたいと思うようになった」は22.6%程度と多くはない。
  2. 「コロナをきっかけに今住んでいる街が良いと思うようになった」が71.2%と非常に高く、「コロナをきっかけに住みたいと思っていた街が変わった」は12.6%とかなり少ない。

国交省、11~12月に賃貸住宅管理業法施行オンライン説明会

 国土交通省は、11~12月に、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(賃貸住宅管理業法)の施行に向けたオンライン説明会(サブリース関係)を計4回開催します(10月9日公表)。第1回は11月19日午後3時から。

サブリース関係を中心に計4回開催

 賃貸住宅管理業について、登録制度と業務適正化に向けた規制を設けるとともに、サブリース事業についても適正化に向けた賃貸住宅管理業法が2020年6月に公布され、12月中旬から施行されることを受けて実施するものです。
 賃貸住宅管理業法では、サブリース業者に「誇大広告等の禁止」「不当な勧誘等の禁止」「サブリース契約締結前の重要事項説明・書面交付、締結時の書面交付」などを義務化。違反者は業務停止等の監督処分、罰則の対象となります。
 説明会では、「サブリース業者とオーナーとのトラブルを防止するためには、法で求められる事項や法違反となり得る具体的事例といった“業務を適正に行うために求められる水準”を示しながら、規制の内容をわかりやすく示す」ことにしています。

開催日時(全日程同一内容)

第1回:11月19日(木)15:00~16:00
第2回:11月26日(木)15:00~16:00
第3回:12月3日(木)15:00~16:00
第4回:12月10日(木)15:00~16:00

開催方法

 オンラインのテレビ会議システム(zoom)を使用。webブラウザから視聴できるのでパソコンからの参加を推奨。

定員

 各回約700人(各回とも定員になり次第締め切り)

申し込み方法

2020.10.15
賃貸経営ニュースダイジェスト

新設住宅着工、8月も貸家減少、24カ月連続

 国土交通省が9月30日に公表した2020年8月の新設住宅着工戸数は、持家、貸家、分譲住宅ともに減少したため、全体で69,101戸となり、前年同月より9.1%減少しました。うち、貸家は27,671戸で24カ月連続の減少。

総戸数は6.9万戸で14カ月連続減少

総戸数
  • 新設住宅着工戸数は69,101戸で、前年同月比9.1%減、14カ月連続の減少。
利用関係別戸数
  1. 持家:21,915戸(前年同月比8.8%減、13カ月連続の減少)
  2. 貸家:27,671戸(同5.4%減、24カ月連続の減少)
  3. 分譲住宅:18,933戸(同15.9%減、10カ月連続の減少)
  • マンション:9,377戸(同7.7%減、3カ月連続の減少)
  • 一戸建住宅:9,455戸(同22.7%減、9カ月連続の減少)

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タス、7月期の「首都圏」「関西圏・中京圏・福岡県」の賃貸住宅指標公表

 タスは9月30日、2020年7月期の「首都圏」と「関西圏・中京圏・福岡県」の賃貸住宅指標を公表しました。概況は表の通り。


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コロナ禍で、固定資産税の負担調整措置延長に加え、経済状況に応じた措置

 国土交通省は9月25日、2021年度「税制改正要望事項」を明らかにしました。「日本経済の再生」「豊かな暮らしの実現と地域の活性化」「クリーンで安全・安心な社会の実現」を3機軸に、不動産・賃貸関係では、経済再生で「土地に係る固定資産税の負担調整措置等の延長と経済状況に応じた所要の措置」「土地等に係る流通税の特例措置の延長」など、豊かな暮らしで「相続税等納税猶予農地を公共事業用地として譲渡した者に対する利子税の免除特例措置の7年間延長」「サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の2年間延長」「マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正に伴う税制上の所要の措置」など、また安全・安心な社会で「災害ハザードエリアから安全な区域に施設または住宅を移転する場合に移転先として取得する不動産に係る以下の特例措置を創設」などを盛り込んでいます。

国交省の2021年度「税制改正要望事項」(不動産・賃貸関係)

   不動産・賃貸関係の概要は次の通り。

【1】日本経済の再生
ウィズ/ポストコロナ時代の活力ある日本経済の実現

◆土地に係る固定資産税の負担調整措置等の延長と経済状況に応じた所要の措置
→3年に1回の固定資産評価替えによる、地価上昇地点における税負担の上昇が緩やかなものになるよう、上昇幅を一定範囲に抑えるなど、土地の固定資産税等の負担調整措置等の3年間延長

不動産市場の活性化によるデフレ脱却

◆土地等に係る流通税の特例措置の延長
→土地の所有権移転登記等に係る登録免許税の特例措置(移転登記:本則2%→1.5%、信託登記:本則0.4%→0.3%)の2年間延長
→宅地評価土地の取得に係る不動産取得税の課税標準の特例措置(1/2)の3年間延長
→住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の軽減税率(本則4%→3%)の3年間延長

【2】豊かな暮らしの実現と地域の活性化
都市の競争力・魅力の向上と土地の有効活用の推進

◆相続税等納税猶予農地を公共事業用地として譲渡した者に対する利子税の免除特例措置の7年間延長。

住まいの質の向上・無理のない負担での住宅の確保

◆サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の2年間延長
→不動産取得税:課税標準から1,200万円控除等
→固定資産税:税額について5年間市町村が条例で定める割合(2/3を参酌)を減額

◆老朽化マンション等の再生を促進するため、マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正に伴う税制上の所要の措置(所得税等)

【3】クリーンで安全・安心な社会の実現
災害に強い強靱な国土・地域づくり

◆災害ハザードエリアから安全な区域に施設または住宅を移転する場合に、移転先として取得する不動産に係る以下の特例措置を創設
→登録免許税:土地の所有権移転登記(本則2%→1%)、建物の保存登記(本則0.4%→0.2%)
→不動産取得税:課税標準1/5控除

都道府県地価調査、新型コロナ禍で全用途では3年ぶり下落、住宅地は下落幅拡大

 国土交通省が9月29日に公表した2020年「都道府県地価調査結果」(7月1日現在)によれば、新型コロナ禍で、全用途平均は2017年以来3年ぶりに下落に転じました。住宅地は下落幅が拡大し、商業地は2015年以来5年ぶりに下落に転じ、工業地は3年連続で上昇したものの上昇幅が縮小しました。

2019年7月以降の1年間の地価動向

全国平均

 全用途平均は2017年以来3年ぶりに下落に転じた。用途別では、住宅地は下落幅が拡大し、商業地は2015年以来5年ぶりに下落に転じ、工業地は3年連続の上昇であるが上昇幅が縮小した。

三大都市圏

 全用途平均は2013年以来7年連続上昇を続けていたが横ばいとなり、住宅地は2013年以来7年ぶりに下落に転じ、商業地・工業地は上昇を継続したが上昇幅が縮小した。

地方圏

 地方圏をみると、全用途平均・住宅地は下落幅が拡大し、商業地は2018年以来2年ぶりに上昇から下落に転じ、工業地は2017年以来3年ぶりに下落に転じた。地方圏のうち、地方4市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では、いずれの用途でも上昇を継続したが、上昇幅が縮小した。地方4市を除くその他の地域においては、全用途平均・住宅地・商業地は下落幅が拡大し、工業地は2018年以来2年ぶりに上昇から下落に転じた。

地価動向の特徴

  • この1年間のうち前半においては、交通利便性や住環境の優れた住宅地、オフィス需要の強い商業地、訪問客の増加に伴う店舗やホテルの進出が見込まれる地域を中心に地価の回復傾向が継続していたと見られる。
    一方、後半においては、新型コロナの影響による先行き不透明感から需要が弱まり、総じて上昇幅の縮小、上昇から横ばい又は下落への転化となったと見られる。なお、前半から下落が継続していた地域においては、下落幅の拡大も見られる。
  • この結果、年間の変動率についても、全用途の上昇地点数の割合が21.4%(前年32.8%)、横ばい地点数は18.5%(前年19.2%)に減少する一方、下落地点数は60.1%(前年48.0%)に増加した。なお、年間の変動率が上昇となっている地点についても、1年間の後半は横ばい又は下落となっている地点が多いと考えられる。
  • 地価動向の変化の程度はさまざまであり、新型コロナが地価に与える影響の程度が土地への需要の特徴や地域の経済構造などにより異なることや、再開発など中長期的な上昇要因の有無が地域で異なることによると考えられる。
住宅地
  • 東京圏の平均変動率は▲0.2%と2013年以来7年ぶりに下落に転じた。
  • 大阪圏の平均変動率は▲0.4%と2013年以来7年ぶりに下落に転じた。
  • 名古屋圏の平均変動率は▲0.7%と2012年以来8年ぶりに下落に転じた。
  • 地方圏の平均変動率は▲0.9%と下落を継続し、下落幅が拡大した。地方圏のうち、地方4市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)の平均変動率は3.6%と8年連続の上昇であるが、上昇幅が縮小した。地方4市を除くその他の地域の平均変動率は▲1.0%と下落を継続し、下落幅が拡大した。
商業地
  • 東京圏の平均変動率は1.0%と8年連続の上昇であるが、上昇幅が縮小した。
  • 大阪圏の平均変動率は1.2%と8年連続の上昇であるが、上昇幅が縮小した。
  • 名古屋圏の平均変動率は▲1.1%と平成24年以来8年ぶりに下落に転じた。
  • 地方圏の平均変動率は▲0.6%と平成30年以来2年ぶりに上昇から下落に転じた。地方圏のうち、地方四市の平均変動率は6.1%と8年連続の上昇であるが、上昇幅が縮小した。地方四市を除くその他の地域の平均変動率は▲1.0%と下落を継続し、下落幅が拡大した。

法人所有建物、初めて7割超が新耐震基準クリア

 国土交通省は9月30日、2018年「法人土地・建物基本調査」(確報)と2018年「世帯土地統計」を公表しました。法人土地・建物基本調査では、法人が所有している新耐震基準を満たす建物が2008年の調査開始以降初めて7割を超えました。

調査結果のポイント

 これらの2調査は5年ごとに行っており、法人土地・建物基本調査は2018年7~9月に実施し、世帯土地統計は2018年「住宅・土地統計調査」(総務省実施)をもとにまとめています。

法人・建物基本調査
  • 土地を所有している法人、建物を所有している法人はいずれも法人全体の4割。
  • 法人が所有している土地の面積は約2.6万㎢。このうち「宅地など」が3割。
  • 法人が所有している土地の資産額は約387.2兆円。このうち「宅地など」が8割。
  • 法人が所有している新耐震基準を満たす建物が調査開始(2008年)以降、初めて法人が所有している建物件数の7割を超える。
    →法人が所有している建物の新耐震基準への適合状況は、新耐震基準の施行後の1981年以降の建物の件数割合(67.8%)と、1980年以前で新耐震基準を満たしている建物の件数割合(4.2%)を合わせると72.0%となった。

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世帯土地統計
  • 土地を所有している世帯は約2,726万世帯、全世帯の半数以上。
  • 世帯が所有している土地の面積は約10.2万㎢。このうち「山林」「農地」で9割。
  • 世帯が所有している土地の資産額は約595.7兆円。このうち「宅地など」で9割。
  • 家計を主に支える者の年齢にともない、世帯が所有している「現住居の敷地」の所有世帯数割合は上昇。
  • 世帯が所有している「宅地など」の土地の取得方法は、「現住居の敷地」では「法人から購入」「個人から購入」「相続・贈与で取得」した割合がそれぞれ3割で同程度となっている。一方、「現住居の敷地以外の宅地など」では「相続・贈与で取得」した割合が半数以上。

2020.10.1
賃貸経営ニュースダイジェスト

CBRE、「COVID-19下の不動産投資戦略」公表

 事業用不動産サービス・投資顧問会社、CBREは9月15日、投資家に対するアンケート結果に基づいた、COVID-19(新型コロナ)下にある不動産投資市場を分析し今後の戦略を考察した「COVID-19下の不動産投資戦略」を公表しました。

住宅、仕事スペースが確保できる郊外住宅、シェアオフィス需要高まるか

 発表内容から「はじめに」と「住宅」部分をピックアップしました。

はじめに
  • 新型コロナウィルスが拡大した3月以降、売買市場では延期もしくはキャンセルされる取引が増加したが、5月25日に緊急事態宣言が全国で解除され、6月からは投資活動も徐々に再開された。
  • CBREが6月に実施した投資家調査の結果も、3月末に実施した調査に比べて投資家の意欲の改善を示している。とは言え、投資対象については、キャッシュフローの安定性を重視し、景気変動の影響を受けにくいアセットタイプを選好する傾向が強まっている。
  • 2020年も不動産投資のための資金は潤沢なことから、投資家はリスク低減を図りつつも、少ない投資機会を成果に結びつけなければならない“難しい状況”にある。
住宅
  • 貸マンションは景気変動期のディフェンシブアセット(景気動向に業績が左右されにくい資産)として人気が高い。さらに、感染拡大前までの都心では賃料が上昇傾向にあり、今後の上昇見込みを反映して取引利回りが低下していた。しかし、「コロナ下」では賃料上昇を見込みにくいケースが増加すると考えられる。取引利回りは総じて低位横ばいで推移するか、物件によっては上昇する可能性もあるだろう。
  • テレワークが定着したことにより仕事と生活の場が接近・共存する生活スタイルが広がりつつある。仕事専用スペースを確保できる、郊外の広い住宅に対するニーズが今後増加することも考えられる。また、同じ住宅棟内や近隣で、仕事場を確保できる環境(シェアオフィス等)に対する需要も高まると考えられる。

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コロナ禍の居住事情、首都圏&賃貸派の3人に1人は「地方移住」検討

 スマートアイデアは9月17日、同社の家計簿アプリ「おカネレコ」「おカネレコプラス」ユーザー966名を対象に実施した「住宅購入・住宅ローンに関する意識調査」の結果を公表しました。この中で、現在の住まいが賃貸の3人に1人が移住を検討しており、都道府県別では「東京都」が最も多い結果となりました。

住宅購入意識がコロナで「変化した」のは12.4%だけ

 調査は9月初旬に、web方式で実施しました。主な結果は、次の通りとなりました。

  • 住宅購入を検討している人の割合は、年代別では20代と30代が全体と比べて多い結果となり、30代と40代では半数がすでにローンを組んでいた。
  • 住宅購入に対する意識がコロナ感染拡大前と比べて「変化した」のは全体の12.4%となった。持ち家志向に意識が変わった世帯と、コロナの影響で購入を見送る世帯と2つに分かれる結果となった。
  • 現在の住まいが賃貸である約3人に1人が移住を検討しており、移住検討者は「東京都」が最も多い結果となった。外出自粛の影響で移住への関心が高まっている。
  • 移住の検討理由は、全体の約3割が「住環境に魅力を感じたから」と回答した。住まいの快適性を求める傾向がみられる。

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コロナで、若者の60%が「現地よりネット」、50%が「訪店控える」

 VRのクラウドソフト「スペースリー」は、賃貸の家探しを経験したことある全国の10代から50代の男女に、新型コロナの影響で賃貸探しにどのような意識の変化があるのか、オンラインによるアンケート調査を実施しました(対象363件)。その結果、コロナの影響で10~20代の60%が「現地内覧よりもネットでの情報収集を重視する」、50%が「不動産会社の店舗への来店を控える」と回答、世代・地域・男女間での意識の違いが浮き彫りになりました。

VRのクラウドソフト「スペースリー」が調査

 この「新型コロナで変化する不動産賃貸における消費者の意識調査」は、警戒感は引き続きあるものの、全般的にwithコロナに慣れつつあった8月のお盆明けに実施しました。

 調査結果の概要は次の通り。

賃貸家探しをする過程

 オンラインで家探しの相談を済ませたい人は東京と大阪、男女間で違いが顕在化。また、30代男性では5人に1人以上がオンラインを希望。

360°パノラマVRの経験

 賃貸物件探しの経験者の45%と半数近くが360°パノラマVRの閲覧をしたことがあり、内見におけるVRは一般化しつつある。

内見の仕方

 都市圏、10~20代男性においてオンラインで内見を済ませたいと回答した人は5人に1人。他地域・他年代に比べて多い。

賃貸家探しにおけるコロナの影響

 賃貸物件探しの経験者の3/4がコロナの影響ありと回答。10~20代の60%は「現地内覧よりもネットでの情報収集を重視」、50%が「不動産会社の店舗への来店を控える」と回答し若い世代を中心にオンラインへのシフトが加速。


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新型コロナ禍、都心からダイレクトにアクセスできる郊外に人気

 新型コロナ禍が続く中、住まいの選択にはどのような変化が出ているのか…LIFULL HOME'Sは9月8日、今年4~8月に掲載された物件のうち、実際の検索・問い合わせ数から算出した「街・駅のランキング」の結果をまとめました。都心から距離があってもダイレクトにアクセス可能な街に人気が集まりました。

実際の検索・問い合わせ数から算出した街・駅のランキング

「借りて住みたい街」ランキング

 4年連続1位の「池袋」が5位、2位の「川崎」が12位にランクダウンし、借りて住みたい街が首都圏郊外に拡散しました。1位は「本厚木」で、都心から距離があってもダイレクトアクセスが可能な街に人気が集まりました。

順位 前回比 街(代表的な沿線)
1 3↑ 本厚木(小田急小田原線)
2 葛西(東京メトロ東西線)
3 2↑ 大宮(JR東北新幹線ほか)
4 10↑ 千葉(JR総武線ほか)
5 4↓ 池袋(JR山手線ほか)
「問い合わせ増加率」ランキング

 トップ2は千葉県郊外エリアの街が独占し、2位は「八街」の146%。都心から50km圏を超える東京近隣県の都市が躍進しました。

順位 増加率 街(代表的な沿線)
1 146.22% 八街(JR総武本線)
2 140.28% 姉ヶ崎(JR内房線)
3 134.66% 大網(JR外房線ほか)
4 133.76% 相模原(JR横浜線)
5 127.92% 小田原(JR東海道新幹線ほか)
「問い合わせ減少率」ランキング

 減少率1位は「秋葉原」の43%で、前年同期比約6割減。新宿・高田馬場など「学生街」の減少が目立ち、上位15位のうち東京都が14エリアを占めました。

順位 減少率 街(代表的な沿線)
1 43.93% 秋葉原(JR山手線ほか)
2 44.27% 仙川(京王線)
3 47.63% 西日暮里(JR山手線ほか)
4 50.71% 笹塚(京王線)
5 51.61% 菊川(都営新宿線)

賃貸管理業務適正化法、施行令案・施行規則案、ガイドラインをパブコメに

 「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が今年12月から施行されます。国土交通省はこれに先立ち、9月9日に施行令案と施行規則案をパブリックコメントに付しました。意見募集は10月8日まで。

施行令案…電磁的方法による提供の承諾等を規定

 施行令案では、①特定賃貸借契約に係る書面等に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承諾等(法第30条第2項関係)を設定。
 特定賃貸借契約の締結前または締結時に交付する書面に代えて、当該書面に記載すべき事項を、電磁的方法により提供しようとする特定転貸事業者は、あらかじめ、当該事項を提供する相手方に、その電磁的方法の方法等を示し、当該相手方から承諾を得なければならないこと規定しています。

施行規則案…誇大広告をしてはならない事項など規定

 施行規則案では、①人の生活の本拠として使用する目的以外の目的に供されている住宅(法第2条第1項関係)、②人的関係、資本関係その他の関係において賃貸人と密接な関係を有する賃借人(法第2条第4項関係)、③誇大広告をしてはならない事項(法第28条関係)、④特定賃貸借契約の相手方または相手方となろうとする者の保護に欠ける行為(法第29条関係)、⑤特定賃貸借契約に係る専門的知識及び経験を有する者(法第30条関係)、⑥特定賃貸借契約の締結前の説明事項(法第30条関係)、⑦情報通信の技術を利用する方法(法第30条関係)、⑧特定賃貸借契約の締結時に交付する書面に記載する事項(法第31条関係)などを規定しています。

法律解釈・運用の考え方(ガイドライン)も提示

 国土交通省は同時に、法律解釈・運用の考え方(ガイドライン)も提示。うち、「誇大広告等の禁止」「不当な勧誘等の禁止」では、次のように示しています。

誇大広告等の禁止(法第28条関係)

 誇大広告等とは、実際よりも優良であると見せかけて相手を誤認させる誇大広告に加え、虚偽の表示により相手を欺く虚偽広告も含まれ、広告の媒体は、新聞、雑誌、テレビ、インターネット等種類を問わないこととする。
 実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるものに該当するかは、専門的知識や情報を有していない者を誤認させる程度か、広告に記載された一つひとつの文言等のみでなく、表示内容全体から当該者が受ける印象・認識により総合的に判断することとする。
 誇大広告等をしてはならない事項として国土交通省令で定めるものとは、特定賃貸借契約に基づき特定転貸事業者が支払うべき家賃、その他賃貸の条件に関する事項、賃貸住宅の維持保全の実施方法等とされ、具体的には、次の各点等をいう。

  • 特定賃貸借契約に基づき特定転貸事業者が支払うべき家賃その他賃貸の条件に関する事項→特定転貸事業者が特定賃貸借契約の賃貸人に支払う家賃の額、その支払い方法等
  • 賃貸住宅の維持保全の実施方法→特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の内容、頻度、実施期間等
不当な勧誘等の禁止(法第29条関係)

 不当な勧誘等とは、契約を締結させるため、または契約の解除若しくは申し込みの撤回を妨げるため、特定賃貸借契約の相手方または相手方となろうとする者(以下「相手方等」という)の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、事実を認識しているにもかかわらず、敢えてこれを告げず、または事実でないことを認識していながら事実に反することを告げることをいう。
 ここで、相手方等の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものとは、特定転貸事業者が賃貸人に支払うべき家賃その他賃貸の条件に関する事項、特定転貸事業者が行うべき賃貸住宅の維持保全の内容及び実施方法等、当該事項を告げない、または事実と違うことを告げることで、相手方等の不利益に直結するものをいう。
 特定賃貸借契約に関する行為であって、相手方等の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるものとは、特定賃貸借契約の締結または申し込みの解除等を妨げるために相手方等を威迫する行為、特定賃貸借契約の締結または更新について相手方等に迷惑を覚えさせるような時間に電話または訪問により勧誘する行為等とされ、具体的には、次の各点等をいう。

  • 威迫する行為→威迫する行為とは、脅迫とは異なり、相手方等に恐怖心を生じさせるまでは要しないが、相手方等に不安の念を抱かせる行為をいう。
  • 迷惑を覚えさせるような時間に電話または訪問により勧誘する行為→迷惑を覚えさせるような時間に該当するかは、当該相手方等の職業や生活習慣等に応じ、個別に判断されるものであるが、一般的には、当該相手方等に承諾を得ている場合を除き、特段の理由なく、午後9時から午前8時までの時間帯に電話勧誘または訪問勧誘を行うことがこれに該当する。

消費者庁、窓やベランダからの転落事故防止で注意喚起

 消費者庁は、厚生労働省「人口動態調査」、東京消防庁「救急搬送データ」、医療機関ネットワーク事業の事故情報を分析したところ、子どもが住居などの窓やベランダから転落し死亡する事故が多く発生していることがわかったとして、関係省庁などにも協力を求めて9月4日、網戸に補助錠を付ける、ベランダに台になる物を置かないなどの対策を進めるよう注意を喚起しました。

「網戸に補助錠を付ける」「ベランダに台になる物を置かない」など徹底を

 ベランダからの転落事故は、窓を開けたり、ベランダに出る機会が増えたりする夏頃から増加し、子どもの中でも3~4歳の転落事故が最も多くなっています。窓が開いた部屋で子どもだけで遊んでいて発生する事例が多く、2階からの転落でも、入院が必要な中等症と診断される事例が多いということです。
 時期的には、転落事故は5月ごろから増え、緊急搬送は9~10月が最も多く、死亡に至る事故は7~8月が多い傾向にあります。


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事故防止対策のポイント

 消費者庁では、事故防止対策のポイントを次のように紹介しています。

窓やベランダ周辺の環境づくり
  • 窓、網戸、ベランダの手すり等に劣化がないかを定期的に点検しましょう。
  • 窓を閉めていても、子どもが勝手に窓を開けないよう、窓や網戸には子どもの手の届かない位置に補助錠を付けましょう。換気をする際も同様です。
子どもの見守り·子どもの教育
  • 子どもだけを家に残して外出しないようにしましょう。
  • 窓を開けた部屋やベランダでは子どもだけで遊ばせないようにしましょう。
  • 窓枠や出窓に座って遊んだり、 窓や網戸に寄りかかったりさせないようにしましょう。

2020.9.15
賃貸経営ニュースダイジェスト

ツーバイフォー住宅の累計着工戸数が300万戸に

 (一社)日本ツーバイフォー建築協会は8月19日、1974年のツーバイフォー(2×4)工法のオープン化以降、2020年3月末に2×4住宅の累計着工戸数が300万戸に達した、と公表しました。2000年に累計100万戸、2011年に累計200万戸に達しており、普及が進んでいます。

階数や規模、用途も拡大

 枠組壁工法である2×4工法は19世紀に北米で確立された建築手法で、アメリカ、カナダ等では住宅建築の中心的工法となっています。
 我が国では、建築基準法の技術基準が1974年に告示(=工法のオープン化)され、さまざまな研究・実験・開発とともに、法改正などが進んできました。
 当初2階建てからスタートし、1987年には正3階建て、そして耐火構造大臣認定の取得により2004年には4階建て、さらに2016年には5階建て以上の建設が可能になるなど、階数や規模、用途を拡げてきています。

特徴は耐震性と基本性能の高さ

 2×4住宅の特徴は、まず耐震性。それとともに、耐火性、耐久性、省エネルギー性などといった基本性能の高さ。全新設住宅着工に占めるシェアは12.1%、全木造住宅着工に対しては20.9%となっています(2019年度実績)。
 耐震性については、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などで、「被害なし」「多少の被害」が約97%以上(協会会員調査)を占め、その強さが実証されています。2×4住宅の構造が、地震の力をバランスよく分散させる「六面体構造(箱構造)」であることが大きな要因となっています。


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7月の新設住宅着工、貸家は27,684戸で23カ月連続の減少

 国土交通省が8月31日に公表した2020年7月の新設住宅着工戸数は、持家、貸家、分譲住宅とも減少したため、全体で前年同月比11.4%の減少となりました。季節調整済年率換算値では前月比4.8%の増加。

総戸数でも13カ月連続の減少

総戸数
  • 新設住宅着工戸数は70,232戸で、前年同月比11.4%減。13カ月連続の減少。
利用関係別戸数
  1. 持家:22,708戸(前年同月比13.6%減、12カ月連続の減少)
  2. 貸家:27,684戸(同8.9%減、23カ月連続の減少)
  3. 分譲住宅:19,359戸(同11.8%減、9カ月連続の減少)
  • マンション:8,352戸(同2.9%減、3カ月連続の減少)
  • 一戸建住宅:10,820戸(同17.2%減、8カ月連続の減少)

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東京23区ファミリー向きマンション、2015年1月以降最高値を更新

 アットホームは8月26日、7月の全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向を公表しました。首都圏(1都3県)と、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市の動向をまとめたもので、東京23区のファミリー向き・大型ファミリー向きマンションの平均募集家賃は、2015年1月以降の最高値を更新しました。

7月の全国主要都市の賃貸マンション・アパート募集家賃動向

  • 東京23区のファミリー向きマンションの平均家賃は192,197円(前月比921円増、前年同月比10,613円増)、大型ファミリー向きマンションは342,578円(5,060円増、17,768円増)となり、それぞれ2015年1月以降最高値を更新した。
  • 名古屋市マンションの平均募集家賃は、全面積帯で前年同月を大幅に上回った。
  • シングル向き・カップル向きアパートの平均募集家賃は、それぞれ9エリア中8エリアで前年同月を上回った。

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■詳しくはこちら→PDF「7月募集家賃動向」

業績マイナス見込みは1割台、デジタル施策推進が7割台に

 帝国データバンク(TDB)が9月1日に公表した8月の「<速報>新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」によれば、今後業績へマイナスを見込む企業は3カ月連続で1割台になる一方、75.5%の企業が新型コロナを契機にデジタル施策を推進すると回答しました。

TDBが8月に、7回目の新型コロナ影響調査

 同社は新型コロナ問題で、今年2月から継続的に実施しており、は7回目にあたる今回は調8月18日~31日、全国2万3,689社を対象に実施しました。有効回答企業数は1万2,000社。
 それによれば、次のような傾向が明らかになりました。

  • 新型コロナによる自社の業績への影響で、「マイナスの影響がある」と見込む企業は82.5%。前回調査(82.7%)と比較すると0.2 ポイント減となり、4カ月連続で減少した。
  • その内訳をみると、「既にマイナスの影響がある」が68.0%。「今後マイナスの影響がある」が14.4%で、7月14.3%、6月17.9%に続き、3カ月連続1割台となった。
  • 「プラスの影響がある」(「すでにプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)と見込む企業は3.8%となり、調査開始以来わずかながらも増加が続いている。
  • 新型コロナを契機に、デジタル施策を取り組んでいる企業は75.5%と4社に3社の割合にのぼった。他方、取り組んでいない企業は、19.7%となった。

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引っ越しワンストップ、実サービス検証事業がスタート

 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室の主導による、2020年度の「引っ越しワンストップサービス」の実サービス検証事業がスタートし、8月からはサイトの構築・事前検証が始まりました。

協力主体は8サイト、まずサイト構築と事前検証

 この実サービス検証は、引っ越しに際して行う様々な手続きの負担を軽減するのが狙い。2020年度についても、一層の普及促進に向け、引っ越しワンストップデータ標準の検証、対象手続・業種の拡大を図りたい考え。
 検証に協力するポータル事業者は7月29日に8社が決定。今後、10月までポータルサイトの構築・事前検証、11~12月に実サービス検証(公開<想定>)、そして12月~翌年3月に結果のとりまとめが行われる予定です。
 協力主体(ポータル事業者)となる8社は、ウェブクルー、エイチーム引越し侍、東京電力エナジーパートナー、LIFULL、リベロ、リロクラブ、イタンジ、大日本印刷です。

照明器具区分見直し、5段階評価から41段階評価に

 資源エネルギー庁・小売事業者表示制度に関する審議会で9月1日、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」に基づく小売事業者表示制度の見直しについて報告書がまとまりました。

小売事業者表示制度、“見直し”報告書まとめる

 蛍光灯照明器具とLEDランプを照明器具と電球に見直すとともに、これまでの5段階評価(★)を41段階のきざみ評価に変更。また、冷蔵庫などについて“機器区分ごとの省エネ評価”による表示から、“機器ごとに1つの省エネ評価”による表示に見直されます。
 トップランナー制度で、基準エネルギー消費効率(省エネ基準)を検討中のエアコン、テレビ、温水機器については、各機器の審議会での審議状況を踏まえ、小売事業者表示制度の見直しが検討中です。

蛍光灯照明器具とLEDランプの対象機器の見直し

見直し前 見直し後
蛍光灯照明器具
(蛍光灯器具+蛍光灯ランプ)
照明器具
(蛍光灯器具+LED電灯器具)
LEDランプ
(LEDランプ)
電球
(LEDランプ+蛍光灯ランプ+白熱電球)

統一省エネラベルのデザインの見直し、ミニラベルの新設

  • 統一省エネラベルを、誤解の懸念や重複する内容を減らしてシンプルにするとともに、多くの人が視認しやすいような配色のデザインに見直し。
  • 製品のサイズやネット取引等の限られたスペースでも、省エネ情報の提供機会を確保できるようにするためミニラベルを新設。

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新型コロナ禍、2020年上半期に首都圏では26,000戸の住宅需要を消失

 タスは8月31日、新型コロナ禍で、首都圏では2020年上半期(1~6月)に約26,000戸の住宅需要が消失したとの推計を公表しました。こうした推計結果をもとに、同社では「人口や世帯数の移動には、再度の緊急事態宣言の発令、景気悪化による失業者増加や求人倍率の低下など多くのリスク要因が存在する。今後の減少幅は、リーマンショック時と同程度かそれ以上に拡大する可能性も否定できないので、動向を引き続き注視する必要がある」とコメントしています。

タス、住民基本台帳ベースの世帯と人口から推計

 この推計では、1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)における「世帯と人口」(住民基本台帳による)」の動きを、まず人口の増減幅の推移でチェック。その変化要因を転入・転出数と年齢別から分析しました。次いで、世帯数の増減幅の推移からもチェックしました。
 この結果浮かび上がってきたのは、次のような動きでした。

  • 新型コロナ禍で影響を受けたのは、駆け込み移動のあった3月と、緊急事態宣言が発令された4月以降の4カ月間だけだが、2020年上半期はリーマンショックから2年後の2010年上半期と同程度にまで減少している。
  • リーマンショック後の人口流入は、2011年上半期で東京23区が月平均で1,700人、東京市部300人、神奈川県700人、埼玉県400人減少した(千葉県は東日本大震災の影響を切り分け不能)。これに対し、2020年上半期は東京23区5,200人、東京市部700人、神奈川県1,700人、埼玉県900人、千葉県600人にとどまっている。
  • 神奈川県と千葉県は転入・転出とも同程度減少しているが、その他の地域では転入の減少幅が大きい。特に東京23区と東京市部では、転入の減少が増加幅減少の主要因となっている。
  • 2020年上半期に、東京都への転入者の減少幅が最も大きかったのは15~19歳。多くは大学入学に伴う転入控えによる。また25~44歳の減少は、転勤に伴う転入控えによる。これにより、転勤者に同伴する0~4歳の減少幅も大きくなっている。
  • 神奈川県と千葉県は20~24歳で転入者数が前年上半期よりも増加。また、神奈川県では25~29歳の減少幅が他地域に比べて小さく、神奈川県では50~59歳、千葉県では55~59歳が前年上半期より増えている。入社に伴う転居時に東京都を避けたことや、テレワークの導入で郊外に転居した可能性が考えられる。
  • 転出者数の変化で際立っているのが東京都の20~24歳。2019年に比較して2,000人弱と大幅に増加した。この受け皿となったのが神奈川県と千葉県と見られる。
  • 15~29歳の多くは単身者で単身者向け賃貸住宅に居住する。30~59歳の3割が単身者で、その半分が単身者向け賃貸住宅に居住する。そう考えると、2020年上半期は東京都で8,000戸、神奈川県で1,100戸、埼玉県で2,000戸、計11,100戸の単身者向け賃貸住宅需要が消失したと推計できる。千葉県は前年同期とほとんど変化がなかった。
  • 世帯数の変動幅が最も大きいのは東京23区で、前年上半期より32.0%、20,500世帯の減少。また、東京市部は12.2%、2,200世帯、埼玉県は4.4%、1,500世帯、千葉県は8.3%、2,400世帯の減少。一方、神奈川県は1.0%、500世帯の増加。神奈川県、埼玉県の影響が小幅となったのは、近年の増加トレンドが背景になっている。

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  • 世帯数の変化が家族向け賃貸住宅や新築・既存住宅の需要に及ぼした影響を推計すると、下表の通り、首都圏では2020年上半期に26,000戸の住宅需要が消失したと考えられる。

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2020年版「街の住みここち」「住みたい街」ランキング、相次ぎ公表

 大東建託は、賃貸市場研究いい部屋ネット「街の住みここちランキング」と「住みたい街ランキング」の2020年版を相次いで公表しています。

8月下旬までに、首都圏と東日本の16道県に

 3月に「街の住みここちランキング2019〈ふるさと版〉」、5月に「街の住みここちランキング2019〈総評レポート〉」を公表。このあと、2020年版として、これまでに首都圏と東日本の16道県を公表しています。

公表した地域・道県
  • 首都圏
  • 北海道
  • 東北:福島県、山形県、秋田県、岩手県、青森県、宮城県
  • 関東:栃木県、群馬県、茨城県、長野県、山梨県
  • 北陸:福井県、石川県、富山県、新潟県

詳しくはこちら(最新順)

■2020.08.26賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「新潟県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.08.26賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「富山県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.08.26賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「石川県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.08.26賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「福井県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.08.26賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「山梨県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.08.26賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「長野県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.08.05賃貸市場研究 「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「茨城県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.08.05賃貸市場研究 「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「群馬県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.08.05賃貸市場研究 「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「栃木県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.07.22賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング2020「宮城県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.07.22賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「青森県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.07.22賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「岩手県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.07.22賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「秋田県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.07.22賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「山形県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.07.22賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「福島県版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.07.08賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング2020「北海道版」・住みたい街ランキング2020「札幌都市圏版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.06.18賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング・住みたい街ランキング2020「首都圏版」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.05.20賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング2019「総評レポート」プレスリリースPDFを発表しました。
■2020.03.11賃貸市場研究「いい部屋ネット 街の住みここちランキング2019「ふるさと版」プレスリリースPDFを発表しました。

部屋探しでの見学は2.7件へ減少、満足度高い「24時間ゴミ置き場」「無料ネット完備」

 リクルート住まいカンパニーは9月1日、2019年度の「賃貸契約者動向調査(首都圏)」の結果を公表しました。それによれば、部屋探しの際の見学物件数が平均2.7件と過去最少を更新。満足度が高い設備は「24時間出せるゴミ置き場」「無料インターネット完備」が上位にランクインし、また「スマートキー」が躍進しました。

増加一段落か…敷金は平均1.0カ月、敷金0カ月物件25.5%

  • 不動産会社店舗への訪問数は、2018年度まで減少傾向が続いていたが、2019年度は平均1.5店舗で、過去最少だった昨年と同等。
  • 部屋探しの際に見学した物件数は、減少傾向が続き、2019年度は2.7件と過去最少。
  • 契約した物件の敷金は一貫して減少傾向だったが、今年度は昨年度と比べて0.1カ月分上昇し、平均1.0カ月であった。10年前の2009年度(平均1.5カ月)と比較して、3分の2まで下落している。
  • 敷金0カ月の物件の契約割合は増加傾向で、昨年度が28.1%と過去最高だったが、今年度は25.5%へとやや減少した。10年前の2009年度(7.2%)と比較して、約3.5倍に増加している。
  • 設備の満足度は「24時間出せるゴミ置き場」が4年連続1位。2位は「無料インターネット完備」。「TVモニター付インターフォン」「温水洗浄便座」「スマートキー」「浴室乾燥機」「エアコン付き」「オール電化」の満足度が2年連続で上昇。「スマートキー」は+11.9ポイントと大幅に上昇。
  • “次に引っ越す際に欲しい設備”として希望度が高いのは、「エアコン付き」「独立洗面台」「TVモニター付インターフォン」。また、「24時間出せるゴミ置き場」「宅配ボックス」が昨年度より上昇。

次の引っ越す際に欲しい設備


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  • 家賃上昇許容額が高いのは「独立洗面台」「オートロック」「システムキッチン」「エアコン付き」で、約1,700円。

不動産のプロが選ぶ!テレワークにおすすめの住まい、1位は「インターネット無料」

 アットホームは8月31日、全国のアットホーム加盟店に、シングル、カップル、ファミリーそれぞれに勧める住まいの条件を聞いたトレンド調査、「不動産のプロが選ぶ! テレワークにおすすめの住まいの条件」の結果を公表しました。それによれば、シングル、カップル向けとも1位は「インターネット接続料無料」で、ファミリー向けでも2位となりました。

アットホームが加盟店1,276店にweb調査

 この調査は、7月下旬から8月上旬にかけ、加盟店1,276店に対し、インターネットを利用して実施しました。

調査結果の概要

 
シングル向け

 約7割が「インターネット接続料無料(ネット環境の充実)」と回答。2位は「テレワークスペースを確保できる間取り(仕事用のスペースの充実)」、3位は「テレワークスペースを確保できる広さ(仕事用のスペースの充実)」であった。テレワークでは、同僚や取引先とのやり取りが全てオンラインになるため、ネット環境の充実を勧めるケースが多い。

カップル向け

 1位はシングル同様に「インターネット接続料無料」(54.9%)だった。次いで、わずか3ポイント差で「テレワークスペースを確保できる間取り」が2位に。カップルの場合、両方がテレワークの場合もあるため、Web会議の声が相手に聞こえないよう、一人は寝室、一人はリビングで仕事をするなど、それぞれのワークスペースが確保できる間取りを勧めるケースが多い。

ファミリー向け

 「テレワークスペースを確保できる間取り」が55.6%で1位。2位は「インターネット接続無料」で53.7%。シングルやカップルと比べると、3位「テレワークスペースを確保できる広さ」、6位「書斎付き(仕事用のスペースの充実)」の割合も多く、家族と過ごすプライベート空間との切り分けがポイントとなりそうだ。

全体

 全体でのランキングは次表の通り。シングル向け、カップル向け、ファミリー向けを比べると、シングル向けは「インターネット接続料無料」が約15ポイント、ファミリー向けは「書斎付き」が約10ポイント多い。


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9年連続で8割以上が「災害増加を懸念」、一方で半数が「対策をしていない」

 セコムは8月18日、「防災の日」(9月1日)を前に、20代以上男女500名を対象に実施した「防災に関する意識調査」の結果を公表しました。それによれば、9年連続で8割以上が「今後の災害増加・被害を懸念」していましたが、一方で半数以上が「防災対策をしていない」と回答。なかなか実行がともなわない背景には、具体的な対策が認知されていないことがあるようです。

調査結果の概要

  • 今後の災害増加や被害拡大を懸念する回答は86.0%となり、調査開始から9年連続で8割を超えた。特に女性60代以上では94.0%が「懸念する」と回答。

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  • 防災対策をしている人は昨年に引き続き4割を超えたものの、いまだに半数以上は実施していない。
  • 行っている防災対策は、「非常持ち出し袋の用意」が増えて1位(66.8%)。2位は「一定量の食糧・生活用品の日常的な備蓄」(61.9%)。
  • 一方、「転倒防止器具の設置」「消火器などの設置」を行っている人は、昨年に引き続きそれぞれ半数以下。

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  • 防災対策をしない理由は、約半数が「具体的にどのような対策をすればよいかわからないから」と回答。具体的な対策が認知されていないことが明らかになった。

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■詳しくはこちら→PDF「防災に関する意識調査」

2020.9.1
賃貸経営ニュースダイジェスト

アットホーム、「おためし移住特設サイト」を開設

 新型コロナ禍で在宅勤務が増えて地方移住への関心が高まっている中、アットホームは8月19日、「全国版/空き家・空き地バンクサイト」内に「おためし移住特設サイト」(https://www.akiya-athome.jp/contents/63)を開設したと公表しました。
 「全国版/空き家・空き地バンクサイト」は、自治体が希望者向けに実施している移住体験を紹介するコンテンツ。8月初旬時点の参画自治体は489で、掲載物件は5,500件ほど。
 「おためし移住特設サイト」では、“おためし移住”を実施している自治体を紹介しますが、数日の短期から長期までさまざまな“おためし移住”が探せます。
 表示情報は、同社が各自治体のホームページに掲載されている情報等の一部を引用。問い合せや申し込みは、各自治体へ直接行う仕組みとなっています。

在留外国人の賃貸探し事情、2人に1人が「外国人」という理由で拒否

 YOLO JAPANは08月17日、在留外国人会員を対象に実施した「賃貸に関するアンケート調査」の結果を公表しました。それによれば、家を探したことがある外国人のうち43%が、外国人であることを理由に断られていることが分かり、外国人の住居探しへの課題が明らかになったということです。

入居時費用が高い・日本語の契約書・日本特有の複雑な手続き…に戸惑い

 同社は226カ国16万人以上の在留外国人が登録しているとされるメディア。
 外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策の一環で、法務省は今年7月、外国人が円滑に入居するための具体的施策を打ち出しましたが、調査はこれに先立って3月初旬から4月初旬に実施され、YOLO JAPAN会員である84カ国695名から回答を得ました。

調査結果の概要

 それによれば、次のような実態が明らかになりました。

  • 「自分で家を探したことがある」のは75%(520人)で、半数以上がインターネット(60%、313人)や不動産会社(46%、241人)を利用するなど自力で探していた。学校や会社を介した住宅確保のサポートが少ない現状が浮き彫りになった。
  • 特に多く利用されている物件情報サイトは、外国人向けに賃貸情報を公開しているスーモ、HOME’S、URが挙がった。
  • 住居を探したことある回答者のうち、43%(225人)が「外国籍である」という理由で入居を断られた経験があると回答した。具体的には次のような声が聞かれた。
  • 「内見の際に気にいった物件がいくつかあったが、外国人だからという理由で貸せないと大家に断られた。(インド、20代、女性)」
  • 「いくつか物件を内見して回ったのに、家に帰ったら電話がきて外国人にはサービスを提供しないと言われた。(アルジェリア、20代、男性)」
  • 「外国人の入居を受け入れており、きれいで安い家賃の物件を見つけたので大家に電話をしました。しかし、話を聞いてみると、「日本に親がいなければ無理」と言われた。日本に住んでいる外国人はほとんど一人暮らしだし、日本に家族がいるなら賃貸マンションなんて探さないのに。(韓国、20代、女性)」
  • 自分で物件を探した外国人の80%(366人)は物件探しが大変だったと回答。自国にはない敷金・礼金や鍵交換代などによる入居時の費用の高さ(47%、243人)や、難しい日本語で書かれた契約書で交わされる手続きの複雑さ(44%、231人)、日本語が話せない外国人にとっての言語面の不便さ(37%、194人)が挙がり、日本特有の入居時に係る費用や手続きの説明の重要性が浮き彫りになった。
  • 借りる際に重要視するポイントとして、家賃が高くない、駅から近い、家の周辺環境が整っていることのほか、4人に1人が「外国人という理由で断られない」(25%)ことを挙げた。

「浸透にはまだ時間がかかりそうだ」

 同社は調査結果について、「政府より外国人の入居を受け入れる賃貸人・仲介事業者向けのガイドラインやガイドブックが多言語で作成・公表されているが、説明が行き届いていないために、外国人の入居を拒否する賃貸人が多い。また、多言語化されていない契約書に困難を感じる外国人が多い」としたうえで、「浸透にはまだ時間がかかりそうだ」と見ています。
 なお、同社では昨年と今回行ったアンケート調査の結果を受け、外国人向け多言語不動産情報サイト「YOLO HOME」を8月12日に開設しました。


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全宅連、重説への水害リスク追加施行を前に説明書など更新

 (公社)全国宅地建物取引業協会連合会は8月18日、宅建法施行規則が改正され重要事項説明に水害リスクが追加となり、同28日から施行されることから、「重要事項事前説明書」「重要事項説明書」「excel版自動入力書式」をそれぞれ更新しました。
 書式は、会員専用のホームページ「各種書式ダウンロード」から入手できます。

賃貸関係の消費生活相談、2019年度は減少もワースト6位、3.1万件

 (独)国民生活センターは8月6日、「PIO-NETにみる2019年度の消費生活相談の概要」を公表しました。これによれば、「賃貸アパート・マンション」の消費生活相談は31,272件となり、総数の3.3%を占め、ワースト6位となりました。同じ3.3%を占めワースト5位だった2018年度(32,467件)との比較では、3.7%、1,195件の減少。

2019年度の傾向と特徴

 PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)は、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースです。

  • 2019年度の相談件数は934,944件で、2018年度(996,498件)に比べ減少した。「架空請求」の減少が影響している。
  • 「架空請求」の相談は、2012年度から2018年度にかけて再び増加し、2017年度と2018年度は20万件を超えたが、2019年度は10.9万件と大幅に減少した。
  • 70歳以上の相談の割合は24.5%と依然として全年代で最も多い一方、20歳未満、20歳代、30歳代、40歳代の割合が増加している。
  • 2018年度と比較して、定期購入などのトラブルがみられる「健康食品」「化粧品」、営業員の説明・勧誘や外貨建て生命保険のトラブルがみられる「生命保険」、ラグビーワールドカップ等のチケット転売トラブルがみられる「スポーツ観戦」、訪問販売・電話勧誘販売による電力会社切り替え等のトラブルがみられる「電気」で、相談件数の増加が目立った。
  • 新型コロナの影響で、マスクやトイレットペーパー等が品切れで購入できないという相談や、価格の高騰や転売に関する相談、インターネット通販で購入したが商品が届かないという相談がみられる。また、海外パックツアーの解約に伴うキャンセル料や返金に関する相談がみられる。
  • 「通信販売」に関する相談の相談全体に占める割合は2013年度以降、販売購入形態別で最も高く、2019年度は32.8%で、「インターネット通販」に関する相談が多くみられる。
  • 「訪問販売」「電話勧誘」「ネガティブ・オプション」「訪問購入」は70歳以上の相談が多く、「マルチ取引」では20歳代の相談が多かった。
  • 販売方法・手口別にみると、増加傾向にある「代引配達」では、注文した覚えのない美顔器を代引配達するとのメールが届いたという相談、「クレ・サラ強要商法」では、20歳代を中心に情報商材などを高額契約させられたという相談がみられる。

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国交省、2020年度の電子書面交付社会実験を開始

 国土交通省は、賃貸取引における「重要事項説明書等の電磁的方法による交付(電子書面交付)の社会実験を、ガイドライン本文を一部改定のうえ、9月1日から開始しました。2021年3月末までの7カ月間行う予定です。

前2019年度は113社が登録参加

 この実験への参加は登録制になっており、2019年度は113社が登録しました。  実験の対象となる賃貸取引の対象物件に制限はなく、実施はテレビ会議システムやテレビ電話(スカイプ)などのテレビ会議ツールを活用。IT重説は署名サービス等を利用して実施します。


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2020.8.15
賃貸経営ニュースダイジェスト

4月期空室率TVI、千葉県のマンション系が大きく悪化

 タスは、賃貸市場レポート(首都圏版、関西圏・中京圏・福岡県版)の4月期分を6月30日、5月期分を7月31日に公表しました。

2020年4月期の概況

 空室率TVIは、前月に比べ、東京都、神奈川県、千葉県、京都府、兵庫県、愛知県が上昇し、特に千葉県は16.07となって1.57上昇(マンション系+1.96、アパート系+0.02)しました。千葉県のマンション系が大きく悪化したのは、2020年4月に大量の募集が開始されたためです。

2020年5月期の概況

 空室率TVIは、神奈川が前月に比べ0.19と続伸。前月に大きく増えた千葉は0.20の下降。関西圏・中京圏・福岡県版は引き続き大きな変動はありませんでした。


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6月住宅着工、貸家は22カ月連続で減少

 国土交通省が7月31日に公表した6月の新設住宅着工戸数は、持家、貸家、分譲住宅ともに減少したため、全体で前年同月比12.8%の減少となりました。総戸数は12カ月連続の減少、うち貸家は22カ月連続の減少です。

持家、分譲住宅も減少し、新設総戸数は前年同月比12.8%減

総戸数
  • 新設住宅着工戸数は71,101戸で、前年同月比12.8%減、12カ月連続の減少。
利用関係別戸数
  1. 持家:23,650戸(前年同月比16.7%減、11カ月連続の減少)
  2. 貸家:26,666戸(同13.0%減、22カ月連続の減少)
  3. 分譲住宅:20,189戸(同7.7%減、8カ月連続の減少)
  • マンション:8,422戸(同2.0%減、2カ月連続の減少)
  • 一戸建住宅:11,658戸(同 11.0%減、7カ月連続の減少)

都道府県別着工状況(2020年6月)


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新型コロナ禍、住み替えは自重・様子見傾向で不動産事業者大きな打撃

 LIFULLは、2回目となる「新型コロナウイルス感染症の影響による生活者の住み替え行動に関する調査」を6月中旬に実施し、結果を7月22日に公表しました。生活者は自重、様子見傾向にありますが、住み替え・建て替えを延期した回答者の約6割がオンラインでの対応に期待を示しました。

住み替え・建て替え希望の約6割がオンライン対応に期待

 調査は前回4月に実施。今回も全国の生活者40,000人に実施し、前回調査との比較を行なっています。概要は次の通り。

  1. 住み替え・建て替えを検討する生活者は4月より増加、検討行動は自重傾向。
  2. 約5割が住み替え・建て替えを「どうしたらいいかわからない」と様子見傾向。一方で「延期」「中止」は4月時点より減少し、「予定通り行う」生活者が増加。
  3. 住み替え・建て替え検討の“きっかけ”、一定数新型コロナが影響。
  4. 新型コロナの影響で不動産会社への訪問を控えた生活者は8%に減少、不安和らぐ。
  5. 住み替え・建て替えを延期した方の約6割がオンラインでの対応に期待。

募集家賃、福岡・シングル+7.3%、埼玉・70㎡超+8.8%

 アットホームは6月29日、不動産情報ネットワークに登録され消費者向けに公開された首都圏(1都3県)と全国主要都市における5月の「居住用賃貸マンション・アパートの募集家賃動向調査」の結果を公表しました。

5月の居住用賃貸マンション・アパート

 これによれば、概況は次の通りです。

  • 首都圏のマンションの平均募集家賃は、東京23区・神奈川県・埼玉県が全面積帯で前年同月を上回り、神奈川県・埼玉県は前月比も上昇。
  • 名古屋市・福岡市のマンションの平均募集家賃は、全面積帯で前年同月を上回る。
  • アパートの平均募集家賃は東京23区・仙台市・名古屋市・大阪市・福岡市で全面積帯とも前年同月を上回る。

平均募集家賃 前年同月比上昇率トップ3 ※カッコ内は2020年5月の平均家賃


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マンション管理業者への全国一斉立入検査、4割強に是正指導

 国土交通省は7月27日、2019年度に実施したマンション管理業者への全国一斉立入検査の結果を公表しました。それによれば、全国145社(前年度146社)に対して実施し、うち61社(同63社)に是正指導を行いました。

前年度よりやや減少も、過去5年平均より増加

 マンション管理適正化法が2001年8月に施行され、マンション管理業者の登録数は2019年度末で1,962社、マンションストック戸数は約666万戸に達しています。
 国交省によれば、2019年度の指導率は42.1%となり、前年度(43.2%)より1.1ポイント下回ったものの、過去5年間の平均(40.9%)との比較では1.2ポイント上回り、重要事項の説明等の適正化法の各条項に対する理解不足が依然として見られるとしています。

是正指導事項別の傾向

  • 是正指導事項別の指導業者件数は、「重要事項の説明等」が最も多く、次いで「契約の成立時の書面の交付」、「管理事務の報告」、「財産の分別管理」、「管理業務主任者の設置」の順となっている。
  • 前年度と比べ適正化法の複数の条項について是正指導を受けた業者は減少している。
  • 是正指導事項別の指導率を前年度の結果と比較してみると、各項目とも減少傾向であるものの、「重要事項の説明等」(26.2%、前年度32.9%)、「契約の成立時の書面の交付」(23.4%、前年度26.0%)は、他の項目に比べて指導率が高くなった。

今後の対応策

  • 違反のあった業者に対しては、立入検査時に、違反状態の是正をするよう指導を行った。引き続き、立入検査等による法令遵守の指導を行うとともに、悪質な適正化法違反には、適正化法に基づき厳正かつ適正に対処する。
  • 関係団体に対しても、さらなる法令遵守の徹底を図るため、研修活動等を通じてマンション管理業全般の適正化に向けた指導等を図るよう要請した。

適正化法の各条項ごとの是正指導社数(重複該当あり)

  1. 管理業務主任者の設置(第56条関係):2社(前年度8社)
  2. 重要事項の説明等(第72条関係):38社(前年度48社)
  3. 契約の成立時の書面の交付(第73条関係):34社(前年度38社)
  4. 財産の分別管理(第76条関係):14社(前年度22社)
  5. 管理事務の報告(第77条関係):27社(前年度32社)

共働き世帯での「夫婦ともに在宅勤務」、ワークスペースに不満

 共働き世帯に、コロナ禍での働き方と住まいに関する意識・実態を聞いたところ、7割が「夫婦ともに在宅勤務」になることは想定外で、複数人の在宅勤務を経験した人ほどワークスペースに不満で、戸建て住宅の購入意識が高い傾向にある…三井ホームは7月16日、こんな調査結果を公表しました。

三井ホーム調査、「複数人の在宅勤務」経験者ほど戸建て購入に意欲

 この調査(コロナ禍における“共働き夫婦”の働き方と住まいに関する意識・実態調査)は、6月中旬、インターネットを利用し実施し、全国の30~50代の共働きの男女計374名から回答を得ました。回答者は3~5月の間、週1回以上在宅勤務/テレワークを行った人たちです。
 調査の結果、次の4ポイントが 分かりました。

  • 7割が、「夫婦ともに在宅勤務」になることは想定外であった。
  • 在宅勤務経験者の約半数が、家庭内で「複数人の在宅勤務」を経験した。
  • こうした「複数人の在宅勤務」を経験した人ほど、現在のワークスペースに不満を持った。
  • また、「複数人の在宅勤務」を経験した人ほど、戸建ての購入意欲が高い傾向にあった

「仕事」と「家庭内コミュニ」両立目指した住み心地を

 共働き世帯は、年々増加の一途をたどっており、内閣府調査によれば1997年に専業主婦世帯数を上回り、2018年には専業主婦世帯の2倍を超え、1,219万世帯となっています。
 調査では、今回の在宅勤務をきっかけに住宅の購入・リフォームを考えた人が4割以上(44.4%)にのぼり、「複数人の在宅勤務」を経験した人ほど住宅購入意欲が強く(53.2%)、かつ「戸建て」の購入意欲が高いことが浮き彫りとなりました。
 同社では、こうした調査結果について「コロナ禍を経て在宅勤務の希望は高まり、それに合わせて、自宅で仕事をしやすい個室やワークスペースがあることを理想とする人は増加傾向にある。同時に、在宅勤務によって、家族とのコミュニケーションが増えたと実感している人も多く、今後は仕事と家庭内コミュニケーションの両立を前提とした住み心地の良さを追求した住宅を望む声がますます高まることが想定される」と見ています。

ネット環境事情…「無料にこだわる」24%、「速度を気にする」34%

 賃貸経営のコンサルティング会社であるリーシング・マネジメント・コンサルティングは7月10日、新型コロナ問題にともなう賃貸不動産業界の現状や仲介会社への影響、さらにエンド客のニーズの変化について調査した結果を公表しました。これによれば、エンドユーザーの志向は「ネット環境」について無料や速度にこだわる傾向が目立ちました。

不動産仲介会社への新型コロナ影響度調査

 この調査は、6月初旬から中旬にかけ、1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)の賃貸不動産仲介会社211社を対象に実施しました。調査したのは、①仲介会社の業務体制の変化、②仲介会社のインフラの変化、③エンド客動向の変化、④エンド客のニーズの変化、⑤提供してほしい営業ツール、⑥元付会社に気を付けてほしいこと、⑦業務上困っていること、の7項目です。
 これによれば、エンドユーザーの志向は、駅距離、人通りの多い立地、職場に近い立地などでは大きな変化は見られなかったものの、「ネット無料にこだわる方が増えた」(23.7%)、「回線速度を気にする方が増えた」(34.1%)が大きく増えました。
 設備面でも「ネット環境」(14.2%)が最も多く、これに「キッチンスペース」(10.0%)が続きました。


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直近の景況感調査、一部持ち直しも、依然厳しい環境続く

 新型コロナ問題を受け、不動産や賃貸に関する景況感調査が相次いでいます。こうした調査の結果は、問題の性格上、調査時期や調査対象者、さらに質問内容によって大きな違いが生じます。アットホームが地場の不動産仲介業を対象に6月中旬から下旬にかけて行った「景況感調査」、帝国データバンクが10業界を対象に7月に行った「景気動向調査」、そして同社がほぼ同時期に行った「企業意識調査」では、持ち直し傾向は出ているものの、日本経済、不動産・賃貸業は依然厳しい環境下にあることが浮き彫りになっています。

「地場の不動産仲介業における景況感調査」(4~6月期)…調査以来最低値、来期回復?

アットホーム調べ、6月12日~26日実施、8月4日公表

調査結果の概要
  • 首都圏・近畿圏における今期業況DIは、新型コロナの影響を受け、賃貸仲介・売買仲介ともに前期より大幅悪化。いずれも2014年1~3月期の調査開始以来の最低値を記録。一方、来期業況は回復見込み。
  • 調査対象14エリアにおける今期業況DIは、賃貸が10エリア、売買が12エリアで 最低値に。
  • 5月の人口移動数は、東京23区が初の転出超過に。新型コロナの影響で住まいの選び方にも変化が見られる。
  • 新型コロナの影響を受けた不動産店のコメントが多数寄せられた。問い合わせの減少や取引のキャンセルがあったほか、テレワークのため今より広い住まいを求め転居する傾向も見られた。また、不動産店の業務についても、リモートでの接客対応など変化がうかがえた。

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「景気動向調査(全国)」(7月調査)…一部持ち直しも、厳しさ継続

東京データバンク調べ、全国11,700社強回答、8月5日発表

調査結果の概要
  • 7月の景気DIは2カ月連続で前月比プラス(1.5ポイント)の29.1となった。国内景気は、一部で持ち直しの動きが見られたものの、厳しい水準での推移が続いた。
  • 今後の景気は、経済活動の再停滞が最大のリスク要因となるなか、低水準での推移が続くとみられる。
  • 10業界中、「製造」や「建設」など9業界でプラスとなった。景況感の悪化に持ち直しの動きがみられたものの、全業界で40を下回るなど低水準での推移が続いた。「金融」は3カ月ぶりに悪化した。
  • 2カ月連続で全10地域が持ち直した。地域間で人の移動が増えたほか、自宅内消費の拡大にともなう販売増加や、製造業の生産再開などがプラス要因となった。
  • 新型コロナ感染が広がりをみせるなか、一部地域では令和2年7月豪雨の影響も表れた。「大企業」「中小企業」「小規模企業」は2カ月連続で持ち直し。

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「新型コロナ対する企業の意識調査」(7月)…減少を見込む企業は3社に2社

帝国データバンク調べ、7月16日~31日実施、8月3日公表

調査結果の概要
  • 新型コロナによる自社の業績への影響で、「マイナスの影響がある」と見込む企業は82.7%。前回調査(84.5%)と比較すると1.8ポイント減少した。内訳を見ると、「すでにマイナスの影響がある」が68.4%、「今後マイナスの影響がある」が14.3%となった。
  • 「影響はない」とする企業は10.2%だったほか、「プラスの影響がある」(「すでにプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)と見込む企業は3.1%となった。
  • 7月の売り上げ見込みは、前年同月比で平均85.4%となった。減少を見込む企業は3社に2社となったが、前年同月比50%を下回ると見込む企業は7.2%。他方、増加を見込む企業は1割程度、横ばいを見込む企業は17.4%であった。

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賃貸住宅管理業法、マンション管理適正化法の施行に向け、各「検討会」発足

 この6月に公布された賃貸住宅管理業法の施行に向け、国土交通省は同法に基づくガイドラインなどを論議する「賃貸住宅管理業法の施行に向けた検討会」を設置し、8月5日に初会合を開きました。これより前、7月30日には「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」の初会合も開催し、議論を開始しました。

賃貸住宅管理業法施行、まずサブリース事業の誇大広告、不当勧誘、重説を検討

 賃貸住宅管理業法では、賃貸住宅管理業については登録制度の創設とその業務の適正化に向けた事業規制、またサブリース事業についても契約の適正化に向けた事業規制が設けられました。同省としては、検討会での検討結果を踏まえ、サブリースは12月中旬、賃貸住宅管理業は来年6月中旬の施行までに関係政省令、運用指針、ガイドラインなどを整備していく考えです。
 検討会の初会合ではまず、サブリース事業に関する主な論点として誇大広告、不当勧誘、重要事項説明などが挙げられ、検討が始まりました。

マンション管理適正化法施行、国の基本方針、地方公共団体の助言・指導など検討

 一方、6月には「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律」の改正も成立・公布されました。
 有識者、関係団体等による検討会では、同法に新たに規定される国による基本方針、地方公共団体による助言・指導など、また管理計画認定制度の新制度施行に関して基本方針や認定等の基準などを議論していきます。

住み替え意向、「持ち家→持ち家」減、「借家→借家」増が進む

 国土交通省(住宅局)が実施した「2018年住生活総合調査」(確報集計)の結果が8月7日に公表されました。これによれば、住宅への不満率は、持ち家で約2割、借家で約3割あり、いずれも共同住宅が戸建等の不満率を下回っています。また、持ち家世帯の「持ち家」への住み替え意向は10年で8割から7割に減少。借家世帯は「借家」への住み替え意向が「持ち家」への住み替えを上回っています。

国交省「2018年住生活総合調査」(確報集計)

 この住生活総合調査は、「住宅・土地統計調査」(総務省)と同年に、5年周期で実施しており、平成30年調査は13回目にあたります。主な調査項目は、住宅及び居住環境に対する評価、今後の住まい方の意向、住宅及び居住環境の個別要素に対する評価、家族構成別に見た住宅及び居住環境の評価と住み替え・改善意向で、住宅・土地統計調査の調査対象世帯のうちの普通世帯から無作為に抽出した93,586世帯で、回収は47,898世帯。調査は平成30年12月1日現在状況。

調査結果のポイント

  • 住宅・居住環境に対して不満のある世帯の割合(不満率)は堅調に低下している。住宅に対する不満率は20年前と比較して半減した。
  • 住宅に対する不満率は、持ち家で約2割、借家で約3割。持ち家、借家のいずれも共同住宅が一戸建等の不満率を下回っている。

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  • 住宅·居住環境の個別要素の重要度について、「全世帯」では「治安」「日常の買物などの利便」、「子育て世帯」では「治安」「通勤・通学の利便」、「高齢者世帯」では「日常の買物などの利便」「地震時の安全性」等を重視している。重要度の高い項目の不満率は総じて低い傾向にあるが、「全世帯の「地震時の安全性」、「子育て世帯」の「収納の多さ、使い勝手」、高齢者世帯の「高齢者への配慮」等については不満率が高い。
  • 単身世帯(高齢世帯を除く)、子育て世帯の順に住み替え意向が高い(約3割)。今後の住み替え先について、持ち家に住んでいる世帯の「持ち家」への住み替え意向は、10年で概ね8割から7割に減少。借家に住んでいる世帯は「借家」への住み替え意向が「持ち家」への住み替えを上回る。
    持ち家の取得にあたっては、既存(中古)住宅の取得意向が10年で大幅に増加。子育て世帯は共同住宅への住み替え意向が最も低い。戸建てへの住み替え意向を持つ世帯は約7割が新築住宅を、共同住宅への住み替え意向を持つ世帯は新築住宅と既存(中古)住宅をそれそれ約4割ずつ希望している。

 クリックで拡大     ※1:住み替え意向のある世帯について集計
  • 今後の住み替えの目的は「広さや部屋数」「使いやすさの向上」の順に割合が高い。
  • 継続居住意向のある持ち家世帯のうち、リフォームの意向のある世帯の割合は、家計主が55~59歳で最も高く1/3以上となっている。
■詳しくはこちら→PDF「住生活総合調査(概要)」

2020.8.1
賃貸経営ニュースダイジェスト

トランクルーム市場、1万店舗を突破し650億円規模に

 屋内・屋外のトランクルーム市場は、テレワークの浸透による居住環境の変化も追い風になり、ファミリーレストランを超える10,000店舗を突破し、650億円規模へと拡大している、とキュラーズが7月8日に公表しました。シェアトップの同社が毎年実施している“Annual Supply Survey”による最新の試算でわかったということです。

キュラーズ調査、2025年には1,000億円規模へとさらに拡大か

 同社が行ったトランクルーム市場(屋内・屋外含む)に関する市場規模と成長予測に関する最新の調査結果によれば、サービス認知の高まりと、東京23区を中心としたトランクルーム需要が拡大。さらに、テレワーク・オンライン学習の急速な浸透をはじめとした居住環境の変化による収納ニーズの高まりや、オフィスのダウンサウジングにともなうトランクルーム需要も顕在化しています。
 このため同社は、「今後も同等の市場拡大が続くと仮定したとき、2025年には1,000億円を超える規模へと成長する可能性を秘めている」と見ています。

2020年トランクルーム(屋内・屋外含む)市場規模と成長予測


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トランクルーム市場レポートの概要

  • 市場規模は、2008年比2.4倍増となる650億円へと成長。2025年には1,000億円規模への市場拡大の可能性を秘めている。
  • 店舗数は10,000店舗を突破(10,793店舗)。ファミリーレストラン市場(10,753店舗)を超える店舗数へと拡大している。
  • 全国の延べ室数は前年比9%増加し、478,000室になった。
  • 屋内型市場はトップ3社(キュラーズ24%、ハローストレージ11%、ライゼボックス9%)でマーケット全体の44%を占める。
  • 2019年、新たに350店舗以上の屋内型トランクルームがオープン。うち、30%以上が東京都内に出店。都心を中心に依然として高いトランクルーム需要を保っている。

経産省、7月14日から「家賃支援給付金」の申請受付を開始

 経済産業省は、新型コロナ問題で売上の減少に直面する事業者(テナント)の事業継続を下支えするため、地代・家賃(賃料)の負担を軽減する「家賃支援給付金」について、7月7日に申請要領を公開のうえ、同14日から受け付けを開始しました。

法人には最大600万円、個人事業者には最大300万円を給付

 給付は、フリーランスを含む資本金10億円未満の中堅企業や中小企業などが、5~12月売上が単月で前年同月より50%以上減少した場合などが対象。法人には最大600万円、個人事業者には同300万円を給付されます。申請期間は2021年1月15日まで。
 経産省では「家賃支援給付金ポータルサイト」(https://yachin-shien.go.jp/)を設けて、制度内容、給付までの流れ、最新情報を紹介するとともに、Q&Aを設けて詳しく説明。そのうえで、電子申請を受け付けています。
 また、電子申請を基本としつつも、補助員がサポートする申請サポート会場も紹介し、電子申請が困難なケースをサポートしています。

家賃支援給付金の概要(経産省チラシ)


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住宅生産団体連合会、「感染予防ガイドライン」に熱中症対策と「COCOA」追加

 (一社)住宅生産団体連合会は7月16日、5月21日に制定した「住宅業界における感染予防ガイドライン」を改定しました。主な改定部分は、内閣官房コロナ室、大臣官房危機管理室から国土交通省(住宅局)を通じて依頼があった熱中症対策の徹底と、接触確認アプリ「COCOA」(厚生労働省提供)の利用促進を追加したこと。

宅建法重説に、水害ハザードマップでの物件所在地の説明義務を追加

 宅地建物取引業法の施行規則を改正する命令が7月17日公布され、不動産取引時に行う重要事項説明で、水害ハザードマップにより対象物件の所在地も説明するよう義務付けられました。施行は8月28日から。

「浸水想定区域にない≒リスクがない」と誤認させないようにも配慮

 大規模水災害の頻発で、不動産取引でも、水害リスクに関する情報が契約を決定するうえで重要な要素となっていることから、国土交通省は2019年7月、不動産関連団体を通じて、不動産取引時にはハザードマップを提示し、取引対象物件の位置について情報提供するよう要請していましたが、法に基づく重要事項説明の対象項目として追加し、義務化しました。

施行規則改正の概要

 重要事項説明の対象項目に、水防法(昭和24年法律193号)の規定に基づいて作成された水害ハザードマップにおける対象物件の所在地を追加する。

宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(ガイドライン)

 施行規則の改正に合わせ、説明方法等を明確化するため、以下の内容を追加する。

  • 水防法に基づき作成された水害(洪水・雨水出水・高潮)ハザードマップを提示し、対象物件の概ねの位置を示す。
  • 市町村が配布する印刷物、または市町村のホームページから印刷したものであって、入手可能な最新のものを使う。
  • ハザードマップ上に記載された避難所の位置を示すことが望ましい。
  • 対象物件が浸水想定区域に該当しないことで水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮する。

新型コロナでの引っ越し意向、「郊外派」と「都心派」は拮抗

 新型コロナ問題でテレワーク(在宅勤務)が増え、若者を中心に地方移住への関心が高まっています(内閣府調査)が、これによる「郊外への引っ越し」意向は5.3%、「都心への引越し」意向も5.3%と拮抗している。また、テレワーク実施者の約8割は継続を希望しているが、効率が上がったと感じているのは4割程度にとどまる…大東建託の調査ではこんな結果が出たということです。

7割はワークスペースを確保、引っ越しには慎重

 同社は、6月16~22日の期間、全国2,081名を対象に、新型コロナ問題による住まいへの意識変化やテレワーク実施状況についてインターネット調査を行いました。
 これによれば、コロナ禍をきっかけとした「郊外への引っ越し」意向は5.3%、「都心への引越し意向」も5.3%と拮抗していました。テレワーク実施率は、首都圏が37.5%と、東名阪以外の19.4%よりも格段に高く、テレワーク実施者の約8割は継続を希望していました。
 一方で、効率が上がったと感じているのは4割程度にとどまりました。

調査結果の詳細

  • 「収束には数年かかると思う:85.3%」、「社会は大きく変わると思う:78.2%」、「自分の考えや価値観は大きく変わったと思う:40.8%」と、社会に大きな影響を及ぼしている。
  • 「在宅時間が延びた:64.4%」、「前より家族の仲が良くなった:80.5%」と暮らし方、家族関係にも大きな影響を及ぼしている。この傾向はテレワーク実施者のほうが未実施者よりもやや強い。
  • 「収入が減った:74.3%」、「転職・独立しにくくなる:73.8%」と就業環境への意識も悪化している。
  • 「この3カ月でテレワークした」のは、首都圏:37.5%、東阪名以外:19.4%と地域によって大きな差がある。テレワーク実施者の8割は、居住地に関係なくテレワークの継続を希望している。
  • 製造・現場職のテレワーク実施率は6.0%、パート・アルバイトで11.7%と低いが、約2割がテレワークの実施を希望しており、不安を抱えながら就業している様子がうかがえる。
  • テレワーク実施率は、個人年収が600万円を超えると急激に上昇し、都市部のホワイトカラー中心に実施されている傾向がうかがえる。
  • テレワーク実施者のうち「前から在宅ワークスペースがあった」のは41.3%、「新たにワークスペースを作った」のは28.4%で、あわせて69.6%はワークスペースが確保できている。
  • テレワーク実施者のうち、「仕事の効率が上がった」のは43.4%と半数に満たない。
  • 「郊外の人気が上がると思う:49.8%」だが、「コロナをきっかけに郊外へ引っ越しを考えている:5.3%」、「コロナをきっかけに都心への引っ越しを考えている:5.3%」と拮抗している。都心への引っ越し意向は、テレワークできても通勤を不安に思っていることが要因の可能性。
  • 3月実施の住みここち調査回答と比較すると、6月回答の本調査では、「引っ越しするつもりはない」が7.1ポイント増えて69.6%となっており、コロナで引っ越しを取りやめた:6.3%とあわせて、引っ越しを控えている傾向がうかがえる。

生活困窮者の住宅確保給付金、新型コロナ問題を受け改正

 新型コロナ問題を受けた生活困窮者自立支援法の施行規則改正(7月3日公布・施行)で住居確保給付金の支給額の算定方法が変更されたことから、国土交通省は7月17日、賃貸住宅関係団体、不動産関連団体に、2020年4月、5月、6月分の住居確保給付金について追加給付がある場合は、受給者に直接支給される旨を周知徹底するよう依頼しました。

算定方式見直しで支給上限額の幅が拡大

 改正では、世帯収入額(生活困窮者とその同一世帯の収入合算額)が、①基準額以下のときは「1カ月分の家賃額」、②基準額を超えるときは「基準額と1カ月の家賃額との合算額から世帯収入額を減じた額」となります。これにより、支給上限額の幅が拡大することになります。


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国セン・消費者庁・経産省委員会、スイッチング等で改めて注意喚起

 (独)国民生活センターと消費者庁、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会は7月8日、消費者に向けて、スイッチングなどの際には「電力・ガスの契約内容をよく確認しましょう」と改めて注意を呼びかけました。

最近は、契約書面の交付や料金の算定の不適切行為も

 電気自由化から4年、都市ガス自由化から3年が経過しましたが、国民生活センターや各地の消費生活センター、電力・ガス取引監視等委員会には、消費者からの相談が引き続き寄せられています。
 最近は契約書面の交付や料金の算定に関する電力・ガス事業者の不適切な行為も報告されていることから、トラブルの再発防止に向けて改めて注意喚起とアドバイスを行いました。

相談件数


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消費者へのアドバイスのポイント

  • 各社はコロナウイルスの状況下で、電気・ガス料金の支払いに柔軟な対応をしています。
  • 料金のプランや算定方法をよく説明してもらい、確認しましょう。
  • 勧誘してきた会社と新たに契約する会社の社名や連絡先を確認しましょう。
  • 検針票の記載情報は慎重に取り扱いましょう(重要な個人情報です)。
  • 契約を変更してしまってもクーリング・オフ等ができる場合があります。
  • 契約している会社が事業撤退する場合等でもすぐには電気・ガスは止まりませんが、お早めに電力会社の切り替え手続きを行ってください。
  • 困った場合にはすぐに相談しましょう(経済産業省電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口:03-3501-5725、消費者ホットライン:「188(いやや!)」番)。

国交省、令和2年7月豪雨で宅建業免許などの有効期間を延長

 国土交通省は7月14日、「令和2年7月豪雨」を受け、被災者の権利・利益を保全するため、宅地建物取引業の免許等の有効期間を2020年12月28日まで延長するなど、関係法令の特例措置を公表しました。対象法令は宅地建物取引業法のほか、マンション管理適正化推進法、住宅宿泊事業法、賃貸住宅管理業者登録規程、不動産特定共同事業法です。

特例措置の概要

宅地建物取引業の免許等の有効期間の延長

 特定被災地域内に主たる事務所等を有する者について、有効期間が2020年7月3日以後に満了するものは、満了日を一律に同年12月28日まで延長する。

  • 宅地建物取引業者の免許
  • 宅地建物取引士証の交付
  • マンション管理業者の登録
  • 管理業務主任者証の交付
  • 賃貸住宅管理業者の登録
宅地建物取引業者、マンション管理業者、住宅宿泊管理業者、賃貸住宅管理業者の「変更届出等を不履行の場合の免責等
 宅地建物取引業者等が「令和2年7月豪雨」で変更届出等を期限までに履行ができなかったと認められるときは、2020年10月30日までに履行すれば、行政上・刑事上の責任は問われない。

2020.7.15
賃貸経営ニュースダイジェスト

5月の新設住宅着工、貸家は21カ月連続で減少

 国土交通省が6月30日に公表した5月の新設住宅着工戸数は、持家、貸家、分譲住宅ともに減少したため、全体で63,682戸となり、前年同月より12.3%減少しました。減少は11カ月連続です。うち、貸家は24,040戸で21カ月連続の減少。

新設総住宅数も11カ月連続減少

総戸数
  • 新設住宅着工戸数は63,682戸で、前年同月比12.3%減。11カ月連続の減少。
利用関係別戸数
  1. 持家:19,696戸(前年同月比20.7%減、10カ月連続の減少)
  2. 貸家:24,040戸(同8.1%減、21カ月連続の減少)
  3. 分譲住宅:19,602戸(同比7.6%減、7カ月連続の減少)
  • マンション:9,137戸(同0.3%減、 先月の増加から再びの減少)
  • 一戸建住宅:10,381戸(同12.8%減、6カ月連続の減少)

都道府県別着工状況(2020年5月)


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景気急落は下げ止まり、ただ依然厳しい水準で推移

 帝国データバンク(TDB)が7月3日に公表した2020年6月の「景気動向調査(全国)によれば、景気の急落は下げ止まりがみられました。ただ、経済活動は徐々に再開していますが、依然として厳しい水準で推移しています。

2020年6月のTDB「景気動向調査(全国)」結果のポイント

  • 2020年6月の景気DIは9カ月ぶりに前月比プラス(2.4ポイント)の27.6となった。国内景気は、経済活動が再開し徐々に動き始めたことで、急落傾向が下げ止まった。今後は、後退傾向が一時的に下げ止まるものの、力強さに欠ける動きが続くとみられる。
  • 全業界で低水準の推移が続いたものの、緊急事態宣言の解除を受け「小売」や「サービス」など9業界で持ち直しの動きとなった。一方、製造業などで荷動きが停滞した「運輸・倉庫」は悪化した。
  • 2016年11月以来3年7カ月ぶりに全10地域で下落傾向に歯止めがかかった。特別定額給付金の支給が続いたほか、6月19日に県境をまたぐ移動制限の全国的な解除などは、地域経済への期待感が高まる要因となった。規模別では、「大企業」「中小企業」「小規模企業」の悪化は8カ月でストップした。

今後の見通し… 一時的に下げ止まり

 今後の国内景気は、感染拡大防止にともなう経済活動への制約が徐々に薄らいでいくとみられる。特別定額給付金などが個人消費を下支えするほか、事業継続に対する各種助成・補助金などの政策効果が好材料となる。また生産・出荷量の落ち込みからの挽回生産や工場の国内回帰などは設備投資を上向かせる要因となろう。さらに入国規制の緩和による訪日観光の再開もプラス材料である。
 他方、新型コロナウイルスの第2波・第3波の到来によって経済活動が再び停滞する可能性は最大の下振れリスクといえる。企業業績の悪化にともなう雇用調整や賃下げ、設備投資計画の下方修正、海外経済の動向なども懸念される。
 今後は、後退傾向が一時的に下げ止まるものの、力強さに欠ける動きが続くとみられる。

景況感企業の声(不動産、先行き)

  • 新規開発物件の予定が多くあり、需要は伸びる見込み(不動産管理)。
  • 観光客が以前のように戻るのがいつになるか見通せない。海外に行っていた観光客が国内旅行にシフトしてくることを期待(不動産代理・仲介)。
  • 家計の出費を抑える傾向が続きそうであり、またテナントの売り上げが上がらず、資金繰りが苦しくなった企業の退店も発生することが予測される(貸事務所)。
  • 金融政策も限界で、大規模な経済政策をとることは難しいと考える(土地売買)。

一人暮らしの社会人、幸せに暮らせる家は20㎡以下

 一人暮らしの全国20代社会人男女を対象に、幸せに生活するために最低限必要な「家の広さ」「間取り」「最寄り駅までの徒歩分数」などや、最近注目を集めている最小限の物で暮らすミニマリストについて調査したところ、家の広さは20㎡以下が53.4%、ミニマリストになりたいとの回答が38.9%、そして意外となくても暮らせる家具1位は「テレビ台」ということです。

なくても暮らせる家電トップはアイロン、家具トップはテレビ台

 この調査は、アットホームが3月19日~21日、インターネットを利用して実施し、414名(男性207名、女性207名)から回答を得ました(6月23日公表)。調査結果の概要は次の通りとなっています。

  • 一人暮らしの社会人が幸せに暮らせる「家の広さ」は、「15㎡以下」「20㎡以下」合わせて53.4%

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  • 一人暮らしの社会人が幸せに暮らせる「入居時の築年数」は平均18.6年
  • 一人暮らしの社会人が幸せに暮らせる「最寄り駅までの徒歩分数」は平均13.9分
  • 一人暮らしの社会人が幸せに暮らせる「片道の通勤時間は平均38.0分
  • 意外となくても暮らせる「電化製品ランキング」、1位は「アイロン」
  • 意外となくても暮らせる「家具ランキング」、1位は「テレビ台」

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  • 「ミニマリストである」は24.4%、「ミニマリストになりたい」は38.9%

自筆証書遺言書の公的「保管制度」が7月10日からスタート

 これまで自宅の仏壇や金庫などで保管されるケースが多かった自筆証書遺言書ですが、法務局で保管してもらえる制度が2020年7月10日からスタートしました。

“相続→争続”をなくすため、遺言書の証明・閲覧、他の相続人に通知など

 自宅などで保管すると、「紛失・亡失」や、相続人による「遺言書の廃棄・隠匿・改ざん」のおそれがあり、“相続→争続”になるケースも少なくありませんでした。
 法務局では預かった「原本」とその「画像データ」を安全に保管。相続人は相続開始後に遺言書の証明書の交付、閲覧の請求ができ、相続人の一人に証明書を交付したり閲覧をさせた場合は、他の相続人に遺言書が保管されていることを通知します。
 証明書の交付時に、これまで必要だった裁判所の「検認」は不要となります。

宅配便の再配達率、新型コロナ問題で8.5%へと大幅低下

 国土交通省は6月26日、2020年4月の「宅配便の再配達率調査」の結果を公表しました。それによれば、再配達率は約8.5%となり、前年同月と比べて約7.5ポイント減少し、調査開始以来最も低くなりました。

前年同月より7.5ポイントも減少

 これは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛要請などから宅配便利用者の在宅時間が増加。1回での受け取りが増えたことによると考えられます。
 国土交通省では、「総合物流施策推進プログラム」において、宅配便の再配達率(2017年度:16%程度)の削減目標を「2020年度:13%程度と設定。宅配ボックスの活用や置き配の普及・促進等に向けた施策を推進し、宅配便の再配達削減に取り組んでいます。
 サンプル調査は、2017年10月からを実施しています。

調査結果(単位:個)

2020年4月 2019年4月(前年同月調査)
総 数 再配達数 再配達率 総 数 再配達数 再配達率
都 市 部 1,116,964 91,528 8.2% 844,396 151,603 18.0%
都市部近郊 1,550,667 132,377 8.5% 1,378,262 209,590 15.2%
地  方 137,215 13,917 10.1% 129,731 16,077 12.4%
総  計 2,804,846 237,822 8.5% 2,352,389 377,270 16.0%

※大手宅配事業者3社の合計数値
※調査期間はいずれも4月1日~4月30日

新型コロナでテレワーク、回答者の34.5%が経験

 内閣府は6月21日、「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」の結果を公表しました。それによれば、テレワーク(在宅勤務)は不定期に実施した者も含めると全体の34.5%が経験。これにともない、仕事に対する意識や家族と過ごす時間も変化していました。テレワーク利用への課題や不便な点を挙げてもらったところ、「在宅では仕事に集中することが難しい住環境である」との回答が17.8%ありました。

17.8%が「在宅では仕事に集中できない住環境」との回答

 この調査は、新型コロナ問題で「生活意識」「生活行動」「将来の生活意識・行動」がどう変化したか、国内居住のインターネットパネル登録モニターに聞いたもので、5月25日~6月5日に実施し、1万人強から回答を得ました。賃貸業界から見た主な内容は次の通りとなっています。

(共通)地方移住への関心
(質問)今回の感染症の影響下において、地方移住への関心に変化はありましたか。(三大都市圏居住者に質問)

→年代別では20歳代、地域別では東京都23区に住む者の地方移住への関心は高まっている。


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(共通)新しいことへのチャレンジ(年代別の取り組み内容)
(質問)今回の感染症の影響下において、新たに挑戦したり、取り組んだりしたことはありますか。該当するものを全て選択してください。

→10歳代では教育・学習、趣味、オンラインの発信・交流、20歳代、30歳代ではビジネス関係の勉強、新たなビジネスの取り組み割合が高い。

(就業者)仕事への向き合い方の意識、ワークライフバランス
(質問)今回の感染症拡大前に比べて、仕事への向き合い方などの意識に変化はありましたか。

→仕事への向き合い方などの意識が変化した、との回答が5割超。

(質問)今回の感染症拡大前に比べて、ご自身の「仕事と生活のどちらを重視したいか」という意識に変化はありましたか。

→(仕事と比べて)生活を重視するように変化した、との回答が約5割。

(就業者)経験した働き方とテレワークの実施状況
(質問)今回の感染症の影響下において、経験した働き方を全て回答してください。

→テレワークの実施率は業種別、雇用形態別、地域別で大きく異なる。


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(就業者)テレワーク経験者の意識変化
(質問)今回の感染症拡大前に比べて、ご自身の「仕事と生活のどちらを重視したいか」という意識に変化はありましたか。(ほか地方移住、職業選択・副業についても質問)

→テレワーク経験者は、WLB(仕事と生活の調和)、地方移住、仕事に関する意識が変化した割合が高い。

(子育て)家族と過ごす時間と経験した働き方
(質問)今回の感染症の影響下において、家族と過ごす時間はどのように変化しましたか。

→家族と過ごす時間は増加傾向。テレワーク等の経験者はその割合が高い。

(就業者)通勤時間の変化、継続
(質問)今回の感染症の影響下において、1週間の中で通勤にかける時間はどのように変化しましたか。

→テレワーク実施率の高い、東京圏に居住している人の通勤時間が特に減少しており、今後も減少した通勤時間を保ちたい、との回答が約7割。

(就業者)テレワークの利用希望
(質問)今後、どの程度の頻度でテレワークを利用してみたいですか。

→テレワーク実施率の高い東京圏に居住している人は、今後はテレワークを中心として利用したい、との回答が多い。

(テレワーク実施者)テレワーク利用に必要な課題、不便な点
(質問)今後、あなたの職場において、テレワークの利用拡大が進むために必要と思うものに関し、重要なものから順に回答してください。(最大3つ、掲載は主なもの)
  • 社内の打合せや意思決定の仕方の改善:44.2%
  • 書類のやりとりを電子化、ペーパーレス化:42.3%
  • 社内システムへのアクセス改善:37.0%
  • 顧客や取引先との打合せや交渉の仕方の改善:35.3%
  • 社内外の押印文化の見直し:31.6%
  • 仕事の進捗状況の確認や共有の仕方の改善:28.3%
(質問)あなたの職場において、テレワークで不便な点と考えられるものに関し、重要なものから順に回答してください。(最大3つ、記載は主なもの)
  • 社内での気軽な相談・報告が困難:34.5%
  • 取引先等とのやりとりが困難(機器、環境の違い等):34.0%
  • 画面を通じた情報のみによるコミュニケーション不足やストレス:27.1%
  • 機微な情報を扱い難いなどのセキュリティ面の不安:26.7%
  • テレビ通話の質の限界(タイムラグ、音声や映像の乱れ等):24.7%
  • 在宅では仕事に集中することが難しい住環境:17.8%

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マンションの平均募集家賃、神奈川、埼玉両県は前月比でも上昇

 アットホームは6月29日、首都圏(1都3県)、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市全国主要都市における5月の「賃貸マンション・アパート募集家賃動向」を公表しました。

アパート、東京23区、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市で前年同月比上回る

 全体の概況は次の通りとなりました。

  • 首都圏のマンションの平均募集家賃は、東京23区、神奈川県、埼玉県が全面積帯で前年同月を上回り、神奈川県・埼玉県は前月比も上昇しました。
  • 名古屋市・福岡市のマンションの平均募集家賃は、全面積帯で前年同月を上回りました。
  • アパートの平均募集家賃は、東京23区、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市で全面積帯とも前年同月を上回りました。

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2020.7.1
賃貸経営ニュースダイジェスト

2020年版の土地白書を閣議決定

 令和2年版の土地白書が本日6月16日に閣議決定されました。人口減少社会における土地の利用と管理に係る取組等と、土地基本法等の改正と土地基本方針に基づく総合的土地政策について取り上げています。

「土地は預貯金や株式に比べて有利」は低下傾向

 白書は、土地を巡る現状について次のように紹介しています。

  • 住宅地・商業地とも全国平均で上昇が継続。特に、主要四市以外の地方圏でも商業地が28年ぶりに上昇。

地価の変動


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  • 東京(都心5区)、大阪、名古屋、札幌、仙台、福岡の各都市の空室率が低水準で推移。
  • 「土地は預貯金や株式などに比べて有利」とする割合が低下傾向。

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  • 「土地を所有したくない」とする割合は約3割。その理由は「費用や手間がかかる」と「使い道がないから」で5割以上。

全宅連、感染拡大防止と事業本格化に向け「チェックリスト案」作成

 全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)・不動産総合研究所は、新型コロナ緊急事態宣言解除後のさらなる感染拡大防止と事業の本格的な再開に向けて、不動産会社として実施すべき対策をまとめた「チェックリスト案」(社内体制と仲介実務対応項目)を作成し、6月1日に公表しました。同時に、ポスター案も作成しました。

社内体制…7項目、自社の努力を消費者にアピールも

 チェックリストは、社内体制については「宣言解除後も新型コロナの終息までには長期間を要する。経営者や店長など事務所の責任者は引き続き、従業員や顧客への感染防止に努め、『三つの密』が生じクラスター感染発生リスクが高くなる状況を回避するため、どう対応を講じることができるか検討する必要がある」と指摘。
 同時に、「自社がどのような対策に努めているのかが消費者に分かるよう、店頭へのポスター掲示、自社ホームページやSNSなどで情報発信することが有効である」とアドバイスをしています。
 チェック項目は、次の7項目でそれぞれについてポイントを紹介しています。

  1. 感染防止の3つの基本の徹底
  2. 従業員の健康確保
  3. 感染拡大防止のための勤務体制
  4. 顧客対応の基本行動
  5. 換気の徹底
  6. 衛生管理
  7. 感染防止体制の周知

仲介業務…7シーン、消費者行動の変化にも配慮を

 一方、仲介業務上のチェック項目については「専門家会議が5月4日に新型コロナ対応『新しい生活様式』の実践例を提示したが、消費者の消費行動やニーズは今後この生活様式の影響で少なからず変容すると想定される。特に、対面を避けるという消費者ニーズに対応できるよう、業務の進め方を想定しておく必要がある」「一方で、非対面化が難しい業務は、スケジュールや業務手順などを整理したうえで効率的に行えるよう心がけたい」と呼びかけています。
 チェック項目は次の7シーンについて、ポイントを紹介しています。

  1. 査定実査
  2. 媒介契約
  3. 募集・広告
  4. 店舗接客
  5. 現地案内
  6. 重説・契約・ローン実行
  7. 引き渡し
■詳しくはこちら→PDF「全宅連チェックリスト」

賃貸住宅管理業務適正化法が成立、1年以内に施行(行為規制は6カ月後)

 賃貸住宅管理業における登録制度の創設と、サブリース業者(特定転貸事業者)・オーナー間契約の適正化を狙いとした新法「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」が6月12日に成立しました。成立後1年以内に施行され、うちサブリースに関する行為規制は6カ月以内に施行されます。

登録を義務付け、「業務管理者」必置

 賃貸住宅管理業についてはこれまで任意の登録制度がありましたが、これとは別に新たに設ける登録制度は、管理戸数が一定規模(たとえば200戸未満など)に満たない事業者以外は全て義務付けとなります。
 そして、登録事業者には、管理業務を管理・監督する「業務管理者」を事務所ごとに置くくことが義務付けられます。業務管理者は、「賃貸住宅管理に関する一定の実務経験等を有する資格者」とし、具体的には賃貸不動産経営管理士や宅地建物取引士などのうち、一定の講習を受講した者が想定されています。

管理業務を適正化、行政処分・罰則適用も

 一方、管理業務などの適正化に向けては、①家賃支払いや契約変更などについて著しく事実に相違する表示、実際よりも著しく優良・有利であると誤認させる広告表示を禁止、②特定賃貸借契約(マスターリース契約)の勧誘時に、家賃減額リスクなど相手方の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げず、または不実(うそ)を告げる行為を禁止、③マスターリース契約の締結前に、家賃、契約期間等を記載した書面をオーナーに交付して説明する(重説)…などを義務化。
 違反したものは業務停止処分や罰則が設けられました。また、こした規制はサブリース業者だけでなく、建設業者などサブリース業者と組んで勧誘するものも適用されます。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の概要

賃貸住宅管理業を営む者に係る登録制度の創設
(1)賃貸住宅管理業の登録(法律第3条)
  • 委託を受けて賃貸住宅管理業務(賃貸住宅の維持保全、金銭の管理)を行う事業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を義務付け。
    ※管理戸数が一定規模未満の者は対象外。
    ※5年ごとに更新。
(2)賃貸住宅管理業者の業務における義務付け(法第10条〜第27条)

①業務管理者の配置(第12条)

  • 事務所ごとに、賃貸住宅管理の知識・経験等を有する者を配置。
    ※業務管理者が欠けた状態では管理受託契約を締結してはならない。

 業務管理者の役割
  以下の管理・監督の事務を行う
 ・管理受託契約の内容の明確性
 ・賃貸住宅の維持保全の実施方法の妥当性
 ・入居者の居住安定の確保
 ・賃貸に係る事業の円滑な実施の確保 等
  *業務管理者の要件:賃貸管理業の一定の実務の経験を持った賃貸不動産経営管理士等
  →宅地建物取引士を含む(国土交通省令で別途定める)

②管理受託契約締結前の重要事項の説明(第13条、第14条)

  • 具体的な管理業務の内容・実施方法等を、書面を交付して説明。

③財産の分別管理(第16条)

  • 管理する家賃等は、自己の固有の財産等と分別して管理。

④定期報告(第20条)

  • 業務の実施状況等を、管理受託契約の相手方に定期的に報告。
特定賃貸借契約の適正化のための措置等(法第28条~第36条)
  • サブリース業者と組んでサブリースによる賃貸住宅経営の勧誘を行う者(勧誘者)も、規制の対象。
  • 違反者には、業務停止命令や罰金等の措置。
(1) 誇大広告等の禁止(第28条)
  • サブリース業者・勧誘者が特定賃貸借契約(マスターリース契約)の条件を広告するとき、以下の事項について著しく事実に相違する表示、実際よりも著しく優良である等誤認させる表示を禁止。

    ・サブリース業者が支払うべき家賃
    ・賃貸住宅の維持保全の実施方法
    ・特定賃貸借契約の解除に関する事項など
(2)不当な勧誘行為の禁止(第29条)
  • サブリース業者・勧誘者による特定賃貸借契約(マスターリース契約)勧誘時に、家賃の減額リスクなど相手方の判断に影響を及ぼす重要な事項を故意に事実を告げず、または不実を告げる行為を禁止。
(3)特定賃貸借契約締結前の重要事項説明(第30条、第31条)
  • マスターリース契約の締結前に、家賃、契約期間等を記載した書面を交付して説明。

 施行日(法律附則第1条、第2条)
  賃貸住宅管理業登録制度:公布の日から1年以内
  特定賃貸借契約の適正化のための措置:公布の日から6カ月以内
  ※経過措置:施行日より1年間

日管協、「新しい生活様式を踏まえた業務指針」を公表

 (公財)日本賃貸住宅管理協会は5月28日、賃貸住宅管理業者向けの「新しい生活様式を踏まえた業務指針」を公表しました。国土交通省が発表した不動産業ガイドライン(5月20日版)を参考に、賃貸住宅管理業者向けに作成したもので、アフター新型コロナに備え、合わせて「新型コロナウイルス予防対策実施中ポスター」と「事業再開チェックリスト」も作成し、活用を勧めています。

「事業再開チェックリスト」「予防対策実施中ポスター」も作成

 この指針は荻野政男理事(イチイ)の協力を得て作成。指針をベースに、自社に合うよう適宜加筆修正のうえ活用するよう進めています。そのうえで、「本指針に基づき対策を実施していることをお客様に示せば、安心の提供にもつながる」とアピールしています。

業務指針…クラスター感染回避に最大限の対策を

 業務指針は、①はじめに、②感染防止のための基本的な考え方、③講じるべき具体的な対策で構成。具体的な対策では、次の11項目について講じるべき対策のポイントを紹介しています。
 「はじめに」では、「ガイドラインに示された『感染防止のための基本的な考え方』と『講じるべき具体的な対策』を踏まえ、取引現場等の態様等を考慮し創意工夫しながら、感染予防に取り組むよう努めていただきたい」「自らの事務所、案内所等や取引現場の感染予防対策にとどまらず、情報の提供・共有等を通じ、一般消費者や取引先事業者、貸主等の感染拡大防止対策の支援に積極的に貢献していくようお願いしたい」と要請。
 「感染防止の基本的な考え方」については、「とくに、従業員や接客する一般消費者への感染を防止するよう努めるものとする。このため、『三つの密』が生じクラスター感染も発生リスクの高い状況を回避することに最大限の対策を講じる」よう求めています。

  1. 感染予防対策の体制整備
  2. 健康の確保
  3. 勤務・通勤形態
  4. 事務所等における勤務
  5. 休憩・休息スペース
  6. トイレ
  7. 設備・器具
  8. 従業員に対する感染防止策への啓発等
  9. 感染者が確認された場合の対応
  10. 事務所等における顧客との対応
  11. 取引物件の対象となる現場での対応

事業再開チェックリスト、「お客様に安心を提供」も大きな目的

 一方、「事業再開チェックリスト」は、目的を「自社の事務所・店舗を安全に再開し、従業員が安心して働ける環境を提供し、それを継続させること」とともに、「来店されるお客様が、心理的に安心して来店していただける店舗体制になっているか」においていることがポイント。  これを踏まえて、「再開チェックリスト」には、自社が行うべき項目には“お客様目線”を反映した箇所もあります。

再開チェックのポイント

  • 営業店舗再開チェックリスト
  • 事業再開チェックリスト
    ・従業員の出勤退勤関係
    ・事務所店舗内の対応関係
    ・在宅勤務使用時の物品持込関係
    ・事務所店舗設備品への対応関係
    ・お客様との社会的距離の対応関係
    ・入居者への対応関係
    ・オーナーへの対応関係
     →営業店や事務所の営業状態を報告
     →営業再開の相談
     →リモートワーク導入によるITやWEBの変更事項の相談と報告
     →家賃の遅延や延納申し出に対するオーナーへの相談
     →賃貸物件の消毒に関する実施や費用負担に関する相談
     →国や都道府県の施策による家賃補助等の取扱いによる相談
     →新規物件の募集に関する相談
  • 再開の基本条件
  • 次の波に備える
  • まとめ

国土交通省、「不動産・建設経済局」を新設

 国土交通省は6月16日、「不動産・建設経済局」を新設する「国土交通省組織令の一部を改正する政令」(7月1日施行)を同日に閣議決定したと発表しました。不動産業・建設産業・土地の3政策分野で、市場原理では十分に調整されない社会問題の解決に取り組むとともに、国土インフラストックが適切に利用・管理される環境を構築するの目的、としています。

今回の組織再編の概要

不動産・建設経済局の新設

 近年、人口減少社会等の社会経済情勢の著しい変化が生じる中、土地・建設産業局が所掌する「不動産業政策」「建設産業政策」「土地政策」の3つの政策分野で、市場原理では十分に調整されない社会問題の解決に取り組むとともに、国土インフラストックが適切に利用・管理される環境を構築するために、土地・建設産業局の再編・強化を行い、不動産・建設経済局を新設。

土地政策審議官の新設

 人口減少の本格化、高齢化に伴う相続の大量発生、都市への人口集中等を背景とした所有者不明土地や管理不全土地の増加に伴う周辺環境への悪影響、外部不経済の問題に早急に対応するため、大臣官房に土地政策審議官を新設。

大臣官房に置く審議官数の変更

 建物及び宅地の建設から流通までの総合的なシステムを大局的に把握する観点から、国土交通省行政全体に関係する政策に、省の内外を問わずハイレベルな調整・連携を実施するため、大臣官房に置かれる審議官を1人追加。

大臣官房に置く参事官数の変更

 海外における新幹線システムの円滑な導入に向け、相手国とのハイレベルな調整を行うため、大臣官房に置かれる参事官を1人追加。

民泊物件数、2020年3月末で129,446件に増加

 観光庁は6月16日、住宅宿泊仲介業者等が取り扱う民泊物件数が2020年3月末時点でに延べ129,446件になったと発表しました。住宅宿泊事業法の施行時点(2018年6月15日)からは104,508件の増加、この半年間では32,798件の増加となります。

法施行時以降10.5万件も増える

 6月11日時点の住宅宿泊事業の届出件数は26,224件で、法施行日時点の約11.9倍となりました。住宅宿泊事業法の施行から2年が経過しましたが、取扱件数、届出件数ともに順調に増え続けています。
 住宅宿泊仲介業者等は、住宅宿泊仲介業者が80社(海外事業者:15社、国内事業者:65社)、同事業法に基づく届出住宅の取り扱いがある旅行業者5社(全て国内事業者)で、計85社。

削除・修正要請は1,043件に

 観光庁によれば、住宅宿泊仲介業者等から提出された物件と適法物件のデータベースとの確認を行っており、物件の所在地が不正確なもの、廃業済みのもの、観光庁が保有するデータベースの情報と一致しないものなど、適正な届出、許可が確認できない物件が1,043件確認されています。
 これらについては、住宅宿泊仲介業者等に速やかな削除や修正を要請しており、今後も関係省庁や関係自治体とも連携し、健全な民泊の全国的な普及に努めていくとしています。

住宅宿泊仲介業者取扱民泊物件の内訳


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2020.6.15
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不動産相談、2019年度は56%が賃貸関係

 (一財)不動産適正取引推進機構が5月1日に公表した「不動産相談の概要」によれば、2019年度は10,409件の相談があり、重複回答を含めた総数11,382件のうち、56%にあたる6,402件が賃貸関係でした。

適正取引推進機構まとめ、原状回復関係が3割占める

 賃貸に関する相談内容の内訳は、原状回復が1,886件(29%)と最も多く、以下瑕疵・欠陥問題が1,049件(16%)、契約の解除が750件(12%)などとなりました。


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TDB景気動向、5月調査では国内景気、コロナ禍で8カ月連続の悪化

 新型コロナ問題で、国内景気の悪化が続いています。帝国データバンク(TDB)が6月3日に公表した「TDB景気動向調査(全国)」では、5月の景気DIは前月より0.6ポイント減の25.2となり、8カ月連続で悪化しました。同社では「急激な収縮には歯止めがかかったものの、生産活動の減退が続いた」と分析。今後については、「国内外に懸念材料があるなか、後退傾向は一時的に下げ止まる」と見ています。

後退傾向、今後は一時的に下げ止まるか

 この調査は23,675社を対象に実施し、11,979社から有効回答を得ました。
 それによれば、10業界中、「製造」「卸売」など5業界が悪化し、「不動産」「サービス」など5業界が改善しました。「製造」は調査開始以降で初となる13カ月連続で悪化し、51業種別では「広告関連」など7業種が過去最低を記録しました。

不動産業界、現在:家賃減免要望ある、先行き:影響一巡すれば…

 不動産業界からは、「現在(5月)の景況感」について、「オンラインセミナーなどにより、投資用不動産売買は動きがあるように感じる。5月の連休以降、賃貸も動き出しているようだが、売上にはつながっていない」(不動産管理)、「新型コロナで家賃の減免要望などがある」(貸事務所)、「金融情勢や市況が悪く、全てが動かない」(建物売買)、「ホテル・マンション事業が完全に停止、土地価格も低下している」(不動産代理)との声があがっています。  また、「先行き」については、「社会全体の需要は落ちてないように感じる。新型コロナの影響が一巡すれば、需要も出てくる」(不動産管理)、「新規需要減少の影響は1年くらい続くと考えている」(土地売買)、「新型コロナの第2波、第3波がおそらく来るから(影響が続く」(不動産代理)と捉えています。

カビに悩んでいる人は8割も

 ガス機器メーカーのリンナイは5月12日、梅雨時期のカビ事情を調査した「カビに関する意識調査」の結果を公表しました。それによれば、正しい知識を持っている“カビ対策優等生”はわずか3割。一方で、カビに悩んでいる人が8割もおり、梅雨時期の掃除の悩みは第1位が「カビ汚れの掃除」でした。

リンナイ調べ、正しい知識を持っている優等生は3割

 この調査は、全国20~60代の男女計1,000名を対象に、4月11日~12日に実施しました。主な結果は次のようになりました。

  • 1年で最もカビが気になる時期は梅雨。梅雨の掃除の悩みの第1位は「カビ汚れの掃除」。
  • カビに悩んでいる人は約8割いると判明。カビに悩む場所の第1位は「浴室内」。
  • カビ専門家・矢口氏監修の「カビ対策知識テスト」によれば、
    ・カビを正しく理解している“カビ対策優等生”は約3割という結果に。
    ・重曹がカビに効くと勘違いしている人が約6割もいることが判明
  • 20代では、男性(夫)が日常的に浴室掃除を担当している家庭が約5割ある。
  • エアコン掃除の頻度は半年に1回と答えた人が約2割。健康被害の可能性ありか。

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■詳しくはこちら→PDF「カビ調査」

新型コロナ問題、マイナスの影響がある企業が初めて6割台に上昇

 帝国データバンク(TDB)は5月「景気動向調査」とともに行った「新型コロナウイルス感染症に対する企業の見解調査」の結果を6月1日に公表しました。それによれば、「業績へすでにマイナスの影響がある企業」が初めて6割台に上昇。一方で、今後マイナスの影響を見込む企業は23.3%に減少しました。

今後マイナスの影響を見込む企業は23.3%に減少

 新型コロナ問題は、国民の生活と経済活動に深刻な影響を与えていますが、5月25日には「緊急事態宣言」が約50日ぶりに全都道府県で解除されるなど、「ポストコロナ」に向けて動き始めています。
 この企業見解調査は5月18日~31日、全国23,675社を対象に実施し、11,979社から有効回答を得ました(回答率50.6%)。新型コロナ関連調査は、2月から毎月実施しており、今回は4回目にあたります。

調査結果(要旨)

  • 新型コロナウイルス感染症が自社の業績に「マイナスの影響がある」と見込む企業は86.1%となった。前回調査(88.8%)と比較すると2.7ポイント減少した。内訳を見ると、「すでにマイナスの影響がある」が62.8%、「今後マイナスの影響がある」が23.3%となった。
  • 「影響はない」とする企業は6.5%だったほか、「プラスの影響がある」(「すでにプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)と見込む企業は2.8%となった。
  • 「マイナスの影響がある」を月次でみると、4月調査でピークに達し、今回調査では調査開始以降初めて減少に転じた。また、「すでにマイナスの影響がある」は、依然として増加傾向にあり、今回調査では過去最高の6割超となった。

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新型コロナ問題、入居者からの減免要請を6割の大家さんが受諾

 賃貸経営情報誌「オーナーズ・スタイル」は6月2日、「大家さんに聞いた!コロナの影響・やったこと・不安なこと」のアンケート結果を公表しました。それによれば、入居者からの減免要請を6割の大家さんが受諾し、入居者に助成金制度を紹介するケースも多数。5月後半の時点で、約3割の大家さんが家賃の減免・猶予、もしくは退去などの影響を受けていました。戸数では計2,860戸のうち177戸で全体の6.2%です。

入居者からの要請は、家賃の減免48.5%、退去35.1%、家賃の支払い猶予25.4%

 調査は5月14日~24日、メールマガジンの読者5,548人に対して実施し、458人から有効回答を得たということです。
 大家さんが受けている入居者からの要請は、家賃の減免48.5%、退去35.1%、家賃の支払い猶予25.4%など。それらの要請を、部分的でも受諾した大家さんは62.0%となっています。
 一方、受諾しなかった大家さんは20.7%で、受諾しなかった大家さんの半分以上が住宅確保給付金などの支援制度の申請を入居者に勧めています。
 ほか、アンケート回答時点で影響のなかった大家さんのうち、25.7%が今後は影響が出ると考えています。

主な調査結果

コロナの影響でご自身の物件の入居者やテナントから、家賃の滞納や、交渉・相談、もしくは退去の通告などが発生していますか。

 30.3%のオーナーが、新型コロナウイルス感染拡大の影響があったと回答。家賃の滞納や、減免・遅延の相談、もしくは退去の通告などが発生している。

家賃の滞納や、減免・遅延の相談、もしくは退去の通告などが「あった」と答えた方にお聞きします。何戸中、何戸ですか。

 影響のあったオーナー達の所有物件計2,860戸のうちの177戸(6.2%)に、家賃の滞納や減免・遅延の相談、もしくは退去の通告などが発生。

家賃の滞納や、減免・遅延の相談、もしくは退去の通告などが「あった」と答えた方にお聞きします。それは何月分の家賃からですか。

 家賃の滞納や、減免・遅延の相談、もしくは退去の通告などが発生したのは4月分の家賃からが最も多く45.5%。次いで5月分からが33.6%、6月分からが22.4%。

家賃の滞納や、減免・遅延の相談、もしくは退去の通告などが「あった」と答えた方にお聞きします。交渉・相談・通告などの内容は。

 入居者からの要請や通告の内容で最も多いのは、家賃の減額で48.5%。次いで退去の通告(35.1%)、家賃支払い猶予(25.4%)、家賃の滞納・未払い(15.7%)。


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家賃の滞納や交渉・相談、もしくは退去の通告などが「あった」と答えた方にお聞きします。それらへどう対応されましたか。

 入居者からの要請や通告に対して、要請を受諾した大家さんは62.0%、受諾しなかった大家さんは20.7%。受諾しなかった大家の半分以上が家賃補助や住居確保給付金の申請を入居者に勧めていた。


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「今のところ影響はない」と答えた方にお聞きします。今後、コロナの影響でご自身の物件の入居者やテナントから、家賃の未払いや交渉・相談、もしくは退去などが発生すると思いますか。

 今まで影響のなかった大家さんでも、25.7%の方が今後は影響が出るだろうと思っていた。

新型コロナウイルスの影響でいま困っていることや、将来への不安、誰かに相談したいことがあれば。

 困っていることや心配事で多いのは「空室の長期化」(38.1%)、「家賃の下落」(35.6%)、「滞納の増加」(34.4%)など。ほか「賃料の減免・猶予をすべきか否かの判断」「その際の注意点」「賃料の減免・猶予をした大家への国の支援策」なども。

■詳しくはこちら→PDF「大家さんに聞いた」

定期借家物件の募集家賃、2019年度はマンション・アパートともに上昇傾向に

 アットホームが5月28日に公表した首都圏の賃貸マンション・アパートにおける「定期借家物件」の募集家賃動向によれば、2019年度はマンション・アパートともに前年度に比べ上昇傾向にありました。

アットホーム調べ

 この調査は、アットホームの不動産情報ネットワークに登録され消費者向けに公開された、首都圏(東京23区、東京都下、神奈川県、千葉県、埼玉県)における定期借家マンション・アパートの募集家賃動向を調査したものです。主な結果は次のようになりました。

  • 定期借家物件の平均募集家賃は、マンション・アパートともに前年度比上昇傾向。
  • 募集物件に占める定期借家物件の割合は、マンションは大型ファミリー向きが、アパートはシングル向きが多い傾向。
  • 東京23区の大型ファミリー向きマンションの定期借家物件は高層・高額の物件に多く、平均募集家賃が普通借家物件を大きく上回る。

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新設住宅着工、2020年度は新型コロナ問題でリーマンショック時を下回る73万戸か

 野村総合研究所は6月9日、2020~2040年度の「新設住宅着工戸数」と「リフォーム市場規模」の予測結果を公表しました。それによれば、新設住宅着工戸数は2019年度の88万戸から2030年度には63万戸、2040年度には41万戸へと減少していく見込み。一方、広義のリフォーム市場規模は、2040年まで年間6~7兆円台で微増傾向が続くと予測しています。

野村総合研究所が市場予測、2040年度は41万戸に減少

2020~2040年度の新設住宅着工戸数
  • 2019年度の88万戸から、2030年度には63万戸、2040年度には41万戸と減少していく見込み。
  • 利用関係別に見ると、2030年度には持家21万戸、分譲住宅16万戸、貸家(給与住宅を含む)26万戸となる見込み。
  • 新型コロナ問題の影響により、2020年度、2021年度の新設住宅着工数はそれぞれ73万戸、74万戸と推計され、いずれもリーマンショック時の水準(78万戸)を下回る見込み。
  • 新設住宅着工戸数に与える新型コロナ問題の影響は2020年度の第3四半期にピークを迎える。その後の新設住宅着工戸数は、経済の回復とともに非常に緩やかに回復する見込み。

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2019~2040年度のリフォーム市場規模
  • 広義のリフォーム市場規模(狭義のリフォーム市場規模に、エアコンや家具等のリフォームに関連する耐久消費財、インテリア商品等の購入費を加えた金額)は、2040年まで年間6~7兆円台で微増傾向が続くと予測される。
  • 狭義の市場(増築・改築工事、設備等の修繕維持費)は、それより1兆円前後少ない規模と見込まれる。

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2020.6.1
賃貸経営ニュースダイジェスト

土地価格動向実感値、4月は△16.8Pで3回連続マイナス

 (公社)全国宅地建物取引業協会連合会が5月14日に公表した第17回不動産市況DI調査の結果によれば、全宅連モニター会員による4月1日時点の土地価格動向実感値は、全国平均で△16.8Pとなり、3回連続のマイナスとなりました。

3カ月後の予測値も全地区で下落

 地域別に見ると、北海道・東北・甲信越△10.3P、関東△23.3P、中部△12.5P、近畿△21.6P、中国・四国△2.3P、九州・沖縄△10.7Pと、全ての地区でマイナスでした。前回比でも全ての地区で下落。また、3カ月後の予測値も、全ての地区で下落となっています。
 一方、土地以外の物件の4月時点の実感値は、全国で以下の通となりました(かっこ内は前年数字)。

  • 中古戸建:価格△23.2P(△2.3P)、取引件数:△32.0P(△6.0P)
  • 新築戸建:価格△27.1P(△1.0P)、取引件数:△38.9P(△8.9P)
  • 中古M/S:価格△27.9P(△2.4P)、取引件数:△32.6P(△8.7P)
  • 新築M/S:価格△21.1P(+4.8P)、取引件数:△35.8P(△10.7P)
  • 居住用賃貸:賃料△16.8P(△8.6P)、成約件数:△28.4P(△3.7P)、空室率:△19.1P(△1.3P)
  • 事業用賃貸:賃料△28.1P(△4.6P)、成約件数:△38.4P(△10.0P)、空室率:△32.8P(△8.4P)

一人暮らし社会人が物件に求める条件、1位ネットワーク環境、2位在宅作業用机など

 新型コロナ問題でテレワークが増え、賃貸物件で一人暮らしをしている社会人の7割が「住居を選ぶときはテレワークに配慮する」と答え、また6割がテレワーク設備の整った短期賃貸の利用を希望していたということです。

新型コロナ問題でテレワークが増え、物件選びにも大きな変化

 S-FITのグループ会社、S-FITステイが運用するマンスリーマンションブランド「ONE-BAG」は、5月下旬に「テレワーク下における物件選択」に関する調査を実施し、結果を同25日に公表しました。対象は、東京在住の25歳から35歳で、テレワークを行っており、賃貸物件に一人暮らしをしている社会人(111名)です。  それによると、次のような回答が得られ、新型コロナ問題でテレワークが増え、物件選びにも大きな変化が見られたということです。

調査結果のポイント

テレワークで必要だと思うもの、1位は「ネットワーク環境(Wifi)」

 「自宅でテレワークを行うにあたって、居住空間に必要だと思うもの」を聞いたところ、「ネットワーク環境(Wifiなど)」が82.0%、「テレワーク用デスク・椅子」が69.4%という回答になった。


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現住居でテレワークをすることにストレスを感じる人が64.9%

 「現在の住まいでテレワークにあたってストレスを感じるか」と聞いたところ、「かなり感じる」が13.5%、「多少感じる」が51.4%という回答になった。

「ネットワーク環境(Wifi)」「仕事部屋の有無」にストレスを感じる人が多数

 「ストレスを感じる」という回答者に「住まいの何にストレスを感じるか」と聞いたところ、「ネットワーク環境(Wifiなど)」が48.6%、「仕事部屋の有無」が31.9%という回答になった。

66.7%がテレワークによる在宅勤務の前後で居住空間への基準が変わったと回答

 「テレワークによる在宅勤務を行う前後で、居住空間に求める基準は変わったか」と聞いたところ、「かなり変わった」が13.5%、「少し変わった」が53.2%となった。

 
在宅勤務考慮し「テレワーク用デスク・椅子」「ネットワーク環境(Wifi)」など重要視

 「かなり変わった」「少し変わった」という回答者に、「在宅勤務にあたり、次に引っ越しをするなら重要視するのは何か」と聞いたところ、「テレワーク用デスク・椅子」が54.1%、「ネットワーク環境(Wifiなど)」が50.0%という回答になった。


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あればうれしいもの、「テレワークスペースとプライベート空間の両方確保」など

 「テレワークによる在宅勤務を念頭に引っ越しを行うときに、あるとうれしいものは何か」と聞いたところ、「テレワークスペースとプライベート空間を両方確保できること」「コワーキングスペース」という回答があがった。

過半数がテレワーク設備の整った短期賃貸型の不動産サービスを利用したいと回答

 「テレワークによる在宅期間に、テレワーク用のデスクなど在宅で快適に暮らせる設備の整った短期賃貸型の不動産サービスがあったら利用したいと思うか」と聞いたところ、「非常に利用したい」が3.6%、「金額次第で利用したい」が52.3%という回答になった。

 

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テレワーク、今後も続けば「8割超が継続したい」「5割が間取り変更を希望」

 リクルート住まいカンパニーは、テレワーカーのテレワーク状況の実態把握を目的とした「コロナ禍を受けたテレワークの実態調査」を行い、結果を5月22日に公表ました。それによれば、新型コロナ禍によってテレワークの実施率、仕事時間に占める割合が昨年11月調査より30ポイント増加して47%になっていました。また、今後テレワークが継続する場合、48%が間取りの変更を希望し、24%が住み替えを希望しているという結果になりました。

リクルート住まいカンパニー調査のトピックス

 スクリーニング調査で、全仕事量の内テレワークで実施している割合が0%より大きい回答者を「テレワーク実施者」と定義。調査(4月下旬実施)では、10%以上の回答者に限定して実施しました。

  • 会社員・公務員の47%がテレワークを実施しており、昨年11月調査時に比較し30ポイント増加した。
  • テレワーカー(仕事時間の10%以上をテレワークで実施している人)の71%は新型コロナの影響でテレワークを開始した。
  • テレワーク実施者全体の83%が、3月頃(学校休校宣言後)以降にテレワークを開始した。
  • テレワーカーのテレワークに際する不満として、6歳以下の子どもと同居する既婚者では、「子どもを見つつ仕事可能な環境(部屋・スペース)がない」「一人で集中をするスぺースがない」ことを不満・不便を感じる割合が他の家族構成に比較して高い。
  • テレワーカーのテレワーク実施場所としては、「リビングダイニング(ダイニングテーブル)」が55%と、昨年11月調査時に引き続き最も多い。
  • 前回の調査時は、テレワークの実施に当たり環境整備をしたテレワーカーは70%いたが、今回は仕事に適した環境に整えている割合は40%となった。
  • 引き続きテレワークを行う場合、テレワーカーの48%が間取り変更を希望し、24%が現在の家からの住み替えを希望している状況にある。
  • 今後もテレワークを継続したいテレワーカーの割合は84%もある。
  • 割合は少ないものの「子ども部屋」「お風呂」「トイレ」などでオンライン会議を実施しているテレワーカーもいることが明らかになった。

調査結果のリリース

外出自粛で、7割弱「内見ができなかった」

 部屋探しサイト「CAFEヘヤギメ!」を運営するS-FITは5月25日、新型コロナ問題に関連して、近県在住で都内への引っ越しを検討していた人たちを対象に実施した、「外出自粛下での引っ越しに関する調査」の結果を公表しました。それによれば、都で外出自粛が出たあと、現地での内見ができなかった人は7割弱もありました。一方で、「オンライン完結サービスがあれば利用したい」との回答は6割あり、期待されていることがわかりました。

「時間短縮」「内見増やせる」など、オンライン完結型に期待

 調査はインターネットを利用して、都で外出自粛が出された3月25日~4月28日に都内への引っ越しを検討していた人たちを対象に実施し、105名から回答を得ました。
 主な結果は次の通りとなりました。

外出自粛要請で現地での内見ができなかった人は67.6%。

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  • 現地での内見ができなかった理由は、「感染症予防のため」が63.4%。
  • 「本当は内見を行いたかった」との声は約8割。
  • オンライン完結型の部屋探しをしたことがない人は71.4%。
約6割が「オンライン完結型の部屋探しサービスがあれば利用したい」と回答。

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  • 「オンライン完結型で物件を決められそう」との回答が68.1%。
  • オンライン完結型の利点は「時間を気にしない」「気楽に見ることができる」など。
  • オンライン完結型サービスは、「外に出なくてすむ」「1日にたくさんの内見が可能」「人に気を使わない」などがメリット。

新型コロナ問題で、7割が「住み替え・建て替え」を様子見

 新型コロナ問題で、住み替え・建て替えを7割の人たちが「どうしたらいいかわからない」「延期」といった状況にある。LIFULL HOME'Sが4月17日~21日実施した「新型コロナウイルス感染症の影響による生活者の住み替え行動に関する調査」によれば、こんな様子見に追い込まれていることがわかりました(5月13日公表)

2割が「不動産会社への訪問を控えた」

 調査は全国17~49歳の男女を対象にインターネットを利用して実施し、約70,000件の回答が得られました。結果のポイントは次の通りとなりました。

  • 住み替え・建て替えを検討する生活者は新型コロナ前と比較して微増で、検討行動は停滞。
  • 7割が住み替え・建て替えを「どうしたらいいかわからない」「延期」と様子見傾向。
  • 住み替え・建て替え中止は6.7%程度でその理由の大半は新型コロナがきっかけ。
  • 新型コロナの影響で不動産会社への訪問を控えた生活者は20.4%。
  • 住み替え・建て替えを延期した人の4割、中止した人の3割がオンラインでの対応に期待。

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「街の住みここち」と「人口増加」には高い相関

 大東建託は5月20日、居住満足度調査としては過去最大級の街ランキング「街の住みここちランキング2019〈総評レポート〉」を公表しました。それによれば、住みここちが良いのは、生活利便性と住環境が両立している場所で、街の住みここちと人口増加には高い相関関係がありました。

大東建託、「いい部屋ネット街の住みここちランキング2019〈総評レポート〉」を公表

 同社の居住満足度ランキングは、全国1,896自治体に居住する20歳以上の男女延べ184,193名を対象に調査しました。結果は、2019年2月「首都圏版」を皮切りに、約1年にわたって全国各地のランキングを発表してきました。
 住みたい街に関する調査は数多く行われていますが、実際に住んでいる人々がその街に対してどのように感じているのかは、本格的な調査がほとんど行われていません。
 同社では、人々が住まいを選ぶときに、実際に住んでいる人たちの評価を聞きたいというニーズがあり、そうした情報を提供することが人々のより幸福な住生活に繋がると考え、本調査を実施することにした、と説明しています。

「いい部屋ネット街の住みここちランキング2019」のポイント

住みここちが良いのは生活利便性と住環境が両立する場所

 大都市の街(駅)では、住みたい街ランキングの上位にランクインする知名度の高い街よりも、ターミナル駅から少し離れた、静かな住環境と生活利便性が両立している街の住みここちが良い傾向にある。
 また、地方の街(駅・自治体)では、生活利便性が良い中心部と、近郊の新興住宅地の住みここちが良い傾向にある。

地方では合併しなかった街と新興住宅地が高評価

 地方の街(自治体)では、合併しなかった街の住みここちが良い傾向がある。

住みここちと人口増加には、高い相関関係がある

 住みここちの良さと人口増加には、明らかな相関関係がある。住みここちの良い街(自治体)では、住宅供給が盛んで、それが人口増加を支えている側面があると考えられる。一方、住みたい街の得票率と人口増加率の相関関係は比較的低くなっている。

■詳しくはこちら→ 大東建託URL:https://www.kentaku.co.jp/sumicoco/

2020.5.15
賃貸経営ニュースダイジェスト

4月景気DIは7カ月連続で悪化、貸家業では「家賃減免の申し出が多い」との声

 帝国データバンク(TDB)は5月8日、2020年4月調査の「景気動向調査(全国)」を公表しました。それによれば、緊急事態宣言で市場機能の多くが制限されていることから、国内景気は急速な悪化が続いており、中小企業は過去最大の下落幅となりました。貸家業では「家賃減免の申し出が多く、新規顧客の獲得も難しい」との声が聞かれました。

調査結果のポイント

  • 4月の景気DIは前月比6.7ポイント減の25.8となり7カ月連続で悪化し、前月に続いて過去最大の下落幅を更新した。国内景気は、経済が収縮する中で企業活動が制約され、急速な悪化が続いた。今後は、新型コロナウイルスの収束など不確実性が強く、景気後退が続くと見込まれる。
  • 全10業界、51業種中48業種が悪化した。『建設』『製造』『卸売』の3業界、「輸送用機械・器具製造」など14業種で前月からの下落幅が過去最大となった。また14業種で景気DI過去最低となった。
  • 新型コロナウイルスの影響が全国に及び、2カ月連続で全10地域47都道府県が悪化し、24都府県で過去最低を更新した。外出自粛による地域内外への移動制限や面談抑制に加えて、休業要請への対応など、地域経済の活動が停滞した。「大企業」「中小企業」「小規模企業」が7カ月連続でそろって悪化した。

業界別の景況感企業の声(不動産)

現在
  • 賃貸は低調だが、土地、建物ともそこそこ売買のニーズがあり、取引が成立している(建物売買)。
  • 家賃減免の申し出が多く、新規顧客の獲得も難しい(貸家)。
  • 賃料の減免相談が管理戸数の10%超で発生(不動産代理・仲介)。
  • 来店客数の減少によりテナントの売上が大幅に減少し、家賃収入の減額などもあり営業収入が大幅に減少している(貸事務所)。
先行き
  • 飲食やライブハウスなどの自粛が続くとみられ打撃が大きい(貸家)。
  • 売り上げがゴールデンウイーク、夏休み期間に集中するので、休業期間が長引けば状況はますます悪くなる(不動産管理)。
  • 新型コロナウイルスの影響が長引けば、賃貸契約の解約が増え賃貸収入の減少になる。新規契約は取れず、相場全体が下がる(土地賃貸)。
  • 時間が経つにつれて影響が大きくなると考えられる(土地売買)。

新設住宅着工数、2019年度貸家は334,509戸で3年度連続減少

 国土交通省は4月30日、2019年度の「新設住宅着工統計」を公表しました。それによると、総着工戸数は883,687戸となり、前年度より7.3%減少し、前年度の増加から再び減少に転じました。貸家は334,509戸で14.2%も減り、3年度連続で減少しました。

総戸数は883,687戸で前年度より7.3%減少

 利用関係別戸数は次の通りとなりました。

総戸数:883,687戸(前年度比7.3%減、前年度の増加から再びの減少)
  1. 持家:283,338戸(同1.5%減、昨年度の増加から再びの減少)
  2. 貸家:334,509戸(同14.2%減、3年度連続の減少)
  3. 分譲住宅:259,732戸(同2.8%減、昨年度の増加から再びの減少)
  • マンションは111,615戸(同6.7%減、昨年度の増加から再びの減少)
  • 一戸建住宅は146,154戸(同 0.9%増、5年度連続の増加)

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■詳しくはこちら→PDF「2019年度新設着工」

新設住宅着工、3月貸家は19カ月連続減少

 国土交通省が4月30日、2020年3月分の新設住宅着工数を公表しました。それによれば、当月は持家、貸家、分譲住宅ともに減少したため、全体で前年同月比より7.6%減少しました。貸家は26,545戸で前年同月より6.6%減り、19カ月連続の減少。

総戸数、前年同月よる7.6%減少

 利用関係別戸数は次の通りとなりました。

総戸数:70,729戸(前年同月比7.6%減、9カ月連続の減少)
  1. 持家:22,327戸(同0.3%減、8カ月連続の減少)
  2. 貸家:26,545戸(同6.6%減、19カ月連続の減少)
  3. 分譲住宅:21,220戸(同16.1%減、5カ月連続の減少)
  • マンション:9,500戸(同28.7%減、先月の増加から再びの減少)
  • 一戸建住宅:11,616戸(同1.0%減、4カ月連続の減少)

マンションでの新型コロナ対策、半数強「特に行っていない」、6割「感染が不安」

 新型コロナ問題で「3密」(密閉、密集、密接)の回避、外出の自粛が求められている中、マンションではどのような対策がとられているのか調査したところ、マンション全体での取り組みは半数以上が「特に行っていない」と答えた一方で、住民の6割が「自分や家族の感染」「終息の見通しがたたないこと」、5割強が「日本経済・景気の悪化・低迷」を不安に感じていました。

非常事態宣言(7日)の前後に調査

 この調査は、マンションという集住環境を暮らしやすく豊かに過ごすための情報サイト・マンション・ラボが、インターネットを利用して非常事態宣言(7日)の前後(4月6日~26日)に実施し、同27日に公表しました。回答数は2,560名。その結果、次のような結果がわかったということです。

マンション全体での取り組み…多いのは「チラシ等の掲示・配布」「共用施設の利用自粛」

 マンション全体で行っている感染拡大防止の取り組みを聞いたところ、半数以上が「特に取り組みを行っている様子はない」(51.7%)と回答。その他に取り組んでいることでは「注意喚起ポスターの掲示またはビラの配布」(29.1%)、「ゲストルーム・集会室などの共有施設の使用自粛要請」(20.4%)、「アルコール消毒液などの設置」(12.8%)が上がりました。

回答数 回答者数
特に取り組みを行っている様子はない 1,323
注意喚起ポスターの掲示またはビラの配布 745
ゲストルーム・集会室などの共用施設の使用自粛要請 522
アルコール消毒液などの設置 327
オートロック・エレベータボタン部分などの定期的な消毒 253
居住者同士の不要不急の接触禁止 134
ゴミ出しの制限(時間や曜日など) 76
マスクの配布提供 15
その他 101
取り組んでいる対策…「衛生面・清掃」「共有施設・サービスの利用」は

 共有施設は使用停止、また管理業務も縮小、さらに理事会の延期が目立ちました。3密となるエレベーターは、清掃をこまめにする、人数が多いときは控える、床に間隔を開けるためのテープを貼るなど、具体的な対策を参考にして取り入れたいものです。

衛生面・清掃
  • 入り口、エレベーター内に消毒液を設置。
  • 手洗いやうがい等の仕方をあちこちに貼付。共用部分を消毒アルコールで拭く。
  • ダストシュートの使用制限で、一般ごみと生ごみはごみ置き場に捨てるようになった。
  • 管理員の勤務がなくなった。
  • エレベーターの階数設定ボタンの定期的清掃を管理員が行っている。
  • 厚労省ポスターと注意喚起張り紙、ゴミ出し時間や分別のルール遵守の再周知が掲示された。
  • 一般的な注意事項が掲示板に掲示されている。住民よりアルコール消毒液の設置要請があったものの、品不足で用意できない旨の表示が掲示されている。
  • マンション管理会社の清掃員を削減している。不急の点検作業を先延ばししている。
共有施設の使用・サービスの利用
  • 共有スペースを解放していたが、施錠し、申し込まないと使用できない。
  • 共用施設(プール、事務、キッズルーム、ゲスト宿泊施設等)はすべて利用不可。
  • コンシェルジュサービスの停止。
  • エレベーター内の換気。
  • エレベーター内に最新の感染者数(東京都の区・市町村毎)を貼って、住人へ注意を喚起。
  • エレベーターに間隔をあけて並ぶようにテープが床に貼ってある。
  • エレベーターや掲示板に3密のポスター掲示や相談窓口の電話ポスターの掲示。
  • 消毒をまめにしてくれている。エレベーターに5人以上乗りそうな時は遠慮している。
どのようなことに不安を感じているか…「自分や家族の感染」「終息の見通し」

 マンション住民が感じている不安で一番多いのは「自分や家族の感染」(62.7%)で、続いて「終息の見通しがたたないこと」(59.4%)、「日本経済・景気の悪化・低迷」(53.9%)となっています。目に見えないリスクとの対峙と先が見えないことが、不安の要因になっています。

回答数 回答者数
自分や家族の感染 1,606
終息の見通しがたたないこと 1,521
日本経済・景気の悪化・低迷 1,381
医療崩壊 1,325
ワクチン・特効薬がないこと 1,243
物資の不足(マスク・紙製品・食料品など) 1,093
自分や家族が感染源になってしまうこと 1,121
感染してしまった時の隔離対応 1,105
外出の自粛が長引くこと 996
重篤化して死に至るかもしれないこと 802
仕事の減少・所得の減少 506
子供(学生)の学力低下 326
特に不安は感じていない 138
その他 44
マンション住民でよかったこと
 さらに、新型コロナウイルス感染拡⼤の中、マンションに住んでいてよかった、と思うことを聞いたところ、次の回答がありました。
  • 知り合いのお宅数軒で、LINEグループを作り情報交換していること。
  • 宅配ロッカー荷物が受け取れるため、自分も宅配員の方も感染リスクを下げられること。
  • マンション内にクリニックや飲食店、コンビニがあり、特に不自由を感じずに済むこと。
  • 知人が多く何かあった時相談できる環境にある。
  • マンションの管理会社がしっかりしているので安心。
  • マンション内に医師が何人もいて、現在の理事会にも2人いるので、ZOOMで集会を開き、レクチャーしてもらうと話しあっている。
  • 学校の対応や、子どもだけの留守番時に連携がとりやすい。
  • 管理人さんが共用部の定期清掃を行ってくれるので、負担が軽く感じる。
  • 自宅にずっといてもながめがいい。ゴミだしが楽。
  • ネット回線が管理費に含まれ、仕事で必要であったため助かる。
マンションでの対策や備えてほしい備品・設備等…「感染者が出たら知りたいが…」
  • マンション内で感染者が出た場合、申し出を強制できるのかどうか。申し出ない人がいるのではないか心配。エレベーターの利用はどうしたらよいのかも知りたい。
  • 感染者が出たら、個人情報に配慮したうえで知りたい。共有部分の感染防止について知りたい。
  • オートロックやエレベーターのボタン類を非接触タイプにできれば、入口ドアやエントランスなど共有部分の消毒が最低必要と思う。
  • 生活物資の共同購入があると良い。
  • エレベーターの押しボタン等、不特定多数の人が頻繁に触る部分の消毒をしてほしい。または、自分で消毒できるようアルコールスプレーやウエットティッシュを配置してほしい。

国交省、初の「既存住宅販売量指数」を公表(試験運用)

 国土交通省は4月28日、公表中の不動産価格指数(住宅・商業用不動産)に加え、新たなマクロ指標として「既存住宅販売量指数」を初めて公表しました。登記データをもとに、個人が購入した既存住宅の移転登記量を加工・指数化。試験運用として、今後毎月下旬に公表していく予定です。それによれば、2019年の既存住宅販売量指数(全国合計)は、2010年平均を100としたとき、前年比4.0%増の110.0、30㎡未満のマンションを除く合計は前年比3.8%増の104.3となりました。

2019年は110.0(2010年=100)で前年比4.0%増

 リーマンショック以降、IMFなどからG20諸国に対し、経済・金融に関する統計整備の要請があったことを受け、国交省では不動産市場の動向把握などを目的とした不動産価格指数(住宅・商業用不動産)を整備しました。  今後の不動産市場をより正確に把握するためには、さらに多角的な指標による分析が必要になっているとともに、IMFなどからも新たな指標の整備を求められていることから、「不動産市場のマクロ・ミクロ的な分析向上に向けた研究会」での議論を経たうえで整備。当面、試験運用していくことになったものです。

30㎡未満のマンションを除く合計は104.3で前年比3.8%増

 初回の発表ポイントは次の通りです。

  • 2019年の既存住宅販売量指数(全国合計)は、前年比4.0%増の110.0、30㎡未満のマンションを除く合計は前年比3.8%増の104.3。

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  • 2020年1月分の同指数は、季節調整値は前月比2.8%増の110.9(前年同月比0.3%増)、30㎡未満除く合計・季節調整値は前月比3.2%増の105.0(前年同月比0.3%減)。
    ※2010年平均=100、各数値は速報値。

既存住宅販売量指数とは

  • 建物の売買を原因とした所有権移転登記個数(登記データ)のうち、個人取得の住宅で既存住宅取引ではないものを除いたもの。
  • この中には、総務省統計局が5年に1度実施している「住宅・土地統計調査」で把握可能な「既存住宅取引量」には含まれていない別荘、セカンドハウス、投資用物件等を含む。
  • 特に、個人による床面積30㎡未満のワンルームマンション取得が増大している現状を踏まえ、マンションで床面積30㎡未満の数値を含んだものと除去したものとを併用して公表する。
  • 公表に当たっては当初は速報値として公表し、以降データクリーニング作業を実施した上で、順次確報値へと更新を行う。
  • 各月の販売量における季節性を排除するため、月次指数において季節調整を行うこととする。
■詳しくはこちら→PDF「2019年既存住宅販売量指数」

日管協、HP上に各種行政支援(補助金)ページを特設

 (公財)日本賃貸住宅管理協会は4月21日、新型コロナ問題で賃貸住業界等に向けた各種行政支援(補助金)を「入居者」「オーナー」「事業者」ごとにまとめたホームページを公開しました。また、新型コロナ問題を受けて、会員専用ページで公開中の「実務相談事例Q&A集」も更新して、事例を追加しました。

入居者、オーナー、事業者別に行政支援とリンク先を掲載

 同協会では、「管理会社の対応は日々変化します」としたうえで、「管理メニューや物件等によって、対応が異なる可能性も考えられます。必ず自社の顧問弁護士とも相談のうえ、適切に対応してください」と呼びかけています。

行政による支援(補助金等)の概要

入居者向け
1 住居確保給付金(厚生労働省)

 生活困窮者自立支援制度に基づき、離職などによって住居を失った方、または失う恐れの高い方に、就職に向けた活動をすることなどを条件に、一定期間、家賃相当額を支給。生活の土台となる住居を整えたうえで、就職に向けた支援を行う。相談は地域の自立支援相談窓口。

【厚生労働省】

【日管協】

2 緊急小口資金等の特例貸付(各都道府県社会福祉協議会)

 住居等生活費等の必要な資金時的な資金の緊急貸付として、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、貸付の対象世帯を低所得世帯以外に拡大し、休業や失業等により生活資金でお悩みの方々に向けた、緊急小口資金等の特例貸付を実施。小口の貸付を、無利子・保証人不要で利用することが可能で据え置き期間もある。相談は地域の社会福祉協議会。申請受付は全国の労働金庫でも可能。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/
seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/index.html

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11058.html

3 小学校休業等対応助成金・支援金の延長(厚生労働省)

 新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等によって、仕事を休まざるを得なくなった保護者を支援するため、正規雇用・非正規雇用を問わない助成金制度(新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金)、業務委託契約等によって個人で仕事をしている保護者向けの支援金制度(新型コロナウイルス感染症による小学校休業等支援金)を創設し、令和2年2月27日から3月31日までの間に取得した休暇等について支援。この期限は延長され、令和2年4月1日から6月30日までの間に取得した休暇等についても支援を行う。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10605.html

4 傷病手当金(各種保険組合や市町村等)

 傷病手当金は、健康保険等の被保険者が、業務災害以外の理由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ場合に、所得保障を行う制度。新型コロナウイルス感染症に感染し、その療養のために働くことができない人も利用できる。

5 国税の納税猶予(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm

6 電気料金の支払い猶予(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200319008/20200319008.html

7 ガス料金の支払い猶予(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200319007/20200319007.html

8 厚生年金保険料等の猶予制度(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10382.html

9 外国人労働者向けのリーフレット(*ルビ入り)

やさしい日本語版ルビ入り労働者向けリーフレット

オーナー向け
1 金融機関における条件変更等について(金融庁)

 金融庁から金融機関に対し、新型コロナウイルス感染症の影響で資金繰りやローンの返済等で困っている、賃貸事業者を含む事業者や個人について、返済猶予などの条件変更に迅速かつ柔軟に対応するよう説明。
https://www.fsa.go.jp/ordinary/coronavirus202001/06.pdf

2 不動産所有者等がテナントの賃料支払いを減免・猶予した場合の支援策について(国税庁)

 新型コロナウイルス感染症の影響によって賃料の支払いが困難となった取引先(テナント等)に対し、不動産を賃貸しているオーナー等が賃料を減免した場合、その免除による損害の額は寄附金に該当せず、税務上の損金として計上できるようにすることを明確化。

3 固定資産税等に係る特例措置(経済産業省)

 収入に相当の減少があった事業者の国税・地方税について、無担保かつ延滞税等なしで1年間、納付を猶予する特例が設けられるほか、厳しい経営環境にある中小事業者等に対し、令和3年度課税の1年分に限り、償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の負担を2分の1またはゼロとする措置が講じられる。
https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2020/zeisei_202004/
zeisei_20200407.pdf

事業者向け
1 雇用調整助成金の特例拡充(厚生労働省)

 新型コロナウイルス感染症によって影響を受ける事業主を支援し、感染拡大防止を図るため、4月1日~6月30日の緊急対応期間中は、全国で、全ての業種の事業主を 対象に、雇用調整助成金の特例措置を実施。

2 雇用調整助成金の更なる拡充(厚生労働省)

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止が図られる中で、経済活動に急激な影響が及ぶとともに、長期にわたる休業が求められているため、休業手当への助成率引き上げを実施。
https://www.mhlw.go.jp/content/11603000/000625165.pdf

3 持続化給付金(経済産業省)

 新型コロナウイルス感染症拡大により、特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を下支えし、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金を支給。
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin.pdf

4 経営相談、融資等(経済産業省)

 資金繰りだけでなく、売上げの拡大や経営改善など中小企業・小規模事業者の皆様が抱える様々な経営のお悩みに専門家に相談できるほか、経営状態に応じ、融資支援など実施。

5 時間外労働等改善助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)の特例

 新型コロナウイルス感染症対策として、新たにテレワークを導入し、又は特別休暇の規定を整備した中小企業事業主を支援するため、既に今年度の申請の受付を終了していた時間外労働等改善助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)について、特例的なコースを新たに設け、速やかに申請受付を開始。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09904.html

6 働き方改革推進支援助成金

 新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークの新規導入や特別休暇の規定整備に取り組む中小企業事業主を支援。

7 休業手当

 労働基準法第26条では、会社は、会社に責任のある理由で労働者を休業させた場合、労働者の最低限の生活の保障を図るため、休業期間中に休業手当を支払わなければならないとされている。

2020.5.1
賃貸経営ニュースダイジェスト

新型コロナ問題、不動産事業者の9割超が「企業活動に影響」

 LIFULLは、新型コロナ問題で、加盟店企業に第2回「新型コロナウイルス感染症に対する不動産事業者の意識調査」を実施し、その結果を4月21日に公表しました。それによれば、9割を超える不動産事業者が「企業活動に影響が出ている」と回答し、前月より2割も増えました。

ほぼ全事業者、「今後の影響を心配している」

 調査したのは4月6日~12日で、国が7都府県に緊急事態を宣言した7日の前後にあたります。
 同社では、加盟店企業、賃貸物件・住宅購入を検討中の人に、新規で申し込む加盟店向けに提供期間限定で「オンライン相談/オンライン物件見学/IT重説」サービスを無償化していますが、この調査結果を受けて無償提供期間を延長することにしました。
 調査結果のポイントは次の通り。

9割を超える不動産事業者が「企業活動に影響が出ている」と回答。前月より2割増加した。

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ほぼ全ての不動産事業者が「今後の影響を心配している」と回答した。

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8割を超える企業が「売上の減少」を心配。「来店者」「内見者」「問い合わせ」の減少を心配する企業もそれぞれ7割以上と前月より増加した。

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3月の「TDB景気動向調査(全国)」、6カ月連続で悪化

 帝国データバンク(TDB)は4月3日、3月調査の「TDB景気動向調査(全国)」結果を公表しました。それによれば、3月の景気DIは前月比6.2ポイント減の32.5となり、6カ月連続で悪化し、2014年4月の同4.2ポイント減を超える過去最大の下落幅となりました。同社では「国内景気は、後退局面の中で新型コロナ問題の影響が拡大し、過去最大の下落幅を記録した。今後は、海外動向や新型コロナ問題などで不確実性が高まり、後退が続くとみられる」としています。

調査結果の概要…調査開始以降で初めて全10業界51業種が悪化

 今回の調査対象は2万3,676社、有効回答1万1,330社。調査開始以降で初めて全10業界51業種が悪化。23業種で過去最大の下落幅となり、4業種で過去最低を記録した。新型コロナ問題の影響で、個人消費に関連する業種の景況感が大きく落ち込んだ。

不動産の概況…2カ月連続で悪化

 景気DIは31.6で同10.4ポイント減。2カ月連続で悪化。現在の景況感が「悪い」とした企業は、2月の47.9%から71.2%へ大きく増加した。中国で製造される住宅設備機器の輸入が滞り、新設住宅などへの納入の目途が立たないケースもあり、建物売買業や貸家業の景況感が悪化した。貸事務所業では、飲食店やショッピングセンターなど商業施設からの賃料収入の減少も悪化の一因になった。「不動産」の下落幅は、東日本大震災があった2011年3月の同5.4ポイント減を上回り過去最大となった。

不動産の景況感「現在(3月)」…賃料収入減少・住宅需要減少・在庫増

 「現状、空室・空室予定の部屋は堅調に申し込みが入っている」(不動産管理)という声がある一方、「新型コロナ問題の影響で休業・営業時間短縮のテナントがあり、ショッピングセンター全体の売上減少により、賃料収入も減少している」(貸事務所)、「企業の転勤による住宅需要が、新型コロナ問題の影響で移動時期を調整しているため、例年に比べて減少している」(不動産代理・仲介)、「住宅の取引がいくつか見受けられるが、在庫が増えている」(建物売買)など。

不動産の景況感「先行き」…新型コロナ問題で不透明

 「現在のコロナ騒動の影響は、1年後には収束していると予想」(不動産管理)、「新型コロナ問題の収束時期が不透明」(貸家)、「新型コロナ問題の影響でテナント飲食店が解約手続き中だが、次の借り手希望者も新型コロナ問題のため見合わせている。今後解約や賃料支払いの遅延が発生する可能性は大きい」(貸事務所)、「在庫が増えることにより、価格の値崩れが起きてくる」(建物売買)ととらえている。

■詳しくはこちら→PDF「TDB景気動向調査」

地場不動産仲介業の景況感、来期は賃貸・売買とも全リアで悪化予想

 アットホームは4月23日、2020年1~3月期の「地場の不動産仲介業における景況感調査」(13都道府県)の結果を公表しました。今回調査は3月12日~26日に実施し、初日に52%、東京五輪の延期が決定した3月24日までに98%の回答が集まりましたが、新型コロナウイルスが全国に拡大し始めた時期に当たることから、その影響を大きく受けた結果になりました。

調査結果の概要

  • 賃貸仲介の業況DIは、首都圏・近畿圏とも1年にわたりゆるやかな低下傾向が続く。前年同期比も大幅に低下。
  • 売買仲介の業況DIは、首都圏は前期比横ばい、近畿圏は前期比・前年同期比とも大幅低下。
  • 来期の見通しは、新型コロナウイルス感染拡大による先行き不安の声も多く、賃貸・売買とも調査対象全14エリアで悪化を予想。

<首都圏・近畿圏の業況判断指数(業況DI※前年同期比)の推移>


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■詳しくはこちら→PDF「アットホーム景況感調査」

家賃が高くても入居したい設備、1位:インターネット無料

 賃貸情報サイト「ウチコミ!」は4月20日、登録している大家や入居希望者に、居住用賃貸物件の設備について聞いたアンケート調査の結果を公表しました。それによれば、「家賃が高くても入居したい設備」の第1位は「インターネット無料」でした。入居者に調査した時期は、出社を避けテレワークに切り替える働き方が加速する最中。同社では、働く世代の意識を反映し、テレワークの拡大が賃貸設備のニーズにも影響を及ぼしてきていると見ています。

テレワークに切り替える働き方がネット無料を加速

 この調査は、大家については1月15日~2月10日、入居希望者は3月16日~4月6日に実施しました。調査結果のポイントは次の通りとなりました。

家賃が高くても入居したいと思う設備…2位:バス・トイレ別、3位:宅配ボックス

 3つを選んでもらったところ、大家の意識とは多少のずれがありましたが、トップの「インターネット無料」が、2位「バス・トイレ別」、3位「宅配ボックス」に差をつけ、単身者、ファミリー層とも圧倒的な人気を獲得しました。
 一方、スマートロック、ネットワークカメラを装備した、いわゆる「IoT等」は入居希望者・大家ともにランク外(10位以下)となりました。


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入居に最低限欲しい設備…1位:エアコン、2位:バス・トイレ別、3位:収納スペース

 3つ答えてもらったところ、単身者は1位「エアコン」、2位「バス・トイレ別」、3位「収納スペース」、一方ファミリーは1位「バス・トイレ別」、2位「エアコン」、3位「独立洗面台」と、ニーズの違いが出ました。
 大家への同様の意識調査でも「エアコン」「バス・トイレ別」が上位となりました。「ウチコミ!」登録物件から見ると、「エアコン」の設置率は83%と高いものの、「インターネット無料」は22%(「インターネット無料」または「ブロードバンド」は37%)にとどまっています。


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不動産ポータルサイトで、基本情報以外にも重要だと思う物件情報…1位:間取り図

 複数回答で聞いたところ、次の結果となりました。

  1. 間取り図
  2. 外観・室内写真
  3. 初期費用
  4. 駐車場・バイク置き場・駐輪場の有無
  5. 詳細住所
  6. 保証人の要否
  7. 近隣情報
  8. ペット飼育の可否

コロナショック後の「都区部賃貸住宅の市場予測調査」を実施

 スタイルアクトは4月20日、自社の不動産ビッグデータを分析し、コロナショック後の都区部の賃貸市場の空室率と賃料の予測を行った、と公表しました。

需要減退による腰折れ予測で3つのシナリオ

 調査は、同社の2007年以降の空室率(需給バランス)から、4つの需要要因と3つの供給要因に分解。これらと相関する外部の経済指標として3つのシナリオを設定して、2025年までの市場予測を実施しています。
 外部の経済指標は、「リーマンショック時と同様のケース」「経済指標の過去最低値が2025年まで続くケース」「1年間だけリーマンショック後と同じ動きでその後は回復基調に戻るケース」という3ケース。調査結果はこうした経済指標をパラメータとして動かすことで、自分なりのシナリオを設定でき、市場の先読みが可能になるということです。
 ワーストケースのインパクトに備える新築・既築のリーシング戦略付き。

空家法施行から4年半、全国で空き家対策の取り組み進む

 国土交通省が4月8日に公表した2019年10月1日時点での「空き家対策に取り組む市区町村の状況」によれば、空家法施行後4年半で、空家等対策計画は全市区町村の63%で策定されており、この間、7,552物件の特定空家等の除却等(うち代執行196件)が進んでいます。また、空家法に限らず、市区町村におけるさまざまな取り組みにより、約7.7万物件の管理不全の空き家の除却等が進んでいます。

調査結果の概要

空家等対策計画、全市区町村の63%で策定

 全市区町村の63%となる1,091市区町村で空家等対策計画が策定されており、2019度末には7割を超える1,245市区町村で策定される見込みにある。

特定空家等に対する除却等が7,552物件に

 周辺の生活環境等に悪影響を及ぼす特定空家等への助言・指導などの措置件数が年々増えており、4年半の累計で助言・指導が17,026件、勧告が1,050件、命令が131件、代執行(行政代執行と略式代執行)が196件となっている。
 また、市区町村での取り組みにより、特定空家等の除却等に至った件数は7,552物件に及んでいる。ほか、21019年10月1日時点で存在し、特定空家等として市区町村が把握しているものは約1.6万物件となっている。

約7.7万物件の管理不全の空き家の除却等が進行

 空家法に基づく助言・指導などの措置に限らず、条例に基づく措置や空家法に基づく情報提供など、市区町村でのさまざまな取り組みの効果として、所有者による除却等が相当数行われており、これらの件数は4年半の累計で約7.7万物件に及んでいる。

<市区町村の取り組みによる管理不全の空き家の除却等の状況>


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大東建託、大和リビング、新型コロナ問題で賃料支払猶予措置を発表

 大東建託は4月15日、同社グループの管理賃貸建物に入居中で、新型コロナ問題による収入の減少などで賃料の支払いが困難な状況にある入居者に、賃料の支払いを猶予する措置を講じると発表しました。また、大和リビングは同23日、同様に新型コロナ問題で収入減となっている入居者に、賃料の支払い猶予を行うと発表しました。

国の要請に対応、両社とも「上限3カ月」

 入居者から多くの賃料支払いに関する問い合わせがあるほか、国土交通省も賃料の支払いが困難な者に対して柔軟に対応するよう要請していることを受け、実施することにしました。

大東建託グループ

 猶予措置の対象者は、同社グループがオーナーから一括借り上げして管理する全国の賃貸建物に入居中で、新型コロナの影響による減収などにより、賃料の支払いが困難な状況にある入居者。個人契約・法人契約いずれも可能。
 対象となる家賃、駐車場代、共益費、自治会費について、3カ月間を上限に、申請から最長2年間の分割払いを認める。ただし、2年以内に退去する場合は、退去時に一括での支払いが必要となる。申請期間は4月20日から6月末日まで。

大和リビング

 希望する場合、3カ月分を上限に賃料支払い猶予を行う。猶予措置の対象となるのはオーナーから大和リビングがサブリースしている物件の入居者で、個人契約でも法人契約でも可能。家賃以外に駐車場代と共益費も猶予でき、24カ月間での分納となる。24カ月以内に退去する場合は、退去時に一括清算となる。
 申し込み期限は6月30日まで。

宅建協、新型コロナ問題でテナントへの賃料助成制度を要望

 (公社)全国宅地建物取引業協会連合会は4月15日、政府と国土交通省に、新型コロナ問題で影響を受けている中小事業者等(テナント)に対する賃料助成制度を創設するよう求める要望書を提出しました。

「オーナーへの協力要請だけでなく、支援措置も」

 今回要望したのは、政府の「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(4月7日閣議決定)に盛り込まれた、賃料減免等にともなう賃貸事業者に対する支援措置(減免賃料に係る税務上の損金算入措置、中小事業者・個人事業者等に対する給付金制度<持続化給付金>、中小事業者等に対する納税猶予措置と固定資産税の減免措置)の速やかな実施、そして新型コロナ問題で影響を受けている中小事業者等(テナント)に対する賃料助成制度の創設と助成金が確実に賃料の支払いに充てられるための代理納付等の措置です。
 3月31日の同省通知では、賃料の支払いが困難なテナントから要請があった場合、貸し主に対し、賃料の支払い猶予などの柔軟な対応を検討するよう求めています。要望書では、「オーナーに対する一方的な協力要請だけでなく、支援措置を打ち出してほしいとの声が強まっている」「大手賃貸業者などと違って、中小賃貸事業者は簡単に家賃減免や支払い猶予を受け入れられる体力にはない」などとして、緊急経済対策に盛り込まれた一連の支援措置を早急かつ効果的に実施するようを求めています。
 賃料助成制度の創設については、経済対策に盛り込まれた減免家賃の損金算入や固定資産税の減免を評価しつつも、「直近のキャッシュフローを改善し、厳しい経営環境を乗り切るには、もう一段踏み込んだ措置が必要である」としています。

国、政党間でも対応が進展中

 家賃補助をめぐっては、政府、野党間でも「家賃支払い猶予法案」などの検討が始まっています(4月下旬現在)。
 一方、生活困窮者への家賃補助にあたる住居確保給付金は、支給対象を4月20日付け改正。これまでの「離職・廃業後2年以内」から「就業中でも著しく減収があった場合」へと拡大されました。

不動産業界の83%が新型コロナで影響、テレワーク導入42%

 イタンジとVRクラウドソフト「スペースリー」を運営するスペースリー、不動産管理業務支援ソフトウェアを提供するWealthParkの3社は、新型コロナ問題を受けて4月3日、不動産事業者を対象としたテレワーク推進に関する無料オンラインセミナーを開催しました。9日、セミナー参加者170名超に対して実施した新型コロナウ問題の影響とテレワークに関するアンケートの結果を公表しました。

セミナー参加者へのアンケート結果の概要

 回答者のうち、83%が新型コロナ問題の影響を業務面で感じており、不動産業界全体に大きな影響が及んでいる。


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 特に来店数や内見数など入居者募集の面で影響を感じている声が多く、対面ではない顧客対応の必要性が発生している。


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 テレワークへの対応では、すでに全社員に実施していると答えた回答者が13%ある一方で、半数近くの回答者はまだ準備を進めていないと答えた。


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 不動産業界では、多くが対面での接客やオフィスでの勤務を前提とした業務フローとなっているため、テレワーク導入には入居者対応からオーナー報告までさまざまな業務で不安の声が多い。


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 テレワークを推進するうえで、社内外に対し「チャットツール」や「WEB会議システム」のほか、接客やコミュニケーションを滞りなく行う各種ツールの導入検討が行われている。


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平均募集家賃、名古屋、大阪、福岡市が前年同月を上回る傾向

 アットホームは4月16日、2020年3月の全国主要都市の「賃貸マンション・アパート募集家賃動向」を公表しました。

東京都マンションは、23区は最高値を更新、都下はシングル向き下落

 首都圏(1都3県)、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市について調査しました。その結果、平均募集家賃は、名古屋市・大阪市・福岡市がマンション・アパートとも前年同月を上回る傾向にありました。
 東京都のマンションは、23区が全面積帯で引き続き上昇し、最高値を更新。一方、都下はシングル向きが下落しました。


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■詳しくはこちら→PDF「平均募集家賃動向」

2020.4.15
賃貸経営ニュースダイジェスト

国交省、まちなかの居心地の良さを測る指標(案)公表

 国土交通省は3月30日、主に地方公共団体に活用してもらう「まちなかの居心地の良さを測る指標(案)・概要」を公表しました。「私たちのまちは、どれくらい居心地が良く歩きたくなるまちなのか」を測るため、今後、歩きながらまちなかの状況を簡易に現状把握し、居心地の良いまちなかの形成には何が必要なのかといった改善点を発掘するツールとして活用してもらうことにしています。

地方公共団体に現状把握・改善ツールとして活用提案へ

 「居心地が良く歩きたくなる」まちなかの形成は、多様な人材が集い、滞在し、交流することが目的。このため、「居心地の良さ」を測る指標は滞在者をはじめとする人々の行動の多様性を把握することに重きを置いた構成とし、「ハード環境(歩道・施設帯や沿道建物・広場・公園)」「空間の快適性・魅力」「人々の行動の多様性」の3要素を設定しています。


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「住居確保給付金」の支給対象を拡大へ

 厚生労働省は4月7日、新型コロナ問題で、生活困窮者自立支援法の施行規則を4月20日付で改正施行し、同法に基づく「住居確保給付金」の支給対象に、離職・廃業同然の方を追加・拡大します。国土交通省はこれを受け、7日付けで賃貸業界などに通知しました。

「離職・廃業同然の方」を追加

 新型コロナ問題では、休業等に伴う収入減少により、離職や廃業には至っていないものの、同程度の状況に至って住居を失うおそれが生じている方への支援を拡大することが重要と判断。
 これまでの「支給対象者を離職または廃業した日から2年を経過していない方に加え、「給与等を得る機会が当該個人の責に帰すべき理由、当該個人の都合によらないで減少し、離職または廃業には至っていないがこうした状況と同程度の状況にある方」も含める予定です。2020年度補正予算案に計上済み。

新型コロナ問題、8割が「業績にマイナス」と想定

 帝国データバンク(TDB)は4月3日、景気動向調査(2020年3月調査)とともに行った「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」の結果を公表しました。それによれば、早期終息が望めそうにないとして、回答企業の80.3%が「業績にマイナス」と想定。一方で、スーパーマーケットなどは「業績にプラス」と見ていました。

スーパーマーケットなどは「業績にプラス」と見込む

 国は4月7日夕、関東1都3県など7都府県を対象に「緊急事態宣言」(4月8日~5月6日)を発令しました。この調査はこれより前の3月17日~31日、全国23,676社を対象に実施しました。有効回答企業数は11,330社(回答率47.9%)。TDBが新型コロナウイルス感染症に関して調査を実施したのは、前月に続き2回目。
 調査結果のポイントは次の通りとなっています。

新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響

 「マイナスの影響があると見込む企業は80.3%。内訳を見ると、「すでにマイナスの影響がある」が46.5%、「今後マイナスの影響がある」が33.8%となった。「影響はない」とする企業は9.0%だった一方で、「プラスの影響がある(「すでにプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)と見込む企業は2.1%にとどまった。

 
規模別・日別の回答概要

 企業の大小問わず約8割の企業で「マイナスの影響があると見込んでいた。
 日別にみると、おおむね8割程度で推移しているが、首都圏を中心に行われた週末の不要不急の外出自粛を経て、3月31日にはピークとなる84.4%にのぼった。

「マイナスの影響があると見込む企業の業種別概要

 「家具類小売」が100.0%で最も高い。以下、「飲食店」(98.2%)、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(97.0%)、「旅館・ホテル」(96.8%)、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(96.6%)が9割台後半。
 他方、「プラスの影響があると見込む企業は、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」が20.4%で最も高かった。

 

新型コロナ問題、賃貸業界へも大きく波及

国がテナント・倒産会社従業員・生活保護世帯への配慮を要請

 新型コロナウイルス問題は、賃貸業界にも大きく波及し始めています。賃貸業界には、一般家庭や事業者に求められている「“3密”の回避」をはじめとした感染予防策に加え、国などからテナントや休業入居者、生活保護世帯への配慮などが通知され、徹底が求められています。また、賃貸募集の遅れや店頭来客の減少、入退去、原状回復工事など遅れが生じている中、賃貸住宅を無償で貸し出す動きも出ています。

金融庁、金融機関に住宅ローン返済猶予など要請

 新型コロナ問題に関する直近の動きをピックアップすると次のように相次いでいます(4月上旬時点まで)。

金融庁、住宅ローンの返済猶予など迅速かつ柔軟な対応を要請(3月6日)

 金融機関に、資金繰りや住宅ローンの返済で困った賃貸オーナーなどへの新規融資、条件変更に「迅速かつ柔軟に対応するよう要請。

 
APAMANグループ、賃貸住宅を無償貸出へ(同26日)

 倒産や人員整理によって寮の退去を余儀なくされた者が対象。グループの対象物件約200室(1R)を2020年12月末まで無償提供する。

 
厚生労働省、生活保護世帯における住宅扶助の代理納付を通知(同31日)

 生活保護を受けている家賃滞納者には原則として住宅扶助の代理納付が活用されているが、4月1日より登録住宅(セーフティネット住宅)に生活保護受給者が入居する場合も適用すると通知。

 
国土交通省、飲食店等テナントへの賃料支払いに柔軟な措置を要請(同31日)

 賃料の支払いが困難な事情があるテナントには、猶予に応じるなど「柔軟な措置」を実施するよう、賃貸業界に要請。

 
国土交通省、生活困窮者への丁寧な対応を要請(4月2日)

 休業などで生活に困窮している者に対しては、その置かれた状況に十分に配慮した「丁寧な対応を要請。また、各自治体にある「住居確保給付金」窓口などを紹介するよう依頼。

 

■詳しくはこちら↓

国交省・経産省、置き配の現状と実施に向けたポイントまとめる

 国土交通省と経済産業省は3月31日、現在広がりつつある「置き配」が、利用者・宅配事業者・EC事業者にとって安心して実施できるよう、「置き配の現状と実施に向けたポイント」をまとめました。「置き配検討会」での検討や法曹関係者へのヒアリングなどを踏まえた内容で、次の3つのポイントを示しています。

報告書で取り上げた「3つのポイント」

運送人の債務が完了する引渡し方法

 買主(消費者)と売主(EC事業者等)の合意した方法に従い引き渡す必要がある。当事者の合理的な意思形成に際し、社会通念上、望ましい引渡し場所としては、戸建て住宅の私有地内、マンションの各住戸の玄関前などが考えられる。

消費者保護・紛争リスク低減の観点からの留意点

 売主・買主間、売主・運送人間それぞれにおいて、「置き配」を実施することと、具体的な引渡し方法について明示的な合意が必要である。明示的な合意に至る過程においては、以下のような想定される具体的なリスク事項を含む置き配実施の関連事項をEC利用時等において、買主(荷受人)が十分に認識できる環境を提供することが、売主側に求められる。
 また、消費者保護・リスク低減の観点から、リスク事項を踏まえたうえで、買主(荷受人)が事前に、置き配の実施及び具体的な引渡し方法を認識し指定できることが望ましい。

  • 物品が風雨にさらされる不測のリスクがある。
  • 長期不在の場合等に盗難・破損のリスクがある。
  • トラブルを回避するため、マンション管理組合の規約等に買主たる住民が適切に従う必要がある…など。
マンション共用部分における実施方法

 買主となる住民はマンションの共用部分に関するマンション内のルールを事前に確認することが望ましい。今後の宅配便の一層の増加を想定する場合、管理組合による総会の普通決議による運用方法に関する合意等を行うことが望ましい。

民泊物件数、昨年9月末で96,648件へと増加

 官公庁が3月31日に公表した民泊物件の概況によれば、2019年9月30日時点での民泊物件数は延べ96,648件となりました。住宅宿泊事業法の施行時点(2018年6月15日、24,938件)からは71,710件の増加、この半年間では25,359件の増加となりました。

形態は「旅館・ホテル、簡易宿所」48%、「届出住宅」37%

 この概況は、住宅宿泊仲介業者73社(海外事業者:15社、国内事業者:58社)と、同法に基づく届出住宅の取扱旅行業者6社(全て国内事業者)、計79社の取扱数についてまとめたもの。
 掲載物件の類型は、旅館業法に基づく「旅館・ホテル、簡易宿所」が45,205件(47.8%)と多く、次いで住宅宿泊事業法に基づく「届出住宅」が34,513件(36.5%)、特区民泊の「認定施設」が16,090件(17.0%)などとなっています。
 観光庁では住宅宿泊仲介業者等からの提出された物件と適法物件のデータベースとの確認を随時行っていますが、物件の所在地が不正確なものや廃業済み、観光庁データベースの情報と一致しないものなど、適正な届出・許可が確認できない物件が955件確認され、これらについては速やかな削除や修正を要請したということです。

2019年9月末時点における民泊物件

民泊物件の類型 民泊仲買サイト掲載件数
住宅宿泊事業法の基づく届出住宅 34,513件
旅館業法に基づく旅館・ホテル、簡易宿所 45,205件
特区民泊の認定施設 16,090件
イベントホームステイ(イベント民泊) 488件
その他 ※短気賃貸借物件等 352件
合計 96,648件

2020.4.1
賃貸経営ニュースダイジェスト

2019年の首都圏成約賃料、上昇基調に一服感

 アットホームが2月26日に公表した「首都圏(1都3県)の居住用賃貸物件」における2019年(1年間)の成約賃料は上昇基調に一服感が見られ、成約件数も前年比11.7%減少し、4年連続のマイナスとなりました。

成約賃料は、マンションが5年連続、アパートは6年連続で前年超え

 2019年1年間の居住用賃貸物件の1㎡あたり成約賃料(首都圏平均)は、マンションが5年連続、アパートが6年連続で前年超えとなりました。
 ただ、ともに2014年を境に上昇に転じているものの、2017年、2018年と2年連続で拡大していた上昇幅は2019年にやや勢いが鈍化、上昇基調に一服感が見られます。
 1戸あたりの成約賃料指数(首都圏平均)は、新築マンションのみ前年より上昇し100を超えました。また、新築マンションの月別指数の推移は、2019年1年間の全ての月で100を超えています。


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主要四市以外の地方圏でも、全用途平均・商業地が28年ぶりに上昇

 国土交通省が3月18日に公表した「2020年地価公示」によれば、主要四市以外の地方圏でも全用途平均・商業地が1992年以来28年ぶりの上昇し、全国的に地価の回復傾向が広がりました。住宅地の地価上昇について、同省では「雇用・所得環境の改善が続く中、低金利環境の継続や住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあり、交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調である」と見ています。

全国的に地価の回復傾向が広がる

 1970年の調査開始以来、今回で51回目を迎えた2020年地価公示(1月1日時点の地価動向)は、全国26,000地点を対象に実施され、次のような結果が得られました。

全国平均

 全用途平均は5年連続で上昇し、上昇基調を強めている。用途別では、住宅地は3年連続、商業地は5年連続で上昇した。

三大都市圏

 全用途平均・住宅地・商業地のいずれも各圏域で上昇が継続している。

地方圏

 地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)では上昇基調をさらに強めている。
 地方四市を除いた地域でも、全用途平均・商業地は1992以来28年ぶりに上昇に転じ、住宅地は1996年から続いた下落から横ばいとなった。

 
地価上昇の背景

 景気回復、雇用・所得環境の改善、低金利環境の下で、①交通利便性等に優れた地域を中心に住宅需要が堅調であること、②オフィス市場の活況、観光客増加による店舗・ホテル需要の高まりや再開発等の進展を背景に需要が堅調であること、が挙げられる。

 
■詳しくはこちら→PDF「2020年地価公示の概要」

TDB景気動向調査(2月調査)、新型コロナ問題が国内景気を大幅に下押し

 帝国データバンク(TDB)が3月4日に公表した2020年2月の「景気動向調査(全国)」によれば、新型コロナウイルス問題で人とモノの動きが停滞し、国内景気を大幅に下押しています。

  • 2020年2月の景気DIは前月比3.2ポイント減の38.7となり5カ月連続で悪化し、7年ぶりに40を下回った。国内景気は、後退局面が続く中で新型コロナウイルスの影響も加わり、大幅に悪化した。今後の国内景気は、新型コロナウイルスなどリスク要因も多く、緩やかな後退が続くとみられる。
  • 10業界すべてが悪化となった。新型コロナウイルスの影響がさまざまな業界に波及し、川下の消費関連企業から川上の素材関連企業までサプライチェーン全体に広がった。特に「製造」が10カ月連続で悪化、また「卸売」「運輸・倉庫」「サービス」も大幅に悪化した。
  • 「南関東」「近畿」「九州」など全10地域、45都道府県が悪化した。消費税率引き上げや暖冬傾向の継続に加えて、新型コロナウイルスの影響が全国に及んだ。人とモノの動きが停滞する中、観光業が主要産業となる地域では景況感が大きく悪化した。「大企業」「中小企業」「小規模企業」が5カ月連続の悪化となった。
企業の声(不動産の「現状」の景況感、〇は「良い」、×は悪いと判断)
  テナントビルの空室率が低い(貸事務所)
  中古マンションの売れ行きが良い(建物売買)
 × 新型コロナの影響で新規ホテル開発が延期となっている(不動産代理・仲介)
 × 営業不振・人員不足による閉店が相次いでいる(貸事務所)
 × 例年に比べて賃貸住宅への需要の出足が鈍くなっている(不動産代理・仲介)
 × 新型コロナウイルスの影響で飲食店ビルに不安感がある(貸家)

賃貸物件での設備選択理由、「間取り・部屋数」最多

 国土交通省が3月13日、2019年度「住宅市場動向調査」の結果を公表しました。この調査は2001年から続けています。賃貸住宅入居世帯での設備選択理由は、今回調査でも「間取り・部屋数が適当だから」の割合が最も高くなりました。

住宅市場動向調査、分譲マンションの購入価格は年収の5.6

マンションの購入価格

 新築、中古とも2015年度調査と比べ1~2割上昇。分譲マンションは14.2%増で、年収の5.2から5.6へ、中古マンションは22.9%増で3.4 から4.0へと増えた。

住宅選択の理由

 分譲マンション取得世帯では、「住宅の立地環境がよかったから」は昨年度調査より減少したが、選択理由として最も高く、高水準で推移(72.3%→61.3%)している。

設備などに関する選択の理由

 注文住宅では「高気密・高断熱だから」を選択する割合が最も高く、昨年度調査と比べて増加(59.1%→64.5%)した。
 中古戸建取得世帯は、「住宅の広さが十分だから」、中古マンション取得世帯・賃貸住宅入居世帯は、「間取り・部屋数が適当だから」を選択した割合が7割近くと高い。


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新型コロナ問題、不動産業界でも「影響出ている」7割、来客減を懸念

 LIFULLは、新型コロナウイルス感染症の影響が不動産事業者の事業運営や営業活動にも波及していることを受け、LIFULL HOME'S加盟店企業に対し、「新型コロナウイルス感染症に対する不動産事業者の意識調査」を実施し、結果を3月19日に公表しました。調査した3月9日~同12日の時点で、7割の不動産事業者が「企業活動に影響が出ている」と回答しています。

LIFULL HOME'S、「新型コロナへの不動産事業者の意識調査」を緊急実施

 調査結果のポイントは次の通りです。

  • 7割の不動産事業者が、現時点で「企業活動に影響が出ていると回答。
  • 9割の不動産事業者が「今後の影響を心配していると回答。
  • 企業活動への影響を心配。賃貸仲介「来店者の減少」、賃貸管理と売買「売上の減少」が最多。

 なお、LIFULL HOME'Sでは、加盟店企業と、賃貸物件・住宅購入を検討中の人との双方に、より安心・安全に利用できるよう、加盟店向けに期間限定で「オンライン相談/オンライン物件見学/IT重説」サービスの新規申し込みを無償化しています。

<現時点で企業活動に影響が出ていますか?(全体、業態別)>


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■詳しくはこちら→PDF「新型コロナ_LIFULL調査」

賃借物件の防災意識、居住者「高まった」7割、加盟店「ハザードマップ渡す」5割弱

 アットホームは3月19日、賃貸物件に住む全国の20~50代の男女と、賃貸物件を取り扱う全国のアットホーム加盟店を対象に行った「防災意識に関する調査」を実施しました。ともに、防災への意識の高まりや取り組みの強化が見られました。

アットホームが居住者、加盟店双方に調査

 この調査は、賃貸居住者には1月中旬に、加盟店には下旬に実施。賃貸居住者には、災害が多かった2018~2019年に防災意識がどう変わったのか、どんな災害対策を行っているのか、住まい探しに影響はあるのかなどを聞き、加盟店には入居希望者に災害リスクを説明しているか、ハザードマップを渡しているかなどを聞きました。

賃貸居住者編のトピックス
  • 2018~2019年に防災意識が高まった:70.0%
  • ハザードマップを知っている:82.5%
  • ハザードマップを見たことがある:75.5%

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加盟店編のトピックス
  • 入居希望者に物件周辺の災害リスクに関する資料(ハザードマップなど)を渡している:47.3%
不動産会社は入居希望者に、物件周辺の災害リスクを説明した方が良いか?(択一)

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入居希望者に物件周辺の災害リスクを説明しているか?(択一)

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入居希望者に、ハザードマップなど物件周辺の災害リスクに関する資料を渡しているか?(択一)

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賃貸マンション一時金、敷金と礼金はやや下降、更新料はやや上昇

 東急住宅リースとダイヤモンドメディアは2月27日、2019年「全国の賃貸マンションの一時金共同調査の結果を公表しました。それによれば、敷金は平均0.72カ月で前年比0.05カ月減、礼金は0.51カ月で0.23カ月減、更新料は0.35カ月で0.01カ月増となりました。

東急住宅リースとダイヤモンドメディアが調査

 この調査では、データの算出はダイヤモンドメディアが提供する賃料査定システム「スマート賃料査定」の調査機能を活用。2019年1月1日から12月31日時点におけるインターネット上での募集中データ(約680万件)から、一時金情報を持つデータを抽出し分析しています。

敷金設定状況
  • 全国平均は0.72カ月
  • 中国・四国地方は他地域と比較して高設定傾向にある。
  • 東京は平均値より0.2カ月程度高い。大阪は0.5カ月程度低い結果となった。
全国平均敷金(ヶ月) 敷金0物件除く敷金(ヶ月) 敷金0物件割合(%)
2019年 0.72 1.30 44.6
2018年 0.77 1.44 46.6
増 減 -0.05 -0.14 -2.0
礼金設定状況
  • 全国平均は0.51カ月
  • 近畿地方は他地域と比較して高設定傾向にある。
  • 東京都は平均値とほぼ同値。大阪府は0.4カ月程度高い。
更新料設定状況
  • 全国平均は0.35カ月
  • 関東地方は他地域と比較して高設定傾向にある。
  • 東京都は平均値より0.4カ月程度高い。大阪府は0.3カ月程度低い。

退去費用の請求額は平均63,283円、間取りの大きさ・居住年数に連れ増加

 賃貸物件の退去費用を支払った経験者にアンケート調査を行ったところ、退去費用の請求額は平均63,283円で、間取りの大きな物件ほど、また居住年数が長くなるほど高額になる傾向が見られました。一方、74%が国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を知っていませんでした。

国交省ガイドライン、7割以上が「知らなかった」

 調査は、無人契約機検索サイト「アトムくん」が3月初旬にインターネットを利用して行いました。回答者は200名(男性106、女性94名)。調査結果のポイントは次の通りです。

  • 請求金額の全体平均は63,283円。
間取り 請求された過去費用の平均
ワンルーム、
1K、1DK、1LDK
(119件)
49,980円
2K、2DK、2LDK
(58件)
79,924円
3K、3DK、
4K、4DK、4LDK
(23件)
90,139円
合計 63,283円

  • 間取り別では大きな物件ほど、居住年数別では長いほど、請求額は大きくなる傾向にある。
居住年数 請求された過去費用の平均
〜3年(79件) 49,431円
4年〜6年(70件) 61,694円
7年〜(51件) 87,090円
  • 請求された金額は妥当だと思った人は42.5%。
  • 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の存在を知らなかった人が74%と大多数。

民間住宅ローン、賃貸向け新規貸出は2016年度ピークに減少続く

 国土交通省は3月19日、2019年度「民間住宅ローンの実態に関する調査」の結果を公表しました。それによれば、賃貸住宅向けの新規貸出額は、2016年度をピークに減少傾向あります。

2018年度は前年度より14.6%減少

 2018年度の賃貸住宅向け新規貸出額(2015年度から2018年度までの全年度回答があった金融機関について集計)は、経年集計では2兆2,932億円となり、前年度より14.6%減少しました。2016年度の3兆円超をピークに減少が続いています。
 個人向け住宅ローンの新規貸出は、使途別割合では過去4年を通じて中古住宅向けの割合が増加傾向にあり、金利タイプ別割合では引き続き変動金利型の割合が約6割と最も高く根強い状況にあります。

            <2018年度の賃貸住宅向け新規貸出額の推移>


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2020.3.15
賃貸経営ニュースダイジェスト

1月の新設着工、貸家は17カ月連続の減少

 国土交通省が2月28日に公表した2020年1月の新設住宅着工戸数は持家、貸家、分譲住宅ともに減少したため、全体では前年同月比10.1%の減少となりました。うち、貸家は2.5%減の24,147戸で、17カ月連続の減少。

着工総数も7カ月連続の減少

 当月の新設着工総戸数は60,341戸で、7カ月連続の減少。
 持家は13.8%減の18,037戸で、6カ月連続の減少。また、分譲住宅は14.6%減の17,856戸で、3カ月連続の減少となりました。

テレワークを機に、自宅の作業環境に整えている人が7割

 リクルート住まいカンパニーは2月25日、テレワーク(リモートワーク)の実態把握を目的とした「テレワークに関する意識・実態調査」の結果を一部公表しました。それによれば、テレワークをきっかけに自宅を仕事に適した環境に整えている人は7割、また引っ越しを実施・検討・希望している割合は5割超に上りました。

リクルート住まいカンパニー調査、引っ越し実施・検討・希望は5割超

 調査は関東9都県の20歳~64歳のクエストリサーチモニタの男女に対し、2019年11月下旬にスクリーニング調査(Web調査)を実施。全仕事量のうちテレワークで実施している割合が10%以上の会社員(経営者・役員、正社員、契約社員、派遣社員)、公務員、またはパート・アルバイト、自営業、自由業・フリーランスを対象に同下旬に本調査(同)を実施しました。
 有効回答数はスクリーニングサンプル数が30,093件、本調査サンプル数が1,098件。

調査のトピックスは次の通り

  • 会社員・公務員の17%がテレワークを実施しており、潜在的には45%の実施者を見込む。
  • 少なくとも直近4年間は、年々テレワーク導入者(開始者)は増加している。
  • テレワークの実施理由は、「通勤時間の減少」を挙げる割合が29%と高く、続いて「仕事の集中度向上」「家事と仕事の両立」が上位を占める。
  • テレワークの実施場所としては、リビングダイニング(ダイングテーブル)が39%と最多。
  • テレワークをきっかけに、自宅を仕事に適した環境に整えている割合が70%。自宅内で工夫したことの1位は、「仕事用の資料、PC置き場など収納スペースを整備」。
  • テレワークをきっかけに「引っ越しを実施した」「前向きに引っ越しを検討し始めている」「検討していないが引っ越してみたい」割合は53%。
  • 今後テレワークが促進された場合には、テレワーカーの57%が「通勤時間が長くなっても引っ越しを検討する」との意向を示している。
  • テレワークをきっかけに自宅環境整備と引っ越しの両方を実施した人は、テレワーク実施前の生活満足度が6.2に対し自宅環境整備・引っ越し後の満足度が7.2と向上。

マンション購入、「妥協できないポイント」で「災害に強い」など大きく上昇

 住友不動産などメジャーセブンのマンショントレンド調査(Vol.31)によれば、マンション購入検討理由は、引き続き「資産を持ちたい・資産として有利だと思った」「もっと交通の便の良いところに住みたい」「もっと広い住まいに住みたい」が上位ですが、「どうしても妥協できないポイントの今回結果を5年前と比較すると「災害(台風、水害など)に強い」「資産価値の高いエリアである」といった項目が大きく上昇しました。

上位は引き続き「資産価値」「交通至便」「広い住まい」

 メジャーセブンは、住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンスの大手7社。トレンド調査は全国のマンション購入意向者約77万人を対象に、「新築分譲マンション購入意向者アンケート」を実施しました。

調査結果のポイント

 主な調査結果は次の通りとなっています。

現在マンション購入を検討している理由

 マンション購入検討理由は、「資産を持ちたい・資産として有利だと思った」「もっと交通の便の良いところに住みたい」「もっと広い住まいに住みたい」が前回同様にトップ3。
 「都心に住みたい」「持ち家の方が住まいの質が良いと思う」「セカンドハウスが欲しい」などが前回より上昇。

理想とするマンションのタイプ

 理想とするマンションのタイプも前回と同様、「信頼できる不動産会社が分譲」「信頼できる建設会社が施工」「管理会社が信頼できる」がトップ3。上位9位までが前回と同じ順位となる。

お金をかけてでもこだわりたいポイントの中でも“どうしても妥協できない”ポイント

 “どうしても妥協できない”ポイントは、「駅から近い」「日照や採光が良い」「免震構造など、耐震性が高い」「災害(台風、水害など)に強い」が上位にあがる。

“どうしても妥協できない”ポイントの今回調査と5年前調査の結果比較

 トップ3は、今回調査・5年前の調査ともに「駅から近い」「日照や採光が良い」「耐震性が高い」があがる。5年前調査より今回調査の方の順位が大きく上昇した項目は「災害(台風、水害など)に強い」「資産価値の高いエリアである」があがる。

■詳しくはこちら→PDF「マンショントレンド調査」

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」を閣議決定

 サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約を適正化するとともに、賃貸住宅管理業の登録制度を設ける「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」が、3月6日閣議決定されました。

勧誘・契約締結行為を適正化、登録制度を創設へ

 賃貸住宅の管理は、オーナーの高齢化等により、管理業者に委託するケースが増えていますが、管理業務の実施を巡り、管理業者とオーナーあるいは入居者との間でトラブルが増加しています。特にサブリース業者については、家賃保証等の契約条件の誤認を原因とするトラブルが多発し社会問題となっていることから、対応を求められていました。
 法律案の柱は、勧誘・契約時の「賃貸借契約の適正化」と、「賃貸住宅管理業登録制度の創設」(任意制から義務化へ移行)の2つです。

法律案の概要

サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置

 全てのサブリース業者に対し、下記を義務づける。

  • 勧誘時における、故意に事実を告げず、または不実を告げる等の不当な行為の禁止
  • サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の締結前の重要事項説明…等
    また、サブリース業者と組んでサブリースによる賃貸住宅経営の勧誘を行う者(勧誘者)も、契約の適正化のための規制の対象とする。
賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設

 賃貸住宅管理業を営もうとする者について、国土交通大臣の登録を義務づける。
 登録を受けた賃貸住宅管理業者について、下記を義務づける。

  • 業務管理者の選任
  • 管理受託契約締結前の重要事項の説明
  • 財産の分別管理
  • 委託者への定期報告…等

世帯主が25~64歳の世帯で借家比率が上昇

 みずほ信託銀行が発行する「不動産マーケットレポート」は、2月28日発行の3月号で「持ち家と借家の住宅比率に関する近年の動向~25歳から64歳の世帯の借家比率が上昇~」と「東京圏の持ち家・借家別の将来世帯推計」を掲載しています。

「不動産マーケットレポート」が3月号で掲載

 「持ち家と借家の住宅比率に関する近年の動向」では、「近年は世帯主が25~64歳の世帯で借家比率が上昇している」「借家の単独世帯の増加なども影響を与えている」「居住志向に関するアンケートでは、賃貸志向の高まりが見られる」と分析。
 また、「東京圏の持ち家・借家別の将来推計では、東京圏でも全国同様の傾向が見られており、「持ち家世帯は2030年に920万世帯まで減少し、借家世帯は778万世帯まで増加する」と推計しています。

賃貸住宅市場、減少トレンド続き、需要見込める都市部の競争激化へ

 矢野経済研究所は2月26日、国内の賃貸住宅市場を調査し、賃貸住宅新設着工動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。それによれば、2019年度の賃貸住宅新設着工戸数を前年度比85.6%の334千戸と予測。減少トレンドが継続し、入居需要が多く見込める都市部でのシェア拡大競争に向かっていると分析しています。

矢野経済研究所の発表ポイント

市場概況 2019年度の貸家新設着工数は前年度比85.6%の334千戸と予測

 2019年度の国内賃貸住宅市場規模は新設着工戸数ベースで、前年度比85.6%の334千戸と予測する。
 金融機関の融資の厳格化を背景とした新築着工の低迷が続いていることで、2017年度以降、貸家新設着工戸数(国土交通省「建築着工統計」より引用)は減少トレンドが継続している。一方で、主要な賃貸住宅事業者は、地方と比較して人口移動が多い都市部に集中した営業戦略を取っていることから、今後も賃貸住宅の入居需要が多く見込める都市部地域でのシェア拡大競争が継続していくものと考える。

注目トピック コンセプトやテーマ性のある良質な賃貸住宅がトレンドに

 住まい方のコンセプトやテーマ性を備えた良質な賃貸住宅の供給が進んでいる。女性目線や子育てといったコンセプトなど住まい方や入居者像を絞った賃貸住宅が供給されることで、賃貸住宅への積極的な入居需要が掘り起こされ始めている。
 賃貸住宅事業者は、今後、賃貸住宅に日常生活を豊かにする工夫や特徴を持たせて物件力を強化し、長期的に安定した入居率を維持することが出来る賃貸住宅商品の開発を進めていかなければならない。

将来展望 2020年度は前年度比90.1%の301千戸と予測

 貸家新設着工戸数の減少トレンドは引き続き継続しており、2020年度の賃貸住宅市場規模を新設着工戸数ベースで、前年度比90.1%の301千戸と予測する。
 人口・世帯数が減少し、入居需要の拡大が進まない地方を中心に、今後も貸家新設着工戸数の減少は続く見通しである。一方で、地方と比較すると都市部においては依然として新築の賃貸住宅入居需要は底堅いものがあるため、賃貸住宅事業者は入居が見込めるエリアにおける積極的な営業、競合他社との差別化提案は、市場シェア獲得のために今後ますます強化する必要がある。
 また、築30年以上の賃貸住宅の多くは好立地に建築されているケースが多いが、将来的に建て替えを検討するタイミングに差し掛かっている。賃貸住宅事業者はオーナーに対して、入居率の維持向上や収支改善のために、建て替えを選択肢の一つとして提案する必要がある。更に、賃貸住宅以外の不動産と組み合わせた複合的な提案や資産の組み替えによる新たな提案を強化していく必要があると考える。

<貸家新設着工戸数推移・予測>


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2020.3.1
賃貸経営ニュースダイジェスト

2020年度税制改正、「空き地の利活用促進」盛り込む

 2020年度税制改正の大綱が2019年12月20日に閣議決定となり、同日に公表されました。全体として、日本経済の持続的成長、老後の資産形成を後押しする内容となっていますが、賃貸関係では空き地の利活用の促進、優遇措置の期限延長などが盛り込まれました。

「所有者不明土地」の相続人申告を義務付け

 空き地の利活用の促進では、保有期間5年超で、上物を含めて譲渡価格500万円以下の「低未利用地の譲渡所得に、100万円の特別控除が創設されます。
 また、「所有者不明土地等については、土地・家屋の登記簿上の所有者が死亡し、相続登記がされるまでの間、現に所有している相続人等に対し、市町村の条例に基づいて氏名・住所など必要な事項を申告することが義務付けられます。調査を尽くしてもなお固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合、使用者を所有者とみなして固定資産税が課されます。

税制改正の概要

  • 持続的な経済成長の実現に向け、オープンイノベーションの促進、投資や賃上げを促すための税制上の措置を講ずるとともに、連結納税制度の抜本的な見直しを行う。
  • さらに、経済社会の構造変化を踏まえ、全てのひとり親家庭の子どもに対する公平な税制を実現するとともに、NISA(少額投資非課税)制度の見直しを行う。
  • このほか、国際課税制度の見直しや所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応、納税環境の整備等を行う。

賃貸関係等の主な改正

個人所得課税
NISA制度の見直し・延長
  • つみたてNISAを5年延長する。(2023年まで20年の積立期間を確保)
  • 一般NISAは、一階で積立投資を行っている場合には二階で別枠の非課税投資を可能とする二階建ての制度に見直したうえで、5年延長する。
  • ジュニアNISAは、延長せずに2023年末で終了する。
低未利用地の活用促進
  • 保有期間5年超、上物を含めて譲渡価格500万円以下等の要件を満たす低未利用地の譲渡所得に100万円の特別控除を創設する。
未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の見直し
  • 未婚のひとり親に寡婦(夫)控除を適用する。
  • 寡婦(夫)控除について、①寡婦に寡夫と同等の所得制限(所得500万円(年収678万円))を設ける、②住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある者を対象外とする、③子ありの寡夫の控除額を子ありの寡婦と同額にする。(所得税:27万円⇒35万円、個人住民税:26万円⇒30万円)
国外居住親族に係る扶養控除等の見直し
  • 所得要件(38万円未満)が国内源泉所得のみで判定されるために、国外で一定以上の所得を稼得している国外居住親族でも扶養控除の対象にされているとの指摘がある。2022年分以後の所得税につき、留学生や障害者、送金関係書類において38万円以上の送金等が確認できる者を除く30歳以上70歳未満の成人は扶養控除の対象にしないこととする。(個人住民税についても同様)
私的年金等に関する公平な税制のあり方
  • 私的年金等について、以下の見直しが行われた後も、現行の税制上の措置を適用する。
  1. DC(企業型・個人型)等の加入可能要件の見直しと受給開始時期等の選択肢の拡大
  2. 中小企業向け制度(簡易型DC・iDeCoプラス)の対象範囲の拡大
  3. 企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和
  4. ポータビリティの改善
資産課税
所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応
  • 土地または家屋の登記簿上の所有者が死亡し、相続登記がされるまでの間において、現に所有している者(相続人等)に対し、市町村の条例で定めるところにより、氏名・住所等必要な事項を申告させることができることとする。
  • 調査を尽くしてもなお固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合、事前に使用者に対して通知したうえで、使用者を所有者とみなして、固定資産課税台帳に登録し、固定資産税を課すことができることとする。
消費課税
消費税の申告期限の延長
  • 法人税の申告期限の延長の特例の適用を受ける法人について、消費税の申告期限を1月延長する特例を創設する。

マンション発売、2019年は3年ぶりに減少し7,660戸

 不動産経済研究所は2月20日、2019年の「全国マンション市場動向」を公表しました。それによれば、全国発売は12.0%減の7,660戸と、3年ぶりに減少し、1976年以来の低水準になりました。特に、首都圈15.9%減、近畿圈13.9%減、東海・中京圈9.1%減と大都市圈が減少しました。平均価格は4,787万円で、前年比28万円、0.6%のアップで、3年連続で最高値を更新しました。2020年発売は7万戸程度の見込み。

2019年の概況 平均価格は3年連続で最高値を更新

  • 2019年の1~12月に全国主要都市で発売された民間マンションは7,660戸であった。(過去最多は1994年の188,343戸)。2018年(8,256戸)に比べて9,596戸(12.0%)減と2年ぶりの7万戸台。首都圈、近畿圏、東海・中京圈、関東、四国、九州が滅少した。
  • 首都圏31,238戸(前年比15.9%減)、近畿圈18,042戸(同13.9%減)、東海・中京圈4,650戸(同9.1%減)、北海道1,390戸(同15.4%増)、東北1,837戸(同3.6%増)、関東1,332戸(同5.1%減)、北陸・山陰453戸(同0.7%増)、中国2,724戸(同2.1%増)、四国465戸(同47.6%減)、九州8, 529戸(同1.6%減)。首都圈、近畿圈、東海・中京圏以外で実数の変動が最も大きかったのは、四国の422戸減であった。
  • 1戸当たりの価格は4,787万円で、前年(4,759万円)比28万円、0.6%のアップ。1㎡当たり単価は72.6万円で、前年比1.3万円、1.8%のアップ。
     平均価格は3年連統、㎡単価は7年連続の上昇で、いずれも3年連続で最高值を更新した。
  • マンションの発売総額は約3兆3,824億円、前年(約3兆8,192億円)比4,368億円、11.4%の減額。(過去最高は1994年の約6兆8,213億円)。
  • 売主・事業主別供給戸数は、首位が住友不動産(5,690戸)で、2位はプレサンスコーポレーション(5,305戸)、3位は野村不動産(3,941戸)、4位は三菱地所レジデンス(3,365戸)5位は三井不動産レジデンシャル(2,365戸)で、上位5位は変動がなかった。
  • 2020年の発売は7.0万戸(0.9%減)、2年連続減少もほぼ横ばいとなる見込み。

レオパレス21、“非対面鍵渡し”による「来店不要の賃貸契約」をスタート

 レオパレス21は2月12日、賃貸物件のWEB契約で、“非対面鍵渡し”を運用することで「来店不要の賃貸契約」を同日から開始した、と公表しました。全国のLeoLock設置物件638棟・7,690部屋に導入しました。

LeoLock設置物件の全国638棟・7,690部屋でスタート

 契約する顧客は、契約書送付時に同封されるLeoLock専用カードと、入居開始日当日にスマートフォンに通知される暗証コードにより、初回の解錠ができる仕組み。顧客は店舗への来店が不要となるため、入居までの手続きが簡略化されます。

景況感調査、2019年10~12月期は首都圏、近畿圏とも連続マイナス

 アットホームは2月18日、2019年10~12月期の「景況感調査(地場の不動産仲介業における景況感調査)を公表しました。それによれば、賃貸仲介の業況DIは、首都圏が3期連続、近畿圏が2期連続のマイナスとなりました。東京23区では「契約更新が多く空室減」のコメントが多数ありました。売買仲介の業況DIは、首都圏では2014年Ⅳ期以来5年ぶりに40を下回り、近畿圏は3期ぶりにわずかながら上昇しました。

賃貸仲介の概況 首都圏が3期連続、近畿圏が2期連続マイナス。来期は上向き。

 賃貸仲介における今期の業況DIは、首都圏は44.9で前期比-0.4ポイントとほぼ横ばい、前年同期比でも-0.5ポイントとほぼ同水準となった。近畿圏は43.2で前期比では-0.7ポイントとほぼ横ばいだが、前年同期比では-4.7ポイントと低下した。
 来期の見通しは両エリアとも上向きとなっている。

エリア別の概況 14エリア中8エリアで前期比低下、京都府・大阪府が大幅低下

 調査対象14エリアにおける今期の業況DIは8エリアで前期比マイナスとなった。
 首都圏では、埼玉県が44.3で前期比-2.9ポイントの低下となるも前年同期比では+2.3ポイントの上昇、千葉県が45.0で前期比+2.0ポイント、前年同期比+3.1ポイントと上昇した。一方、神奈川県は41.9で3期連続のマイナスとなり、前年同期からも-2.5ポイントの低下となった。東京都は23区・都下いずれも前期からほぼ横ばいに推移している。
 近畿圏の3エリアは前期比ではほぼ横ばいとなったが、前年同期比では京都府が-8.8ポイントで44.0、大阪府が-6.1ポイントで42.2と大幅に低下した。
 その他のエリアでは、低調が続いていた宮城県が前期比+7.5ポイントと大幅に上昇。福岡県は2期連続で上昇した。


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高齢者取引、取引件数は多くないが、確実に増加

 アットホームは2月18日に公表した2019年10~12月期の「景況感調査」の中で、同時に行った「高齢者(65歳以上)の不動産取引に関する調査」の結果も公表しました。高齢者の取引件数はそう多くはないものの、近年確実に増加しつつあり、景況感調査でも賃貸・売買を問わず、「高齢者からの問い合わせが増えた」といったコメントが増えています。

2019年における高齢者との取引件数

 41%が「変わらない」と回答し、「増えた」が「減った」を上回った。全取引に占める高齢者との取引の割合は「1割未満」が大勢となっている。

概要

 「2018 年と比較してどう感じるか」と質問した結果、最も多い回答は「変わらない」で41%を占めた。次いで多いのは「増えた」32%、「取引実績がない」17%となった。
 また、高齢者との取引実績があると答えた不動産店に対し、2019年の全取引に占める高齢者との取引の割合について質問したところ、47%が「1割未満」と最も多く、「3割未満」35%、「5割未満」12%が続いた。高齢者との取引件数は決して多くはないものの、「増えた」と捉える不動産店が「減った」を上回る結果となった。

高齢者との取引件数

 高齢者との取引内容は、居住用物件の賃借と売却が多数。賃借では「立退き」、売却では「相続のための現金化」が大きなきっかけになっている。

<2019 年における高齢者の取引内容(n=1,369)>※複数回答


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概要

 高齢者との取引内容を複数回答で質問すると、最多は「居住用物件の賃借」58%で、「居住用物件の売却」48%が続き、「居住用物件の購入」や「投資用物件の売却/購入」と大差がついた。
 また、高齢者が取り引きする目的やきっかけについて、不動産店から寄せられたコメントを取引内容別に集計したところ、居住用物件の賃借では「立退きによる転居」や「生活保護の住宅扶助額に収まる家賃の物件に転居する」ケースが多く、売却では「相続のための現金化」「自宅を売却した資金で介護施設へ転居したい」というケースが多かった。

高齢者が求めている住まい

 高齢者が住まいを賃借する際に重視するのは、「家賃の安さ」「周辺施設の利便性」であった。

概要

 最も多い取引である居住用物件の賃借をするにあたり、高齢者はどのような住まいを求めているのか。高齢者が居住用の賃貸物件をさがす際に重視したことと妥協したことを問うと、重視したことは多い順に「家賃」72%、「所在階」38%、「家族・親族などとの近居」27%、「病院やスーパーなどの周辺環境」24%となった。妥協したことは「築年数」58%、「セキュリティ」26%、「間取り・広さ」25%となった。高齢者が住まいを借りる際には、居住空間の安全性や快適さよりも経済面や周辺施設の利便性を重要視する傾向がある。
 一方、不動産店からは「保証人や緊急連絡先になってくれる人がいない」「保証会社の審査がなかなか厳しい」「室内でお亡くなりになるケースが増え、オーナーさまの受け入れが厳しくなっている。前もって安否確認ができるサービスを検討していく必要性を感じた」「保証人が遠方に住んでいるケースが多い」などといったコメントが多く寄せられた。保証人の有無やオーナーの理解など、高齢者との取引特有の難しさもある。

2019年第4四半期、主要都市の地価は97%の地区で上昇基調

 国土交通省国土交通省は2月14日、「2019年第4四半期の地価LOOKレポート」の結果を公表しました。全国100地区の主要都市の高度利用地等における2019年10月1日~2020年1月1日の地価動向を調査したもので、上昇97地区、横ばい3地区、下落0地区となり、上昇地区数の割合は8期連続して9割を上回りました。

概況

  • 2019年第4四半期の主要都市の高度利用地等100地区における地価動向は、上昇が97地区(前回97)、横ばいが3地区(前回3)、下落が0地区(前回0)となり、上昇地区数の割合は8期連続して9割を上回った。
  • 名古屋圏の商業系1地区(「太閤口」(名古屋市))、大阪圏の商業系3地区(「京都駅周辺」「河原町」「烏丸」(以上 京都市))、地方圏の商業系1地区(「下通周辺」(熊本市))で3~6%の上昇から0~3%の上昇に上昇幅が縮小した。
     これにより、上昇している97地区は、0~3%の上昇が74地区(前回69)、3~6%の上昇が19地区(前回:24、今回:「駅前通」(札幌市)、「錦町」「中央1丁目」(以上仙台市)、「千葉駅前」(千葉市)、「歌舞伎町」「渋谷」「中野駅周辺」(以上東京都)、「伏見」「久屋大通駅周辺」「金山」(以上名古屋市)、「中之島西」「北浜」「心斎橋」「なんば」「福島」「天王寺」「江坂」(以上大阪府)、「三宮駅前」(神戸市)、「博多駅周辺」(福岡市)、6%以上の上昇が4地区(前回:4、今回:「西梅田」「茶屋町」「新大阪」(以上大阪市)、「県庁前」(那覇市))となった。
  • 上昇している地区数の割合が高水準を維持している主な要因としては、景気の回復、雇用・所得環境の改善、金融緩和等による良好な資金調達環境を背景に、三大都市圏を中心に空室率の低下・賃料の上昇等オフィス市況が堅調であること、再開発事業の進展により繁華性が向上していること、訪日外国人をはじめとする訪問客の増加により店舗、ホテルの建設需要が堅調であること、利便性の高い地域等でのマンション需要が堅調であることなど、オフィス、店舗、ホテル、マンション等に対する不動産需要が引き続き堅調であることが考えられる。
  • 東京圏の商業系2地区(「銀座中央」(東京都)、「元町」(横浜市))と、地方圏の住宅系1地区(「大濠」(福岡市))の3地区で横ばいを継続している。なお、下落している地区は2014年第3四半期から22期連続して見られなかった。
圏域別
三大都市圏(77地区)
  • 東京圏(43)では、上昇が41地区(前回41)、横ばいが2地区(前回2)となった。
  • 大阪圏(25)では、2018年度1四半期から8期連続ですべての地区で上昇となった。上昇幅が縮小した地区は3地区であった。
  • 名古屋圏(9)では、2013年第2四半期から27期連続ですべての地区で上昇となった。上昇幅が縮小した地区は1地区であった。
地方圏(23地区)
  • 地方圏(23)では、上昇が22 地区(前回22)、横ばいが1地区(前回1)となった。上昇幅が縮小した地区は1地区であった。
用途別
  • 住宅系地区(32)では、上昇が31地区(前回31)、横ばいが1地区(前回1)となった。
  • 商業系地区(68)では、上昇が66 地区(前回66)、横ばいが2地区(前回2)となった。上昇幅が縮小した地区は5地区であった。

募集家賃、2019年4~5月から上昇基調のエリア多数

 アットホームは2月19日、アットホームラボが分析した全国主要都市の「賃貸マンション・アパート募集家賃動向(2020年1月)を公表しました。同社の不動産情報ネットワークに登録され消費者向けに公開された、首都圏と全国主要都市の居住用賃貸マンション・アパートの募集家賃動向について調査したものです。

全国主要都市の「賃貸募集家賃動向(2020年1月)

対象エリア

 首都圏(1都3県)、宮城県仙台市、愛知県名古屋市、大阪府大阪市、福岡県福岡市

対象データ

 不動産情報サイト「アットホームで公開・募集された居住用賃貸マンション・アパート(物件重複は削除してユニーク化)

定義

 家賃:入居者が1カ月に支払う「賃料+管理費・共益費等」とする。

全体概況

 平均募集家賃は、2015年1月比で、東京23区・大阪市・福岡市が好調。特に東京23区のマンションは、全面積帯で10%以上上昇。一方、都下と仙台市は同年を超えていない。
 直近1年では、全国的に2019年4~5月から上昇基調のエリア多数。特に、アパートでその傾向が顕著。

エリア別家賃のトピックス

  • 東京23区はマンション・アパートともに全面積帯で前年同月比2%超の上昇
  • 都下のマンションはカップル向き以外の面積帯で前月比下落
  • 神奈川県のマンションはシングル向き以外の面積帯で前月比上昇
  • 千葉県はカップル向きがマンション・アパートともに好調
  • 埼玉県はマンション・アパートともに全面積帯で前月比上昇
  • 仙台市のマンションは大型ファミリー向き以外の面積帯で前月比下落
  • 名古屋市のマンションはシングル向きとファミリー向きが好調
  • 大阪市のマンションは 全面積帯で前月比・前年同月比ともに上昇
  • 福岡市はカップル向きとファミリー向きがマンション・アパートともに好調

■詳しくはこちら→PDF「募集家賃動向」

2020.2.15
賃貸経営ニュースダイジェスト

2019年の新設住宅は90.5戸で3年連続減少、貸家が13.7%も減少

 国土交通省が1月31日に公表した2019年の「新設住宅着工戸数(概要)によれば、持家と分譲住宅は前年より増加したものの、貸家が2ケタ台もの減少となったため、新設総戸数は905,123戸となり、前年より4.0%減りました。減少は3年連続。

全国の概況

○総戸数:905,123戸(前年比4.0%減、3年連続の減少)
○利用関係別戸数

①持家:288,738戸(前年比1.9%増、3年ぶりの増加)
②貸家:342,289戸(13.7%減、2年連続の減少)
③分譲住宅:267,696戸(4.9%増、5年連続の増加)
・マンション:117,803戸(6.6%増、 昨年の減少から再びの増加)
・一戸建住宅:147,522戸(3.6%増、4年連続の増加)


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地域別概況

  • 首都圏:総戸数(前年比4.3%減)
    →持家:2.8%増、貸家: 13.9%減、分譲住宅:4.5%増(うちマンション:7.6%増、一戸建住宅:2.1%増)
  • 中部圏:総戸数(1.3%減)
    →持家:2.8%増、貸家:13.6%減、分譲住宅:12.3%増(うちマンション:23.0%増、一戸建住宅:7.7%増)
  • 近畿圏:総戸数(3.2%減)
    →持家:4.7%増、貸家(:10.6%減、分譲住宅: 0.2%減(うちマンション1.4%減、一戸建住宅:0.7%増)
  • その他地域:総戸数(4.8%減)
    →持家:0.7%増、貸家:14.6%減、分譲住宅:6.2%増(うちマンション7.0%増、一戸建住宅: 5.6%増)

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2019年の平均利回り、一棟アパート・一棟マンションやや上昇、区分マンション低下

 不動産投資と収益物件の情報サイト「健美屋」(けんびや)は2月6日、収益(投資用)物件の市場動向をまとめた「年間レポート」(2019年版)を公表しました。

健美屋、収益物件の2019年「年間レポート」を公表

 美家に登録された全国の収益不動産(区分マンション・一棟アパート・一棟マンション)について、投資利回り(表面利回り)、物件価格の平均値を年別に集計し、図表で紹介しています。2019年の概況は次のようにまとめています。

  • 区分マンション
    →利回り7.37%(前期比▲0.37ポイント)、価格1,566万円(同+9.97%)
  • 一棟アパート
    →利回り8.88%(同+0.03ポイント)、価格6,501万円(同▲2.94%)
  • 一棟マンション
    →利回り8.35%(同+0.30ポイント)、価格15,161万円(同▲4.63%)

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■詳しくはこちら→PDF「収益物件2019年間レポート」

国交省、「心理的瑕疵」のガイドライン策定へ

 国土交通省は2月5日、「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会を発足させ、心理的瑕疵の適切な告知、取り扱いのガイドラインづくりに向けて検討を開始しました。

「心理的瑕疵に関する検討会」が発足

 不動産取引では、取引対象の不動産で過去に死亡事故が発生した事実など、いわゆる「心理的瑕疵をどのように告知するか、また取り扱うかが課題となっており、既存住宅市場活性化を阻害する要因の一つにもなっています。

 検討会は、宅地建物取引業者、消費者団体、弁護士等で構成。2月5日の初会合を皮切りに、心理的瑕疵の適切な告知、取り扱いの指標づくりを進めます。

全宅管理、イタンジ「Cloud ChintAI」を会員向けに推しょう・提供

 (一社)全国賃貸不動産管理業協会(全宅管理)は2月4日、不動産リーシング業務のデジタル化に取り組んでいるイタンジと業務提携し、同社が提供する不動産リーシング業務のワンストップサービス「Cloud ChintAI」(クラウドチンタイ)を会員向けに推しょう・提供していくことになったと公表しました。申し込み受付は4月からの予定。

煩雑な不動産賃貸業務を「ワンストップサービス」で改革

 全宅管理には全国6,200社を超える会員企業が所属し、その総管理戸数は380万戸以上と推計されていますが、賃貸取引におけるIT重説の運用開始や電子契約の社会実験など、賃貸管理会社を取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。

 しかし、賃貸借契約の手続きは多くが対面かつ書面で行われており、記入内容の確認や修正依頼などの煩雑な業務が賃貸管理会社、仲介会社の負担となっています。

 このため、不動産取引のデジタル化を進め、24,000カ所以上の賃貸仲介拠点で利用されているイタンジ提供の「Cloud ChintAI」を会員向けに提供し、不動産賃貸業の改革を目指すことにしたということです。

 全宅管理の会員であれば、一定の要件のもと、無料で利用できるともアピールしています。申し込み以前に概要・詳細を確認したいときは、添付ファイルを確認のうえ、下記に問い合わせを。

問い合わせ先

■詳しくはこちら→PDF「全宅管理&イタジン」

全宅管理が「極度額」「家賃保証会社」への対応などを調査

 (一社)全国賃貸不動産管理業協会(全宅管理)は1月30日、会員会社に極度額の設定金額や家賃保証会社の利用など、改正民法への対応状況を聞いたアンケート調査の結果(速報)を公表しました。回答した会員は627社。極度額は「2年分」か「1年分」が目立ち、家賃保証会社は「10割利用」が最も多く3割強ありました。

調査結果の概要

貸主・借主から会員会社への問い合わせ

 「ない」が93%と圧倒的。「ある」は5%だけで、その多くは「連帯保証人の極度額」でした。

極度額の設定

 「極度額」について、賃料を5万円とした場合の想定額を聞いたところ、30%が「60万円超~120万円以下」。次いで、多かったのが「30万円超~60万円以下」(25%)でした。それらの中でも、大半は賃料の2年分(120万円)か1年分(60万円)でした。
 なかには、「借主が火災保険に無加入の場合に備える」理由から、「2,000万円」という回答もありました。

<賃料5万円とした場合の極度額>

内訳 回答数
30万円以下 99
30万円超〜60万円以下 158
60万円超〜120万円以下 187
120万円超〜180万円以下 24
180万円超〜 34
無回答 125
合計 627
家賃保証会社の利用数

 規契約に家賃保証会社を利用するかを聞いたところ、「利用する」との回答は「1割」から「10割」までばらつきが見られ、平均では64%。最も多かったのは「10割」で、33%。次いで「1割」が14%ありました。全体としては8~10割利用が過半数(54%)を占めていました。
 民法改正後の動きについては、家賃保証会社の利用が「増える」と見ている回答が65.4%、「変わらない」が33%でした。

<新規契約での家賃保証会社の利用>

内訳 回答数
1割 90
2割 39
3割 23
4割 24
5割 43
6割 17
7割 19
8割 66
9割 63
10割 209
無回答 34
合計 627
民法改正への不安な点(複数回答)

 「極度額」「契約書式」が各6割ほど。これに「原状回復」(4割弱)、「一部滅失による賃料減額」「修繕」(各3割)など続きました。

「不動産の日アンケート」、持ち家80.9%、賃貸派19.1%

 (公社)全国宅地建物取引業協会連合会と(公社)全国宅地建物取引業保証協会はこのほど、「不動産の日」(9月23日)を周知する一環で行っている「不動産の日アンケート」(住居の居住志向及び購買等に関する意識調査)の結果を公表しました。2019年は一般消費者に向け、ホームページを活用して9月23日から11月30日まで実施し、全国から22,183件の有効回答が得られました。賃貸派の割合は前年(19.5%)よりやや減ったものの、19.1%を維持しました。

主な回答結果

不動産の買い時
  • 2019年度調査では「買い時だと思う」13.0%、「買い時だと思わない」28.9%、「わからない」58.0%となった。2018年度と比較して「買い時だと思う」が3.3ポイント減少し、「買い時だと思わない」が6.3ポイント増加。「わからない」が3.0ポイント減少した。
  • 買い時だと思う理由では、「住宅ローン減税など消費税増税支援の制度が拡充されているから」が51.1%と最も多く、「今後、住宅ローンの金利が上昇しそうなので(今の金利が低いので)」が23.4%と続いた。
  • 買い時だと思わない理由では、「不動産価値が下落しそうだから」が26.8%と最も多かった。
持家派or賃貸派(現住居問わず)
  • 現在の居住形態に関係なく、「持家派」は80.9%と全体の約8割を占めている。持家派の理由では、「家賃を支払い続けることが無駄に思えるから」が53.5%と最も多かった。
  • 「賃貸派」の理由は、「住宅ローンに縛られたくないから」が41.5%と最も多く、次いで「天災が起こった際に家を所有していることがリスクになると思うから」「税金が大変だから」が続いている。
住宅購入重視点・賃貸重視点
  • 住宅購入時に重視する点について、「購入金額」が61.1%、「周辺・生活環境がよい」が50.1%、賃貸時に重視する点については、「家賃」が73.9%と最も多く挙がった。「購入」「賃貸」ともに、経済面が重視されている。また、「賃貸」の方が交通の利便性をより重視している傾向にある。

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■詳しくはこちら→PDF「不動産の日アンケート」

2020.2.1
賃貸経営ニュースダイジェスト

2019年マンション供給戸数、首都圏、近畿圏ともに2ケタ台の減少

 不動産経済研究所は1月22日、首都圏と近畿圏の「マンション市場動向(2019年のまとめ)」を公表しました。それによれば、首都圏での年間供給戸数は15.9%減の3.1万戸強へと3年ぶりに減少し、初月契約率は62.6%とわずかにアップしました。平均価格は1.9%上昇の5,980万円でした。近畿圏での年間供給戸数は1.8万戸へと13.9%減少し、月間契約率は74.1%へと0.4ポイントのダウン。平均価格は3,866万円で、0.6%アップしました。

背景に駅近好立地の確保難、平均価格の高止まり招く

 年間供給戸数がバブル崩壊直後(1992年)以来の低水準にあるのは、駅近くの好立地の確保が難しくなっているためと見られ、それによる供給戸数の少なさが平均価格の高止まりを招いています。

首都圏の2019年の概況

  • 年間供給戸数:首都圏で供給された民間分譲マンションは31,238戸であった。前年(37,132戸)に比べて、5,894戸(15.9%)の滅少。過去最多は2000年の95,635戸。
  • 都県別動向:東京都区部13.9%減、都下30.8%減、神奈川県12.5%減、埼玉県6.7%増、千葉県36.0%減。
  • 1戸当たりの平均価格:5,980万円で前年比1.9%の上昇。2年ぶりの上昇も6,000万円台には届かず。東京都区部7.286万円、都下5,487万円、神奈川県5,295万円、埼玉県4,513万円、千葉県4,399万円。
  • 初月契約率:月間平均が62.6%と前年(62.1%)比0.5ポイントのアップ。60%台は4年連続。
  • 12月末の販売在数:9,095戸で、前年末(9,552戸)比457戸の減少。

近畿圏の2019年の概況

  • 年間供給戸数:近畿圈で供給された民間分譲マンションは18,042戸で、前年(2958戸)に比べ2,916戸(13.9%)の滅少。
  • 府県別動向:大阪市部2.5%減、大阪府下16.0%減、神戸市部30.0%減、兵庫県下19.3%減、京都市部38.3%減、京都府下65.6%減、奈良県47.5%減、滋賀県14.5%減、和歌山県8.1%減。
  • 1戸当たりの平均価格:3,866万円で前年比22万円(0.6%)のアップで、アップは2年連続。
  • 月刊契約率:74.1%で、前年(74.5%)比0.4ポイントのダウン。
  • 12月末の販売在数:2,820戸で、前年末(2,907戸)比87戸の減少。

2020年のマンション供給、首都圏はわずかに増加、近畿圏はほぼ横ばい

 不動産経済研究所が明らかにした首都圏と近畿圏の「2020年マンション市場予測」によれば、首都圏での2020年マンション供給は前年比2.2%増の3.2万戸へと回復も、わずかな増加にとどまる見込みです。近畿圏も1.2%増の17,000戸とほぼ横ばいになる見込みです。

首都圏の供給予測ポイント

  • 2020年のマンション供給は前年比2.2%増の3.2万戸。わずかな増加にとどまる。
  • 都区部のタワー物件が年明けからけん引。郊外でも注目の超大型が始動。
  • 在庫は再び7,000戸台に増加。着工は2019年1~10月で前年同期比17.9%増。
  • モデルルームの多くが夏は長期間休業に。秋商戦に影響する可能性も。
  • 超高層や駅近の人気は高値でも衰えず。川沿い物件は防災強化が急務に。
  • 都心の高級物件の人気変わらず高位安定、郊外も駅近中心で価格下落の兆候見られず。
  • 商品企画のテーマは省エネ・創エネ設備や子青で支援設備、家事負担軽減設備など。

近畿圏の供給予測のポイント

  • 2020年のマンション供給は17,000戸。前年に比べ1.2%増で横ばい。
  • 大阪市中心部の超高層と京都市部が大幅供給増。
  • 在庫はまだ低水準。着工は2019年1~10月で前年同期比4.4%減。
  • 単価の上昇は継続。大阪・関西万博、IR構想で先高感が強まる。
  • 建築コスト、用地価格は上昇が継続。中心地では引き続きホテル、ビルとの競合も。
  • 駅からの距離はやや遠距離化しており、郊外の建売戸建てとの競合が激化。
  • 郊外ターミナル駅周辺物件では、中高年層の買い替え、買い増し需要が活発。

「日本リースバック保証協会」が発足

 自宅を売却後も賃貸借契約を締結することで住み続けられる「リースバック」サービスを手がける事業者が1月17日、健全な発展と社会・日本経済への寄与を目的として、「一般社団法人日本リースバック保証協会」を設立しました。代表理事には、(株)ハウスドゥ取締役の冨永正英氏が就きました。

士業の立ち会い業務や、契約内容の審査・標準化推進

 リースバックサービスは、老後の生活資金の確保や相続問題の回避などに向け、持ち家比率の高い高齢者を中心に注目されています。このため、一方では新規参入者が増え、サービスの品質低下や悪質な事業者の出現が懸念されています。

 このため協会では、消費者に不利益となる事業者の乱立を防止し、宅建業者や利用者の優位的契約を防ぐ狙いから、国家資格を持った士業の立ち会い業務や契約内容の審査・標準化を目指していくことにしています。

協会概要

名称:一般社団法人 日本リースバック保証協会
所在地:東京都千代田区丸の内一丁目8番1号
電話:03-5220-7230

主な活動内容(予定)
  • リースバックに関する調査研究
  • リースバックに関する標準化の検討・推進
  • リースバックの活用推進に向けた普及活動
  • リースバックに関する事項の政府・関係機関等に対する意見表明及び提言
  • リースバックに関係する機関等との情報交流及び連携
  • リースバック契約の立ち会い
  • その他当法人の目的を達成するために必要な活動

景気DIは2カ月連続で悪化、国内景気は後退局面

 帝国データバンクは1月9日に、2019年12月の「景気動向調査(全国)」の結果を発表し、「景気DIは2カ月連続で悪化し、年末需要が低迷」「製造業の悪化が続くなど、国内景気は後退局面に入っている」との見方を示しました。

調査結果のポイント

  • 2019年12月の景気DIは前月比1.1ポイント減の42.5となり、3カ月連続で悪化した。国内景気は、一部で好材料もあるものの、後退局面に入っていると見られる。今後は緩やかな後退が見込まれる中、海外情勢の変化が国内景気へ及ぼす影響を注視する必要がある。
  • 10業界中、「その他を除く「建設」「製造」「運輸・倉庫」「サービスなど9業界が悪化した。「製造が8カ月連続で悪化し、消費税率引き上げの影響も続く中、年末需要が例年に比べて低迷した。
  • 「南関東」「近畿」「東海」など10地域中9地域が悪化し、「北関東」が横ばい。消費税率引き上げの影響が続いたほか、中国向け輸出の停滞や東京五輪需要の落ち着きも表れ始めた。「南関東」「近畿」の2地域で全国の景況感を0.62ポイント押し下げた。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」がともに悪化した。

「不動産」業界の景況感企業の声

現在
  • テナントビルの空室率が低い(貸事務所)
  • ワンルームマンション投資への関心・ニーズは引き続き高い(不動産管理)
  • 住宅着工戸数が伸び悩む一方、ローコスト住宅やハウスメーカーが伸びている。さらに単価競争も非常に多い(不動産代理・仲介)
  • 自宅購入希望者の年収が伸びない一方で、販売物件の価格が上昇しており、需給バランスが崩れている(建物売買)
先行き
  • 東京五輪やリニア中央新幹線の開通などが好材料(土地売買)
  • 当面は、種々の都市計画等により物件購買動機の上昇が見込まれる(貸事務所)
  • 低金利政策が続く限り、現在の状態が続くと見ている(土地売買)
  • 東京五輪を控えて、不動産が売れなくなってきている(建物売買)
  • 在庫物件の価格低下による利益の減少と不動産所有者の売り控えも想定される(不動産代理・仲介)

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宅建業の重説、水害リスクの情報提供を義務化

 近年の大規模な水害を踏まえ、国土交通省は宅建業法を改正し、不動産取引時の重要事項説明に「市町村ハザードマップを活用した水害リスク」の情報提供を義務化します。1月27日の衆議院予算委員会で明らかにしました。すでに、2019年7月には、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会に、重説での徹底を依頼していました。

2019年7月には、宅建業協会に徹底を依頼

 建業法では、土砂災害や津波の災害警戒区域については、重説時の説明を不動産業者に義務づけています。しかし、洪水の浸水想定は地価の下落を招くとの懸念や、ハザードマップの作成が追いついていない自治体が見られることから盛り込まれていませんでした。
 2019年7月の国交省依頼文書では、次のように求めています。

 宅地建物取引業者は、取引の相手方等に対し、契約が成立するまでの間に、相手方等が水害リスクを把握できるよう、当当該取引の対象となる宅地や建物が存する市町村が作成・公表する水害(洪水・内水・高潮)ハザードマップを提示し、当該取引の対象の宅地や建物の位置等を情報提供する。

大東建託グループ、10年連続で賃貸仲介件数1位獲得

 大東建託グループは、週刊全国賃貸住宅新聞(2020年1月6日号)の「2020賃貸仲介件数ランキング401社」で、10年連続で第1位を獲得したと公表しました。

年間賃貸仲介件数233,000件超、仲介店舗数も前年の418拠点

 この仲介件数ランキングは、全国の不動産会社を対象に実施したアンケート調査をもとに作成されています。2020年は、2018年10月~2019年9月末までの仲介件数のうち、原則直営店舗の仲介件数をカウントしており、管理物件のうち他社による仲介件数は含まれていません。

 大東建託によれば、グループの2019年9月末時点での年間賃貸仲介件数は233,277件で、前年の222,554件に比べ、10,723件増加。仲介店舗数も前年の404拠点から418拠点へ増えました。

今後も需要が見込める地方都市に積極的に出店

 グループの自社付け仲介事業を担う大東建託リーシングは、2016年の分社化を機に、他社管理建物の仲介を開始し、取り扱う賃貸建物を充実させました。また、駐車場契約書の電子化や5G時代に対応した光回線NURO(ニューロ)光の導入など、入居者の利便性向上に向けた取り組みを行っています。

 グループのハウスコムでは、オンライン内見やAIなどのITを活用したお部屋探しサポートに積極的に取り組み、2019年8月30日、東京証券取引所市場第二部から同市場第一部銘柄へ指定替えしました。

 同社では今後も、市場性のある都市部や人口流動により需要が見込める地方都市に積極的に出店をすると同時に、入居者様に選ばれ続ける高品質な賃貸建物や、付加価値の高いサービスを提供していくことにしています。

過去のランキング結果(週刊全国賃貸住宅新聞、単位:件)

2016年(254社) 2017年(320社) 2018年(326社) 2019年(327社) 2020年(401社)
1位 大東建託
156,151
大東建託
グループ
197,969
大東建託
グループ
210,574
大東建託
グループ
222,554
大東建託
グループ
233,277
2位 エイブル
152,978
エイブル
158,517
ミニミニ
151,663
ミニミニ
154,534
ミニミニ
154,808
3位 ミニミニ
148,986
ミニミニ
149,657
東建コーポ
レーション
71,370
東建コーポ
レーション
75,237
東建コーポ
レーション
79,188
4位 ハウスコム
67,369
東建コーポ
レーション
68,334
ハウスメイト
グループ
70,051
ハウスメイト
グループ
69,473
ハウスメイト
グループ
71,179
5位 東建コーポ
レーション
65,959
ハウスメイト
パートナーズ
67,152
タイセイ・ハウジー
50,910
タイセイ・ハウジー ホールディングス
49,046
タイセイ・ハウジー ホールディングス
53,458

賃貸仲介手数料訴訟、仲介業者の敗訴が確定

 貸住宅を借りたとき、家貸の1カ月分の仲介手数料を支払わされたとして、借主の男性が仲介業者(東急リバブル)に一部返還を求めていた訴訟の上告審判決で、東京高裁が1月14日、仲介業者側の上告を棄却したことが明らかとなりました。これにより、「借主からの承諾なく、国が定める0.5カ月分を超える手数料を受け取ったのは違法」と判断して返還を命じた二審の東京地裁判決が確定しました。

「事前承諾」手続を早める動きへ

 仲介手数料は、宅地建物取引業法に規定(第46条:報酬)があり、賃借の仲介で不動産会社が受け取れる金額は、上限が「賃料の1カ月分以内」(告示)と定められています。そのうえで、①貸主と借主それぞれから受け取る仲介手数料は賃料の半月分以内とする、②ただし、依頼者の承諾があればどちらか一方から賃料の1カ月分以内を受け取ることができる、とされています。

 判決によれば、男性は2012年末に物件を内覧し、仮申込書を提出して契約の意思を示しました。翌2013年1月10日に東急側から「20日に契約する」と連絡を受け、同日に「手数料:家賃1カ月分」と記された申込書に押印しました。

 争われたのは、この経緯から仲介手数料の例外規定(②)が成立するか、です。一審の東京簡裁は男性の請求を棄却しましたが、二審の東京地裁(2019年8月)は「借主の事前承諾を得たとは言えない」として男性が逆転勝訴し、仲介業者側が東京高裁に上告していました。

 この判決を受け、仲介手数料の事前承諾を早める動きが広がると見られます。

2020.1.15
賃貸経営ニュースダイジェスト

11月の貸家新築数は前年同月比17.5%減、15カ月連続で減少

 国土交通省が12月26日に公表した2019年11月分に新設住宅着工統計によれば、着工総数は73,523戸となり、前年同月比12.7%と2ケタも減少しました。減少は5カ月連続。特に、投資用不動産の不正融資や有力業者の不正建築問題などを受け、貸家が28,779戸と17.5%も減少しました。減少は15カ月連続です。

全国の概況

1. 総戸数:73,523戸(前年同月比12.7%減、5カ月連続の減少)
2. 利用関係別戸数
①持家:23,655戸(前年同月比7.3%減、4カ月連続の減少)
②貸家:28,779戸(前年同月比17.5%減、15カ月連続の減少)
③分譲住宅:20,819戸(前年同月比10.3%減、6カ月ぶりの減少)
・マンション:7,995戸(同23.6%減、4カ月ぶりの減少)
・一戸建住宅:12,705戸(同1.1%増、6カ月連続の増加)

首都圏公正取引協調べ、調べた24社の7割で「おとり広告」

 (公社)首都圏不動産公正取引協議会は2019年12月23日、インターネット賃貸広告の一斉調査(第6回)の結果を公表しました。調査対象とした24社のうち17社(70.8%)に「おとり広告」が認められました。

調査対象256物件のうち、「おとり広告」が15.6%

 ポータルサイト広告適正化部会の構成会社4社が運営する不動産情報サイト(at home、CHINTAI、LIFULL HOME‘S、SUUMO)に掲載されていた賃貸住宅のうち、一定のロジックに基づき、契約済みの「おとり広告」の可能性が極めて高い物件、256物件を抽出。これらの物件を掲載している事業者24社(27店舗)を調査したところ、17社(70.8%)に「おとり広告」が認められました。店舗別では、調査対象店舗27店舗のうち17店舗(63.0%)の広告に「おとり広告」が認められた。

 物件ベースでは、調査対象256物件のうち40物件(15.6%)が「おとり広告」と認められました。協議会ではこれら17社に、その内容に応じた一定の措置を講じることにしています。

東京都、「トラブル防止ガイドライン」(概要版)の日・英・中・韓版を制作

 東京都(都市整備局住宅政策推進部不動産業課)は2019年12月20日、賃貸住宅居住者の多様化・国際化に対応し、「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」(概要版)を、日本語版のほか、英語、中国語、韓国語版を制作し公表しました。

条例で義務付けている説明の意味や内容も解説

 賃貸住宅のトラブルを防止するために知っておきたい退去時の敷金精算や入居期間中の修繕に関する費用負担の原則、賃貸借契約、住まい方等で注意すべきことをわかりやすく説明。ほか、東京都の条例で義務付けている説明の意味や内容、また国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」などを理解してもらう内容になっています。

■詳しくは下記PDFへ↓
PDF「全文」
PDF「英語版<English>」
PDF「中国語(簡体字)版<中文>」
PDF「韓国語版<한글>」

日管協短観、2019年度上期は入居率95.4%(全国)を確保

 (公財)日本賃貸住宅管理協会は2019年12月13日、第22回賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観(2019年度上期)」を公表しました。それによれば、仕入れは新築が大きく下落する一方、既存は上昇。入居率は95.4%(全国)と高い入居率を確保しました。また、月初全体の滞納率、月末での1カ月滞納率はともに全エリアで下降。平均居住期間(全国)は、一般単身(学生除く)の「4年以上」が約3割と前年同時期より長期化し、高齢者(65歳以上)の「6年以上」が約7割を占めました。

家賃保証会社利用、民法改正を受け全エリアで上昇(関西100%)

 主な調査結果は次の通りです。

業況判断指数DI値の推移(まとめ)
  • 反響効果では、ポータルサイトが特に上昇。反響数は特にメールで大きく上昇している。
  • また、来客数は学生、一般単身、高齢者で大きく上昇した。
  • 賃貸成約件数は上昇、成約賃料は1LDK~2DK、2LDK~で上昇したが、売上の賃貸仲介、管理手数料はほぼ横ばい。売買成約件数、売買手数料売上は下降した。
  • 入居条件では、賃料以外の全てで下降。また、入居時条件交渉も全てで下降した。
告知媒体
  • 全国では、ポータルサイトが前年同期から増加。
  • エリア別にみると、ポータルサイトはいずれのエリアにおいても増加している。
    【考察】前年の下期同様、PCやスマートフォンで物件探しを行っている比率が、さらに高まってきている。複数物件の比較が容易であることも、増加要因と言える。
反響効果
  • 全体では、「増加」比率が5割超。特にポータルサイトの「増加」比率が約6割と高い。
  • 全エリアでポータルサイトの「増加」比率が高いが、特にその他のエリアで 7割近い。
    【考察】紙媒体に大きな変化は見られない。自社HPを充実させて、ユーザーの囲い込みを図ろうとしている傾向がうかがえる。
反響数
  • 全体では「増加」が約6割。特にメールの「増加」比率が約7割となった。
  • その他のエリアで、メールの「増加」比率が8割以上。
    【考察】・反響数が増加しているものの、まだ、直接来店にまでは達していない。
来客数
  • 全体では「増加」比率が約4割で、特に、一般単身(学生除)と高齢者(65歳以上)が4割弱。
  • 関西圏、その他エリアでは一般単身(学生除)の「増加」比率が約5割。また、その他エリアでは、高齢者も「増加」比率が5割超。
    【考察】首都圏以外で、企業の転勤が増加している可能性がある。法人の大幅な増加は景気好転の影響による。また、当面は外国人の増加傾向が続くと思われる。
成約件数
  • 全国でみると、賃貸は「増加」比率が4割以上。一方、売買では「変化なし」が約6割。
  • エリア別にみると、関西圏で賃貸の「増加」比率が5割以上だった。
    【考察】賃貸は順調に推移するも、売買は鈍化。
成約賃料
  • 全体でみると、「変化なし」が約5割。
  • 首都圏において、他2エリアよりすべての間取りで「増加」比率が高い。特に1LDK~2DKの「増加」比率は4割弱。
    【考察】首都圏・関西圏を除くエリア・首都圏への人口流入、市場性の高い都心物件の賃料アップが影響していると思われる。
  • 一般単身者の1LDKの需要が高まっているため、1LDK~2DKの物件の新築比率も高まっていると思われる。
仕入(新規管理受託戸数)
  • 全体では「増加」比率が4割強。
  • その他のエリアでは、「増加比率」が約5割となった。
    【考察】管理替え受託に注力している影響があらわれているのではないか。
売上傾向
  • 全国では、リフォーム関連等の「増加」比率が高く、4割強。
  • 関西圏でリフォーム関連等、付帯商品(保険等)の「増加」比率が、6割弱と特に高い。
    【考察】入居率を上げるため、リフォームの質を高めている可能性がある。中古物件のリノベーション増も影響していると思われる。
入居率・滞納率
 ①入居率
  • 委託管理は、首都圏以外で上昇。
  • 委託管理の首都圏は下降しているものの、ほぼ前年の水準を保っている。
  • サブリースは、いずれのエリアにおいても上昇。
    【考察】サブリースの入居率が上昇しているのは、会社の利益に直結しているためと思われる。
 ②滞納率
  • 月初全体の滞納率、月末での1カ月滞納率は、全エリアで下降。特に首都圏で、月末での1カ月滞納率が大幅に下降している。
  • 月末での2カ月以上滞納率は、関西圏以外で下降。
    【考察】機関保証の利用件数の増加が、影響している可能性も考えられる。
平均居住期間
  • 全国では、一般単身(学生除)の「4年以上」が約3割と、前年同期に比べてやや長期化。また、高齢者(65歳以上)の「6年以上」が約7割を占めている。
  • エリア別では、関西圏の一般ファミリーの「4年以上」が約9割。
    【考察】転居費用を捻出できるほどまで、景気は上昇していない。そのため、節約する傾向も影響していると思われる。
一時金・家賃保証会社利用
 ①一時金
  • 礼金は、首都圏のみ上昇。
  • 敷金(保証金)は、首都圏と関西圏で上昇。
    【考察】微増であり、敷金は2カ月分まで戻っていない。市場性の高いエリアは、一時金アップも可能。
 ②家賃保証会社利用割合
  • いずれのエリアも上昇し、特に関西圏では100%。
  • 機関保証への加入必須割合は全国で8割超。全エリアで大幅に上昇。
  • 家賃保証会社利用数は、首都圏、関西圏で上昇。特に首都圏では4社以上となった。
    【考察】民法改正による極度額設定が影響している。

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■詳しくはこちら→PDF「第22回日管協短観」

事故物件の重説は「当該住戸のみ」7割、入れ替え「1回」最多

 (公財)日本賃貸住宅管理協会は2019年12月13日に公表した第22回賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観(2019年度上期)」の中で、いわゆる“事故物件”などの心理的瑕疵物件における重要事項説明(重説)の実態を調査し、結果を公表しました。それによれば、重説を行う範囲は約7割が「当該住戸のみ」で、告知期間は入居者入れ替え「1回」が最も高く4割。自由記述では、「事故の内容や状況などによって対応を変えている」などが見られました。

日管協調査の結果概要

重要事項説明を行う範囲
 ①対象となる住戸などの位置…「当該住戸のみ」が約7割
  • 全国では、「当該住戸のみ」が最も高く、約7割となっている。
  • エリア別に見ても、「当該住戸のみ」が最も高い傾向は変わらない。
  • 自由記入欄への回答では、「状況による」「事故のレベルや騒ぎの有無等を考慮し説明範囲を決める」「基本は当該住戸のみだが、亡くなり方や場所により対象範囲を広げる」などがあった。
    【考察】規模や物件構造による違いは考慮すべき必要がある。

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 ②重要事項説明を行う範囲…「室内で自殺」のとき7割強
  • 最も高いのは、「室内で自殺」で7割強。室内で亡くなった場合では状況を問わず、約6が重要事項説明を行うと回答した。
  • エリア別においても、比率に差はあるものの、概ね同傾向にある。
  • 自由記入欄への回答では「都度、弁護士に確認(発見までの日数等)」などがあった。
    【考察】賃貸住宅管理業界では、本件については慎重な対応を推進している。
重要事項説明における告知期間…入れ替えで多いのは「1回」、関西は2回
  • 「入居者1回入れ替え」が最も高く、約4割となっている。
  • 首都圏、その他エリアでも、「入居者1回入れ替え」が最も高い。
  • 関西圏では、「入居者2回入れ替え」が最も高い。
  • 自由記入欄への回答では、「内容により期間を設定」「自殺は数回だが、他殺は半永久」「原則1回だが、認知度や入居期間により変更する場合がある」「弁護士に相談」などがあった。
    【考察】事例によって多様な処理がされている。地域によっては、仮に10年以上が経過しても風評が消えないことがあるなど、地域によってバラつきが大きい。

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判明したきっかけ…「家族からの連絡」が約8割、関西では職場・近隣など
  • 全国では、「家族からの連絡」が最も高く、約8割を占める。
  • 首都圏、その他のエリアでも、「家族からの連絡」が最も高い。
  • 関西圏で高いのは、「職場からの連絡」と「近隣の住戸及び他の入居者からの連絡」である。
    【考察】関西圏では、近隣住民同士の付き合いが深いケースが多いため、近隣住民等によって判明する比率も高い。

宅配便再配達率、2019年10月は15.0%でやや改善

 国土交通省は2019年12月24日、2019年10月の宅配便再配達率は15.0%となり、前年同期より0.2ポイント改善されたと公表しました。目標としては、2020年度には13%程度まで抑えたい方針。

改善目標は2020年度13%前後

 ライフスタイルの多様化とともに電子商取引(EC)が急速に拡大し、宅配便の取り扱い個数が増加している一方、宅配便の再配達はCO2排出量の増加やドライバー不足を深刻化させるなど、重大な社会問題になっています。このため、国土交通省では「総合物流施策推進プログラム」で宅配便の再配達率の削減目標を設定(2017年度16%程度→2020年度13%程度)し、対策の浸透に取り組んでいます。

 再配達率は相対的に低い地方では1.4ポイントも減りましたが、都市部では0.1ポイント増えました。個数の多い都市近郊部は0.3ポイントの改善。

調査結果(単位:個)

令和元年10月 平成30年10月
(前年同月調査)
総 数 再配達数 再配達率 総 数 再配達数 再配達率
都 市 部 839,143 139,158 16.6% 844,935 139,486 16.5%
都市部近郊 1,325,342 189,901 14.3% 1,436,175 209,040 14.6%
地   方 130,910 15,080 11.5% 126,629 16,372 12.9%
総   計 2,295,395 344,139 15.0% 2,407,739 364,898 15.2%

民間住宅ローンの貸出動向、アパートローンは「減少」増える

 住宅金融支援機構は2019年12月20日、2019年度「民間住宅ローンの貸出動向調査 (2018年度分)の結果を公表しました。それによれば、アパートローンの2018年度の新規貸出額の対前年度増減は、「大幅減」「減少」の合計割合が増加。業態別では特に、地方銀行、信用金庫、その他金融機関で「大幅減」「減少」の合計割合が増加しました。また、アパートローンへの取り組み姿勢は、新規・借換については現状、今後とも「積極的」が減少し、「消極的(慎重、縮小)」が増加しました。

調査結果の主なポイント

民間住宅ローン
  • 新規貸出額の金利タイプ別構成比は、「変動金利型」が2年連続で増加
    2018年度の新規貸出額の金利タイプ別構成比は、「変動金利型」が70.4%となり、2年連続で増加(前回調査:63.9%、前々回調査:49.9%)しました。一方、「固定期間選択型(10年)」は14.3%となり、2年連続で減少(前回調査:19.7%、前々回調査:28.8%)しました。
  • 新規貸出額に占める借換割合は、2年連続で減少
    2018年度の新規貸出額に占める借換割合は、単純平均で15.4%となり、2年連続で減少(前回調査:19.8%、前々回調査:25.9%)しました。
  • 今後重視する商品は、「中古住宅向け」及び「リバースモーゲージ」が増加
    今後重視する商品は、「中古住宅向け」が74.0%(前回調査:67.9%)、「リバースモーゲージ」が20.7%(前回調査:16.3%)と増加しました。
アパートローン
  • 2018年度のアパートローン新規貸出額の対前年度増減については、全体では「大幅減」「減少」の合計割合が増加した。業態別では、地方銀行、信用金庫、その他金融機関で「大幅減」「減少」の合計割合が増加した。
  • アパートローンへの取り組み姿勢は、新規・借換について、現状、今後とも、「積極的」が減少し、「消極的(慎重、縮小)」が増加した。前年度と比べたアパートローンへの取り組み姿勢の変化については、「特に変化なし」(59.0%)が最も多いが、次いで「リスク管理の強化」(33.7%)、「採算性の見直し」(12.6%)となった。
  • 「アパートローンへの取り組み姿勢」で「今後、積極的」を選択した回答機関において、アパートローンを積極化する方策としては、「借換案件の増強」(34.5%)が最も多かったが、前回調査と比較して12.3%低下した。次いで「営業体制強化」(34.5%)、「商品力強化」及び「営業エリア等の拡充や見直し」(各31.0%)となった。
  • 取り扱い中の商品で、「アパートローン」を選択した機関に、融資にあたって重視する点について聞いたところ、「物件の収支バランス」(96.3%)が最も多く、次いで「顧客属性(返済能力など)」(85.9%)、「立地(利便性)」(74.3%)となった。また、アパートローンの取扱いについて聞いたところ、主に取り扱う住戸タイプについては「夫婦のみ世帯向け(1LDK~2DK)」(40.1%)が最も多く、連帯保証の必要性については「その他」(68.3%)が最も多かった。また、審査実施部門については「自らの審査部門」(81.3%)が最も多かった。

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2020.1.1
賃貸経営ニュースダイジェスト

賃貸オーナーが見据えておきたい「不動産業界の○○年問題」
人口減・世帯減が進むものの、住まいは「所有から利用へ」高まる

 賃貸経営を取り巻く市場環境はどう変化しているのか。その変化に、どう対応していくべきなのか…2020年の年頭にあたり、賃貸住宅を中心とした不動産業界を展望すると、見据えておくべきいくつかの「○○問題」が存在します。

「2020年問題」…東京オリパラ後に“反動減”が到来!?

 7月に開幕する東京2020オリンピック、翌8月に開幕する東京2020パラリンピックは、大規模な投資が広く繰り広げられるので、不動産業界にとって大きな好況要因です。しかし、開催国はいずこも、直後に反動減に襲われます。ヤマが高いほどタニも深くなり、東京1964オリンピック後も厳しいオリンピック不況に見舞われました。

 今回は、足元がおぼつかない低成長経済のもと、消費税増税(2019年10月)の最中であったため、目立ったオリンピック効果は期待薄。貸家新設にいたっては2019年10月時点で、前年同期割れが14カ月連続にもなっています。オリパラ後の反動減が、その分だけ谷が深くならなくてすむのか、それとも投資マインドがさらに冷え込むのか、市場ウォッチャーの見方は分かれています。

 「2020年問題」としてはもう一つ、改正民法の施行(2020年4月)による賃貸借ルールの見直しがあります。契約継続中の「修繕」「譲渡」、終了時の「原状回復」「敷金」、さらに「債務保証」の各ルールが改正されたので、募集・入居者対応時にはご留意を。

「2022年問題」…生産緑地の宅地転用で不動産相場が暴落!?

 都市部の農地を保護する狙いから、生産緑地法で、30年間の営農義務を果たす農地への優遇税制が設けられて2022年で30年。その広さは東京ドーム3,000個分にもなる13,653.7ha(2014年)で、ほとんどが三大都市圏にあります。

 これらのうち、後継者がいなくて営農が継続できなくなったり、自治体が買い受けなかったりして「指定解除となった農地が、2022年以降に宅地として放出され始めます。それが大量になると、需給バランスが崩れて、都市部近郊の相場が暴落するのではないかと懸念されているのです。

 ただ、2018年6月の改正生産緑地法の施行(特定生産緑地の施行は2019年4月)、2019年9月の「都市農地賃貸円滑化法」の施行で、生産緑地の所有者の選択肢が大きく広がり、相場暴落は「杞憂に過ぎない」との見方も広がっています。

「2025年問題」…団塊の世代の後期高齢化で相場下落!?

 戦後のベビーブーム時(1947~1949年)に生まれた、いわゆる“団塊の世代”。我が国の社会・経済の成長とともに育ち、働き、現在70歳前半。すでに平均健康寿命とされる72歳に入っていますが、2025年にはいよいよ後期高齢者入りとなります。

 この団塊の世代3年間の人口は800万人と、全人口の6%も占めます。団塊の世代はこれまで、いつも未曾有の受験競争や出世競争にぶつかってきましたが、いよいよ否応なく所有不動産を手放し、相続する時期に突入します。これにより不動産の供給量が急に高まり、相場の暴落や空き家の急増を招くと懸念されているのです。

 団塊の世代の後期高齢化と人生のリタイアは、我が国の社会・経済、そして医療・介護、福祉、働き方といった社会制度の抜本的な改革をもたらします。「2020年問題」「2022問題」とは、質・量ともに異なる課題であることを肝に銘じておきたいものです。

「不動産ビジョン2030」…今後の10年間に向けた問題意識と提言

 賃貸経営の先行きについては、国土交通省の社会資本整備審議会産業分科会不動産部会「不動産ビジョン2030」(2019年12月17日4月)が、次のような問題意識と提言を示しています。認識しておきたいポイントを列記すると次のようになります。

不動産業を取り巻く市場の変化…借地・借家派がこの20年で6割増える
  • 少子高齢化・人口減少の進展
    *将来推計人口は、2015年の127,095千人に対し、2030年119,126千人→2065年88,075千人に減少へ。
  • 空き家・空き地など遊休不動産の増加、既存ストックの老朽化
    *賃貸用・売却用住宅の空き家数は、2008年4,127千戸に対し、2013年4,292千戸→2018年4,327千戸へと増加中。
  • 消費者ニーズの変化
    *「借地・借家でもかまわない」がこの20年で約6割も増え、“所有から利用へ”のすう勢が明らか(「借地・借家でかまわない」割合:1998年12.6%→2017年20.4%)
  • (インターネット、メール・テレビ会議、AI、IOT、ビッグデータなど)新技術の活用・浸透
  • 働き方改革の進展
  • 地球環境問題による制約・健康志向の高まり・自然災害の脅威
賃貸分野における課題…多様な世帯への住まいの確保は社会的責務
  • 国民の不動産に対する所有意識や、個人のライフスタイル・ワークスタイルの変化、企業における働き方改革の進展等にともない、賃貸業は多様化する借り手側のニーズを的確に把握し、不動産最適活用を促していくことが重要となる。
  • 特に近年は、住宅セーフティネットの確保や民泊の推進などを後押しする施策の充実化が図られてきており、こうした公的な目的での活用方策も視野に入れる必要がある。
  • 賃貸住宅では、建設投資を巡るトラブルが多発している。オーナーが新たに賃貸住宅を供給しようとする際には、市場ニーズや賃料収入の減少等による事業のリスクに関する情報が適切に提供される環境を整備する必要がある。
  • 賃貸住宅は、住宅確保要配慮者、急増する単身高齢者、外国人など多様な世帯にとって住まいの確保という重要な役割を担っている。オーナーは、居住者に良質な居住空間を安定的に提供する責務を負っていることを十分理解する必要がある。

サブリース業者による家主への契約内容の説明、6割にとどまる

 国土交通省は2019年12月18日、賃貸住宅管理業者、家主、入居者を対象としに、同7~8月に実施した「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査」の結果を公表しました。サブリースでは業者から家主への説明不足がたびたび問題化していますが、調査結果によれば、業者が契約締結時に家主に説明している契約内容は、「将来の家賃変動の条件」「賃料の固定期間・改定時期」「空室のリスク」「賃料減額のリスク」が多く、いずれも6割程度にとどまっていました。

国土交通省、「賃貸住宅管理業務アンケート調査」の結果を公表

 この調査はWeb方式などで行われ、賃貸住宅管理業者は対象11,538社(うち登録業者4,429社、未登録業者7,109社)のうち、有効回答数は2,947社(回答率25.5%)。家主・入居者はWebアンケート調査会社のモニター(全国)を対象とし、有効回答は家主414、入居者310。

 調査結果によれば、管理業者の実施業務は、受託管理、サブリースとも「苦情対応」「敷金精算・原状回復」「契約更新」が多く、8~9割程度を占めていました。

 また、家主と受託管理業者との間で生じているトラブルには、「賃料・敷金等が入金されるまでに時間を要する。または入金されないことがある」「管理業務内容に関する認識が管理業者と異なっており、期待する対応がなされない」などが多く、合わせて5割程度を占めました。

調査結果の主なポイントは次の通り(国交省発表)

  • 賃貸住宅管理業者が実施する管理業務は、受託管理・サブリースいずれの場合においても、「苦情対応」「敷金精算・原状回復」「契約更新」が多い(8~9割程度)。
  • 家主が所有している賃貸住宅の管理方法は、「業者に任せず、全て自ら管理している」が2割程度にとどまっており、「入居者募集から契約などの管理業務の全て、または一部を業者に委託している」が多い(8割程度)。
  • 家主が受託管理業者との間で経験したトラブルは、「賃料・敷金等が管理業者から入金されるまでに時間を要する、または入金されないことがある」「管理業務の内容に関する認識が管理業者との間で異なっており、期待する対応がなされない」「管理業者から管理業務に関する報告がなく、適切に対応がなされているか把握できない」等が多い(合わせて5割程度)。
  • 入居者が経験したトラブルは、「水漏れや設備の故障等修繕の必要性が生じた際、対応に著しく時間がかかった」「入居者同士でのトラブルが発生した」が多い(2~3割程度)。
  • サブリース業者が契約締結時に家主に対して説明している契約内容は、「将来の家賃変動の条件」「賃料の固定期間・改定時期」「空室のリスク」「賃料減額のリスク」が多いが、いずれも6割程度にとどまっている。家主に対する調査結果も同様の状況となっている。
  • 家主がサブリース物件を取得する際に受けた営業(勧誘)状況は、8割程度が営業(勧誘)を受けており、うち「サブリース業者」のみの営業(勧誘)の割合は1割にとどまり、「不動産業者」、または「建設会社」が関与する営業(勧誘)の割合は6割程度となっている。

◆トラブルの経験内容(回答者:家主)◆
受託管理


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*「管理業務を業者に任せず、全て自ら管理」と回答した家主を除いて再集計した。

サブリース


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■詳しくはこちら→PDF「賃貸住宅管理業務アンケート調査結果(概要)

入退去時の「電力契約」「カギ管理」「募集業務」の効率化・自動化を実現

 東京電力グループのPinT(ピント)と、スマートロック「オペロ」を提供する大崎電気工業、テクノロジーで賃貸取引をサポートするイタンジの3社は、2019年12月11日、不動産賃貸サービス分野で業務提携し、入退去時の電気契約手続きの自動化や鍵受け渡し業務の不要化など、新たな不動産賃貸サービスを開発・提供していくと、に公表しました。

東京電力グループPinTと大崎電気、イタンジが不動産賃貸サービスで提携

 件ごとの電力使用量は、スマートメーター化の進展で、検針員による現場計測から遠隔計測・操作へと移行中で、2023年には完了する見込みにあります。これにより、入居者の退去にともなう通電停止が厳格化し、退去後のルームクリーニングや内見のための電気使用は新たに直接電力会社と契約しなくてはなりません。

 この作業は、引っ越し繁忙期には1物件あたり15分~30分かかるうえ、電力料金の請求書も物件ごとに紙で送付されてくるなど、賃貸管理会社には負荷のある業務となっています。
 また、退去後の物件へのルームクリーニングや内見のための鍵の受け渡し、新入居者決定後の鍵交換なども賃貸管理会社にとっては負荷のある業務です。

 今回の3社提携で、イタンジの不動産リーシング業務ワンストップサービス「クラウドチンタイ」の「内見予約くん」「申込受付くん」、PinTの賃貸管理会社向け電力サービス「PinT with 賃貸」、大崎電気の「オペロ」と連携させることで、これらの業務をシステム上で一元管理が可能となります。発表によれば、新サービスを利用することで、賃貸管理会社は次のメリットが得られます。

  • 入退去に連動して、空室の 電気契約手続きの自動化が可能
  • 入退去時、ルームクリーニング時、内見時の鍵受け渡しや交換を無くし入退出を管理
  • 空室時の鍵開閉状況が把握できることにより、空室の不正利用を防止
  • 上記の電気契約手続きや鍵の管理をシステム上から一元管理
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