2014年バックナンバー

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.12.15

ヒートショック、“居る部屋”のみ暖房で6割がリスクの高い生活

  冬になると起こりやすい「ヒートショック」の要因となる住環境リスクを「暖差リスク」と名付け、その認知促進と予防対策を啓発していく機関、「暖差リスク予防委員会」はこのほど、冬の住宅に関する調査を実施し、住宅の暖かさに対する意識や、「ヒートショック」に対する意識の実態を調べました。

■暖房の不満、第1位は「廊下や脱衣室、浴室が寒いこと」
 それによれば、約半数が冬の住宅の暖かさに不満を持っており、不満な点の第1位は「廊下や脱衣室、浴室が寒いこと」でした。
 また、「暖房等で暖めるのはリビングなどの“ヒトが居る部屋”のみで、その他の場所は暖めない」人が6割に上り、ヒートショックのリスクの高い状態にあることが分かったとしています。


■入浴中急死…交通事故死よりはるかに多い17,000人、8割が高齢者
 ヒートショックは冬場に、風呂やトイレなど家の中の温度差が原因で血圧が急激に変化し、心肺停止にもつながる症状。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの調べによれば、2011年の場合、約17,000人もがヒートショックに関連した「入浴中急死」と推計され、交通事故による死亡者数(4,611人)をはるかに上回っています。
 うち、8割を超える14,000人が高齢者と考えられています。

■「暖差リスク予防委員会」の調査概要はこちら→PDF「暖差リスク予防委員会20141215」


住宅火災の盲点、ストーブ火災の7割が“手軽で安全”な!?「電気」

 例年1~3月は、住宅火災による被害が増えます。その盲点となっているのが、空気を汚さず手軽なことから増えている電気ストーブ。東京消防庁の調べでは、ストーブ火災の7割が電気ストーブによるもの。手軽なうえ、給油・換気の手間がいらず、しかも安全なイメージが先行しがちなためか、座布団や衣類が燃え上がるというケースが増えています。消防では「周囲は常に整理整頓する」「使用しないとき、就寝するときはスイッチを切る」よう習慣づけてほしいと注意を呼びかけています。

■死亡火災は、コンロの2倍以上も発生
 自治省消防庁の平成25年の「火災統計」によれば、総出火件数は前年より3,906件多い48,095件、総死者数は96人少ない1,625人でした。このうち、住宅火災は29.3%にあたる14,108件で、死者数は67.7%にあたる1,100人でした。
 そして、これらのうち死者が発生した住宅火災(996件)の火元出火原因ですが、その3大要因を調べると、「たばこ」(134件、13.4%)、「ストーブ」(93件、9.3%)、「放火」(89件、8.9%)となりました。日々使われている「コンロ」が39件で、3.9%にとどまっていることからすれば、「たばこ」と「ストーブ」の多さが際立っています。



 放火を除く住宅火災100件あたり死者の発生率は、前年(平成24年)の場合で、8.2人。しかし、3カ月別にすると7~9月が4.3人であるのに対し、1~3月は3倍近い11.2人。冬の発生数が多く、また死者の発生率も高いのです。その大きな要素となっているのが「ストーブ」です。

■多いのは寝具類・座布団への着火(東京消防庁)
 東京消防庁が、ストーブが出火原因となった住宅火災を、過去5年間(平成21~25年)に起きた674件を検証したところ、うち72.8%にもあたる491件が電気ストーブ、カーボンヒーター、ハロゲンヒーター、温風機といった「電気ストーブ」によるものでした。
 着火物別は、寝具類・座布団が全体の4割以上を占め、これに衣類、その他の繊維製品と続いていました。また、出火時間帯別は夜中の0時から朝9時にかけての時間帯に多く、なかでも3時から6時が最も多くなっています(出火時間不明27件を除く)。


平成25年度「住宅市場動向調査」、景気、家計収入が“プラス影響”に

 国土交通省(住宅局)は2014年11月下旬、平成25年度「住宅市場動向調査」の結果を公表しました。この中で、特徴的な結果が出たのは、アベノミクスによる景気回復を期待した見られる次の2項目でした。

■住宅取得時に経済的要因が与えた影響度
 「景気の先行き感」や「家計収入の見通し」などの6つの経済的要因が、住宅取得時に与えた影響度について調査した結果、前年度までマイナスに影響していた「景気の先行き感」、「家計収入の見通し」がプラス影響となるなど、全ての項目でプラス影響となった。

■民間金融機関からの借入金における金利タイプ
 民間金融機関からの借入がある世帯について、借入金の金利タイプを調査した結果、「変動金利型」のシェアが若干減少に転じ、「固定金利期間選択型(10年超)」と「全期間固定金利型(10年超)」の選択割合が増加に転じている結果が得られた。

■詳しくはこちら→PDF「平成25年度住宅市場動向調査」


賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.12.1

20代の住まい探し、「PC・スマホ併用」が約4割

 (株)ジャストシステムは、セルフ型アンケートサービス「Fastask(ファストアスク)」を利用して、20~50代の男女800名に対して行った「賃貸情報サービスに関するアンケート」の調査結果をサイト上で公表しました。

■6割以上が「駅までの経路/時間」が利用を後押し
 それによれば、20代の住まい探しは「PC・スマホ併用」が約4割に及ぶなど、次のような傾向が分かったとしています。
●20代の住まい探しは、「PCとスマートフォンの併用」が約4割。
●60%以上が「最寄り駅までの経路/時間が分かる機能」が利用の後押しになる。
●利用率が高い賃貸情報サービスは、1位「SUUMO」、2位「CHINTAI」、3位「HOME'S」。
●20代男性の3人に1人が「今後、スマートフォンアプリを積極的に利用したい」。
●33.1%が「掲載物件数が多そうなイメージ」で賃貸情報サービスを選ぶ。
 この調査は2014年11月14~17日、セルフ型ネットリサーチ「Fastask」を利用して、アンケート方式で実施されました。主な設問項目は下記の通り。
・住まい探しでのインターネット賃貸情報サービスの利用について、あてはまるものを選んでくだ
 さい。
・賃貸情報サービスを最も利用する端末について、あてはまるものを選んでください。
・PCでよく利用する一番の理由は何ですか?
・スマートフォンをよく利用する一番の理由は何ですか?
・PCとスマートフォンでよく利用する一番の理由は何ですか?
・利用する賃貸情報サービスで、あてはまるものを選んでください。
・利用する賃貸情報サービスで、使い始めた一番のきっかけは何ですか?
・利用する賃貸情報サービスで、使い続けている一番の理由は何ですか?
・今後、新しい賃貸情報サービスの利用を検討する場合、利用の後押しになるような機能があれば選ん
 でください。

■詳しくはこちら→ダウンロードサイト

首都圏の空室率TVI、2015年は1都3県とも上昇へ

 (株)タスは、10月30日付け発行の「賃貸住宅市場レポート」で、2015年の首都圏賃貸住宅市場の見通しを掲載し、空室率TVI(タス空室インデックス)は東京23区で増加幅が大きくなるほか、東京市部・神奈川県・埼玉県は微増、千葉県は後半から上昇に転じる可能性があるとの見方を紹介しています。
 空室率TVIは、アットホーム(株)から提供された賃貸住宅の賃料データ(募集、成約)を空室のサンプリング、募集建物の総戸数をストックのサンプリングとして算出されています。見通しの概要は次の通り。

■東京23区 増加幅が大きくなる可能性
 2011年は人口の流入超過が月間3,000人程度で推移していた。人口流入量は2012年から増加傾向となり、2013年には月間5,000人となった。2014年3月の大量流入の影響もあり、現在は月間5,400人となっている。一方で、リーマンショック後、月間3,000戸程度まで減少していた賃貸住宅の着工数も、2012年から増加傾向となった。相続税増税への対策の影響などで2013年後半から増加幅が大きくなり、2014年8月現在で4,100戸程度まで増加している。人口動態の点では、首都圏においても、東京23区は一人勝ちの様相を呈している。しかしら、人口流入量の増加幅に比較して、着工数の増加幅が大きいことから、2015年の東京23区の需給ギャップは拡大に転じる可能性が高くなってきた。東京23区の空室率TVIには上昇圧力がかかっているため、現時点でも微増傾向となっているが、2015年は空室率TVIの増加幅が大きくなる可能性がある。

■東京市部 微増傾向で推移か
 2013年までは人口の流入超過が微減傾向にあったが、2013年から微増傾向となり、2014年9月現在で月間800人程度の流入超過となっている。着工数も増加傾向にあり、2014年8月現在で月間1,100戸程度となっている。東日本大震災の影響による住民登録を伴わない人口流入の影響は弱まっていると考えられる。また、東京23区の賃料が上昇傾向にあるため、住民登録を伴わない学生等の東京23区から東京市部への人口の流入が生じていると考えられるが、影響はわずか。需給ギャップは継続して拡大傾向にあるため、2015年も、空室率TVIが微増傾向で推移すると思われる。

■神奈川県 微増傾向で推移へ
 人口の流入超過が増加傾向にあり、2014年8月現在では、月間の超過数が約1,300人と前年同月から倍増している。しかしながら、着工数も増加しており、2013年の後半から月間2,300戸弱で推移している。東京市部と同様に、東日本大震災後の人口流入の影響は弱まっている。 また、東京市部と同様に、住民登録を伴わない学生等の東京23区から神奈川県への人口の流入が、空室率TVIに若干下降圧力をかけていると考えられる。需給ギャップは継続的に拡大傾向にあるため、2015年も、空室率TVIが微増傾向で推移すると思われる。

■埼玉県 微増傾向で推移か  人口の流入超過が微減傾向にあったが、2013年4月以降、若干超過数が増加しており、2014年8月現在では、月間の超過数が1,300人程度となっている。着工数は、2010年以降、横ばいで推移していたが、2012年中旬から増加傾向にあり、2014年8月現在で月間1,800戸程度となっている。また、埼玉県においても、東京市部と同様に、住民登録を伴わない学生等の東京23区からの人口の流入が、空室率TVIに若干下降圧力をかけていると考えられる。需給ギャップは拡大傾向にあるため、2014年は、空室率TVIは微増傾向で推移すると思われる。

■千葉県 後半から上昇に転じるか
 東日本大震災の影響を強く受け、首都圏で唯一、人口が流出超過となりました。流出超過は2012年中旬に900人程度まで広がったが、その後に底を打ち、2013年9月から流入超過に転じている。2014年8月現在では月間の超過数が500人弱まで増加している。着工数は、2012年中旬から増加傾向に転じ、2014年前半には月間1,500戸前後まで増加したが、2013年8月現在は月間1,400戸程度となっている。東日本大震災後の人口流入の影響は薄れてきたが、東京23区からの学生等の住民登録を伴わない人口流入の影響を強く受けていると考えられ、両者が相殺される形で、空室率TVIは需給ギャップに沿って推移している。需給ギャップは2015年前半まで縮小傾向で推移し2015年後半から拡大に転じる可能性がある。このため、空室率TVIも2015年後半から上昇に転じる可能性がある。

参議院、「空家等対策の推進に関する特別措置法」を全会一致で可決

 参議院は11月19日、国土交通省から提出されていた「空家等対策の推進に関する特別措置法」を全会一致で可決・成立しました。公布の日から3カ月以内に施行されます。
■全国757万戸(平成20年)、増える空家対策を加速
 適切な管理が行われていない空家が全国757万戸(平成20年)に上るなど、防災、衛生、景観、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることから、特措法では①国による基本指針の策定・市町村による計画の策定、②空家等についての情報収集、③空家用及びその跡地の利用、④保安上危険な特定空家等に対する措置、⑤財政上の措置・税制上の措置などについて定め、空家対策の推進、空家の解消を目指しています。

■空家等対策の推進に関する特別措置法案要旨
 本法律案は、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空家等の活用を促進しようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用が
  なされていないことが常態であるもの及びその敷地をいい、「特定空家等」とは、そのまま放置す
  れば著しく保安上危険又は衛生上有害となるおそれのある状態、著しく景観を損なっている状態そ
  の他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にあると認められる空家等を
  いうこととする。
二 空家等の所有者等は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるも
  のとする。
三 国土交通大臣及び総務大臣は、空家等に関する施策の基本指針を定めるものとするとともに、市町
  村は、基本指針に即して空家等対策計画を定め、その作成等及び実施に関する協議を行うための協
  議会を組織することができることとする。
四 市町村長は、固定資産税の課税等のために利用する目的で保有する情報であって空家等の所有者等
  に関するものについては、この法律の施行のために必要な限度において、内部で利用することがで
  きることとする。
五 市町村は、空家等及び空家等の跡地に関する情報の提供その他これらの活用のために必要な対策を
  講ずるよう努めるものとする。
六 市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、除却、修繕等の措置をとるよう助言又は指導し、改善
  されない場合は勧告し、なお所有者等が措置をとらない場合は命令することができることとし、こ
  れらに必要な限度において、職員等に空家等の立入調査をさせることができることとするととも
  に、所有者等が命令を履行しないとき又は命ずべき所有者等が不明のときは、行政代執行ができる
  こととする。また、国土交通大臣及び総務大臣は、特定空家等に対する措置に関し、必要な指針を
  定めることができることとする。
七 国及び都道府県は、市町村が行う空家等に関する対策の実施に要する費用に対する補助、地方交付
  税制度の拡充その他の必要な財政上の措置を講ずるものとする。また、国及び地方公共団体は、そ
  のほか必要な税制上の措置等を講ずるものとする。
八 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定め
  る日から施行することとする。

郵船不動産、DIY賃貸住宅づくりを開始

 郵船不動産(東京)は10月28日、入居者の「住み方」の変化に応じて入居者が手を加えることができる、いわゆるDIY賃貸住宅づくりを東京都世田谷区に所有する賃貸住宅「松陰ハイツ」で開始したと公表しました。

■共用部箇所を入居者と一緒にDIY改修へ
 同社はその手始めとして10月25~26日、管理運営会社であるRバンク(東京)に協力してもらい、「DIYワークショップ」を物件内に設置し、個別に住居についての相談受付やDIYアドバイスなどを行いました。
 今後、その折に要望があった共用部箇所を入居者と一緒にDIY改修することなど、入居者と協働で「住み心地」を向上させていくことを目指すことにしています。
 郵船不動産としては、入居者から変更要望の多い「壁面」は原状回復義務を原則免除とし、入居者が手を加えることができる賃貸住宅づくりを推進していく考え(壁面以外の「その他の部位」は個別相談)。

■詳しくはこちら→PDF「郵船不動産DIY賃貸」


賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.11.17

新築・リフォーム工事で“遅延トラブル”が多発
国民生活センター、契約書の作成など広く注意を喚起

 (独)国民生活センターは、住宅の新築工事やリフォーム工事などで“遅延トラブル”が増えているとして、たとえ小規模の工事であっても契約書類はもちろん、設計図書の作成を事業者に求めるなど、トラブルを最小限にとどめる備えが必要であると注意を喚起しています(2014年10月30日公表)。

■トラブル多発の背景に“従事者不足”
 同センターによれば、戸建住宅の新築工事(新築請負工事)やリフォーム工事などで、「契約後に予定の工期が大幅に遅延した」「着工のめどすら立たない」などといった相談が、各地の消費生活センターに寄せられています。この背景には、資材の供給こそおおむね順調になってきたものの、今なお従事者が不足状態にある業界事情があると見られています。


 PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)を通じて国民生活センターが把握した相談件数は、2010年度の803件から2011年度には1,245件へと55%も増え、2012年度から2013年度にかけても1,190件から1,564件へと30%以上増え、相談件数は過去最多を記録しました。

 2014年度についても、10月下旬までのところ、前年同期比で約30%の増加となっています。
■相談事例には「旧居解体すら進まない」や「“破産”連絡」も
 寄せられている主な相談事例としては、「契約して手付金も支払ったのに、旧居の解体工事の予定すら立たない」「人手不足と資材不足で20人待ち、着工は2年後と言われた」「訪問販売で契約し、頭金を支払ったが、一向に工事が進まない」などといたケースや、「設計図どおりに施工されていないため家具が入らない。2カ月の遅延補償にも対応しない」「工事が半年以上中断したあげく、事業者から“破産するつもりだ”と言われた」「“破産した””と事業者からの一方的な連絡で工事が放置され、仕方なく別の業者に依頼した」などのケースもあるということです。

■国民生活センターのアドバイス
 国民生活センターではこのため、住宅新築やリフォームに際しては、次のような点に注意するようアドバイスしています。なお、同センターでは一般社団法人全国建設業協会や一般社団法人日本住宅リフォーム産業協会など業界5団体に、無理な工事日程や予算内で実現困難な工事を消費者に提示しないようにすることなどの要望も行っています。
○消費者として「工事の目的」を明確にする。小規模工事でも契約書類はもちろん、設計図書の作成を
 事業者に求める。設計と施工とを分けることも検討する。
○資材・工程・費用の検討にあたっては、契約書・約款・明細見積書を複数の事業者から得て、建築士
 などの専門家や「住まいるダイヤル」(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)など
 の公的相談窓口で、事前にチェックする。特に、約款に遅延補償条項があるか確認する。
○事業者の倒産等にともなう工事中断などに備え、完成保証制度の利用可否や事業者の債務保証人を求
 めることも検討する。
○費用の全額前払いは避ける。工事の進捗段階に応じて分割して支払う場合も、できるだけ完成後の支
 払いを主とした契約にする。
○着工後の計画変更は、トラブルに至る大きなリスクとなるので、安易な承諾は避ける。どうしても変
 更が必要になった場合は、建築士などの専門家と共に協議を行ったり、書面に記載し「口約束」を作
 らないようにする。
○引き渡し時には、設計どおり適切に施工されているか、できれば建築士などの専門家とともに確か
 め、納得しないままでの引き渡しは受けないようにする。
○リフォーム工事については、特に次のことに注意する。
・施工場所の工事前・工事中・工事後の記録写真を必ず撮っておくようにする(特に、外から見えなく
 なる壁の内側、床下、天井裏などでトラブルが起きた場合、記録が重要)。
・清算工事などの費用変動が想定される場合に備え、施工範囲や仕様が明確にわかる資料や工事の条件
 項目を作る。
・高齢者が契約した場合には、適切な工事内容か、親族や周囲も見守るようにする。

再生可能エネ、太陽光などの買取増で制度の見直し論議進む

 太陽光発電など再生可能エネルギー発電設備の接続申込みを、電力会社から拒否されたり、保留されたりする事例が相次ぎ、問題化しています。太陽光、風力などは発電量が大きく変動し、買取量が大きくなりすぎると電力供給に悪影響を及ぼすためで、すでに北海道電力、九州電力、東北電力で表面化しています。

■3電力が買取拒否や保留を表明
 これまでのところ、10kW未満の家庭用太陽光発電については拒否・保留は見られません。九州電力は9月24日、これより大規模な10kW以上50kW未満について回答保留措置をとっていましたが、10月21日に解除しました。

■経産省、賦課金制度を含め見直し急ぐ
 再生可能エネルギーの固定価格買取制度をめぐっては、一方で電力会社買取の原資とするため、全消費者に広く求めている「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の負担増も懸念されており、経済産業省では総合資源エネルギー調査会の各専門委員会などで見直し論議を急いでいます。

低層賃貸住宅、「-」が継続、第3四半期は回復か
住団連、第2四半期「経営者の住宅景況感調査」を公表

 一般社団法人住宅生産団体連合会は10月30日、2014年10月度の「経営者の住宅景況感調査」を公表しました。それによれば、2014年度第2四半期(7~9月)の総計実績の景況判断指数は、前年同期比で総受注戸数-81ポイント・総受注金額-75ポイントと、ともに前回(7月度=総受注戸数-65・総受注金額-59)の見通し以上にマイナスが拡大しました。特に戸建て注文住宅部門の反動減が継続し、顧客が決断を先延ばしする傾向もあり、「好調だった前年比では大幅マイナス」との経営者コメントなどが見られました。
 これに対し第3四半期(平成26年10~12月)見通しは、前年の駆け込みの反動減との比較からプラスに回復するとの声が多く聞かれ、総受注戸数+69ポイント・総受注金額+66ポイントと、戸数・金額ともにプラスに回復する見通しとなっています。
 うち、低層賃貸住宅の第2四半期実績の景況判断指数は、前年のハードルの高さもあり、受注戸数-42ポイント・受注金額-38ポイントと、マイナスが継続しました。第3四半期見通しは、相続税対策、低金利などの下支え効果、前年の厳しさとの対比ということもあり、受注戸数・受注金額ともに+54ポイントとプラスに回復するとの見通しになっています。
 低層賃貸住宅への経営者コメントは次の通り。

■第2四半期実績
 「棟数・金額ともにプラス」という声もあるが、「消費税増税の影響で減少」、「昨年9月の消費増税の駆け込み受注の影響が今期は無かったため前年を下回った」「折衝案件は増加しているが競合が厳しく失注も多い」「前年度の消費税増税に係る経過措置前駆け込み受注があり、前年比マイナスであるが、徐々に回復しつつある」「前年同期は、前々年に比べ受注が倍増していたことを考慮すれば、想定通りの実績となった」「相続税対策、低金利等で堅調に維持するが、前年のハードルを越えることができなかった」など。

■第3四半期見通し
 「引き続き堅調に推移するが、前年比維持の水準となる」という声もあるが、「来年1月の相続税改正に加えて、7~9月に比べ前年のハードルが下がることから、前年比ではプラスに転じる可能性が高い」「昨年反動減との比較となりプラス予想」「相続税対策として堅調に推移すると予測」「今年は消費税増税後の反動減で受注は落ち込んでいるが、相続税改正を受けて市場は回復しつつある。前年度の経過措置後の反動減が大きいため、前年比はプラスとなる見込み」「折衝案件は増加」「前期10~12月は消費増税の反動減があったため、前期比プラスで推移すると思われる」など。

■低層賃貸住宅の住宅景況感


賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.11.4

地震火災、電気火災を防げば半減、急がれる「感震ブレーカー」設置

 首都直下地震では、都心南部直下(想定7.3)が冬の夕方に発生した場合、風速8メートルなら61万棟が全壊・焼失するとされますが、うち焼失するのは7割にあたる43万棟、これによる死者は圧死などを含む総死者の7割以上にあたる1万6,000人に上ると想定されています。そこで、これをどう減らすか。国では、感震ブレーカーを普及し、電気を起因とした出火を防げば、24万棟への半減できると見ています。

■日本火災学会調べ、津波を除く地震火災、7割が電気火災
 これは、地震火災の5割が電気ストーブや熱帯魚用のヒーターなど電気火災によって発生しているためです。10月12日付け朝日新聞は、日本火災学会の調査として、東日本大震災とその余震で起きた火災の3割が電気火災であり、うち津波による火災を除くと、電気火災は6割を占めることがわかったと報じています。
 この報道によれば、東日本大震災とその余震で起きた火災は325件。うち、住宅が津波で流されつつ、LPガス漏れなどにより発火した火災が162件(50.0%)あります。でも、これは東日本大震災が大津波をともなったため。これを除いた、いわゆる地震火災は全体の49.2%にあたる160件の発生で、残りは不明3件。
 そして、この地震火災の内訳を見ると、電気火災が67.5%にあたる108件、電気火災以外が32.5%にあたる52件。電気火災は、電気器具からの出火が53件と最も多く、続いて電気配線・コンセントからの出火が36件、配電盤・分電盤からの出火が19件となっていました。

■初期消火の成功率が高まればさらに減災
 防災・減災に向けて、国は感震ブレーカーを設置促進すれば焼失棟数を半減でき、これに初期消火の成功率を高めれば焼失をさらに2.1万棟へと9割以上も減らせ、死者も800人にまで減災できると、電気火災防止の徹底を呼びかけています。

「首都直下地震における火災被害想定」


再生可能エネ、太陽光などの買取増で制度の見直し論議進む

 太陽光発電など再生可能エネルギー発電設備の接続申込みを、電力会社から拒否されたり、保留されたりする事例が相次ぎ、問題化しています。太陽光、風力などは発電量が大きく変動し、買取量が大きくなりすぎると電力供給に悪影響を及ぼすためで、すでに北海道電力、九州電力、東北電力で表面化しています。

■3電力が買取拒否や保留を表明
 これまでのところ、10kW未満の家庭用太陽光発電については拒否・保留は見られません。九州電力は9月24日、これより大規模な10kW以上50kW未満について回答保留措置をとっていましたが、10月21日に解除しました。

■経産省、賦課金制度を含め見直し急ぐ
 再生可能エネルギーの固定価格買取制度をめぐっては、一方で電力会社買取の原資とするため、全消費者に広く求めている「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の負担増も懸念されており、経済産業省では総合資源エネルギー調査会の各専門委員会などで見直し論議を急いでいます。

東京・豊島区、危険ドラッグ対策で「吸引目的」も賃貸契約の解除対象に

 賃借住宅における危険ドラッグ対策が各地で進められていますが、今年6月に池袋駅西口で危険ドラックの使用が原因とされる死傷事故が発生した東京・豊島区で10月20日、豊島区と池袋・目白・巣鴨の3警察署、公益社団法人東京都宅地建物取引業協会豊島区支部、公益社団法人全日本不動産協会東京都本部豊島文京支部との間で、「危険ドラッグ対策に関する覚書締結式」が区役所内で行われました。

■豊島区・警察・賃貸業界の3者間で覚書締結
 豊島区は、危険ドラッグの販売拠点となる賃貸物件の契約に際し、契約の解除条項を特約として盛り込むことを努力義務として課す「豊島区危険ドラッグ排除条例」の制定を検討中です。
 覚書では、区や警察署が、危険ドラッグの現状やその危険性に関する情報を、宅建業協会や全日本不動産協会に積極的に提供。一方、宅建業協会と全日本不動産協会は危険ドラッグに関する情報を入手したときには、速やかに通報するほか、協会員に対する啓発活動を積極的に推進することが明記されています。

■入居契約時に「確約書」への署名も
 また、宅建業協会と全日本不動産協会は、危険ドラッグを販売・製造等していることが判明した場合ときは勧告なしに契約を解除できる「契約解除条項」(特約)を盛り込んだ契約書を作成。これを協会加入業者に利用するよう呼びかけます。さらに、契約時には、幻覚作用などのある薬物等を販売しないことを借主に表明する「確約書」に署名するよう求めていくことにしています。
 この特約では、「譲渡、製造、栽培、吸引、展示、広告等」の目的で所持した場合でも解除できることとなっており、吸引など販売目的以外も解除対象に加えたのは、全国で初の取り組みとされます。

■詳しくはこちら→PDF「豊島区発表20141020」

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.10.15

消費者庁、LPガス業界に「特商法の順守」要請
関東地方で複数の販売事業者が「不適切な勧誘」

 消費者庁(取引対策課)は10月6日、「平成26年8月、関東地方において、複数のLPガス販売事業者が、特定商取引法に違反するおそれのある行為を行っていたことが確認された」として、LPガス販売事業者の全国組織である一般社団法人全国LPガス協会に、法令順守を周知徹底するよう文書で協力を要請しました。
 消費者庁によれば、特定商取引法で規定している「名称・勧誘目的の明示」「再勧誘の禁止」「書面の交付」「不実告知」「債務不履行」について“不適切な例”が確認されたということです。「虚偽の名称を名乗った。訪問目的を無料診断と偽った」「(断ったのに)料金が適正か調べるだけと勧誘を続けた」「契約書面を交付しなかった」など、それぞれの不適切な行為・内容も記載して、法令順守の周知徹底を求めています。
 訪問販売にあたっては、事業者・勧誘員に対し、最初に訪問目的を告げること、断られたら勧誘をやめること、契約したら内容を示した書面を交付すること、ウソを言って勧誘しないことなどが義務づけられており、違反すればお客様側に損害が生じていなくても罰則などが適用されます。また、いったん契約しても、8日以内であれば無条件で解約できます(クーリング・オフ制度)。

■困ったり、不安を感じたら…
 LPガスについては、関東地区を中心に、悪質業者やそれらと連携したブローカーなどによる悪質・強引・不適正な勧誘が続いており、これまで法令違反で摘発された事例(埼玉県)があるほか、訴訟に発展した事例(神奈川県など)なども多く発生しています。困ったり、不安を感じたりする勧誘があったときは、各県に設けられているLPガスお客様相談所(資源エネルギーの委託事業)や、市町村の消費生活相談センターに相談しましょう。
 なお、勧誘業者には公的機関や団体と紛らわしい名称を名乗ったり、業者あっ旋を主としたNPO法人、一般社団法人もあるので、注意を要します。

■全国の相談状況(全L協・LPガスお客様相談所分)
 全L協によれば、お客様から全国のLPガスお客様相談所に寄せられている相談件数は、平成23度(6,272件)をピークにやや減少傾向にあるものの、平成25年度も5,289件ありました。うち、LPガス価格に関するものが1,513件(28.6%)、販売店移動に関するものが1,261件(23.8%)を占めています。
 相談件数は関東地区で特に多く、うち最も多い神奈川県では平成25年度も1,469件となり、全国の相談件数27.8%を占めています。相談内容は販売店移動に関するものが722件(52.6%)、LPガス価格に関するものが322件(22.6%)で、勧誘にともなう相談・苦情・トラブル・相談件数が目立っています。

■詳しくはこちら→PDF「消費者庁要請文書」

8月の住宅着工も前年割れ、6カ月連続落ち込み。貸家も前月に続いて落ち込み

 国土交通省がまとめた2014年8月の新設住宅着工統計によると、着工総戸数は73,771戸となって前年同月より12.5%落ち込みました。消費税引き上げ(2014年4月)前の駆け込み需要の反動減によるものですが、前年割れは6カ月連続。うち、貸家の着工総戸数は28,435戸で、前年同月比3.8%減。貸家の前年割れは2カ月連続となります。

■国交省コメント
○消費マインドの改善などもあって、堅調に推移してきたが、このところ消費税率引き上げにともなう
 駆け込み需要の反動もあって、実数では前年同月比で減少している。一方、季節調整値では、前月よ
 り若干の増となった。
○持家(注文住宅)の着工は、昨年10月からの受注減により、本年2月から前年同月比で減少してい
 る。分譲マンションは、7カ月ぶりに1万戸を超えたものの、本年2月から前年同月比で減少して
 いる。都心部でマンションの適地が少なく用地確保が難航していることなど、複合的な要因が着工
 戸数の減少に影響を与えていると考えられる。
○このような状況のもと、住宅着工については、今後の動向をしっかりと注視していく必要がある。

■用途別状況
○持家 前年同月比では7カ月連続の減少(前年同月比22.7%減、季節調整値の前月比3.1%増)。
○貸家 前年同月比では2カ月連続の減少(前年同月比3.8%減、季節調整値の前月比0.4%減)。
○分譲住宅 前年同月比では7カ月連続の減少(前年同月比10.3%減、季節調整値の前月比2.5%
 減)。うち、分譲マンションは前年同月比では7カ月連続の減少(前年同月比6.8%減)。また、
 分譲一戸建住宅は前年同月比では4カ月連続の減少(前年同月比14.1%減)。

■詳しくはこちら→PDF「2014年8月住宅着工」

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.10.1

2014年都道府県地価調査、引き続き下落幅縮小、三大都市圏は住宅地も上昇に転換

 国土交通省は2014年9月19日、全国2万1,740地点における7月1日時点の「都道府県地価調査」の概要を公表しました。これによれば、全国の対前年平均変動率は、住宅地が△1.2%、宅地見込地が△2.3%、商業地が△1.1%、工業地が△1.5%と下落したものの、下落幅の縮小が続いています。三大都市圏平均では、住宅地が上昇に転換するとともに、商業地は昨年に続いて上昇し、その上昇率は拡大。地方圏平均では住宅地、商業地ともに下落率が縮小しました。

■国交省の発表概要
1 三大都市圏の対前年平均変動率
①東京圏:住宅地 0.6%、宅地見込地 △0.6%、商業地 1.9%、工業地 1.2%。
②大阪圏:住宅地 0.1%、宅地見込地 △1.3%、商業地 1.5%、工業地 △0.2%。
③名古屋圏:住宅地 0.9%、宅地見込地 △1.8%、商業地 1.5%、工業地 △0.3%。

2 地方圏の対前年平均変動率
 住宅地 △1.8%、宅地見込地 △2.4%、商業地 △2.2%、工業地 △2.1%。

3 調査結果の概要
①全般
○2013年7月以降の1年間の地価は、全国平均では住宅地、商業地ともに依然として下落をしている
 ものの、下落率は縮小傾向を継続。
○三大都市圏平均では、住宅地が上昇に転換し、商業地は昨年に引き続き上昇し、上昇率拡大。
 地方圏平均では、住宅地、商業地ともに下落率が縮小。
○地価公示(1月1日時点の調査)との共通地点で半年ごとの地価動向を見ると、三大都市圏では、
 住宅地、商業地ともに後半上昇傾向がやや弱まる。また、地方圏の住宅地は後半横ばいとなり、
 商業地は後半の下落率が縮小。
○上昇地点数の割合は全国的に増加。特に三大都市圏では、住宅地の1/2弱の地点が上昇、商業
 地の2/3強の地点が上昇。一方、地方圏では住宅地、商業地ともに上昇地点は増加しているが、
 依然として8割弱の地点が下落。
②住宅地
○住宅ローン減税、低金利等の施策による住宅需要の下支えや景況感の改善による住宅需要拡大等も
 あって、都道府県全てで下落率縮小や上昇率の拡大等が見られる。特に利便性、住環境等良好な住
 宅地では上昇基調を強め、また、その周辺部の住宅地に上昇基調の広がりが見られる。
○圏域別
・東京圏は、上昇地点の割合が増加し、半数以上の地点が上昇となり、1年を通して上昇に転じた。
 特に東京都は全国1位の上昇率となり、また、東京都以外では東京都心部への交通利便性が良好な
 地域で上昇基調を強めている。なお、半年ごとの地価動向を見ると後半はやや上昇を弱めている。
・大阪圏は、上昇地点及び横ばい地点の割合が増加し、下落地点は4割弱となり、1年を通して上昇
 に転じた。特に京都市、大阪市、北摂エリア及び阪神間を中心に上昇基調を強めている。なお、
 半年ごとの地価動向を見ると後半はやや上昇を強めている。
・名古屋圏は、上昇地点の割合が増加し、半数以上の地点が上昇となり、上昇率を拡大した。特に
 名古屋市及びその周辺部である尾張地域の多くで上昇基調を強めている。なお、半年ごとの地価
 動向を見ると後半は上昇を弱めている。
・地方圏は、8割弱の地点が下落しているが、上昇地点の割合の増加や下落地点の割合の減少が続
 いている。宮城県は上昇率を拡大し、福島県、沖縄県は下落から上昇に転じた。
③商業地
○低金利等による資金調達環境の改善や景況感の改善、消費動向改善を背景に都道府県全てで下落
 率縮小や上昇率の拡大等が見られる。また、堅調な住宅需要を背景に商業地をマンション用地と
 して利用する動きが全国的に見られ、上昇又は下落率縮小となった要因の一つとなっている。
○三大都市圏を中心に上昇となった都府県が見られるが、主要都市の中心部などでは、店舗につい
 て消費動向は堅調で、また、オフィスについても空室率は概ね改善傾向が続き、投資用不動産等
 への需要が回復している。更にBCP(事業継続計画)等の観点から耐震性に優れる新築・大規
 模オフィスへの動きが継続して見られるなど、高度商業地や再開発等の進む地域で上昇基調を強
 めている。
○圏域別
・東京圏は、上昇地点の割合が増加し、3/4強の地点が上昇となった。埼玉県、千葉県は下落か
 ら上昇に転じ、東京都、神奈川県は上昇率を拡大した。なお、半年ごとの地価動向を見ると同率
 の上昇となった。
・大阪圏は、上昇地点の割合が増加し、半数以上の地点が上昇となった。京都府は下落から上昇に
 転じ、大阪府は上昇率を拡大した。なお、半年ごとの地価動向を見ると後半は上昇を弱めている。
・名古屋圏は、上昇地点の割合が増加し、6割強の地点が上昇となった。愛知県は上昇率を拡大し、
 特に名古屋市及びその周辺部である尾張地域の多くで上昇基調を強めている。なお、半年ごとの
 地価動向を見ると後半は上昇を弱めている。
・地方圏は、8割弱の地点が下落しているが、上昇地点の割合の増加や下落地点の割合の減少が続
 いている。宮城県で上昇率が拡大し、滋賀県は下落から上昇に転じた。

■詳しくはこちら→国交省HP
■参考→PDF「都道府県別・用途別対前年平均変動率」
    PDF「都道府県別・用途別平均価格表」

東京の家賃(70m㎡15万円)、世界では高額第5位
世界最高額は、シンガポール(同25万円強)

 6,000k㎡に3,100万人余が住む都市人口世界最大の東京。家賃も最も高いかというと、実は最高のシンガポールより4割も低い第5位。大阪は東京の半分ですから、我が国ではダントツでも、世界での比較となると、日本経済の劣勢を反映しているように見えます。

■東京、「不景気ながらも、まだ上位をキープ」
 この家賃相場は、中古マンションのリノベーションを手がけるアート・クラフト・サイエンス(東京)が、2013年の世界地価等調査の結果をもとに、70㎡あたりの家賃を比較したものです。為替レートをもとに、日本円で比較してあります。
 これによれば、TOP5は、1:シンガポール(25.3万円)、2:ロンドン(19.4万円)、3:ニューヨーク(18.0万円)、4:香港(17.1万円)と続き、5:東京(15.0万円)。
 このあと、パリ(14.5万円)、シドニー(12.7万円)、バンクーバー(12.0万円)、フランクフルト(10.0万円<99,890円>)、ホノルル(10.0万円<99,610円>となっています。
 ちなみに、我が国第2位の都市、大阪府の平均賃料相場は8万円(HOMES家賃相場)とのこと。
 アート・クラフト・サイエンスでは「日本は不景気と言われて久しいものの、東京がまだまだ上位をキープしている」「世界一の賃料を誇るシンガポールは、経済発展の目覚ましさを感じさせる」とコメントしています。



新宅建士講習、「使命と役割」科目を追加、講習時間も1時間増やす

 国土交通省は2014年9月8日、宅地建物取引主任者を宅地建物取引士(宅建士)に改称するとともに、宅建士の適正な業務を確保する宅建法改正を受け、宅建士の新講習科目として「宅地建物取引士の使命と役割に関する事項」を設けることなどを明らかにしました。
 宅建士にかかわる宅建法の改正は2014年6月18日に成立し、同25日に公布されました。宅建士への名称変更とともに、適正な業務を確保する狙いから、新たに「宅建士の業務処理の原則」「信用失墜行為の禁止」「知識及び能力の維持向上」などの規定が設けられました。
 国交省ではこのため、7月に法定講習充実検討委員会を設け、9月8日に検討結果を「法定講習充実の方向性」としてまとめました。
 これによれば、現行の法定講習実施要領に「宅地建物取引士の使命と役割に関する事項」を新科目として設け、第1番目の講習科目に位置づけます。また、これにともなってテキストの改訂、講習時間の増加(1時間増、計6時間へ)、受講料の引き上げ(1,000円程度引き上げ)も行うことになります。

■詳しくはこちら→PDF「法定講習充実検討委員会検討結果」



不安に感じていること…老後の生活・年金、健康、高齢化(セコム「不安意識調査」)

 セコムは2014年8月29日、今年で3回目となる「日本人の不安に関する意識調査」の結果を公表しました。それによれば、最近不安を感じている割合は、2012年の調査開始以来最も低くなったものの70%を超え、なかでも「老後の生活や年金」「健康」「高齢化」への不安が変わらず高い結果となりました。また、今回初めて行った「認知症」については、今後自宅介護から老人ホームへと移行していく傾向がうかがえる結果となりました。

■認知症になれば、6割が「老人ホーム」を選択
 この調査は8月中旬、20代から60歳以上の男女(各年代男性50名、女性50名の計500名)を対象に、インターネットを利用して行われました。
 「認知症」に関する質問では、「自分の認知症」を5割以上の回答者、「家族の認知症」を6割の回答者が不安視していました。そして、自分または家族が認知症になったら「老人ホームへ入居する(させる)」との回答が5割を占めました。

■治安悪化・犯罪増加を感じつつも、行動には繋がらず
 一方、今後の治安悪化や災害増加を懸念する声は依然として多いのに、「防犯対策を講じていない」が64.0%と、昨年同様に多くの人が具体的な対策を講じていませんでした。防災対策についても、「防災対策を講じていない」が69.4%と、昨年同様に7割が具体的な対策を講じていませんでした。
 今後の治安の悪化、犯罪増加の可能性を感じつつも、実際には対策を講じていない人が多いわけで、セコムでは「昨今の事件や事故、災害の増加に対して、危機意識と行動が依然として繋がっていない」と見ています。



■詳細はこちら→PDF「セコム不安調査」

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.9.16

国交省、「サ高住」の質向上や適正立地に向け専門委で検討開始

 国土交通省は「サービス付き高齢者向け住宅の整備等のあり方に関する検討会」を設け、2014年9月4日に第1回会合を開いて審議を開始しました。地域包括ケアシステムの構築などに向け、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の質の向上や適正立地など、時代のニーズに即応した施策の徹底した見直しを検討するのが狙い。

■地域包括ケアシステムを構築へ
 国土交通省では、検討委を発足させた背景について、「本格的な人口減少・高齢化社会に対応するため、地域包括ケアシステムの構築やコンパクトシティ・地方創生を推進することは今後の社会にとって極めて重要」と説明。また、「地域包括ケアシステムの構築にあたっては、関係者連携のもと、住まい・施設・介護等に関して総合的に施策を展開することが不可欠」とも説明。
 地域包括ケアシステムの構築に向け、サービス付き高齢者向け住宅の質の向上や適正立地など、時代のニーズに即応した施策の徹底した見直しについて、関係者の横断的な連携のもとで検討を進めるとしています。

国土交通省、「住宅リフォーム事業者団体登録制度」を9月創設

 国土交通省は、多様な事業者が参入している住宅リフォーム事業について、その健全な発達と消費者が安心してリフォームを行える環境を整備する狙いで、2014年9月1日、「住宅リフォーム事業者団体登録制度」を創設しました。登録に必要な事項を定めた「登録規程」は同日付けで公布し施行しました。登録の有効期間は3年間(更新制)。これにより、消費者はインターネットを利用して、登録団体とその加入事業者(構成員)の概要を閲覧してチェックできます。

■リフォーム事業の健全発展と消費者の安心環境を整備
 国交省が9月1日に示した「ガイドライン」によれば、この登録制度は、住宅リフォーム事業者向けの研修や消費者からの相談の受付など、自主的な活動を行っている団体を申請に基づき登録する“任意の制度”です。

■ガイドラインで登録要件、業務内容を規定
 登録の要件としては、①2つ以上の都道府県にわたって活動する大規模な団体であって、かつ十分な活動実績を有すること、②適確かつ円滑に活動する資力を有していること、③定款または規約で、ガイドラインに定める「登録住宅リフォーム事業者団体の業務」に掲げる業務を定めていること、④構成員への研修、人材の育成のための体制及び計画を有すること、⑤構成員が行う住宅居住者等からの相談等の窓口を設置していること、⑥団体としての組織体制や活動内容、構成員などをインターネット上で公表し、定期的に更新していること、などを求めています。

■構成員は書面交付、見積もり、誤認させない説明、重説を順守
 また、要件の一つである「登録住宅リフォーム事業者団体の業務」には、構成員に順守させるための指導、助言、勧告、勧告に従わないときの除名などを規定。構成員に請負契約の書面交付、請負契約に際しての見積もり、誤認させない適切な説明、重要事項説明を順守させるよう求めています。
 ガイドラインではほか、登録の実施、登録をしない場合、標識の掲示、さらに報告・届け出(業務の報告、変更の届け出、解散の届け出)、団体の業務(業務内容、情報の公表)、監督(報告徴収、業務改善勧告、登録の抹消)なども定めています。

■住宅リフォーム事業者団体の業務
①構成員に対する研修その他の住宅リフォーム事業を適確かつ円滑に実施することができる人材の育成
②構成員が行う住宅リフォーム事業に関する住宅居住者等からの相談等への対応
③構成員に対する住宅リフォーム事業に係る情報提供
④住宅リフォーム事業に係る業務を適正に実施するため必要があると認めた場合においては、その必要
 な限度において行う構成員の状況を把握するための調査
⑤構成員の行う住宅リフォーム事業に関し、当該構成員に対し、次に掲げる事項を順守させるための指
 導、助言、勧告、勧告に従わない場合にあっては除名その他の適切な措置
・住宅リフォーム工事の請負契約の締結に際して、当該請負契約の注文者に対し、遅滞なく、建設業法
 第19条第1項各号に掲げる事項を記載した書面を交付する。
・住宅リフォーム工事の請負契約を締結するに際して、材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかに
 して、当該工事の見積もりを行い、請負契約が成立するまでの間に見積書を交付する。
・締結しようとする住宅リフォーム工事の請負契約の内容について、著しく事実に相違する表示若しく
 は説明をし、または実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような表示若しくは説明を
 しない。
・保険契約(略)
・建設業法第19条第1項第1号から第4号までに掲げる事項その他の締結しようとする住宅リフォーム工
 事の請負契約の概要、上記保険契約の締結の有無その他の重要事項を注文者に対して説明すること。
・登録住宅リフォーム事業者団体が前号の調査を行おうとするときは、これに応じる。
・住宅リフォーム事業を適正かつ円滑に実施する。
⑥登録住宅リフォーム事業者団体の社員等が住宅リフォーム事業に関して広告または勧誘をするとき
 は、構成員として公表されていないにもかかわらず構成員であると表示または説明をしない。

○住宅リフォーム事業者団体登録制度ホームページ

静岡県賃貸業界、賃貸契約に“危険ドラッグ禁止条項”設定へ

 相次ぐ事故や犯罪の発生、健康被害の報告を受け、全国一斉に危険ドラッグに対する取り締まりが強化されていますが、静岡県ではこうした動きに呼応して8月26日、静岡県と静岡県警察本部、(公社)静岡県宅地建物取引業協会の3者が、危険ドラッグの販売が判明した場合には賃貸契約を解除できる禁止条項を定めることで、協定を締結しました。全国で初めて。同様の協定を交わす動きは京都府でも進んでおり、今後全国に拡大していく動きにあります。

■京都府でも同様の動き、全国に拡大へ
 「危険ドラッグ」は、禁止されている覚醒剤や大麻と同様か、それ以上に危険な薬物なのに、これまでは「脱法ドラッグ」や「合法ハーブ」といった呼称で半ば公然と販売されてきました。
 しかし、そうした薬物の使用者が二次的な犯罪や健康被害を引き起こす事例が多発し、ここにきて深刻な社会問題になってきたことから、7月22日に現在の呼称に変更され、全国一斉に取り締まりの強化が進められています。

■静岡県と県警、業界の3者で危険ドラッグを排除
 こうした中、静岡県と県警本部、静岡県宅地建物取引業協会は8月26日、危険ドラッグ販売店のテナント入居を防ぐため、危険ドラッグの販売が判明した場合には賃貸契約を解除ができる条項を定めることで協定を交わしました。
 危険ドラッグ販売を賃貸契約書の禁止事項に追加して、新規入居を防止するとともに、入居後に販売していることが分かったときも契約を解除できるようにします。会員事業者が、販売店の状況判断に困るようなときは、県や県警に相談すれば、情報提供が受けられるとのことです。

■京都府、「危険ドラッグ店の多くが賃貸物件に入居」を重視
 一方、京都府警によると、府内にある危険ドラッグ販売店は、確認されている4店とも賃貸物件(雑居ビル)に入居しているほか、廃業した販売店も多くが賃貸物件で営業していました。京都府警はこうした実態を受け、9月初旬、(公社)京都府宅地建物取引業協会と(一社)全日本不動産協会京都府本部に、賃貸契約書に静岡県と同様の禁止条項を盛り込むよう働きかけました。

■静岡県、全宅連と全管連に全国波及を要望
 なお、静岡県は7月28日、こうした取り組みが全国へ波及するよう、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会と(一社)全国賃貸不動産管理業協会全宅管理に「危険ドラッグ販売店排除に向けた要望書」を提出しています。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.9.1

2013年度の消費生活相談件数(国センまとめ)、賃借物件は3.3万件に減少

 独立行政法人国民生活センターが8月7日に公表した2013年度中の「消費生活相談件数」によれば、賃借アパート・マンションに関する相談件数は3万3,290件となり、前年度の3万3,708件より418件(1.2%)減少しました。この結果、商品・役務別相談件数としては前年度のワースト4位から6位へと後退しましたが、依然として相談総件数の3.6%を占めています。

■全体の相談件数は93.5万件、健康食品など増え9年ぶりに増加
 この相談件数は、国民生活センターと消費生活センター等を結ぶ「全国消費生活情報ネットワーク・システム」(PIO-NET:パイオネット)で収集しています。
 全体の相談件数は93.5万件となり、前年度の86.0万件より7.5万件(8.6%)増えました。増加はピークの2004年度(192.0万件)以来9年ぶりで、特に健康食品(4.7万件、1.9万件増)、アダルト情報サイト(8.0万件、1.5万件増)、商品一般(4.1万件、1.3万件増)に関する相談が増えたためです。


■相談概要(国民生活センターまとめ)
○2013年度の相談件数は、93.5万件(前年度は約86.0万件)で、ピークの2004年度以来9年ぶりに増加に転じた。
○「健康食品」の相談が最も増加した。前年度に引き続き、高齢者宅に注文した覚えのない健康食品が送付されてくる、送りつけ商法の相談が多い。
○高齢者の相談については増加傾向が続き、「健康食品」とともに「代わりに購入すれば高値で買い取る」などと立場の違う複数の業者が、実態不明のファンドなどの金融商品や権利等を電話で勧誘する「劇場型勧誘」の被害も多い。
○「アダルト情報サイト」に関する相談件数が増加し、2011年度以降3年連続で第1位。
○インターネット通販で注文した様々な商品(靴・運動靴、かばん、他の身の回り品、時計・時計付属品等)に関するトラブルも増加。
○インターネット関連では、プロバイダや光回線の電話勧誘の相談が増加した。電話勧誘の後、すぐに遠隔操作でプロバイダの乗り換え作業をする新たな手口も見られた。
○調理食品や化粧品の相談件数が増加した。これは、冷凍食品への農薬(マラチオン)混入事案や化粧品の白斑トラブルによるところが大きい。
■詳しくはこちら→PDF「2013年度相談概要」

今秋、ガスにも指先ひとつで簡単操作の、次世代「スマートコンロ」登場

 地球環境にやさしい省エネや低炭素化に向けて、スマート社会やスマート家電などと「スマート(賢い、しゃれた)という言葉が耳目を集めていますが、ガスコンロにも今秋にはいよいよ、次世代型「スマートコンロ」が登場します。どこが、どうスマートになり、進化しているのでしょうか?

■操作ノブ(ツイストスイッチ)は移動・着脱が可能
 スマートコンロは、ノーリツより9月16日から、全国一斉に発売されます。
 オーディオ機器かと見間違いしそうなしゃれたデザインや、フラットな外観もさることながら、大きな特徴は、点火・消火、火力調節、タイマー設定といった操作が、ガラス天板に載った円盤状のノブ(ツイストスイッチ)を指先で軽くタッチしたり、スライド・回転させるだけでできることです。
 このノブは、マグネット式なので、移動、着脱ができます。このため、操作もしやすければ、お掃除もカンタンです。

■マルチグリル、浅型・深型の使い分けで多彩な調理が可能に
 次いで、グリルが焼き網のない「マルチグリル」に進化したこと。下火用のバーナーには温度センサー付きが採用されているので、浅型と深型、2種類の付属プレートを使い分けることで、多彩なお料理がつくれます。
 深型プレートはフタ付きなので蒸し器のようにも使え、そのまま食卓にも出せます。これにより、お料理のレパートリーが増えるうえ、グリルのお掃除もラク。

■スマートフォンとの連動機能も搭載
 さらに、スマートフォン連動機能(*)も備えていることも大きな特徴。専用アプリをダウンロードすると、スマホで設定温度やタイマーなどのチェックが可能となり、約100種あるレシピを閲覧したり、レシピと連動した調理モードの設定などもできます。
 帰宅途中でレシピを調べ、必要な具材を購入するといった応用も可能なので、手早く、また賢くお料理ができます。
*無線LAN環境が必要です。
 スマートコンロのすぐれた機能や特徴はまだまだいっぱいあり、もちろんオートメニューも可能。価格は338,000円(税別)。

■詳細はこちら→PDF「スマートコンロ」

2013年度の住宅・マンション供給、消費税駆け込み需要で好調

 (株)市場経済研究所と(株)不動産経済研究所は8月4日、2015年版「全国住宅・マンション供給調査」をまとめ、全国主要企業における戸建て住宅とマンション供給の2013年度実績、2014年度供給戸数、各社ランキング表を明らかにしました。これによれば、2013年度の供給実績は、消費税引上げ(2014年4月)前の駆け込み需要を反映し、戸建て(有効回答242社)が33万8,968戸で、前年度より7.3%、2万2,935戸の増加、マンション(有効回答115社)が8万6,245戸で、同14.3%、1万807戸の増加となりました。

■2014年度計画数、戸建て10%増・マンション10.3%減と明暗分ける
 この調査は、決算報告の完工・引渡し数値をベースとしています。  2014年度の供給計画については、戸建てとマンションで明暗が分かれました。戸建て(有効回答210社)が株高、景気回復を見越して前年度比10.0%増となったのに対し、マンション(有効回答103社)は駆け込み需要の反動減と建築費の上昇がマイナス要素となって、同10.3%減となっています。

■戸建て、株高や景気回復を見越す
 アンケート方式で行った意識調査によれば、消費税引上げ後の反動減に対する予測は、戸建てでは「5~10%減」が37.1%を占めて最も多く、次いで「5%未満」が24.9%でした。これにともない、新設住宅着工数の2014年度予測数も「85万~90万戸」が30.6%を占め、次いで「80万~85万戸」が22.4%となりました。
 ハウスメーカーではこのように、景気の回復傾向を受け、「失業の不安を理由に住宅購入を手控える人が減る」との見方が出ています。

■マンション 上位2社除き、軒並み下方修正
 これに対しマンションでは、計画上位10社中で2014年度の供給数を増やすのは、トップの野村不動産(9.3%増)と、これに続く住友不動産(12.2%増)の2社のみ。他社はいずれも前年度実績より下方修正しており、うち4社は2割前後の減少を計画しています。

■詳しくはこちら→PDF「戸建て・マンション供給実績・計画数」
*これらの資料は、「2015年版 全国住宅・マンション供給調査 企業別ランキング」(7月31日発刊、28,000円+税)として販売されています。問い合わせは、市場経済研究所まで。



新設住宅着工数、平成26年上半期は消費税駆け込み需要の反動で3.4%減

 国土交通省がまとめている「新設住宅着工統計速報」によれば、平成26年上半期(1~6月)の着工戸数は43万5,777戸となり、前年同期を3.4%、1万5,286戸下回りました。平成24年同期に比べると、4.9%、2万417戸の増加。

■5月15.0%減、6月9.5%減とスローダウン
 1月までは消費税引上げ(平成26年4月)前の駆け込み需要が続いたものの、3月からスローダウンしはじめ、5月は前年同月比15.0%、6月は9.5%の落ち込みとなりました。
 しかし、景気の回復感やそれを反映した株高、また貸家については相続税引上げ(平成27年1月)を控えていることから、通期では平成24年並み(89万戸)に回復するとの見方が大勢を占めています。

■貸家(上半期)は17万6,291戸で11.7%増と堅調
 着工数を利用関係別に見ると、持家は14万447戸(前年同期比11.9%減)、貸家は17万6,291戸(11.7%増)、給与住宅は3,044戸(33.4%増)、分譲住宅は11万5,995件(11.8%減)。貸家が1万8,439戸増と堅調で、平成24年同期に比べると19.8%、2万9,117戸上回っています。

■詳しくはこちら→PDF「新設住宅着工・利用関係別戸数・床面積」

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.8.15

火災発生、平成25年は48,000件に増加、住宅火災は減少

 総務省消防庁は7月23日、平成25年中の火災発生状況(確定値)を公表しました。それによれば、総出火件数は48,095件となり、前年より3,906件増加(8.8%)しました。うち、建物火災は25,053件で530件の減少となっています。

■住宅火災の死者、7割が65歳以上の高齢者
 火災による総死者数は1,625人で、前年より96人減少(5.6%)し、負傷者数は6,858人で、32人増加(0.5%)しました。うち、住宅火災による死者数(放火自殺者等を除く)は997人で、19人の減少(1.9%)。このうち、65歳以上の高齢者は703人で、26人増加(3.8%)し、住宅火災による死者数(放火自殺者等を除く)の70.5%を占めています。
 総出火件数の48,095件を出火原因別にみると、放火5,093件(10.6%)、たばこ4,454件(9.3%)、たき火3,739件(7.8%)、こんろ3,717件(7.7%)、放火の疑い3,693件(7.7%)の順となっています。

住宅取得の経済環境好転!? 国交省「住宅市場動向調査」

 国土交通省(住宅局)は7月14日、平成25年度「住宅市場動向調査」の結果を公表しました。この調査は、住宅の建設・購入、リフォームなどの実態把握と分析を行い、今後の住宅政策の基礎資料とすることを目的に、平成13年度から実施されています。国交省は今回の特徴的な結果として、住宅取得の背景に経済環境の好転が見られるとともに、借入れにあたって固定金利タイプを選択する割合が増えていることを挙げています。

■民間賃貸住宅、平均家賃や公益費は下降
 民間賃貸住宅については、平均月額家賃は71,056円(前年度比151円下降)、平均共益費3,055円(219円下降)で、ともに減少しました。しかし、家賃の負担感が「非常にある」と「少しある」は計70.5%となり、13.0ポイントも上昇しています。
 また、敷金/保証金ありは71.4%(4.6ポイント上昇)、礼金ありは48.6%(8.2ポイント上昇)、仲介手数料ありは50.5%(4.7ポイント下降)、更新手数料ありは37.3%(6.1%下降)などとなり、敷金/保証金、礼金ありが増える一方、仲介手数料、更新料ありは減りました。

■今回調査における特徴的な結果
 ほか、入居世帯の31.2%は、賃貸住宅(現在入居している住宅に限らない)に関して困った経験があると答え、その内容としては、契約時の「敷金・礼金などの金銭負担」が57.7%と最も多い結果となっています。

■困った経験あり3割、契約時の敷金・礼金負担が6割
○住宅取得時に経済的要因が与えた影響度
 「景気の先行き感」や「家計収入の見通し」など6つの経済的要因が、住宅取得時に与えた影響度について調査したところ、前年度までマイナスに影響していた「景気の先行き感」「家計収入の見通し」がプラス影響となるなど、全ての項目でプラス影響となった。
○民間金融機関からの借入金における金利タイプ
 民間金融機関からの借入れがある世帯について、借入金の金利タイプを調査したところ、「変動金利型」のシェアが若干減少に転じ、「固定金利期間選択型(10年超)」と「全期間固定金利型(10年超)」の選択割合が増加に転じた。

■民間賃貸住宅に関する結果(「家賃などに関する事項」を抜粋)
●家賃など
○勤務先からの住宅手当
 勤務先からの住宅手当を受けている世帯は26.3%あり、その平均は月額25,911円。
○家賃などの契約内容
 1)月額家賃 平均は月額71,056円。
 

 2)共益費
  平均は月額3,055円。
 3)敷金/保証金 敷金/保証金があった世帯は、71.4%。敷金/保証金の月数は「1カ月ちょうど」が45.7%、「2カ月ちょうど」が34.8%。
 4)礼金 礼金があった世帯は48.6%と約半数。月数は「1カ月ちょうど」が最も多く69.1%。
 5)仲介手数料  仲介手数料があった世帯は、50.5%。
 6)更新手数料 更新手数料がある世帯は37.3%、ない世帯は51.0%。月数は「1カ月ちょうど」が78.6%と最も多い。
 7)その他費用 その他費用があった世帯は15.2%あり、その平均額は20,126円。
○賃貸住宅に関して困った経験
 1)困った経験の有無 入居世帯の31.2%は、賃貸住宅に関して困った経験(現在入居している住宅に限らない)がある。
 2)困った経験
 ・賃貸住宅(普通借家)に関して困った経験としては、契約時については、「敷金・礼金などの金銭負担」が57.7%と最も多く、次いで「連帯保証人の確保」が34.5%となっている。
 ・入居時については、「近隣住民の迷惑行為」が35.1%と最も多く、次いで「家主・管理会社の対応」が25.6%となっている。
 ・退去時については、「修繕費用の不明朗な請求」と「家賃、敷金の清算」がそれぞれ19.6%と多くなっている。
○家賃の負担感
 「負担感がある」とする世帯が増加傾向にあり、「非常に負担感がある」と「少し負担感がある」の合計は70.5%となっている。

■詳細はこちら→PDF「平成25年度住宅市場動向調査(民間賃貸住宅)」
       →PDF「平成25年度住宅市場動向調査(概要)」

年々増える特殊詐欺、不審な動きがあれば情報提供を!!

 警察庁は、振り込め詐欺などの特殊詐欺に関する情報の提供を求めています。7月25日、ネット上でもアピールしました。

■振り込め詐欺などの特殊詐欺、被害額は年500億円にも
 特殊詐欺の被害額は年々増え、平成25年には約12,000件、500億円に達しました。うち、振り込め詐欺(オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺など)が9,200件、260億円あり、それ以外の金融商品取引などが2,800件、230億円となっています。
 特殊詐欺は賃貸マンションや賃貸オフィスを拠点にしているケースが多いので、居住者に不審な動きがあれば、メールで通報するよう求めています。

■警察庁情報受付メールアドレス:furikomejyoho@npa.go.jp

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.8.1

パナソニック、エコキュートをリコール(無料点検・部品交換)

 パナソニックは7月25日、家庭用ヒートポンプ給湯機「エコキュート」の無料点検・部品交換を実施すると公表しました。対象は、2003年11月から2013年1月までに製造した199機種、98万台。他社ブランド(コロナ、ユーリッチ)を含めると、対象数は国内の4分の1、103万台に及びます。
■対象機種、国内市場の4分の1にあたる103万台も
 発表によれば、沸き上げ運転中に、屋外に設置されているヒートポンプユニット内の圧縮機がまれに塩分などによる腐食により破損し、ユニット本体が変形に至る場合があります。これまで発煙・発火や人的被害は発生していないものの、けがにつながる可能性もあることから無料点検・部品交換を実施することになったと説明しています。

■パナソニックの発表内容
●対象となる製品

ブランド ヒートポンプユニット品番 対象製造期間
National National HE-UK60J 他 計26機種 2003年11月~2009年4月
Panasonic HE-PK60B 他 計157機種 2008年5月~2013年1月
合計 199機種(製品183機種+16機種)
・上記機種は、日本国内でのみ販売。
●機種の確認方法
・品番は、貯湯ユニット品番から特定できる。保証書に記載のシステム品番からも特定できる。
・製品の形状は、角型、薄型、一体型の3タイプがある。

【角型】

________________________

【薄型】

________________________

【一体型】

________________________

【保証書】


●連絡先
・電話 ヒートポンプ給湯機市場対策室 フリーダイヤル:0120-871-381(0120-871-381)
・インターネット 発表資料「ご使用製品の確認」に、貯湯ユニット品番、またはシステム品番を入力し、対象となる貯湯ユニット品番から受付フォームに入る。

貸しルームの16%が「狭小・窓無し」、入居期間は大半が1年未満

 国土交通省は7月8日、2013年9月に行った「貸しルームにおける入居実態に関する調査」の結果を公表しました。これによると、問題の多い「狭小面積(5m2未満)・窓無し」)は全体の16%あること、入居者は貸しルーム全体と比べて「収入が無い」「入居時に無職であった」世帯の割合が高い傾向にあることが分かりました。これは、賃料が相対的に安いことを反映していると見られます。また、実際の入居期間は1年未満が5~6割を占めていました。

■「貸しルームにおける入居実態に関する調査」の結果概要(国交省コメント)
○平成25年調査(WEB調査、集計分析:931サンプル)と平成23年調査(同、329サンプル)を比較すると、入居者の属性や費用、入居期間などは、おおむね同様の傾向となっている。
○平成25年調査で、貸しルームのうち狭小(面積5m2未満)、または窓無しの物件は、16%(146件)あった。
○収入が無い世帯、入居時に無職であったケースは、貸しルーム全体と比べて狭小・窓無しの割合が高い。これは、狭小・窓無しの賃料が相対的に安いことを反映していると考えられる。
○それ以外の入居者の属性(正社員の割合や入居動機、平均月収など)については、貸しルーム全体と狭小・窓無しで傾向は大きくは変わらない。
○また、次の特徴も貸しルーム全体と狭小・窓無しに共通してみられる。
・入居前と退去後の住居はいずれも賃貸マンション・アパートが最多である。
・退去理由は「当初から短期居住目的であった」や「職場の異動や結婚などにより転居しなければならなくなった」が多い。
・実際の入居期間は1年未満が5~6割を占める。
・入居動機は「立地の良さ」や「家賃の安さ」が多い。
■詳細はこちら→PDF「貸しルーム入居実態調査」

駐車場法施行規則を改正、安全基準等への適合要求、登録認証の創設図る

 国土交通省は7月25日、「駐車場法施行規則」(省令)を改正し、安全基準等への適合要求を盛り込むとともに、登録認証機関制度を創設しました。施行は平成27年1月1日。

■施行は平成27年1月1日
 機械式駐車装置がある駐車場での死亡事故等の発生を受け、平成25年11月に専門委員会を設けて安全策の検討を開始。平成26年3月に報告書がまとまったことから、その提言を受けて改正されました。
 施行前に大臣認定を受けて現に設置されている機械式駐車装置は、施行後も引き続き大臣認定の効力があるものと見なされます。また、施行から1年6カ月間に限り、施行前に大臣認定を受けた型式の機械式駐車装置は設置が認められます。

■改正内容
○安全基準等への適合要求(第4条第1項関係)
 駐車場法施行令第15条に基づく大臣認定制度の下で、機械式駐車装置の構造・設備と併せて安全性についても基準を定め、これらの基準への適合を認定の要件とすることを規定。
○登録認証機関制度の創設(第4条第2項、第5条~第21条関係)
 機械式駐車装置の安全性について、第三者的な専門機関が国の代行審査を行う制度として、安全性に係る認証の手続、当該事務を行う者(登録認証機関)の登録手続・要件及び登録認証機関の中立・公正な運営を確保するための所要の規定を整備。

国交省、住宅団地の再生に向け「あり方検討会」スタート

 国土交通省は7月22日、学識経験者などによる「住宅団地の再生のあり方に関する検討会」を設けて初回会合を行いました。今年中の取りまとめを目途に、今後①住宅団地の再生に係る現行制度の現状と課題の整理、②住宅団地の建て替え・改修の具体的事例の分析、③事業・制度など住宅団地の再生を促進するための施策のあり方について検討を進めていく予定です。

■都市近郊、「空き家の増加」+「住民の高齢化」進む
 国交省によれば、高度経済成長期に、都市近郊を中心として大規模な住宅団地が供給されましたが、これらの中には建物や設備の老朽化が進み、建て替え・改修を含めた再生を図る必要に迫られているものも多くなっています。
 また、人口減少社会の到来に伴い、都市近郊等の住宅団地では、空き家の増加や住民の高齢化が進み、団地の集約・再編と併せて、医療・福祉施設などの生活支援施設を整備することで、地域の拠点として再生していくことが求められています。

■建て替え、日影や容積で他棟との調整、賃貸等混在なら合意形成が課題
 しかし一方で、複数棟で構成される住宅団地は土地が共有となっており、一部棟だけを建て替えることは、日影や容積問題などで他の棟との調整が困難です。また、団地全体の建て替えも、賃貸住宅や社宅などが混在している場合は、全員合意が必要であることが課題となっています。

■権利調整や建築規制のあり方を、事業法的な観点も含めて総合的に検討
 前通常国会では、耐震性が不足するマンションの建て替えを円滑化するため、これまでの建て替えの仕組みに加え、マンション敷地売却制度が創設されました。
 こうした中で、建て替え・改修を含めた住宅団地の再生を促進するには、権利調整や建築規制のあり方等を、事業法的な観点も含めて総合的に検討することが必要となっていることから、検討会を設置することになりました。団地再生は、マンション建て替え円滑化法の改正にあたっても、付帯決議がされています。

平成25年住宅・土地統計調査、民営借家1,454万戸へ増加

 総務省は7月29日、平成25年住宅・土地統計調査の結果(速報集計)を公表しました。この調査は5年ごとに行われていますが、それによると年々増えている総住宅数は平成25年10月1日現在で6,063万戸となり、5年前に比べて305万戸(5.3%)増加しました。

■空き家は820万戸、うち賃貸用が52.4%
 これにともない、空き家数も増え続けており、5年前より63万戸(8.3%)増えて820万戸になりました。この結果、空き家率(総住宅数に占める割合)は13.5%となり、0.4ポイント上昇。別荘等の二次的住宅数(41万戸)を除いても12.8%となりました。
 一方、住宅の所有形態は、持ち家住宅数が5年前より192万戸(6.3%)増えて3,224万戸になるとともに、民営借家数も118万戸(8.8%)増えて1,454万戸となりました。
 空き家の内訳をみると、賃貸用住宅が429万戸(52.4%)を占め、ほか売却用住宅が31万戸(3.8%)で、供給可能な住宅が過半数を占めています。
 なお、我が国の平成25年10月の総世帯数は5,246万戸です。



■家賃の20~25年増減率、非木造民営5.7%減、木造民営借家3.9%減
 専用住宅の借家1,834万戸の1畳当たりの家賃は3,017円。これを住宅の所有関係別にみると、非木造の民営借家が3,821円と最も高く、次いで都市再生機構(UR)・公社の借家が3,445円などとなっています。
 専用住宅の借家の1畳当たりの家賃は、昭和58年から平成5年までの各5年間は20%を超える増加率を示していましたが、平成5~10年には増加率が鈍り、平成20~25年ではマイナスに転じ、0.7%の低下となっています。
 平成20~25年の家賃増減率を借家の内訳でみると、非木造の民営借家が5.7%低下し、木造の民営借家が3.9%低下しています。

■結果の要約(総務省公表内容)
●総住宅数・空き家率
・総住宅数は6,063万戸となり、5年前に比べ305万戸(5.3%)増加。
・空き家数は820万戸となり、5年前に比べ63戸(8.3%)増加。空き家率(総住宅数に占める割合)は、13.5%と0.4ポイント上昇し、過去最高。
・別荘等の二次的住宅数は41万戸。二次的住宅を除く空き家率は12.8%。


●共同住宅数
・共同住宅数は2,209万戸で、5年前に比べ141万戸(6.8%)増加。
・住宅全体に占める割合は、42.4%と5年前に比べ0.7ポイント上昇。


●持ち家住宅数
・持ち家住宅数は3,224万戸で、5年前に比べ192万戸(6.3%)増加。
・住宅全体に占める割合は、61.9%と5年前に比べ0.8ポイント上昇。


●空き家率
・別荘等の二次的住宅を除いた空き家率は、山梨県の17.2%が最も高く、次いで四国4県がいずれも16%台後半。
・空き家率が低いのは、宮城県の9.1%、沖縄県の9.8%。次いで山形県、埼玉県、神奈川県及び東京都がいずれも10%台。
・共同住宅の占める割合が最も高いのは、東京都で70.0%。次いで神奈川県、大阪府、福岡県及び沖縄県がいずれも50%台。


●高齢者への配慮
・高齢者などに配慮した住宅設備のある住宅は2,655万戸で、5年前に比べ2.2ポイント(240万戸)上昇し、住宅全体に占める割合は50.9%。
・設備の中でも、「手すりがある」が5年前に比べ3.5ポイント(272万戸)上昇。
・太陽光を利用した発電機器がある住宅は157万戸で、住宅全体の3.0%、そのうちの94.2%(148万戸)が持ち家。
・太陽光を利用した発電機器の普及率は、5年前(52 万戸)に比べ3倍増。



●東日本大震災の影響
・全国で東日本大震災により転居した世帯は33万世帯。
・住宅に住めなくなった世帯が13.3万世帯(40.5%)、その他の理由での転居が17.9万世帯(54.3%)。
・県外移動の割合は、住宅に住めなくなって転居した世帯の11.5%に対し、その他の理由での転居は31.6%と多い。



■詳しくはこちら→PDF「平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の概要」

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.7.15

借主負担DIY型賃貸、半数近くが「利用してみたい」

 国土交通省が2014年3月、個人住宅の流通促進に向けて推奨したことから話題となりつつある「借主負担DIY型賃貸」。現状では自由にはリフォームやカスタマイズはできないものの、賃貸集合住宅の居住者のうち、どの程度が実施したり、断念したりしているのでしょうか。個人賃借は地方型、集合賃貸は都市型とは言うものの、今後の動きを見定めるうえでも気になります。 ■賃貸から持ち家への住み替え、自由な設計・設備、リフォームが魅力
 株式会社リクルート住まいカンパニーは、2014年4月に行った「賃貸住宅における住民交流意識調査」と同時に、「賃貸住宅におけるDIY意向調査」も行いました(WEB調査、1都3県の男女618人より回収)。
 これによれば、集合賃貸の居住者が持ち家に住み替える理由で最も多いのは、「好みの間取りや広さの住宅を手に入れることができる」から。また、「設備を自由に決めたり、リフォームするのも自由だから」という理由も目立ちました。
 一方、現状では自由に実施するのは困難であるものの、4.2%の居住者が現在の集合賃貸住宅を「リフォームやカスタマイズをしたことがある」と答え、18.8%の居住者は「したいと思ったが、諦めたことがある」と答えました。

■利用拡大には、費用負担とトラブル防止の仕組みが課題
 また、国交省が推奨した「借主負担DIY型賃貸」については、半数近くが利用してみたいと回答。今後DIY型賃貸を後押しするのに必要なサービスとしては、回答者の6割が「オーナーの一部費用負担」をあげたほか、「必要な修繕箇所と経費が明らかになっている」「貸主と借主の双方合意を円滑に行う」といったトラブル回避の仕組みを求める声が目立ちました。

■調査結果の概要は次の通り。
○現在の賃貸住宅居住者における持家志向は53.1%、賃貸志向は35.6%。
○賃貸から持ち家への住み替え理由としては、「好みの間取りや広さの住宅を手に入れられるから」(86.9%)が最も多い。また、3番目には「設備を自由に決めたり、リフォームが自由にできるから」(77.7%)が多かった。
○現在の賃貸では自由にリフォームするのは困難であるものの、現在居住している賃貸住宅で「リフォームやカスタマイズをしたことがある」と答えた居住者が4.2%あった。
○「リフォームやカスタマイズしたいと思ったが諦めたことがある」が18.8%あった。実現していない要因は1位が「許容範囲がわからない」(50.4%)、2位が「契約上許されないから」(45.4%)。
○「借主負担DIY型」賃貸に、半数近くにあたる46.9%が利用意向にある。
○DIY型賃貸を後押しするのに必要なサービスとしては、「オーナーが費用を一部負担してくれる」(58.9%)、「必要な修繕箇所と必要な経費が明らかになっている」(58.1%)、「貸主と借主の双方合意を円滑に行う仕組み」(56.0%)などのニーズが高い。


■詳細はこちら→PDF「DIY意向調査」

「宅建士」への改正、6月25日公布、1年以内に施行

 宅地建物取引主任者を「宅地建物取引士」(宅建士)に改めるとともに、信用失墜行為の禁止や知識・能力の維持向上など公平・誠実な業務処理、暴力団排除条項を盛り込んだ改正宅地建物取引業法は、2014年6月25日に公布されました。向こう1年以内に施行となります。 ■主な改正点
○宅地建物取引士の定義
 「宅地建物取引士」とは、宅地建物取引士証の交付を受けた者をいう。
○宅地建物取引士の業務処理の原則
 宅地または建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地または建物の流通に資するよう、公正かつ誠実にこの法律に定める事務を行うとともに、宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携に努めなければならない。
○宅地建物取引士の信用失墜行為の禁止
 宅地建物取引士は、宅地建物取引士の信用または品位を害するような行為をしてはならない。
○宅地建物取引士の知識及び能力の維持向上
 宅地建物取引士は、宅地または建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない。
○宅地建物取引業者による従業者の教育
 宅地建物取引業者は、その従業者に対し、その業務を適正に実施させるため、必要な教育を行うよう努めなければならない。
○免許等に係る欠格事由等の追加
・宅地建物取引業の免許に係る欠格事由及び取消事由として、暴力団員等または暴力団員等がその事業活動を支配する者であることを追加。
・宅地建物取引士の登録に係る欠格事由及び消除事由として、暴力団員等であることを追加。

■宅建業界の現勢(現勢、業者数と宅建士数)
○現勢
 宅建業界はこの10年で、新設住宅着工数がそれまでの年110万戸台から2009年度に80万戸台を割り込んだあと、2013年度は100万戸近くまで回復しています。しかし今後は、人口減・世帯減を受けて減少することが見込まれているほか、一方で住宅の「量から質へ」の転換が進み、優良住宅やリフォーム需要の増加が見込まれています。
○宅建業者数
 2013年度末現在の宅建業者数は12万2,100者で、この10年間で6.1%、7,937者減少しました。大臣免許が増加し、知事免許、特に個人業者の減少が目立っており、2013年度末の組織別構成は、法人が84.7%(10万3,391業者)、個人が15.3%(1万8,709業者)。10年前と比べると、法人が0.4%、448業者の増加であるのに対し、個人は30.9%、8,385業者の減少となっています。
 宅建業者は5年ごとに免許を更新しますが、免許回次別業者数は1~5回次、つまり20年未満が全体の55.7%を占めています。
○宅建士
 一方、宅建士の資格登録者数は2013年度末現在で94万281人。うち、就業者数は30.8%にあたる28万9,720人。10年前と比較すると、資格登録者数は28.6%、20万8,859人、就業者数は14.7%、3万7,088人へと増えています。しかし、宅建業者数の伸び悩みを反映して、就業率は当時(2003年度末)の34.5%から3.7ポイント低下しています。

集合賃貸住宅の居住者、7割が同じ賃貸住宅内での交流を希望

 賃貸住宅に住むメリットの一つに、「隣近所とお付き合いする煩わしさがなくていい」という声が聞かれる一方で、「なにか不安・こわい」「味気ない」とか、「なにかあったときに困る」という声も聞かれます。でも、よくよく聞いてみると、入居者の7割もが賃貸住宅内での交流を求めているようです。■居住者の75%、住んでいる賃貸住宅内に「親しい人はいない」

 株式会社リクルート住まいカンパニーは2014年4月、関東地区1都3県(東京、埼玉、神奈川、千葉)の集合賃貸住宅に住む男女を対象に、インターネットを利用した「賃貸住宅における住民交流の意向調査」を実施しました。
 それによれば、回答のあった618人うち、70.1%の居住者が「いま住んでいる賃貸住宅内に親しくしている人はいない」と答えましたが、一方で回答内容から見て、75.1%の居住者が賃貸住宅内での交流を求めていました。

■参加したいイベントは防災訓練・避難訓練がトップ
 あったらいいイベント、参加したいイベントで最も多かったのは、防災訓練・避難訓練。「あったらいい共有設備」としては、屋上・ルーフバルコニー、図書館、エクササイズルームがトップ3になりました。  また、「あったらいいオーナーによる居住者サービス」としては、不在時の宅配便・荷物の一時預かり、自転車や電動自転車の貸し出し、しばらく使わないものの一時預かりが上位に上がりました。

■調査結果のポイントは次の通り。
○70.1%の居住者が、現在の賃貸住宅内に親しくしている人はいない。
○75.1%の居住者が、現在の賃貸住宅内で、他の居住者で交流したいと思っている。
○交流したい相手は、「趣味が近い住人」(58.7%)、「同世代の住人」(56.5%)、「生活レベルが近い住人」(53.1%)がトップ3。交流意向が高いのは、女性層・若年層。
○賃貸住宅の中で、居住者同士の交流のために「あったほうがいいなと思うイベントや催し」は、防災訓練・避難訓練(32.7%)、趣味のサークル活動(18.4%)、習いごと・教室・ワークショップ(17.0%)の順。50代以上は特に「防災訓練」「お花見」への関心が高い。
○居住者間の交流のために「あったらいいと思う共有設備・サービス」は、屋上・ルーフバルコニー(40.5%)、図書館(35.9%)、エクササイズルーム(32.0%)がトップ3。年代別にみると、20代、30代のニーズが高い。
○「あったらいいと思うオーナーによる居住者向けサービス」は、不在時の宅配便などの荷物一時預かり(33.8%)、自転車や電動自転車の貸し出し(29.9%)、しばらく使わないものの一時預かり(27.2%)がトップ3。
 年代別にみると、20代は「オーナーによるキャンプ・バーベキュー用品の貸し出し」が全体平均と比べて高い。

■詳細はこちら→PDF「住民交流意向調査」

除草剤の散布、大切なことは、1:事前周知 2:防護措置 3:法令順守

 賃借物件の美化・清掃に努めるうえで、この季節、やっかいなのは除去してもなかなか絶やせない雑草。そこで、やむなく除草剤などを使用するオーナーや管理会社もあるかと思われますが、国土交通省では全国賃貸不動産管理業協会などを通じて、農薬による危害の防止に努めるよう呼びかけています。

■除草剤も農薬の一つ、適正に使用しましょう
 厚生労働者、農林水産省、環境省は、6月1日から8月末までの3カ月間、「農薬危害防止運動」を実施しています。農薬の適正な販売、安全・適正な使用と管理、使用現場における周辺への配慮など要請しており、特に学校・保育所・病院・公園などと、住宅地に近接する場所では、住民、子どもたちの健康被害の防止に努めるよう求めています。
 除草剤も農薬の一つ。賃貸物件の雑草対策などで除草剤を使用するときの留意ポイントを、この運動の趣旨にそってまとめると、次のようになります。居住者、近隣の健康被害、イメージ低下を招かないために、徹底したいものです。

■事前・当日・事後の留意ポイント
○事前
・散布する日時、散布する農薬の種類、安全性について、事前に書面や看板などで、入居者や近隣に周知する。
○当日
・作業者は農薬用マスク、保護メガネなどの防護装備、防除器具などを点検・使用・携行する。
・周囲に飛散しないよう、風などに留意しつつ、用法を順守して散布する(適用作物・害虫、使用量、希釈倍率、使用時期、使用回数)。
・予防的、あるいは計画的な散布はしない(美観や駆除が必要になったときに散布する)。
○事後
・不要になった農薬や空容器・袋は、関係法令を順守して処理する(処理業者に依頼するなど)。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.7.1

いろいろある電気炊飯器、おいしいご飯が炊けるのは!?

 ご飯はガス炊飯器で炊くのがおいしいとはされるものの、一般家庭で使われているのは圧倒的に電気炊飯器。その背景には、家電メーカーの開発努力がありますが、おいしさを調べると、炊飯の仕組みや、値段がひとケタも違うわりには、そう大差はないとか。

■静岡県がマイコン、IH、圧力IHの3タイプ6銘柄を比較テスト
 炊飯器(電気炊飯器)の商品テストを実施したのは、静岡県(環境衛生科学研究所)です。電気炊飯器はマイコン炊飯器→IH炊飯器→圧力IH炊飯器と進化(*)してきているので、マイコンタイプ2銘柄、IHタイプ1銘柄、圧力IHタイプ3銘柄、計3タイプ6銘柄(メーカー4社)を購入(平成24年9月~平成25年1月)。糖分などの比較に加え、食味テストも行いました。ちなみに、購入価格は最も安価なマイコンタイプで4,980円、最も高い圧力IHタイプで69,800円と、ひとケタの開きがありました。
*マイコンタイプ:本体底部にあるヒーターの熱を内がまに伝えて炊き上げる。IHタイプ:電磁誘導の原理を応用し、かま自体を発熱させ、高火力で一気に加熱する。圧力IHタイプ:圧力をかけることで100度C以上の高温で炊き上げる。

■その差はわずか、人によって好みや評価に違い
 テストでは、炊飯米の糖分、水分、硬さをチェック。ご飯のおいしさは、「総合評価、外観、香り、うま味、粘り、硬さ」の6項目に分け、大変良い(+3)から大変不良(-3)までの7段階で評価。うち、硬さについては「かなり固い」(+2)から「かなり軟らかい」(-2)の5段階で評価しました。
 その結果、糖量は炊き方や保存の仕方(炊飯器保温か冷凍保存か)で違いが見られたものの、その差はわずか。人が味覚でその差を感じることは難しいと考えられる程度でした。一方、食味テストでは同じご飯に対する評価がパネラーによってまったく違っていました。これは、パネラーそれぞれの好みや毎日食べているご飯との違いが大きく反映しているためと見られます。

■テスト結果の概要
○普通炊き、早炊きともに、炊飯直後の糖量はマイコンタイプが高い傾向にある。
○すべての銘柄とも、保温後、冷凍後に糖量が減少した。減少は保温後が15~30%であるの対し、冷凍後が2~19%と少ない。
○保温後はすべての銘柄で水分率が減少した(0.4~8.4%)。
○保温後はすべての銘柄でご飯の硬さ(値)が小さくなり、マイコンタイプは変化が大きかった。
○硬さ以外の検査項目については銘柄ごとの評価に大きな差は見られなかった。 


■静岡県、「低価格品でも十分においしいご飯が炊ける」はず
 こうした結果を受け、環境衛生科学研究所では「テストした炊飯器には価格差が10倍以上もあったが、糖分、水分、食味テストによる明らかな差は見られなかった」「炊飯米は米の銘柄と炊飯器の組み合わせや水の量でも変化するし、好みも人によってさまざま」と総括。「低価格の商品でも十分においしいご飯が炊けることがわかった」としています。
 テスト結果の概要を見ると、「炊き上がってすぐに食べるならマイコンタイプ! 保温後も硬さにこだわるならマイコンタイプ以外! 保存するなら冷凍に!」と言えそうです。
 2013年度に国内向けに生産出荷された炊飯器は685万台ほど。その97%が電気炊飯器でした。ガス炊飯器は3%に過ぎませんが、最近はガスコンロに「炊飯鍋」を載せて炊いたり、ダッチオーブンを使うご家庭もあるので、ガス派はもっと多いように思われます。
■すべての銘柄の炊飯直後のご飯の評価(銘柄No.1を基準に比較評価)

■詳細はこちら→PDF「炊飯器テスト」

宅地建物取引主任者、「宅地建物取引士」(宅建士)に名称変更

 「宅地建物取引主任者」を「宅地建物取引士」(宅建士)に改めるとともに、宅建士の欠格事由に「暴力団排除規定」を追加する宅地建物取引業法の改正が6月18日に成立しました。交付日から1年以内に施行となります。

■役割と責任の増大に対応、欠格事由に「暴排規定」追加
 “士業”への引き上げは、宅建士が契約に先立って行う「重要事項説明」の範囲と内容が増えているうえ、今後中古住宅の流通が本格化する動きにあり、その役割と責任が増しているためです。これまでの宅地建物取引主任者は宅建士と見なされます。

■宅地建物取引業法の一部を改正する法律案要旨
 本法律案は、宅地建物取引業の業務の適正な実施を確保するため、宅地建物取引主任者という名称を宅地建物取引士という名称に変更するとともに、宅地建物取引士の業務処理の原則、従業者への必要な教育を行うよう努める宅地建物取引業者の義務、宅地建物取引業の免許及び宅地建物取引士の登録に係る欠格事由として暴力団員等であることの追加等について定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。
1 「宅地建物取引主任者」を「宅地建物取引士」の名称に改めることとする。
2 宅地建物取引士は、宅地建物取引業の業務に従事するときは、宅地又は建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう、公正かつ誠実にこの法律に定める事務を行うとともに、宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携に努めなければならないこととする。
3 宅地建物取引士は、宅地建物取引士の信用又は品位を害するような行為をしてはならないこととするとともに、宅地又は建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならないこととする。
4 宅地建物取引業者は、その従業者に対し、その業務を適正に実施させるため、必要な教育を行うよう努めなければならないこととする。
5 宅地建物取引業の免許及び宅地建物取引士の登録に係る欠格事由に暴力団員等であることを追加することとする。
6 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとする。
■詳細はこちら→PDF「宅建法改正案(要綱)」

重説などをテレビ電話やスカイプで実施、検討会で方向づけ

 国土交通省は、宅建法に基づく重要事項説明などをテレビ電話やスカイプ上でも行えるよう検討を進めており、6月26日開催の第3回会合で中間とりまとめを行ったうえで、年内には最終とりまとめを行う予定です。中間とりまとめに向けて第2回会合で示された構成案では、重説のネット上での説明やメール送受信といったIT活用のメリットやニーズ、それによる市場拡大への効果を盛り込む一方で、留意点として消費者の同意と理解を得ることや取引形態の類型化、本人確認を徹底することなどを記載する旨が示されました。

■多くの消費者が、物件の情報収集・選択にNETを活用
 宅地建物取引は、高額な取引であるとともに、権利関係も複雑であることから、消費者保護の充実の観点から、宅地建物取引主任者による重要事項説明など、宅建法で各種の規制が課されてきました。
 その一方で近年は、物件情報の収集や選択を、多くの消費者がインターネットを利用して行っていることから、重説や書面交付手続きも、テレビ電話やスカイプなどITを活用できるよう見直すことになったものです。
 検討は「ITを活用した重要事項説明等の検討会」で進められており、4月24日に初会合、6月3日に第2回会合が行われました。

■実証試験の結果、「図面の提示」には工夫が必要
 第2回会合で報告された実証実験の結果によれば、①宅建取引主任者証の提示は非対面で実施しても、相手方が確認するのに問題がないことが分かった、②重説の理解度は、対面、非対面で有意な差はなかった、③図面の提示では、非対面では説明が分かりにくいという指摘があったほか、資料が多くなる場合には、対面での資料とは異なる提示方法が必要とされる、④説明に際しての表情などは、消費者、主任者双方わかりづらい点があったが、全体として消費者の理解度に応じた説明が多かった、⑤テレビ電話(Skype)は、非対面におけるコミュニケーションツールとして大きな問題はなかった、とされます。

■中間とりまとめ(構成案)のポイント
 中間とりまとめにあたって、国交省側では次のような考え方(構成案)を示しています。
1 IT活用のニーズ・メリットの把握
 検討の前提として、重説等におけるIT活用に対する消費者・事業者それぞれのニーズやIT活用によって期待される効果(メリット)について把握する。併せて、新たなビジネスとしてのニーズの所在も記載する。
①IT活用のメリット
 重説、書面交付それぞれについて、ITの活用によって期待される取引コストの減少やトラブル防止効果等を記載。
②IT活用のニーズ
 ①を踏まえ、重説等をITで行った場合、そのメリットが大きく期待できる取引を記載。
③IT活用によって期待される市場の拡大効果
 ITの活用が市場に与える影響、特に市場の拡大や消費者ニーズの掘り起こしにつながる余地を記載。
2 IT活用の検討にあたっての留意点
 IT活用にあたっては、消費者保護の要請に応える手法を検討する必要がある旨を記載。特に重説は、トラブル原因の多くを占めており、消費者の理解の確保や、取引主任者のなりすまし防止策などについての検討が必要不可欠である旨を記載する。
①消費者の同意の確保
 ITを活用した重説等は、消費者の同意に基づいて実施される必要がある旨を記載。
②消費者の理解の確保
 重説の双方向性の確保、消費者理解の確認手法、重説の見せ方等についての検討が必要。
③消費者保護の程度による区別
 消費者保護の程度の観点から、取引の類型(例えば売買と賃貸)を分けて検討を進める必要がある旨を記載。また、個人と法人の別についても留意して検討を進める必要がある旨を記載。
④取引主任者・消費者の本人確認
 ITを活用する場合でも、説明を行う者が資格者であることを消費者が確認できることが必要不可欠である旨を記載。また、宅建業者が行う消費者の本人確認についても検討が必要な旨を記載。

相続税改正が借家建設を促す(みずほリポート)

 2013年度税制改正で相続税の基礎控除が引き下げられて、課税対象となる相続ケースが増えるとともに、その税率見直しで納付する税額も増えます。そこで、相続を課税評価の高い金融資産ではなく、低い貸家へと切り替えることで節税する動きが広がっています。「みずほリポート」(2014年6月9日)によれば、「節税効果が大きいのは年間1,000人強」と分析。これらの人たちがオーナーになって平均的な借家を建てれば、「着工数を年間1.5万戸ほど押し上げることになる」と試算しています。

■2015年1月から相続税の課税強化
 相続税の改正内容をおさらいすると、被相続人の相続財産から基礎控除額は、これまでは「5,000万円」+「1,000万円×法定相続人数」でした。しかし、2013年度税制改正(2015年1月1日から適用)で、「3000万円」+「600万円×法定相続人数」へと引き下げられて適用ケースが増加するとともに、これにともない税負担も全般的に増加。さらに、税率構造も見直されて、課税が強化されました。
 リポートによれば、2011年の場合、被相続人は51,559人で、法定相続人は156,389人で、被相続人1人当たり3人ほど。相続財産総額は全体で10兆7,397億円であるため、被相続人1人あたりの相続財産額は平均2億8,000万円。相続財産の内訳は、このところ地価下落が続いてきたことから土地と住宅の割合が徐々に低下。2011年は土地46%、有価証券・現金等37%、家屋・構造物6%、その他財産10%となっています。

■金融試算相続なら…
 言わずもがなですが、では相続を金融資産でする場合と借家でする場合とでは、どの程度の開きが出てくるのでしょうか。リポートでは、2億円分の相続財産を持つ被相続人が、法定相続人1人にすべてを相続する単純ケースで比較しています。
 それによれば、金融資産の場合は、現行税率下では基礎控除分6,000万円(5,000万円+1,000万円×1人)を除いた1億4,000万円に相続税(1億4,000万円×税率40%-控除1,700万円)が課せられ、納付額は3,900万円なります。しかし、税制改正後は基礎控除が3,600万円(3,000万円+600万円×1人)に減り、それを除いた1億6,400万円に相続税(1億6,400万円×40%-1,700万円)が課せられ、納付額は4,860万円になります。

■借家相続にすれば…
 これに対し、1億円の土地(200m2以下)を買い、そこに1億円の貸家を建てて相続すると、土地の課税評価額は実勢価格より低い路線価で評価されるので、8,000万円へと下がります。借家を建てると、借地権と借家権分が評価減となる(「借家建付地の評価減」、借地権割合70%、借家権割合30%を想定)ので、土地評価額は6,320万円に減少。さらに、土地面積が200m2以下なら「小規模宅地等の特例」により、評価額は50%減の3,160万円となります。また、借家部分も借家権分の評価減が認められているので、税額はさらに減少。この結果、金融資産の場合(4,860万円)に比べて半分程度になります。
 これらをもとに相続税を試算すると、改正前は1億円から基礎控除6,000万円を除いた4,000万円に課せられ、納付額は600万円になります(4,000万円×20%-200万円)。税制改正後は、基礎控除3,600万円を除いた6,400万円に課税され、納付額は1,220万円となります(6,400万円×30%-700万円)。
 つまり、単純な試算をすれば、借家相続なら税制改正前で3,300万円(金融試算相続3,900万円⇔借家相続600万円)、改正後なら3,640万円(金融試算相続4,860万円⇔借家相続1,220万円)の節税となります。
■借家を用いた相続税の負担軽減の例


■借家需要の押し上げ効果、年1.5万戸か
 リポートでは、こうした相続税の節税効果に着眼して今後借家需要が喚起されると予測。基礎控除額の引き下げで所得相続税額が新たに2億円超、3億円超、6億円超になる530人が節税のインセンティブが強いほか、税制改正前の時点で6億円以上の財産相続が見込まれる515人も節税インセンティブが大きいと分析のうえ、これらの計1,045人が平均的な借家(部屋数14.6室)を建設したとき、年間15,257戸の押し上げ効果を生むと試算しています。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.6.16

あなたの暮らしは何派? 電気派4割、ガス派2割、ミックス派3割

 賃借情報サイト「マイナビ賃貸」が、電気とガスに対する意識調査を実施したところ、「電気派」は4割強、「ガス派」はその半分以下の2割弱となる一方、「どちらでもいい派」が3割以上いることがわかりました。その理由・背景として、電気派は費用や安全性、ガス派は災害への強さを重視し、またどちらでもいい派はベストミックスのメリットを挙げています。

■マイナビ調査、電気派は費用・安全、ガス派は災害へ強さを重視
 この調査は、2014年4月25日と26日、マイナビニュース会員である500人を対象に実施されました(回答者限定ログイン式アンケート)。
 それによると、「あなたは電気、ガスのどちら中心の暮らしを好みますか」と聞いたところ、結果は電気が45.2%、ガスが19.0%となりました。ほか、どちらでもよいという回答が32.8%、その他が3.0%ありました。


 電気を選んだ回答者に、電気のメリットを聞くと、「ガスより安い」「火を使わないので安心」などと、費用や安全性を重視している回答が目立ちました。これに対し、ガスを選んだ回答者は、東日本大震災の経験などから「災害に強い」「オール電化は停電時に困る」などと災害に強いことや、「使い慣れており、火加減がしやすい」「早く暖まる」といったメリットを挙げました。
 一方、どちらでもいい派(ベストミックス派)は、「両方のいいところを使いたい」「偏ると、どちらかがストップしたときに大変である」などと考えており、電気、ガスそれぞれのよいところを組み合わせて暮らしている人が多いように見受けられました。

■回答者の理解や知識には“イメージ先行”も
 調査結果をもとに、マイナビ賃貸では「エネルギーのよって供給形態は異なるうえ、同じガスでもLPガス、都市ガスの違いもあり、物件によって供給スタイルはさまざま」であるとしたうえで、「これから転居などを考えている人は、その物件が自分にとって生活しやすいエネルギーかどうかという点もチェックしてみてはいかがですか」と問いかけています。
 全国のオール電化住宅は現在、総世帯数の1割ほどにあたる500万戸強。回答者の理解や知識にはイメージ先行の傾向も見られ、特にガスサイドから見れば、LPガス、都市ガスそれぞれの供給の仕組みと利用形態・用途、メリット・デメリット、さらに料金制度や料金水準についての周知やPRが行き届いていないことがうかがわれる内容となっています。

■主な回答内容
○電気派
・ガスより値段が安いから(25歳/男性/医療品・化粧品)
・電気料金のほうが割安だし、生活面でも火を直接使わないほうが安心なイメージ(31歳/女性/学校・教育関連)
・電化製品が使えるから(20歳未満/男性/社会人経験がない)
・電気はガスの代わりになるが、ガスは電気の代わりになりにくい(26歳/男性/通信)
○ガス派
・災害に強いと知り、安心だと思いました(31歳/女性/ソフトウエア)
・オール電化だと停電のときに困るから(27歳/男性/小売業)
・ガスは料理をする際に慣れているので、火加減がしやすい(35歳/女性/マスコミ・広告)
・ガスのほうが、部屋が早く暖まるから(46歳/女性/社会人経験がない)
○ベストミックス派
・両方のいいところを使いたい(35歳/男性/機械・精密機器)
・どちらかに偏ると、どちらかがストップしたとき大変だから(27歳/女性/生保・損保)

ニッセイ基礎研、入居者と地域が触れ合う“コミュニティ型賃借住宅”提唱

 ニッセイ基礎研究所は、5月30日付け「基礎研レポート」で、“地域”を過疎化・空洞化から守り維持継続していくために、地方自治体と民間賃貸住宅が連携して「入居者と地域住民と共助関係」をつくる「戦略的賃貸住宅誘導論」(賃貸住宅が地域を変える)を提唱しています。この中で、共助関係をつくるには入居者と地域が触れ合う“コミュニティ型賃借住宅”の供給と、防災訓練などといった入居者と地域住民が触れ合う機会づくりがポイントになると強調。地域の新しい担い手を民間賃貸住宅へと誘導するこうした取り組みは、空室対策に悩むオーナーにもメリットをもたらすと紹介しています。

■居住者の住み替え行動を見ると
 民間賃貸の居住者の住み替え行動を見ると、次のような層の存在と動きが見られるといいます。  就職を機に親元を離れて民間賃貸に入居し、その後結婚を機に2人で暮らせる広さの民間賃貸に住み替え、その地域で数年を過ごす。子どもの誕生を機に、さらに持ち家の取得を考え、その多くの世帯は同じ市区町村内で取得して定住層となる。
 一方、空きが出た民間賃貸には、新たなファミリー層が入居し、数年を過ごした後、同地域で持ち家を取得し、新たな定住層になるという循環構造です。
 このようにして、常に若いファミリーが地域に一定数いることは、地域の活力を維持することにつながり、若いファミリーが定住層となることで、地域の担い手を確保することにつながります。



■循環構造を維持・増進するためには
 この循環構造を維持・増進するための取り組みとして、レポートは“コミュニティ型賃貸住宅”づくりを提唱。その具体的な事例として「子育て共感賃貸住宅」(東京都武蔵野市)、「多世代交流型賃貸住宅」(東京都北区)、再開発ビルの活用した「学生居住推進活動」(東京都千代田区)を紹介しています。
 そして、レポートではそれらに共通した特徴として、(1)子育ての喜びを共感し合う、高齢世帯と子育て世帯の交流、学生と地域が交流するなどのコンセプトを明確に打ち出している。また、うち2つは、(2)そのコンセプトにフィットする入居者を誘導するために、コンセプトに基づく入居条件を提示している点も共通している。
 一方、建築面では、(3)入居者同士のコミュニケーションを促し交流する場として、豊かな共用空間が設置されている。また、その共用空間を活用して、(4)管理会社が入居者や地域住民向けの交流イベントを提供しており、その結果、2つの事例では、入居者の自発的な交流の場が創出されている点が共通していると紹介しています。
 さらに、(5)オーナーや管理会社が入居者と地域との媒介役になって、入居者と地域との交流を促している点も共通していると指摘しています。



■オーナーにも長期にわたる安定収益
 そのうえでレポートは、循環構造を成立させるには、行政において地域開発や住宅建設のマスタープランづくりが固まる前から、地方自治体と民間賃貸オーナー、それに企画・開発事業者がそれぞれの地域の課題を共有し、自発的に行動する環境を整えておくことが重要になると指摘。
 そのために例えば、土地活用セミナーへの行政参加や、導入にインセンティブを与える認定制度なども検討すべきであると呼びかけています。
 こうしたコミュニティ型賃貸住宅は、周辺相場よりやや高めの家賃・管理費が設定されているものの、現状は物件数が少ないこともあって、入居希望者が多く、極めて人気の高い物件となっています。オーナーから見れば、自らが居住者と地域住民の接点づくりを担うことで、長期にわたって安定的な収益を期待できるとしています。
■詳細はこちら→PDF「戦略的賃貸論」

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.6.2

「アパート」と「マンション」はどう違うのか

 日ごろ頻繁に使っているのに、どう違うのか問われると、もう一つはっきりしない。そんな言葉があるものです。例えば、アパートとマンション。そこで、すっきりするよう、賃貸住宅の形態を整理してみると――。

■賃貸住宅を形態で区分けすると
 まず、賃借住宅を形態面から分けると、「独立住宅」と「集合住宅」に分けられます。そして、集合住宅はさらに「長屋」と「共同住宅」に分けられます。こうした分け方は、公的な統計などで使用されていますが、建築基準法などで定義されているわけではありません。
 独立住宅は、いわゆる戸建て住宅です。集合住宅は、一つの建物に複数の世帯が入居している住宅を指し、これが壁を共有して横(水平)に連なれば長屋、縦(上下)に階を重ねれば共同住宅ということになります。ちょっとややこしくなりますが、独立住宅が一団として建設されたとき、集合住宅というときもあるようです。
 国土交通省では、廊下や階段を共用しない形態なら長屋、共用する形態なら共同住宅と区分けしています。

■「二世帯住宅」の要件とメリット
 また、近年増えている「二世帯住宅」は、玄関、キッチン、トイレなどが2つ以上あり、住宅内部で行き来できる住宅(同居)を指します。2戸が1棟と見なされると、区分登記ができ、2世帯分の公的融資が受けられるほか、1戸の面積が小さくなるので、課税が軽減されます。
 相続・遺贈については、平成25年度税制改正で、建物の中で行き来ができない“別居形態”であっても、同居形態と同様のメリットが受けられるよう見直されています(平成26年1月から適用)。
アパートとマンションは、建築構造で区分け
 一方、賃貸住宅にはアパート、マンション、コーポ、ハイツ、荘といった言葉があります。アパートとマンションの厳密な区分けはありませんが、一般的には建築構造が木造、軽量鉄骨、プレハブであれば「アパート」、鉄筋コンクリ、鉄骨鉄筋コンクリ、鉄骨などであれば「マンション」とされます。また、こうした構造上の理由から、アパートは低層住宅、とくに2階建てが多く、また消防法上は多くが準耐火構造となっています。
 これに対し、マンションは建築コストを早めに回収する狙いもあって中高層住宅が多く、消防法上もほとんどが耐火構造となっています。「コーポ」や「ハイツ」「荘」は、アパートの言い換えである場合が多いようです。

■シェアハウス、タウンハウス、テラスハウス…
 近年は、シェアハウス、タウンハウス、テラスハウス、メゾネットなどといった形態が増えています。「シェアハウス」は、一つの住居を複数の人たちで共用することを言います。「タウンハウス」は、2つ以上の住宅が壁を共有し、それぞれ別に出入り口が設けられている形態(長屋)を指します。このうち、専用の庭が設けられているものを「テラスハウス」と言い、戸建ての賃貸住宅に似ています。
 なお、「メゾネット」とは住戸内が2階層以上になっているタイプと言います。

「空き家対策法」制定へ、危険空き家は解体・修繕を勧告・命令

 過疎化・高齢化が進む地方に加え、都市部でも空き家の増加が防災や治安面からも問題化していることを受け、所有者の管理が不十分な場合は市町村が立ち入り調査を行え、危険な空き家は除却や修繕を勧告・命令することができる特別措置法、「空き家対策法」が、制定される動きにあります。

■年々増える空き家、その背景・理由は
 全国の空き家率は2008年時点で13.1%、757万戸に達していますが、人口減に加え今後は世帯減も進むことから、空き家は年々増加していくことが見込まれています。
 空き家が増える背景には、急速な高齢化で空き家数が増える中、相続人が空き家を市場に供給しない、供給されても需要がないという事情があります。そして、そうした空き家がいつまでも残ってしまうのは、解体に手間と費用がかかるうえ、更地にすると固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなるため、最大6倍にも増えることがあります。
 さらに、使える空き家が流通しないのは、適正な評価制度が確立されていないことや、賃貸住宅にすると貸し主事情で解約するのが難しいと思われていることがあるようです(2000年の定期借家制度の導入で見直されたものの、必ずしも周知徹底されていない)。

■対応に苦慮する地方都市、さまざまな取り組み
 対応に苦慮している地方都市では、建築基準法で定める既存不適格物件の除却(第10条)が決め手を欠くことから、条例で指導・勧告・命令、さらに行政代執行まで定めたり、解体費用の補助、住宅用地特例の解除猶予期間(2年)の延長、公共スペースへの転用(固定資産税の減免)など、さまざまな取り組みを進めてきています。
 しかし、それでも空き家は増え続けているのが実態です。

■今後費用補助、優遇税制、流通支援策も
 空き家対策法は、こうした取り組みを国レベルに引き上げる狙いからつくられます(議員立法)。空き家の所有者の管理が不十分な場合には、地方自治体が立ち入り調査を行えるようにしたうえで、倒壊の危険がある空き家(特定空き家)の除却や修繕を勧告、命令できるよう、権限の強化と明確化が図られます。
 これと合わせて、市町村が取り組む空き家対策への国や都道府県からの費用補助や、地方交付税制度の拡充、空き家を解体したときの優遇税制(平成27年度税制改正)、さらに空き家が流通しやすくするためのデータベースの整備と活用(市町村)も進めていくことになっています。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.6.16

あなたの暮らしは何派? 電気派4割、ガス派2割、ミックス派3割

 賃借情報サイト「マイナビ賃貸」が、電気とガスに対する意識調査を実施したところ、「電気派」は4割強、「ガス派」はその半分以下の2割弱となる一方、「どちらでもいい派」が3割以上いることがわかりました。その理由・背景として、電気派は費用や安全性、ガス派は災害への強さを重視し、またどちらでもいい派はベストミックスのメリットを挙げています。

■マイナビ調査、電気派は費用・安全、ガス派は災害へ強さを重視
 この調査は、2014年4月25日と26日、マイナビニュース会員である500人を対象に実施されました(回答者限定ログイン式アンケート)。
 それによると、「あなたは電気、ガスのどちら中心の暮らしを好みますか」と聞いたところ、結果は電気が45.2%、ガスが19.0%となりました。ほか、どちらでもよいという回答が32.8%、その他が3.0%ありました。


 電気を選んだ回答者に、電気のメリットを聞くと、「ガスより安い」「火を使わないので安心」などと、費用や安全性を重視している回答が目立ちました。これに対し、ガスを選んだ回答者は、東日本大震災の経験などから「災害に強い」「オール電化は停電時に困る」などと災害に強いことや、「使い慣れており、火加減がしやすい」「早く暖まる」といったメリットを挙げました。
 一方、どちらでもいい派(ベストミックス派)は、「両方のいいところを使いたい」「偏ると、どちらかがストップしたときに大変である」などと考えており、電気、ガスそれぞれのよいところを組み合わせて暮らしている人が多いように見受けられました。

■回答者の理解や知識には“イメージ先行”も
 調査結果をもとに、マイナビ賃貸では「エネルギーのよって供給形態は異なるうえ、同じガスでもLPガス、都市ガスの違いもあり、物件によって供給スタイルはさまざま」であるとしたうえで、「これから転居などを考えている人は、その物件が自分にとって生活しやすいエネルギーかどうかという点もチェックしてみてはいかがですか」と問いかけています。
 全国のオール電化住宅は現在、総世帯数の1割ほどにあたる500万戸強。回答者の理解や知識にはイメージ先行の傾向も見られ、特にガスサイドから見れば、LPガス、都市ガスそれぞれの供給の仕組みと利用形態・用途、メリット・デメリット、さらに料金制度や料金水準についての周知やPRが行き届いていないことがうかがわれる内容となっています。

■主な回答内容
○電気派
・ガスより値段が安いから(25歳/男性/医療品・化粧品)
・電気料金のほうが割安だし、生活面でも火を直接使わないほうが安心なイメージ(31歳/女性/学校・教育関連)
・電化製品が使えるから(20歳未満/男性/社会人経験がない)
・電気はガスの代わりになるが、ガスは電気の代わりになりにくい(26歳/男性/通信)
○ガス派
・災害に強いと知り、安心だと思いました(31歳/女性/ソフトウエア)
・オール電化だと停電のときに困るから(27歳/男性/小売業)
・ガスは料理をする際に慣れているので、火加減がしやすい(35歳/女性/マスコミ・広告)
・ガスのほうが、部屋が早く暖まるから(46歳/女性/社会人経験がない)
○ベストミックス派
・両方のいいところを使いたい(35歳/男性/機械・精密機器)
・どちらかに偏ると、どちらかがストップしたとき大変だから(27歳/女性/生保・損保)

ニッセイ基礎研、入居者と地域が触れ合う“コミュニティ型賃借住宅”提唱

 ニッセイ基礎研究所は、5月30日付け「基礎研レポート」で、“地域”を過疎化・空洞化から守り維持継続していくために、地方自治体と民間賃貸住宅が連携して「入居者と地域住民と共助関係」をつくる「戦略的賃貸住宅誘導論」(賃貸住宅が地域を変える)を提唱しています。この中で、共助関係をつくるには入居者と地域が触れ合う“コミュニティ型賃借住宅”の供給と、防災訓練などといった入居者と地域住民が触れ合う機会づくりがポイントになると強調。地域の新しい担い手を民間賃貸住宅へと誘導するこうした取り組みは、空室対策に悩むオーナーにもメリットをもたらすと紹介しています。

■居住者の住み替え行動を見ると
 民間賃貸の居住者の住み替え行動を見ると、次のような層の存在と動きが見られるといいます。  就職を機に親元を離れて民間賃貸に入居し、その後結婚を機に2人で暮らせる広さの民間賃貸に住み替え、その地域で数年を過ごす。子どもの誕生を機に、さらに持ち家の取得を考え、その多くの世帯は同じ市区町村内で取得して定住層となる。
 一方、空きが出た民間賃貸には、新たなファミリー層が入居し、数年を過ごした後、同地域で持ち家を取得し、新たな定住層になるという循環構造です。
 このようにして、常に若いファミリーが地域に一定数いることは、地域の活力を維持することにつながり、若いファミリーが定住層となることで、地域の担い手を確保することにつながります。


■循環構造を維持・増進するためには
 この循環構造を維持・増進するための取り組みとして、レポートは“コミュニティ型賃貸住宅”づくりを提唱。その具体的な事例として「子育て共感賃貸住宅」(東京都武蔵野市)、「多世代交流型賃貸住宅」(東京都北区)、再開発ビルの活用した「学生居住推進活動」(東京都千代田区)を紹介しています。
 そして、レポートではそれらに共通した特徴として、(1)子育ての喜びを共感し合う、高齢世帯と子育て世帯の交流、学生と地域が交流するなどのコンセプトを明確に打ち出している。また、うち2つは、(2)そのコンセプトにフィットする入居者を誘導するために、コンセプトに基づく入居条件を提示している点も共通している。
 一方、建築面では、(3)入居者同士のコミュニケーションを促し交流する場として、豊かな共用空間が設置されている。また、その共用空間を活用して、(4)管理会社が入居者や地域住民向けの交流イベントを提供しており、その結果、2つの事例では、入居者の自発的な交流の場が創出されている点が共通していると紹介しています。
 さらに、(5)オーナーや管理会社が入居者と地域との媒介役になって、入居者と地域との交流を促している点も共通していると指摘しています。



■オーナーにも長期にわたる安定収益
 そのうえでレポートは、循環構造を成立させるには、行政において地域開発や住宅建設のマスタープランづくりが固まる前から、地方自治体と民間賃貸オーナー、それに企画・開発事業者がそれぞれの地域の課題を共有し、自発的に行動する環境を整えておくことが重要になると指摘。
 そのために例えば、土地活用セミナーへの行政参加や、導入にインセンティブを与える認定制度なども検討すべきであると呼びかけています。
 こうしたコミュニティ型賃貸住宅は、周辺相場よりやや高めの家賃・管理費が設定されているものの、現状は物件数が少ないこともあって、入居希望者が多く、極めて人気の高い物件となっています。オーナーから見れば、自らが居住者と地域住民の接点づくりを担うことで、長期にわたって安定的な収益を期待できるとしています。

■詳細はこちら→PDF「戦略的賃貸論」

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.6.2

「アパート」と「マンション」はどう違うのか

 日ごろ頻繁に使っているのに、どう違うのか問われると、もう一つはっきりしない。そんな言葉があるものです。例えば、アパートとマンション。そこで、すっきりするよう、賃貸住宅の形態を整理してみると――。

■賃貸住宅を形態で区分けすると
 まず、賃借住宅を形態面から分けると、「独立住宅」と「集合住宅」に分けられます。そして、集合住宅はさらに「長屋」と「共同住宅」に分けられます。こうした分け方は、公的な統計などで使用されていますが、建築基準法などで定義されているわけではありません。
 独立住宅は、いわゆる戸建て住宅です。集合住宅は、一つの建物に複数の世帯が入居している住宅を指し、これが壁を共有して横(水平)に連なれば長屋、縦(上下)に階を重ねれば共同住宅ということになります。ちょっとややこしくなりますが、独立住宅が一団として建設されたとき、集合住宅というときもあるようです。
 国土交通省では、廊下や階段を共用しない形態なら長屋、共用する形態なら共同住宅と区分けしています。

■「二世帯住宅」の要件とメリット
 また、近年増えている「二世帯住宅」は、玄関、キッチン、トイレなどが2つ以上あり、住宅内部で行き来できる住宅(同居)を指します。2戸が1棟と見なされると、区分登記ができ、2世帯分の公的融資が受けられるほか、1戸の面積が小さくなるので、課税が軽減されます。
 相続・遺贈については、平成25年度税制改正で、建物の中で行き来ができない“別居形態”であっても、同居形態と同様のメリットが受けられるよう見直されています(平成26年1月から適用)。
アパートとマンションは、建築構造で区分け
 一方、賃貸住宅にはアパート、マンション、コーポ、ハイツ、荘といった言葉があります。アパートとマンションの厳密な区分けはありませんが、一般的には建築構造が木造、軽量鉄骨、プレハブであれば「アパート」、鉄筋コンクリ、鉄骨鉄筋コンクリ、鉄骨などであれば「マンション」とされます。また、こうした構造上の理由から、アパートは低層住宅、とくに2階建てが多く、また消防法上は多くが準耐火構造となっています。
 これに対し、マンションは建築コストを早めに回収する狙いもあって中高層住宅が多く、消防法上もほとんどが耐火構造となっています。「コーポ」や「ハイツ」「荘」は、アパートの言い換えである場合が多いようです。

■シェアハウス、タウンハウス、テラスハウス…
 近年は、シェアハウス、タウンハウス、テラスハウス、メゾネットなどといった形態が増えています。「シェアハウス」は、一つの住居を複数の人たちで共用することを言います。「タウンハウス」は、2つ以上の住宅が壁を共有し、それぞれ別に出入り口が設けられている形態(長屋)を指します。このうち、専用の庭が設けられているものを「テラスハウス」と言い、戸建ての賃貸住宅に似ています。
 なお、「メゾネット」とは住戸内が2階層以上になっているタイプと言います。

「空き家対策法」制定へ、危険空き家は解体・修繕を勧告・命令

 過疎化・高齢化が進む地方に加え、都市部でも空き家の増加が防災や治安面からも問題化していることを受け、所有者の管理が不十分な場合は市町村が立ち入り調査を行え、危険な空き家は除却や修繕を勧告・命令することができる特別措置法、「空き家対策法」が、制定される動きにあります。

■年々増える空き家、その背景・理由は
 全国の空き家率は2008年時点で13.1%、757万戸に達していますが、人口減に加え今後は世帯減も進むことから、空き家は年々増加していくことが見込まれています。
 空き家が増える背景には、急速な高齢化で空き家数が増える中、相続人が空き家を市場に供給しない、供給されても需要がないという事情があります。そして、そうした空き家がいつまでも残ってしまうのは、解体に手間と費用がかかるうえ、更地にすると固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなるため、最大6倍にも増えることがあります。
 さらに、使える空き家が流通しないのは、適正な評価制度が確立されていないことや、賃貸住宅にすると貸し主事情で解約するのが難しいと思われていることがあるようです(2000年の定期借家制度の導入で見直されたものの、必ずしも周知徹底されていない)。

■対応に苦慮する地方都市、さまざまな取り組み
 対応に苦慮している地方都市では、建築基準法で定める既存不適格物件の除却(第10条)が決め手を欠くことから、条例で指導・勧告・命令、さらに行政代執行まで定めたり、解体費用の補助、住宅用地特例の解除猶予期間(2年)の延長、公共スペースへの転用(固定資産税の減免)など、さまざまな取り組みを進めてきています。
 しかし、それでも空き家は増え続けているのが実態です。

■今後費用補助、優遇税制、流通支援策も
 空き家対策法は、こうした取り組みを国レベルに引き上げる狙いからつくられます(議員立法)。空き家の所有者の管理が不十分な場合には、地方自治体が立ち入り調査を行えるようにしたうえで、倒壊の危険がある空き家(特定空き家)の除却や修繕を勧告、命令できるよう、権限の強化と明確化が図られます。
 これと合わせて、市町村が取り組む空き家対策への国や都道府県からの費用補助や、地方交付税制度の拡充、空き家を解体したときの優遇税制(平成27年度税制改正)、さらに空き家が流通しやすくするためのデータベースの整備と活用(市町村)も進めていくことになっています。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.5.15

一人暮らし、「安全・安心を重視」が増える

 (公社)全国宅地建物取引業協会連合会と(公社)全国宅地建物取引業保証協会は4月23日、インターネットを利用して行ったアンケート調査「一人暮らしに関する意識調査」の結果を公表しました。これによれば、全体的な傾向は昨年とほぼ同じですが、部屋探しで重視する条件の第3位に「建物の警備・セキリュティ」が再浮上し、前年第3位の「部屋の間取りの広さ」と逆転しました。また、重視する設備でも「玄関のオートロック設備」がこの3年間伸び続けており、全宅連では「特に女性の関心が高い。昨今の事件の多さからの安全安心への関心が高くなっている」と見ています。

■全宅連がWEB調査で「意識調査」を実施
 この意識調査は、地域・国内全域の18歳以上の男女を対象に、2013年12月下旬から2014年2月末まで実施され、17,143件の回答を得ました。
 回答者の内訳は、「住まい別」では持ち家戸建て39.9%、賃貸マンション17.1%、持ち家マンション11.8%、実家暮らし8.5%など、「男女別」では男性48.9%、女性51.7%。また、「今の暮らし方別」では一人暮らし19.4%、家族と同居77.6%、その他3.0%となっています。

■「セキリュティ重視」は女性が男性の2倍
 一人暮らしの部屋探しで重視する条件(複数回答)は、第1位「家賃の額」(29.3%)、第2位「通勤通学の時間」(18.6%)は前年と同じ。しかし、第3位には一昨年に第3位だった「建物の警備・セキリュティ」(11.2%)が浮上し、前年第3位だった「部屋の間取りの広さ」(10.7%)と入れ替わりました。
 警備・セキリュティの重視は、この3年間の調査結果で見ると、男性は男性回答者の7.1%であるのに対し、女性は女性回答者の14.8%と、2倍近い開きがあります。その一方で、年齢によるばらつきは少なく、10~60歳代の男女平均のすべてで10%を超えました。

■「玄関のオートロック設備」、3年連続で伸びる
 また、一人暮らしで重視する部屋の設備は、第1位「エアコン付」(15.8%)、第2位「トイレとバス(風呂)の分離」(14.5%)、第3位「収納スペースが広い」(11.0%)、第4位「玄関のオートロック設備」(10.8%)と例年通りでした。
 この中で、エアコン付が年々伸びるとともに、玄関のオートロック設備も3年連続で伸びました。

■主な調査結果は次の通りとなっています。
●部屋タイプ・家賃
○一人暮らしの部屋の希望タイプは?
・「1DK」29.9%、「1LDK」21.6%、「1K」21.0%。
・2013年調査と同様に、部屋数は少なくても十分と考える傾向は変わっていない。
○一人暮らしの家賃の希望額は?
・「4~5万円」25.3%、「5~6万円」17.3%、「3.5〜4万円」14.0%。
・一人暮らしを考える4人に1人以上が4~5万円、40%が4〜6万円を希望している。
○月収に占める妥当と思われる家賃の割合は?
・「20%」39.9%、「30%」39.4%、「10%以下」10.7%。
・前年調査と比べ「20%」と「30%」との順位が逆転したが、その差は0.5%とわずか。
・約半数が「30%程度」が支払える金額と思っており、できるだけ抑えたいと考えている。
●部屋探しの条件・環境
○部屋探しで重視する条件・環境は?
・(部屋の条件)「家賃」29.3%、「通勤通学時間」18.6%、「セキュリティ」11.2%の順。
・(環境)「買い物施設が近い」27.2%、「最寄駅が近い」21.8%、「学校・職場に近い」20.4%
・(設備)コンビニが例年1ポイントずつ落ちているが、常に近くにあるのが当然なためか。
○重視する部屋の設備は?
・「エアコン付」15.8%、「トイレとバスの分離」14.5%、「収納スペースが広い」11.0%。
・現実的にはユニットバスが多いため、トイレ・バス別は憧れる設備であることは確か。
●一人暮らしのマナー
○隣人の生活音を「うるさい」と感じるか?
・夜の時間帯では「ない」44.6%、「ある」は「0時以降」14.4%、「22時」13.9%。
・朝の時間帯では「ない」52.5%、「ある」は「6時」14.1%、「5時」14.0%。
・夜・朝とも半数近くが「ない」と回答。全体的には隣人の生活音が気になっていない。
〇ゴミの分別処理などは?
・分別処理を「している」88.5%、ゴミを出す日を「守る」93.1%。
○近隣への挨拶
・「している」が66.1%と高く、「時々している」25.9%と合わせると9割以上になる。
■詳細はこちら→PDF「全住連意識調査」

セーフティネット事業、平成26年度募集がスタート

 民間賃貸住宅の質的向上を図って、空き家を高齢者や障害者向けに活用するとともに、災害時には公的にも利用する狙いで進められている「民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業」が、平成26年度も募集が始まりました。

■物件の省エネ改修などグレードアップに有利利用を
 補助額が「改修工事費用の1/3」(空き家戸数×100万円が上限)と多いことから、物件の耐震、バリアフリー、省エネといったグレードアップを計画されているオーナーには有利な制度です。詳細は(社)北海道宅地建物取引業協会や道・建築指導課でも説明してもらえます。

■セーフティネット事業の概要
○対象住宅の要件(全要件を満たすことが必要):(1)応募・交付申請時点で入居者募集から3カ月以上人が居住していない空き家がある(戸建て・共同住宅は問わない)、(2)改修工事後に賃貸住宅として管理する、(3)空家の床面積が25m2以上である、(4)台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室がある…など。
○改修工事の要件(空き家部分または共用部分で、次の少なくとも一つの工事を含む改修工事を実施すること):(1)耐震、(2)バリアフリー(手すり設置、段差解消、廊下幅拡張、エレベーター設置)、(3)省エネ(窓、外壁、屋根・天井または床、太陽熱利用、節水型トイレ、高断熱浴槽)
○賃貸住宅の管理の要件:10年間は、最初の入居者を住宅確保要配慮者とする、住宅確保要配慮者の入居を拒まない、地方公共団体または居住支援協議会から要請を受けたら対応に努めることなど。
○補助対象費用:(1)空家部分での改修工事(バリアフリーまたは省エネ改修)、(2)共用部分での改修工事
○申請書類の送付先:民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業実施支援室(〒103-0027 東京都中央区日本橋1-2-5 栄太楼ビル7F)

機械式立体駐車場の安全対策、国交省が「ガイドライン」を策定

  機械式の立体駐車場での死亡・重傷事故が増え、なかには児童が亡くなる痛ましい事例も発生しています。このため、国土交通省は2014年3月に「安全対策に関するガイドライン」をつくり、順守・徹底するよう呼びかけています。


■2007年度以降、26件もの死傷事故が発生  国交省によれば、機械式立体駐車場での死亡・重傷事故は、2007年度以降、少なくとも26件発生しています。そのほとんどは、装置内に人がいる状態で機械が作動したときに起きています。国交省ではこのため、2013年11月に安全対策検討委員会を設けて安全策の検討を開始。ガイドラインは、その提言を受けて策定されました。


■総則に続いて、各当事者の取り組み指針を提示
 ガイドラインは総則に続いて、製造者、設置者、管理者、利用者それぞれに対する取り組み指針を提示しています。
 うち、製造者については「利用者以外が容易に立ち入れない構造」「設置者または管理者が操作を行う者を限定できる」「前の利用者が正常に完了しない限り、次の利用者が操作できない」「操作盤は安全確認ボタンの操作後でなければ稼働しない」「操作盤の見やすい場所に緊急停止ボタンを設ける」などを求めています。
 また、設置者には「ピット内への転落や不用意な侵入防止柵等を設ける」「柵等は装置稼働部に手や足等が届かない構造にする」「乗降室外部に子供の待機場所や荷物の積み下ろし場所を確保する」ほか、「夜間使用、屋内・地下設置の場合は照明設備を設置する」なども要請しています。

■管理者は、使用説明を受けた者に利用を許可
 管理者に対しては「利用者に対する書面での説明の徹底」と「説明等を受けた者に対する利用を許可」を求めるとともに、『無人確認』等の注意表示、維持保全(1~3カ月以内に1度)、事故発生時の対処方法、管理責任者の明示などを呼びかけています。

■利用者の注意事項、掲示して徹底を
 ガイドラインはさらに、下記のような取り組みを求めていますので、管理者としてはこれらを装置前の見やすいところに掲示するなどして、利用者に徹底を求めるようにしたいものです。

○ひとたび事故が生じた場合には重大事故等に繋がることを再認識して利用する。
○他人の鍵等を使用しない。
○ボタン押し補助器具等の不適切な器具を決して使用しない。
○装置内に人がいないことの確認は自ら徹底して行う(センサーなどに委ねない)。
○運転者以外は乗降室の外で乗降する。
(やむを得ず幼児等を同乗させるときは、乗降室から退出したことを必ず自ら確認する)
○乗降室内に長時間留まらない(荷物の積み下ろしは乗降室の外で行う)。
○保護責任者は、子供が装置に悪戯に近づかないように注意する。
○取扱説明等を受けていない者に操作を委ねない。
○酒気を帯びた者は、装置を取り扱わない
■詳細はこちら→PDF「立体駐車場ガイド」

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.5.1

家賃債務保証の市場拡大続く、参入企業が増加のうえ収益も好転

 帝国データバンクが4月21日に公表した家賃債務保証会社の経営実態調査の結果によれば、市場拡大が続き、大手が躍進しているうえ、損益状況も年々好転しています。高齢化社会の進展や親族関係の希薄化などで市場拡大は今後も続きそうですが、一方で滞納費の回収をめぐるトラブルや個人情報の取り扱いの不備などが問題化していることから、規制強化の動きも強まっています。

■対象企業は4年で1.5倍、総収入高は2.3倍
 同社の調査は、114万社を収録しているとされる企業概要ファイルから対象企業を抽出し、その収入高と損益状況の推移をチェックする方法で行いました。
 その結果、対象企業は2008年度の29社から年々増えて2012年度は1.5倍の43社になり、その総収入高も238.4億円から2.3倍の542.4億円へと増加しました。
 リーマン・ショックの影響を受け、2009年7月には完全失業率が過去最高(5.7%)にまで上昇し、家賃滞納者が急増。このあと、家賃債務保証サービスを利用する風潮が高まり、市場の拡大が続いているためと見られます。

■1企業あたりの収入高も1.5倍に
 構造耐力が不足している老朽化マンションについて、その建て替え等の円滑化を図るため、関係権利の調整に必要な手続き等を定めるとともに、これに関連する税制上の支援措置を整備する等の措置が講じられました。
 1企業あたりの収入高の推移を見ると、2008年度は8.2億円でしたが、2010年度には11.4億円となって10億円台を超え、2012年度はさらに増えて12.6億円となりました。2008年度と比べると、1.5倍に増えたことになります。

 これにともない、2008年度は収入高10億円以上の企業の割合が20.7%でしたが、2012年度は32.5%となって11.8ポイント増えるなど、大型化も進行しています。特に、収入高50億円以上の企業の増加が目立ち、2008年のゼロから2012年は11.6%(5社)へと増加。その一方で、18.6%ある収入高1億円未満の企業には新規参入会社が目立つといいます。

■赤字企業は判明34社中、5.9%に減少
 また、損益状況が判明した企業のうち、赤字だったのは2008年度(27社)が18.5%、2009年度(31社)が25.8%でしたが、その後好転し、2012年度(34社)は5.9%に減っています。

 なお、収入高50億円以上の企業5社の概要は表の通りで、うち77.5億円を上げてトップの全保連は2年連続となっています。

本格的な“防災賃貸マンション”が東京都内に誕生

 大きな災害が発生し、電気や都市ガスが止ったときでも困らない賃貸マンションが今春、東京都内に誕生し、本格的な“防災賃貸マンション”の第1号物件として話題になっています。このマンションは免震構造になっているほか、エネルギーシステムに“災害に強いLPガス”を採用し、災害時も発電や給湯ができるようになっていることが大きな特徴です。

■エネルギーシステムに“地震に強いLPガス”採用
 この物件は、スターツグループのスターツCAMが東京都江戸川区内に3月下旬に完成させた「アネシス リアン」(29戸)です。地震の激しい揺れを受け流す免震構造を採用するとともに、敷地内にLPガスタンク(バルク貯槽、2.9トン)を埋設し、ガス会社との提携により、エネルギー源であるLPガスを常に60%以上ストックしています。

■最低3日間の非常用電力をガスを常時確保
 地震などにより、電気や都市ガスの供給が止まるような事態が発生しても、屋上に設置したガス発電機が自動的に作動し、最低3日間の非常用電力とLPガスが確保できます。
 各住戸では、非常用電源に手動で切り替えることで、非常用回線を利用してリビング、キッチンの冷蔵庫、寝室等の照明や電源を確保できます。また、共用部のエレベーター設備も早期に非常用電力が供給され、利用ができます。

■持ち出しセット、災害救援キット、井戸、トイレも対応
 ほか、1階にある防災倉庫には各世帯分の非常用持ち出しセットや災害救援キット、非常用浄水器が備蓄されているほか、敷地内に防災井戸も設置され、地震災害等に備えています。
 このマンションの間取りは2LDK(57.81m2~60.90m2)で、賃料は12.5~14.5万円(別途共益費)。


■「アネシス リアン」の主な特徴(同社発表資料より)
○建物だけでなく、居住者の安全性も高める「免震工法
」 ○「災害対応型エネルギーシステム」を採用し、災害時でもエネルギー(ガスと電力)を確保
○地震災害時、各住居内で「非常用電力の使用」が可能
○地震災害時でも、「エレベーターの使用」が可能
○「防災備蓄倉庫」を設置(各世帯分の防災用品を備蓄、地域住民を守る災害救援キットを常備)
○災害時に利用可能な「かまどと井戸」を設置
○地震災害時、自家用井戸により「飲み水の確保」が可能
○「災害時用マンホールトイレ」を設置

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.4.15

住宅生産団体連合会、「平成26年度住宅関連税制改正の概要」を公表

 住宅生産団体連合会は先月、平成26年度住宅関連税制改正の概要をまとめて公表しました。これによれば、「中古住宅流通・リフォーム市場の拡大・活性化のための特例措置」と「老朽化マンションの建て替え等の促進に係る特例措置」の創設・延長が行われるとともに、「被災者向け優良賃貸住宅に関する割増償却制度」の延長にあたって適用要件が厳格化されました。

■中古住宅流通・リフォーム市場拡大措
(1)買取再販で扱われる住宅の取得に係る登録免許税の特例措置の創設
 買取再販事業者により一定の質の向上を図るための改修工事が行われた中古住宅を取得する場合には、買主に課される登録免許税の税率が一般住宅特例より引き下げられます。
→適用期間:平成26年4月1日~平成28年3月31日
→所有権移転登記:0.1%(本則2%、一般住宅特例0.3%)
(2)中古住宅取得後に耐震改修工事を行う場合における住宅ローン減税等の適用
 中古住宅取得後に耐震改修工事を行う場合、次の特例措置の適用が可能となります。
→住宅ローン減税置
→住宅取得等の資金に係る贈与税の非課税措置等置
→既存住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置

■老朽化マンションの建替え等の促進に係る特例措置の創設・延長
 構造耐力が不足している老朽化マンションについて、その建て替え等の円滑化を図るため、関係権利の調整に必要な手続き等を定めるとともに、これに関連する税制上の支援措置を整備する等の措置が講じられました。
(1)特例措置の延長:平成28 年3 月31 日まで
→登録免許税(権利変換手続開始の登記の非課税措置、組合が売渡請求等により取得する区分所有権・敷地利用権の登記の非課税措置、権利変換後の土地に関する登記の非課税措置)
(2)特例措置の創設(認定建物敷地売却<新制度>)
→転出者に係る特例(所得税、法人税、住民税、事業税)
→施工者等に係る特例(登録免許税、不動産取得税 法人税・事業税・消費税等)

■被災者向け優良賃貸住宅に関する割増償却制度の延長
 以下の要件が拡充されたうえで、適用期限が3年間延長されました。
→適用期限:平成29年3月31日
→改正後の要件:共同住宅における各独立部分の床面積が25m2以上120m2以下で、かつ10戸(床面積が50m2以上120m2以下のものが4戸以上ある場合にあっては4戸)以上の場合

■詳細はこちら→PDF「平成26年度住宅関連税制改正の概要」

国交省、中古戸建ての「評価改善に向けた指針」を公表
“耐用年数100年超”を許容のうえ、リフォームを評価

 国土交通省は3月31日、「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を公表しました。指針は、良質な維持管理やリフォームが行われている住宅が適切に評価されるよう、次の2点を基本的な考え方として示しています。第1は、住宅を基礎・躯体と内外装・設備に大きく分類し、基礎・躯体については性能に応じて、20年より長い耐用年数を設定し、例えば長期優良住宅であれば100年超の耐用年数とすることを許容すること。第2は、基礎・躯体部分の機能が維持されている限り、リフォームを行った場合は住宅の価値が回復・向上するととらえて評価に反映することです。

■今後、ツール・実務指針を検討、ラウンドテーブルで議論継続
 中古戸建て住宅の取引は現在、個別の住宅の状態にかかわらず、築後20~25年で市場価値が一律にゼロとされる慣行があり、中古住宅流通市場を活性化するうえでの阻害要因となっています。国土交通省ではこのため、学識経験者や実務者からなる「あり方検討委員会」を設置し、評価手法の改善に向けた検討を進めてきました。指針はこの結果を踏まえて策定されました。
 今後は、指針で示した評価方法を不動産市場・金融市場に定着させるため、宅建業者や不動産鑑定士が使用する評価ツールや実務指針、また消費者にとってわかりやすい評価結果の見せ方を検討するとともに、不動産取引実務・金融実務の関係者が一堂に会する「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」で議論を継続することにしています。
■指針で示した建物評価の改善の考え方

■指針のポイントはこちら→PDF「中古住宅評価改善のポイント」

長期優良住宅認定件数、制度発足からの累計数が昨年12月で47万戸に

 住宅生産団体連合会はこのほど、平成25年12月末時点における長期優良住宅建築等計画の認定状況を公表しました。これによれば、平成21年6月4日の制度運用開始からの累計数は、467,872戸となりました。認定戸数のうち、戸建ては454,633戸(97.1%)、共同住宅は13,239戸(2.8%)。
 平成25年度は、4-12月で93,884戸となっており、前年度より15.5%増えています。これに、消費税引上げ前の需要増がなお見込まれる平成26年1~3月分を加えると、この3年続いてきた年間10万戸台を大きく超えたと見られます。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.4.1

平成26年度太陽光発電の買取価格、非住宅用32円/kWh、住宅用37円/kWh

 経済産業省・資源エネルギー庁は3月25日、再生可能エネルギーの平成26年度の買取価格・賦課金が決定したと公表しました。これによれば、太陽光発電買取価格は、非住宅用(10kW以上)が1kWhあたり32円(前年度比4円安)、住宅用(10kW未満)が37円(1円安)となりました。買取期間はいずれも前年度と同じ(非住宅用20年、住宅用10年)。国の補助金は今年度からありません。

■5月検針分からの賦課金は0.75円/kWh、9月までは別途旧賦課金加算
 一方、電力会社が買い取りの原資とする賦課金は、1kWh当たり0.75円、1カ月の電力使用量が300kWhの標準家庭で月額225円となりました。平成26年5月検針分から平成27年4月検針分の電気料金まで適用されます。なお、これとは別途に、平成24年6月末に廃止された太陽光発電の余剰電力買取制度に係る賦課金が、平成26年9月検針分の電気料金まで適用されます。少ない中部、関西、沖縄電力で1kWhあたり0.03円、多い東北、東京、中国、四国電力で0.05円となっており、北海道電力は0.04円となっています。

■太陽光発電の平成26年度買取価格

太陽光発電の導入、固定価格買取制度以降で684.5万kWに

 経済産業省・資源エネルギー庁は3月20日、平成25年12月末時点の再生可能エネルギー発電設備の導入状況を公表しました。太陽光発電設備の導入は引き続き順調で、固定価格買取制度が導入された平成24年7月以降の累積導入量は再生可能エネルギー発電設備全体で704.4万kW、うち太陽光発電は684.5万kWとなりました。

■非住宅用の導入が加速、平成25年度は8割にも
 太陽光発電の累積導入量は、固定価格買取制度の導入前の分(560万kW)を含めると、1,244.5万kWに達しています。このうち、住宅用は671.6万kW(構成比54.0%)、非住宅用は572.9万kW(46.0%)。
 ここにきては非住宅用の導入が加速しており、平成25年4月から12月末の9カ月分で見ると、住宅用104.7万kW(20.2%)に対し非住宅用が412.5kW(79.8%)となり、非住宅用が8割を占め、大きく差がついています。

■再生可能エネルギー発電設備の導入状況


■北海道、メガソーラーが突出、全国的に運転開始の遅れ顕著
 これらのうち、北海道の現況は表の通りとなっており、メガソーラーの認定件数と認定出力が突出しています。しかし、全国的に運転開始の遅れが目立ち、資源エネルギー庁では太陽光利権業者の暗躍などを懸念して、聞き取りチェックなどを強めています。

●北海道の太陽光発電の認定件数と認定出力(平成24年7月〜平成25年12月)※MWはメガソーラー


■詳細はこちら→PDF「太陽光導入状況」
        PDF「太陽光導入状況県別」

平成26年地価公示、三大都市圏平均は住宅地、商業地ともに上昇に転換

 国土交通省は3月18日、平成26年地価公示(1月1日現在)を行いました。「1年間の地価」は、(1)全国平均では依然として下落しているものの、下落率の縮小傾向が継続している、(2)三大都市圏平均では住宅地、商業地ともに上昇に転換している、(3)上昇地点数の割合は全国的に大幅に増加したことが特徴。特に三大都市圏では、約半数の地点で上昇。その一方で、地方圏は8割弱で下落しました。また、「半年ごとの地価」を見ると、三大都市圏は1年を通して上昇し、地方圏は後半に下落率が縮小しました。

■住宅地、低金利・ローン減税、景況感改善で需要が堅調
 国土交通省では、住宅地については低金利、住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支え、 景況感の改善による住宅需要の拡大が堅調の背景になっていると分析。
 また、商業地については、低金利や景況感の改善、不動産投資意欲の回復、さらに堅調な住宅需要を背景に商業地をマンション用地として利用する動きの拡大を指摘しています。また、主要都市の中心部での消費動向の回復やオフィスの空室率の改善に加え、BCP(事業継続計画)の観点から、耐震性に優れた新築・大規模オフィスに対する需要が拡大していることも要因になっていると見ています。


■詳細はこちら→PDF「平成26年地価公示」

国土交通省、個人住宅流通に向け「賃貸指針」「管理指針」を公表

 国土交通省は3月20日、「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」の最終報告を受け、借主が自費で修繕やDIYを行う個人住宅賃貸借向けの「賃貸借ガイドライン」と、貸主による修繕・設備更新を前提とした個人住宅賃貸借向けの「管理ガイドライン」公表しました。

■空き家の3戸に1戸が個人住宅、適正な市場形成を支援
全国の空き家の総数(平成20年)は約760万戸に及びますが、そのうち3戸に1戸、約270万戸が個人住宅となっており、適切な管理が行われていない住宅の増加は、防犯や衛生などの面から地域の大きな問題になっています。
 その一方で、既存の住宅ストックを活用した住み替えの支援や、ライフスタイルに応じた住生活の実現が求められ、地方での定住促進やUIJターン(*)の受け皿として空き家の活用が期待されています。しかし、個人住宅の賃貸流通や空き家の管理は、取引ルールや指針が整備されていないため、個人住宅の流通市場は形成がまだ不十分な状態となっています。
*UIJターン:大都市圏の居住者が地方に移住する動き。Uターンは出身地に戻る、Jターンは出身地の近くの地方都市に移住する、Iターンは出身地以外の地方に移住する3形態の地方還流を指す。

■自治体や事業者向けの「取り組み推進ガイドライン」も
 国土交通省はこのため、昨年9月に有識者による「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」を設置して検討を進め、この3月、その結果を最終報告書にまとめ、指針(ガイドライン)として公表しました。
 報告書は次のポイント
○「取り組み推進ガイドライン」(報告書第5章)
 定住対策や空き家活用に取り組む自治体や事業者向けに、空き家物件の掘り起こしや定住相談などの具体的な支援策の提示や、先進的な地域の取り組み事例を紹介
○「賃貸借ガイドライン」(報告書第6章)
 貸主が修繕を行わず、現状有姿のまま相場より安い賃料で賃貸し、借主が自費で修繕やDIYを行う借主負担型の賃貸借契約の指針を新たに策定
○「管理ガイドライン」(報告書第7章)
 空き家や留守宅の管理の必要性や、管理業者を選ぶ際の留意事項、実際に所有者が管理サービスを選択する際の確認事項などの指針を新たに策定

■詳細はこちら→PDF「個人住宅賃貸借ガイドライン」
        PDF「個人住宅管理ガイドライン」

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.3.17

首都圏不動産公正取引協、住宅価格は「税込み表示」とするよう注意喚起

 公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会は、4月1日からの消費税率変更に関する相談が多いことから、変更後の不動産広告のあり方について3月、改めて徹底を期すよう事業者に要請しました。問い合わせで多いのは、不動産広告は税込み表示か税別表示かです。同協議会ではこれに対し、不動産広告は「4月以降も消費税込みの価格で表示しなければならない」と注意を喚起しています。

■公正競争規約で「税込み表示」を規定
 今回の消費税率の変更では、税率を続いてさらに変更する動きになっていることから、価格表示については税込表示のほか、税別表示も認められています。
 しかし、不動産広告については、業界の自主規制である「不動産の表示に関する公正競争規約」の表示規約施行規則第10条第38号で、住宅(マンションは住戸)の価格は、「1戸当たりの価格(敷地の価格及び建物に係る消費税等の額を含む)」となっており、同協議会では「消費税等の額を含む価格」(税込み)で表示しなければならないと説明しています。
 この場合、敷地の価格は、敷地が借地であるときはその借地権の価格、また建物には電気、上下水道、都市ガス供給施設のための費用等を含めることになります。
 また、価格や賃料以外に必要となる諸費用については、費目ごとにそれらが課税対象なのか否かを確認し、価格等の表示と同じく内税表示をすることが望ましいとしています(ポータルサイトでは各社の表示ルールに従う)。
 なお、居住用の賃貸物件の賃料には消費税は課税されません。

■詳細はこちら→首都圏不動産公正取引協議会HP

2012年度認定太陽光、場所・設備未決定と報告未提出672件(14%)聴聞へ

経済産業省(資源エネルギー庁)は、太陽光発電の認定を受けながら運転開始が遅れているケースが目立つために、認定事業者にその理由について報告を求めた結果を、2月14日明らかにしました。対象となったのは2012年度中に認定を受けた運転開始前の太陽光発電設備ですが、土地の決定、設備の発注とも未決定のケースは、順次聴聞手続きを行ったうえで、認定を取り消す方針です。いわゆる「発電権転売ブローカー」の暗躍が問題化しているためで、北海道では認定事例が多いだけに成り行きが懸念されます。

■運転開始前の400kW以上の太陽光発電設備、4,699件・1,332万kWも
 報告徴収の対象となったのは、2012年度中に認定を受けたものの、運転開始前の400kW以上の太陽光発電設備(4,699件・1,332万kW)。法令上の認定要件を踏まえて、「土地の取得、賃貸等により場所が決定しているか」「設備の発注等により設備の仕様が決定しているか」などをチェックしたところ、うち開始済みが1,049件(22%)・110万kW(8%)があったものの、設置断念が419件(9%)・90万kW(7%)、未運転開始が3,130件(66.6%)・1117万kW(83.9%)、未提出101件(2%)・15万件(1%)となりました。

■接続協議中や被災地のケース、187件(4%)・177万kW(13%)
 未運転開始で場所も設備も未決定のケースのうち、187件(4%)・177万kW(13%)は接続協議中や被災地にありました。しかし、これを除くと、全体の12%にあたる571件、発電量で22%にあたる288万kWは場所、設備ともに決まっていませんでした。
 聴聞はこれに未提出を含めた672件(14%)・303万kW(23%)に対して行われることになります。

■報告徴収の結果


■詳細はこちら→PDF「太陽光発電報告」

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.3.3

民営空き家数(共同住宅)、ワースト5は東京・大阪・神奈川・北海道・福岡

 総務省(国勢統計課)は2月6日、増加一途にある空き家のうち、賃貸用共同住宅について分析した結果を公表しました。それによれば、賃貸用空き家(共同住宅)は全国に431万戸あり、うち8割にあたる342万戸が民営。民営分の建築時期は、昭和56年~平成12年が115万戸(34%)と多いものの、一方で144戸(42%)が時期不詳。民営空き家数(共同住宅)の多さは、東京47万戸、大阪33万戸、神奈川24万戸、北海道20万戸、福岡17万戸などの順となっています。

■総務省、平成20年住宅土地調査をもとに推計
 この分析は、平成20年の「住宅・土地統計調査」をベースに推計し、課長名で公表されました。現在とは異なる状況や傾向もあるとは見られるものの、こうしたデータが少ないので参考にしたいものです。
 同省では今年7月に予定している平成25年調査の速報発表後も、こうした分析結果を公表していく予定にしています。以下、公表概要を紹介します。

■空き家の現状 この20年間で倍増
 空き家数は、昭和63年には394万戸でしたが、平成20年では757万戸と、この20年間で2倍近くになっています。空き家率は平成10年に1割を超え11.5%となり、その後5年ごとに1ポイントずつ上昇しています(図表1)。


■空き家の種類・建て方 賃貸空き家の9割が共同住宅
 平成20年結果について、種類、建て方別にみると「賃貸用の住宅」と「その他の住宅」(長期不在住宅、建て替えにより取り壊す住宅等)が、全体の90%を占めています。「賃貸用の住宅」を建て方別にみると、共同住宅の割合が90%近くになっています(図表2)。なお、二次的住宅は別荘など。


■共同住宅空き家の推計結果
○賃貸用等空き家 民営が342万戸で8割占める
 賃貸用等空き家の431万戸について、所有の種類別にみると、民営空き家が342万戸で、79%、民営以外(公営、公社、給与住宅等)の空き家が75万戸で、17%となっており、民営の空き家が民営以外に比べ4.5倍以上の大きな値になっています。(図表3)

○建築時期別空き家数 S56~H12年が115万戸、不詳144万戸
 民営空き家は、昭和56年~平成12年に建てられた住宅が115万戸と比較的多く、この20年間に建てられた住宅の空き家数が、民営空き家全体の34%となっています。ただし、建築時期が不詳の空き家も144万戸(42%)あります(図表4)。

○床面積別空き家数 床面積50m3未満が半数占める
 民営空き家は、30m3未満の住宅が96万戸で最も多く、28%を占めています。次に多いのが30~49m3の76万戸(22%)で、この2区分を合わせた床面積規模の小さい住宅が多くなっています。逆に面積規模の大きい70m3以上の住宅は12万戸で、全体の3.5%となっています。ただし、床面積が不詳の空き家も116万戸(34%)あります(図表5)。

○賃貸用等空き家(共同住宅)の所有種類別都道府県数一覧(図表6)

消費税の影響、借家着工は相続税対策もあって増加、反動減も少ない

 内閣府は2月19日の「マンスリー・トピックス」(28号)で、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響について、前回引き上げ時と比較しながら検証したレポート、「住宅建設における消費税引き上げの影響」を公表しました。この中で、借家の着工については、「消費税率駆け込み需要に加え、相続税対策需要もあって、増加が続いている。受注は反動減が生じたものの、その幅は小さい」としています。

■内閣府レポートのポイント(貸家部分を除く)。
○持ち家の着工
 消費税率引き上げに伴う駆け込み需要に加えて、取得環境が良好である中、金利と住宅価格の先高観も増勢を支え、増加が続いている。受注は、駆け込みの反動により大幅減となった。ただし、工事単価が高い地域ほどおおむね持家着工の伸びが緩やかであることから、負担軽減措置により駆け込みは一定程度緩和されたと見られる。
○貸家の着工
 貸家の着工は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要に加えて、相続税対策としての需要もあって、増加が続いている。受注は、駆け込みの反動減が生じたものの、その減少幅は小さい。
○分譲住宅の着工
 2013年5月から同年9月にかけて着工戸数が高水準で推移し、10月以降落ち込んだ。これには、消費税率引き上げに伴う駆け込みがあった可能性がある。
○住宅建設
 受注状況から着工戸数を推計すると、持家及び貸家の着工はともに2014年1‐3月期には減少に転じる見込みである。ただし、これまでの着工戸数の実績が、受注から予測されるほど増加していないことから、足下では受注残が積み上がっており、この消化によって着工の減少が緩和されるだろう。分譲住宅は持ち直すことが期待されるが、持家及び貸家においては消費税率引き上げに伴う駆け込みの反動減も生じることから、1-3月期の住宅着工は増勢が鈍化する可能性がある。

■本文抜粋1=貸家の動向の背景
 貸家の着工は増加が続き、受注は駆け込みの反動減が生じたものの、その減少幅は小さかった。こうした動向の背景には、相続税対策としての需要が貸家着工を押し上げる要因の一つとなっていることが考えられる。平成 25年度税制改正により、2015年1月から相続税の基礎控除額が引き下げられることとなったが、Googleトレンドによれば、平成25年度税制改正大綱が閣議決定された2013年1月頃から、「相続税」の検索数と賃貸住宅保有に関連した語の検索数がともに増加し、相続税への関心とともに賃貸住宅保有への関心が高まっていることがわかる。 ○賃貸住宅の投資環境と賃貸住宅投資への関心


■本文抜粋2=住宅建設の先行き
 持家の着工は金利や住宅価格の先高観によって増勢が支えられ、貸家の着工は相続税対策としての需要による増勢が続く中、消費税率引き上げに伴う駆け込みの反動減を控えた局面となっている。
 受注状況から着工戸数を推計すると、持家及び貸家の着工はともに 2014年1-3月期には減少に転じる見込みである。ただし、これまでの着工戸数の実績が、受注から予測されるほどの増加を示していないことから、足下では受注残が積み上がっているとみられる。これは、各社が施工能力の範囲で建設を進めていくことで、2013年9月までの駆け込み契約分がある程度均されて着工に移されていることが背景として考えられる。こうした受注残の消化が着工の減少を緩和するかもしれない。
 2014年1-3月期の住宅着工については、分譲住宅が前述のとおり持ち直すことが期待され、持家及び貸家の受注残の消化の影響もあるかもしれないが、持家及び貸家における消費税率引き上げに伴う駆け込みの反動減が生じることから、総じて増勢が鈍化する可能性がある。

マンション発売戸数、2013年は前年比12.2%増の10万台超

 不動産経済研究所が2月20日発表した2013年の「全国マンション市場動向」によれば、発売戸数は前年より12.2%、1万1,421戸多い10万5,282戸となり、4年連続で増加しました。10万戸の突破は6年ぶり。

■駆け込み需要と金利上昇気配を反映、北海道も17.5%増
 2014年4月の消費税率引き上げを前にした駆け込み需要に加え、住宅ローンの金利が上昇するとの思惑を反映したと見られます。うち首都圏の発売戸数が53.6%にあたる5万6,478戸(23.8%増)で全国を牽引しており、北海道は1.6%にあたる1,685戸(17.5%増)。
 全国の1戸当たりの平均価格は9.2%、350万円増の4,174万円、1m2あたりの単価は9.2%、4.9万円増の58万円で、いずれも3年ぶりに前年を上回りました。発売総額は22.4%、8,055億円増の4兆3,945億円。
 供給戸数は三井不動産レジデンシャル7,476戸、野村不動産6,517戸、住友不動産5,879戸、三菱地所レジデンス5,599戸、大京2,913戸などの順となっています。

■2014年は5年連続で増え11万戸ほど(全国数)か
 同研究所は、2014年は前年より4.5%、4,700戸ほど多い11万戸となり、5年連続で増加すると見ています。

■詳細はこちら→PDF「2013年マンション市場動向」

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.2.18

賃貸料への消費税、前納・後納に関係なく「対価として受領する当月分」適用

 国税庁は、4月1日からの消費税引上げを目前に、「資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」(1月20日)を公表し、不動産賃貸借契約への課税について考え方を明らかにしました。これによれば、平成25年10月1日以後に契約する賃貸借契約における賃貸料への消費税は、前納・後納にかかわらず、その賃貸料が平成26年3月分の対価なら税率5%、4月分なら税率8%が適用されるとしています。

■国税庁Q&Aの概要
 Q&A内容は次の通りとなっています。
【Q】平成25年10月1日以後に契約する賃貸借契約(改正法附則第5条第4項に規定する経過措置は適用されないもの)における次の賃貸料に係る消費税の適用税率について教えてください。

(1)当月分(1日から末日まで)の賃貸料の支払期日を「前月○日」としている賃貸借契約で、「平成26年4月分の賃貸料」を「平成26年3月に受領」する場合
(2)当月分の賃貸料の支払期日を「翌月○日」としている賃貸借契約で、「平成26年3月分の賃貸料」を「平成26年4月に受領」する場合  

【A】新消費税法は、経過措置が適用される場合を除き、施行日以後に行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等について適用される(改正法附則2)。
(1)「平成26年4月分の賃貸料」であり、施行日以後である平成26年4月分の資産の貸付けの対価として受領するから、「4月末日における税率」(8%)が適用される。
(2)「平成26年3月分」の賃貸料であり、施行日前である平成26年3月分の資産の貸付けの対価として受領するから、支払期日を4月としている場合であっても、「3月末日における税率」(5%)が適用される。 

26年1月度「景況感調査報告」、第4四半期は戸数・金額ともプラス基調継続

 住団連(住宅生産団体連合会)は1月30日、平成26年1月度の「経営者の住宅景況感調査報告」を公表しました。これによれば、低層賃貸住宅における平成25年度第3四半期の実績は、「受注戸数=増減なし、金額=13期連続プラス」となりました。また、平成25年度第4四半期は「戸数・金額ともにプラス基調が継続」との見通しとなっています。
 調査結果とコメントは次の通りです。

■平成25年度第3四半期(平成25年10~12月)実績
 受注戸数プラスマイナス0・受注金額プラス15ポイントと、金額は13期連続してプラスという結果となった(前10月度受注戸数・受注金額ともにプラス85)。
◆コメント
 「駆け込み需要の反動減」「消費税アップ影響で減少」という声もあるが、「消費税増税の反動減は一部あるが、平成27年からの相続税増税の機運などにより、戸建注文程のマイナスにはなっていない」「防犯配慮型仕様が引き続き好調。3月竣工に向けた消費税増税前の駆け込みが受注を押し上げた」「大型受注を獲得」「消費税の駆け込み受注に対する反動減もあるが、相続税増税対策での受注でカバー」「消費税の駆け込みで受注増」「一部に消費増税前の駆け込み反動減は見られたが、相続増税対策としてのニーズは底堅く比較的堅調に推移」など。
 消費税・相続税の増税、低金利などの影響でプラス基調を感じさせる声も多く聞かれ、戸数は前年並みだが、金額はプラスが継続する結果となった。

■平成25年度第4四半期(平成26年1~3月)見通し
◆景況判断指数
 受注戸数プラス12・受注金額プラス15ポイントと、戸数・金額ともにプラス基調が継続するとの見通しとなった(前10月度受注戸数・受注金額ともにマイナス19)。
◆コメント
「投資機運上昇」「消費税増税駆け込み後の反動の影響を受けるが、各種優遇政策により大幅なマイナスとはならない」「引き続き消費税アップ影響で減少を予想」「相続税対策、低金利等で上向き傾向を維持」「サービス付き高齢者住宅の需要増加し受注増」「一部に消費増税前の駆け込み反動減は見られたが、相続増税対策としてのニーズは底堅く比較的堅調に推移する見込み」「消費税絡みの受注は一旦落ち着き、相続増税に備えた受注が徐々に増えてくると予想される」など。
 相続税対策、低金利により堅調に推移すると見て、プラス基調の見通しにある。

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.2.3

今後のマンション管理、防災対策やコミュニティが課題に

 矢野経済研究所は1月16日に「マンション管理市場に関する調査結果2013」の概要を公表しました。この中で、①2013年のマンション管理費の市場規模は、前年比3.4%増の6,428億円となった見込みで、消費増税による影響から今後の成長率は鈍化する、②2013年の共用部修繕工事の市場規模は前年比12.7%増の6,060億円となった見込みで、中長期的には大規模修繕工事の適齢期を迎えるマンション数が増加する、などと予測。また、今後マンション管理会社に求められるのは、防災対策やマンション居住者間のコミュニティの活性化への取り組みである、と指摘する内容になっています。

調査結果の概要(要点略記)
●現状と課題
○ここ数年、新築分譲マンション戸数は堅調に推移している。一方で、過去の経緯から消費税増税後は駆け込み需要の反動減による新築分譲マンション着工戸数の落ち込みなどが懸念される。
○短期的には、管理組合から管理費低減要請が一層強くなることが予想され、管理会社はこのような要請に対して、仕様変更等により柔軟に対応していくことが求められる。
○中長期的には、少子高齢化による総人口減少という構造的な問題も加わり、新築分譲マンション着工戸数は低水準で推移することが推測される。管理会社には、既存管理物件の囲い込み、管理会社変更要請(リプレイス)による管理物件の取り込み強化が課題になるものと考えられる。
●派生サービス・修繕工事
○マンションは建物の経年劣化や居住者の高齢化が不可避であることから、管理会社の現行業務である管理業務や共有部工事だけでなく、専有部サービスや専有部リフォーム等の派生サービスも今後着実に需要が見込めると考えられる。
○ほか、管理会社には防災対策やマンション居住者間のコミュニティの活性化に積極的に取り組むことが期待される。ハード、ソフト両面からの需要を取り込むことで、魅力あるマンション運営を手がける重要性は一層高まると思われる。

国土交通省、個人住宅の賃貸流通、3月にガイドライン提示へ

 我が国の住宅ストックが5,760戸(平成20年時点)と総世帯数(約5,000万世帯)を15%も上回っていることから、国土交通省では中古住宅の流通促進に加え、個人住宅の賃貸利用に向けた検討が進められており、この3月に「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」がガイドラインを策定する予定になっています。ガイドラインとしては、個人住宅を賃貸化するときの管理と取引のルールを打ち出すことになりますが、これにより賃借住宅を取り巻く競争は一段とシビアになりそうです。

■管理と取引のあり方をルール化
 検討会は、(1)空き家を含めた個人住宅の賃貸流通を促進するうえでの課題の分析と、それらを踏まえた(2)個人住宅の賃貸流通に必要なルール・ガイドラインの策定を目的に、昨年9月2日に発足しました。この1月30日に第4回会合を行いましたが、今後2月に第5回会合を行ったうえで、3月頃の第6回会合でガイドラインを示す予定になっています。
 これまでの検討では、賃貸用物件と自宅物件を賃貸する場合の相違点の洗い出しや、空き家所有者・空き家利用意向者へのアンケート、また賃貸住宅経営(修繕費と資本的支出)の分析も実施。賃貸住宅経営については、転勤期間中の共同住宅(都市部)や相続した戸建て住宅(都市部、地方部)を賃貸したときの経営シミュレーションも行っています。
 ガイドラインづくりの基本となる賃貸用物件と自宅物件を賃貸する場合の相違点については、次のように整理されています。また、第4回会合では「賃貸借ガイドライン」案のイメージが出されましたが、契約累計を3累計4タイプに分け、それぞれの基本的な形態と家賃、修繕・模様替え、造作買取請求、原状回復への考え方を打ち出しています。

■賃貸用物件と自宅物件を賃貸する場合の相違


■賃貸借ガイドライン案のイメージ
 詳細はこちら→PDF「ガイドライン案イメージ」

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.1.15

賃貸派の満足点は65点ほど、物件選びでは8割弱がまず「賃料」

 2013年の「不動産の日アンケート」で、住宅の居住や購買に関する意識調査を行ったところ、現在賃貸住宅に住んでいる人の満足点は65.1点(持ち家:72.6点)で、いまの住居に関係なく“賃貸派”を自認する人の割合は14.8%(同:85.2%)。そして、その理由のうち最も多いのは「住宅ローンに縛られたくない」(58.6%)、また選ぶ際に最も重視するのは「賃料」(76.9%)であるという実態が明らかになりました。

■2013年の「不動産の日アンケート」
このアンケート調査は、全国宅地建物取引業協会連合会と全国宅地建物取引業保証協会が、「不動産の日」と定めた9月23日から10月31日まで、ホームページを活用して行っています。今回調査では全国の20歳以上の男女、計15,611件の回答を得ました。調査結果の概要は次のようになっています。

●不動産は買い時か?
 「買い時と思う」は28.6%、「買い時とは思わない」は17.9%で、残り53.5%は「分からない」。前年調査と比べると、「買い時」が4.4ポイント増え、「買い時とは思わない」が3.1ポイント減少しました。「買い時」と思う理由のトップは「消費税引き上げ前だから」(51.7%)。一方、「買い時とは思わない」理由のトップは「自分の収入が不安定・減少」(45.7%)。
●現在の住まいの満足点は?
 「持ち家」は72.6%。これに対し、「賃貸」は65.1%。持ち家の居住者の満足点が7.5ポイント上回っています。
●持ち家派か賃貸派か?
 「持ち家派」が85.2%いたのに対し、「賃貸派」は14.8%と大きな格差があります。
 「持ち家派」の理由のトップ3は、「家賃を払い続けるのは無駄に思える」(61.6%)、「落ち着きたい」(43.0%)、「持ち家を資産と考えている」(39.7%)。「賃貸派」の理由のトップ3は、「住宅ローンに縛られたくない」(58.6%)、「仕事などの都合で引っ越しする可能性がある」(34.5%)、「税金が大変だから」(30.3%)となっています。
◆「賃貸派」の理由

●物件選びで重視するのは?  「持ち家派」が重視するトップ3は、「周辺・生活環境」(61.7%)、「交通の利便」(56.4%)、「日当たり・住宅の向き」(38.1%)。これに対し、「賃貸派」は、「賃料」(76.9%)、「交通の利便」(58.7%)、「周辺・生活環境」(44.8%)。賃貸は、まず「賃料」という物件選びの傾向が浮き彫りになっています。
◆賃貸派の重視ポイント


●物件情報に“あると便利な情報”は?
 物件情報を入手する際、基本情報以外に“あると便利な情報”を聞いたところ、トップ3は、「周辺情報など」(81.4%)、「写真」(81.2%)、「街の環境情報」(58.4%)。物件の周辺環境、物件の外観・設備などがチェックできる情報を欲しがっていることが分かります。
●物件選定の際、参考にするのは(したいのは)?
 「業者のホームページ」が90.0%と圧倒的な高さ。「フェイスブックなどのSNS(ソーシアル・ネットワーク・サービス)」は15.0%、「ツイッター」は8.6%にとどまっています。

老後に向けた準備・計画 「生活資金」と「仲間づくり」に最大関心

皆さんは、老後の生活に向け、どう準備したり計画したりしておられますか。(株)野村総合研究所が行った「生活者1万人アンケート調査」によれば、老後に向けては「生活資金の準備」と「仲間づくり」への関心がとりわけ高く、生活資金の貯蓄については20~30代でも5割が興味を持っていました。

■野村総研「生活者1万人アンケート調査
 この調査は、一般の生活者の金融意識や行動の実態を明らかにするとともに、変化の方向を探ることを狙いに、2013年8~9月、全国の18~79歳の男女個人を対象に行われ、10,073人から回答を得ました。老後の生活や相続に関する20項目を示し、それらを「準備・計画しているか」「(準備・計画はしていないが)興味があるか」を答えてもらったところ、図のような分布になりました。

●老後の生活や相続のための準備
 これを見ると、回答率がともに高かったのは、「老後の生活資金の貯蓄」で、「準備・計画している」と「興味がある」を合わせると72%になりました。次いで多かったのが「定年から年金支給までの生活費の確保」で、合わせると62%。これに、僅差で「趣味や旅行のための仲間づくり」(61%)が続きました。
 一方、「自分が入るためのお墓の確保と購入」「葬式費用の準備」については、「準備・計画している」と「興味がある」の合計回答率に比べ、「準備・計画している」の回答率が高く、その分にニーズに対する実現率が高いと見てとれます。これは、「老後や死後に備えるサービスが古くから存在しているから」(野村総研)と考えられます。
 また、「エンディングノートや遺言の作成」「有料老人ホームへの入居」「財産一覧表の作成」「民間介護保険への加入」「生前贈与」については、2割強ほどのニーズはありますが、「準備・計画している」のは数%。これらは、「比較的新しいサービスとして関心を集めており、これから準備したり計画したりする人が増える」(同)と見られます。

■生活資金の貯蓄、若年層でも「興味がある」が5割も
 「老後の生活資金の貯蓄」について、年代別に準備・計画や興味の有無を見ていくと、当然ながら、年代が上がるとともに準備・計画している割合が増えますが、下図のように、興味は20~30代でも約5割にも達しています。
●「老後の生活資金の貯蓄」に関する準備・計画状況(年代別)

賃貸経営ニュースダイジェスト 2014.1.8

2014年首都圏・近畿圏のマンション供給は前年並み維持か

 (株)不動産経済研究所が2013年12月19日に公表した「首都圏マンション市場予測」によれば、2013年のマンション供給が前年比22.8%増の5.6万戸に達した(実績見込み)のに対し、2014年は横ばいの5.6万戸を維持すると見ています。また、同時に公表した「近畿圏マンション市場予測」でも、2013年が前年比7.5%増の2.5万戸に達した(同)のに対し、2014年は横ばいの2.5万戸になると見ています。

■首都圏市場では、“超高層・超大型、駅前再開発”に人気
 2013年の供給量が大幅に増えたのは、「アベノミクスと価格上昇への懸念」から。  2014年は首都圏市場の場合、大手中心・都区部中心で推移し、超高層・超大型、駅前再開発に人気が集まると予測しています。また、近畿圏では大阪市内・都心部では引き続き大型・超高層物件が活発で、消費税アップの影響はほとんど存在しないとしています。
 不動産経済研究所の予測概要は次の通りです。

【首都圏】
◆市場予測
○マンション供給は5.6万戸、都区部中心に前年並みの供給に。
・13年は22.8%増の5.6万戸。アベノミクスと価格上昇懸念で大幅増加。
・14年は横ばいの5.6万戸。価格上昇とゼネコン受注拒否は後半から調整続く。
・大手中心・都区部中心で推移も、メリハリの付いた価格設定で、市場は安定。
○超大型・超高層・再開発が市場を牽引、一次向け郊外物件も。
・超高層・超大型、さらに駅前再開発が人気。一次取得者向け郊外物件も柱に。
○在庫は適正水準下回り、不足気味。着工は12年(~10月)比で0.4%増。
・11月末在庫は適正水準の5割減。13年(同)着工数は横ばいの5万8,375戸。
・用地費・建築コストは上昇傾向も、グロス価格の抑制で、専有面積は縮小へ。
○震災復興本格化・オリンピック決定が労務費・建築コスト上げへ。
・大手集中に中堅がどこまで回復・対抗できるか!競争は一層激化。
・注意点は用地費・建築コスト・労務費のトリプルアップをどう凌ぐか。
・13年1~10月のマンションデベロッパー社数は171社まで回復(12年150社)。
・供給のポテンシャルは上限6万戸。消費税10%まで好調かは価格次第。
・テーマは省・創・蓄エネ(太陽光・熱、一括受電、蓄電池、見える化)。
・さらに、免震・制震。顧客囲い込みに向けブランディングを一層積極化。
◆供給動向

【近畿圏】
◆市場予測
○マンション供給は2万5,000戸、13年とほぼ横ばいに。
・13年は7.5%増の2万5,000戸の見込み。
・14年は横ばいの2万5,000戸へ。
・神戸市部、兵庫県下、滋賀県などが増加へ。
○リーマンショック以前の市場への回復まであと一歩。
・大手デベロッパーのブランド力さらにアップ。
・マンション建築着工は回復基調。1~10月の累計は3.2%増の2万2,727戸。
・大阪市内・都心部では依然として大型・超高層物件が活発。
・神戸市部が一挙に5割増へ。三宮地区で500戸規模の大型物件が登場。
・消費税アップの影響はほとんど存在しない。駆け込みが小浪なら反動も小浪。
○震災復興事業本格化・オリンピックの決定で、建築費・労務費が上昇。
・型枠工・配筋工の専門職能者不足、資材費の高騰により施工費がアップへ。
・ゼネコンの受注拒否による市場の混乱も、一定期間で終焉。
○事業者数は久々に復活も、大手デベロッパーのシェアは拡大。
・10年・11年は107社、12年の104社を底に、13年は10月末で108社に回復。
・黒田バズーカによる金融緩和は大手系中心も、中堅デベロッパーにも流れが。
・ブランド力が一層注目され、大規模展開の企業が有利に。
◆供給動向

賃貸住宅管理業者の登録数が、発足2年で3,165事業者に

 賃貸住宅の管理業務の適正化を図る狙いから国土交通省が創設した「賃貸住宅管理業者登録制度」が、2013年12月1日でまる2年を経過し、登録事業者数は3,165事業者(11月28日現在)になりました。当初の1年間での登録事業者数は2,512事業者(2012年11月30日現在)でしたが、その後1年間での登録増加分は653事業者にとどまっています。

■登録は遅れがち、制度の周知徹底による普及拡大を
 登録制度は「受託管理」、または「サブリース」を行っている事業者を対象にしており、重要事項の説明や書面交付などといった一定のルール(業務処理準則)を順守することが条件となっています。登録機関は5年間で、登録した事業者名は国交省のホームページで公表されます。消費者(借り主)は、この登録情報を物件選択時の判断材料にできます。
 現在、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協)への加盟事業者は1,190社。2013年6月時点で「うち、加盟事業者の半数が登録を終えた」ともされています。
 一方、全国の賃貸住宅は1,340万戸(2008年住宅土地統計調査)で、所有形態はうち83%が個人、17%が法人。また、管理形態は民営借家の所有者80%近くが、一部または全部の管理業務を委託しています。
 こうした状況から見て、「事業者のメリットが薄い」といった理由もあってか、登録は遅れがちになっているようです。登録は現在は「任意」となっていますが、法制化の動きもあることから、制度の周知徹底よる普及拡大が望まれています。

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